熟柿 の商品レビュー
熟柿とは期が熟すまで待つという意味。主人公かおりは自分の息子に会いに行こうとするも待ちきれずに失敗するも息子のために生命保険をかけ支払い続ける。木が熟した時、16歳になる息子に会う。16年ぶりに会う息子にどう対峙すれば良いのか。離婚。轢き逃げの罪で刑務所で生活。出所してからの生活...
熟柿とは期が熟すまで待つという意味。主人公かおりは自分の息子に会いに行こうとするも待ちきれずに失敗するも息子のために生命保険をかけ支払い続ける。木が熟した時、16歳になる息子に会う。16年ぶりに会う息子にどう対峙すれば良いのか。離婚。轢き逃げの罪で刑務所で生活。出所してからの生活。一生懸命働いて生きる意味。どうすれば罪を償えるか。主人公かおりに共感したり、なぜそんなことをと思ったり、どっぷり物語に浸りました。
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土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは...
土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが… 結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指指されたりしながらも、職を転々としつつ辛抱強く息子と会える日を待ち続ける。赤子で生き別れて以来、顔もわからない我が子を。もし自分が同じ立場だったらと思うと、切なくて苦しくて胸がぎゅっと締め付けられる。泣ける小説は久しぶり。くじゅうろ娘、ナイスアシスト! 読み出すと止まらない寝不足本。リーダビリティ、人物造形、伏線回収、意味浸透するタイトル、全てにおいて大満足の五つ星。これは年末の各種ランキングで上位にランクインしそう。私の中で、「KADOKAWAの白地装丁本は面白い」説がある。『地雷グリコ』しかり『エレファント•ヘッド』しかり本書しかりだ。たまたまかもしれんけど。KADOKAWAさん、次の白地本も期待してます(笑) 佐藤正午さんは本書が初読。澱みない会話やリード文で引きつける文体がかなり私好みだった。直木賞も受賞されてるとのこと。またもや追いかけたい作家が増えてしまった。他の作品も読み進めよう。 中央公論文芸賞 受賞 本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10 1位
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共感しながら読んでいたわけでもないのに、読後、すごく沁みたのは何故なんだろう… とても、よかった。
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「熟柿」…「じゅくし」と読むことをこの本で知った 27歳のかおりは、酔って寝ている夫を助手席に乗せ運転中、人をはねる 轢き逃げの罪に問われ、服役中に出産 子どもはすぐに引き離され、離婚した夫に引き取られる 会いたい一心でいろいろ行動を起こすものの… 全ての歯車が合わない とに...
「熟柿」…「じゅくし」と読むことをこの本で知った 27歳のかおりは、酔って寝ている夫を助手席に乗せ運転中、人をはねる 轢き逃げの罪に問われ、服役中に出産 子どもはすぐに引き離され、離婚した夫に引き取られる 会いたい一心でいろいろ行動を起こすものの… 全ての歯車が合わない とにかく読んでいてそう感じた あの時ああしていれば、、、の繰り返し 出てくる登場人物が、危うい人が多い なんで鶴子と縁切らないんだろう かおりは凄いな ただいつか息子に会うためだけに、ひたすらに働いて毎日を生きている そうして気づいたら44歳 「柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある…」 (文中より) 熟すの遅いよ 半分を超えたあたりから先が気になって気になって一気読み 後半、涙が止まらず… きっとこの先はかおりも報われる日が来るだろう そんなラストだったので★5 映画化あるだろうな 個人的本屋大賞ノミネート候補
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少し時間が空いた夕食後に読み始めた。気がついたら深夜迄一気読みしてた。重い話だけど活字から目が離せなかった。 夫とまだ見ない子供と和気藹々とした親類達、それが一転しての度重なる辛い日々。ひたすら子供を思うかおりさんの気持ちが切なかった。
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帯の書店員さんのコメント通り、「読み終わった後、しばらく他の本を読みたくなかった。」 それぐらい、引き込まれて圧倒された小説。 今年のNo.1かも! 一つの理由として、主人公が息子を産んだ年に近い時期に私も息子を出産したこと。幼稚園、入学式といった子どもの成長、東日本大震災やコ...
帯の書店員さんのコメント通り、「読み終わった後、しばらく他の本を読みたくなかった。」 それぐらい、引き込まれて圧倒された小説。 今年のNo.1かも! 一つの理由として、主人公が息子を産んだ年に近い時期に私も息子を出産したこと。幼稚園、入学式といった子どもの成長、東日本大震災やコロナの時期も息子と拓くんの成長が被る。自分が産んだ子どもに、出産後ずっとずっと会えない、写真すら見れず、近況もわからない。主人公の気持ちを想像すると…。 出産を控え、新車を買い、親戚に祝福された幸せな人生が、一夜にして激変した。自分や周囲の人間の人生をメチャクチャにした重すぎる罪の刑に服し、出所した後のかおりの記憶の抜け落ちの描写や、ふわふわした行動に心理的不安的さを感じ、ゾクゾクしてしまった。それはそうなるよね…と。 ロードムービー的に西へ西へと様々な理由で職を変えて何年もひっそりと倹約しながら働く主人公。会えない息子にせめて遺産を残したいと。犯した罪は消えない。ただ、息子を思い、働き続ける長い時の流れの中で、少しずつ事件前の主人公に近づき、事件前後の状況も主人公の記憶とともに明らかになっていく。最初の晴子おばさんのお葬式の場面で、元夫の性格を冷静に分析していましたもんね。これも軽い伏線かな。 最後の主人公が博多に戻るラストシーン、盛り上がり、はやる気持ちがググッと胸に押し寄せました。読後、放心…。読みやすいのに、深い深い小説。映画化しそう。
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みなさんが読まれているのを見て予約していたんですが、残り2人から全然進まなーい!! も、もしや借りパ、、、いやいや!! 誰よ!早く返してー!! と念を送っていたら やっっっと返してくれたようで やっと借りられました(o^^o) 佐藤さんの作品は初めて読みます...
みなさんが読まれているのを見て予約していたんですが、残り2人から全然進まなーい!! も、もしや借りパ、、、いやいや!! 誰よ!早く返してー!! と念を送っていたら やっっっと返してくれたようで やっと借りられました(o^^o) 佐藤さんの作品は初めて読みます 『熟柿』(じゅくし)と読みます ちょうど向かいのおばあちゃんが柿をくれました(^^)枝についたままの柿に子どもたちは大喜び(´∀`) でも食べるのは5歳の息子だけ、、、笑 この時期いろんな方に柿をもらって5歳の息子だけデザートが豪華になってホクホク顔をしてます笑 『柿が好きだし、ドングリも好きだから僕はクマだね』だそうです笑 さて本題に入ります 激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。出所後息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。自らの罪を隠して生きる彼女にやがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。 事故自体は誰にでも起きます。 自分にも起きる可能性があります。 でもその後どうするかでこんなにも変わってしまうのかと恐くなる作品でした。 かおりの一人称で進んでいきますが どこか淡々と物語は進んでいきます かおりはあまり共感できるタイプではなくて 感情移入はしにくい感じ。 なんだか頼りないし 読んでてモヤモヤというか、 ちょっとイライラしてしまうこともあったけど 一番イライラしたのは夫かな ひき逃げ、もちろん絶対ダメだけど 一回の過ちであまりにも変わってしまった人生や、その後の仕打ちが辛くて、そして怖い。 でもそういうものなのかもしれない。 かおりの頭は息子でいっぱい。 後悔や、諦め、 そしてちょっと希望が見えると そればかりしか考えられなくなり また落胆する 自分の未来に途方に暮れる そんな様子が 淡々としてるのに ひしひしと伝わってきました この熟柿という言葉が 終盤胸に凄く響きます 「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」という意味だそう。 一面真っ白な表紙にぽつんと置かれた熟れた柿はこの物語の印象とぴったりだと思いました
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熟柿という言葉を初めて知りました 読んでいくと確かに熟柿という言葉ぴったりな作品でした ある日起きてしまった一つの出来事 罪を償わないといけないし、この罪は償っても消えることはありません そんな罪を背負ったかおりは一人で生きていきます 正直読んでて辛い気持ちになってけど、...
熟柿という言葉を初めて知りました 読んでいくと確かに熟柿という言葉ぴったりな作品でした ある日起きてしまった一つの出来事 罪を償わないといけないし、この罪は償っても消えることはありません そんな罪を背負ったかおりは一人で生きていきます 正直読んでて辛い気持ちになってけど、かおりのなかにある息子という希望が唯一の光で、読んでてとにかく幸せになってくれと願ってました 熟柿というタイトルの通り、息子との再会っていう夢は叶ったけど涙ありの感動の再会というよりは、これから先の希望に繋がっていくって感じのラストでした 罪を犯した一人の人間の一生にフォーカスした読み応えのある作品でした
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白地に柿1つのシンプルな装丁。 『熟柿』というタイトル。 とてもよい。 『熟柿』は初めて知った言葉だけど、最後まで読んで、かおりはその通りの生き方だなと思った。 1つの出来事をきっかけにかおりの人生が大きく狂っていく。 してはいけないことなので当然ではあるのだけど、ここまで苦し...
白地に柿1つのシンプルな装丁。 『熟柿』というタイトル。 とてもよい。 『熟柿』は初めて知った言葉だけど、最後まで読んで、かおりはその通りの生き方だなと思った。 1つの出来事をきっかけにかおりの人生が大きく狂っていく。 してはいけないことなので当然ではあるのだけど、ここまで苦しい道のりを歩まねばならないのか。 半分くらいまでは読み進めるのが本当につらかった。 でも、長い時間はかかったけれども光が射すこともある。 罪は消えることはないけれども、彼女はその光に手を伸ばしてもいいのではと思った。 元夫は最後までちょっと理解できなかったが…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
熟柿。熟した柿が落ちてくるのを待つ。 警察官の妊婦妻が轢き逃げをしてしまう。同乗してた警察官は辞職し、妻は刑務所で出産し、出所と共に離婚する。 子供に一目会いたいと幼稚園に行くが別の子を抱きしめて逃げ出してしまい、誘拐で怒られる。 小学校入学式にも行くが、追い返されて会えない。 そのまま息子に手紙をノートに書き連ねるけど、出す予定のないのを生き甲斐に、千葉から山梨や大阪や岡山をへて、福岡にたどり着く。行く先々で、人間関係トラブルや過去の服役がバレたり、ルームメイトに全財産を盗まれたりする。不倫してる友達と何ヶ月かに一回電話をしたり、好きになりそうな人に出会えたり、でも轢き逃げと服役の事は言えなかったり。 息子が高校生になり、幼稚園時代からの同級生女子に導かれて面会する。どちらも中々言いたいことが言えなかったり、もどかしい。
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