熟柿 の商品レビュー
まだ胸がバクバクしている。衝撃のプロローグから途中は間延び感あって、もうやめたげて、もうこれ以上不幸はやめてと思いながら読んでいたけれど、最後の章で『ああこれまでのは全部必要な時間だったんだ』と感じた。 『熟柿』。読み方も恥ずかしながら初めて知った。なるほど、熟柿。もう一度読もう...
まだ胸がバクバクしている。衝撃のプロローグから途中は間延び感あって、もうやめたげて、もうこれ以上不幸はやめてと思いながら読んでいたけれど、最後の章で『ああこれまでのは全部必要な時間だったんだ』と感じた。 『熟柿』。読み方も恥ずかしながら初めて知った。なるほど、熟柿。もう一度読もう。
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続けて佐藤さん。 これで2作目なのだけど、この作家さんと相性いいかも〜。 この作品も とても良かった◎ ひき逃げ事故を起こしてしまったかおりは 服役中に息子を出産する。 出所後、夫から離婚届を渡され、子供と引き離されたかおりのその後の人生を描いた作品。 このお話では車での...
続けて佐藤さん。 これで2作目なのだけど、この作家さんと相性いいかも〜。 この作品も とても良かった◎ ひき逃げ事故を起こしてしまったかおりは 服役中に息子を出産する。 出所後、夫から離婚届を渡され、子供と引き離されたかおりのその後の人生を描いた作品。 このお話では車での事故だったけど、こないだ見たTVドラマではアレルギーの表記ミスだったり、、誰にだって思いがけず重大なミスを犯してしまう可能性は十分にあると思う。 そして 何か起こしてしまった時に保身に走る心理も分からなくはない。 たった1度の過ちで、人生はガラッと変わってしまう。 なんか読んでて怖くなるというか、身が引き締まる思いだった。 自分の行動の先に 誰かの人生がかかってる事もあるんだという事を改めて思い知らされた。 自分の産んだ子供と会えない、成長を知れないなんて。。 読んでて、どうかひと目だけでも せめて見させてあげて、とずっと悲しかった。 かおりももちろん悪いけど、なんか元夫が情けなくて腹立たしかったな〜。 最後の展開にはちょっと驚いた。 これ映画化とかにめっちゃ向いてそう! 小説では泣かなかったけど、映像で見たら絶対泣くやろうな〜。 □メモ 熟柿(じゅくし)とは 熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期がくるのを待つこと。なんだそう。
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轢き逃げをしてしまって人生が狂ってしまった女性のお話。中盤までは話の展開が面白いと思ったけれど、決めて欲しい場面で急な展開にはぐらかされる感じがあり勿体なかった。 長年想いを募らせてた息子と会えたのに、晩御飯の時間だから!と帰らせてしまうとか、急にお金を盗まれて別な働き口に移るとか。 何度もかかってくる電話に出ない、大事な伝言を言いそびれるなど不自然に核心を避け続ける描写がいくつかあり、うーんとなってしまった。
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激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。出所後息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆくー。読んでいて心が痛くなり、途中で何度か断念しそうになりました。明るい未来が待っていそうなラストだったのが救い。でも旦那さん、ひどすぎるわぁ。
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直木賞を受賞された『月の満ち欠け』を読んだ時、とても感動し、著者がこの作品以上のものを書けるだろうかと思っていました。しかし、今回の作品も私にすんなりと入ってきて、主人公の心情をしっかりと掴みながら読み進めました。 激しい雨の中、運転中に親友とも言える鶴子から今にも死にそうな電話を受け、注意散漫になったその時、主人公のかおりは老婆を撥ねてしまいます。その日は大叔母の葬儀の後だったこともあり、事故に現実感が持てず、その場を去ってしまったことが彼女の不幸の始まりでした。 撥ねた後、車を止めて110番に通報し、被害者の救急車を呼んでいれば、轢き逃げの罪に問われることはなかったでしょう。さらに悪いことに、その後自宅での駐車の際に車をぶつけ、何も知らない夫が修理に出したことも、隠蔽を疑われる一因となりました。 結局裁判となり、彼女は2年の刑に服し、警察官だった夫は職を辞し、夫婦は離婚となりました。夫婦は他人になりましたが、かおりのお腹の中には既に赤子がいました。服役中に出産し、子どもの親権は父親となり、子どもとの接触を拒否しました。 父親の言い分は、「前科持ちの母親が生きているより、死んでいる方がいい」という理屈でした。 前科があることで正規の職を得ることも難しい主人公ですが、それでもお腹を痛めた子どもを一目見ようと、幼稚園、小学校の入学式と2回試みます。しかし、夫側の拒否により、見ることすら叶わず、通報されてパトカーで連れ去られてしまいます。 前半のこの辺りから、同じお腹を痛めた息子を持つ母親として、主人公の気持ちが痛いほど分かり、前科があるということの恐ろしさを改めて考えさせられました。 息子と会うことも叶わず、主人公は日本のいたるところで職を転々とします。ノートに、忙しくなると心の中で息子に向かっての心情を綴っていきながら、前科がある人物としてのあるあるが続きます。凝った文章はなく、むしろ平坦な文章であるだけに悲しみが押し寄せます。 私がどうしても許せないのは鶴子です。事故の発端は彼女だと思うのですが、主人公は最後まで鶴子の味方をします。最後までこの理由が理解できません。 ラストにかおりが息子と会えたこと、息子が電話をかけてもいいかと言ってかおりと連絡先を交換したシーンに思わず涙がこぼれました。
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誰にでも起こり得る事故(逃げるのはもちろん罪ですが、動転した時にどんな行動をとってしまうか想像つかないので‥)によって息子と生きる人生を失い、その後さらに罪を重ねるんじゃないか、または(生命保険に入るくだりがあったので)自殺するんじゃないかとハラハラしましたが、ただひたすら懸命に生きて、未来が明るい結末を見守ることができてよかったです。 夫の立場で考えた時。もしも轢き逃げの罪で配偶者が刑務所から出てきたとして、子どものことを思って離婚するのだろうか。考えてみましたが分かりませんでした。警察官という立場が(職と信用を失ったというのが余計に)話を悪い方へ進ませてしまったのかな‥。だけど年に1枚で良いから写真くらい送ってあげてほしかったです。 幼稚園や入学式への侵入は、なんだかリアルで‥。もしも自分がなんらかの理由で子どもに突然会えなくなったら絶対こっそり見に行くと思うので、他人事ではなく応援するような気持ちで読みました。そこから再会するまでよく堪えたなと思います。 後妻の立場に立つと、一生懸命育てた子が産みの母を思っているというのは寂しくもあり複雑ですが、弟を出産した後なら産みの母の気持ちも分かって、息子が会いたいと言うなら会わせてあげようと思うのかもしれません。 いろいろ考えさせられて切ない話でした。
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ほんの一瞬の不注意と軽率な行動によって人生を踏み外してしまった母親が、生後間もない息子との接見を禁じられ、服役を終えて、過ちをひた隠しに西へ西へと各地を流れてゆくロードムービー的小説。息子との再会を願い、仕事に没頭し、理不尽な人生を生き抜いて、そんな時間は色んな事を変化させ、やが...
ほんの一瞬の不注意と軽率な行動によって人生を踏み外してしまった母親が、生後間もない息子との接見を禁じられ、服役を終えて、過ちをひた隠しに西へ西へと各地を流れてゆくロードムービー的小説。息子との再会を願い、仕事に没頭し、理不尽な人生を生き抜いて、そんな時間は色んな事を変化させ、やがてその先にひと筋の光を見つける。 柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある。この言葉に収束するように息子との再会を果たすが、よくある感動のそれではなく、静かでリアルで息苦しくなるタッチで描かれている。
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佐藤正午さんの作品は、デビュー作の「永遠の1/2」と「身の上話」しか読んでおらず、いつものようにどんなことを感じたのか?など極々個人的な感想を記そうと思う。 冒頭の章からもっと違う展開や広がりを予測させたが、この作品が2026年から1年一遍連載の8年越しの作品と知って納得した。 その後の主人公の生き様から最後まで冒頭の事件が誰にでも起こり得ることとは思えず、この主人公には心動かされることはないのでは?と読み進めたが、我が子との絆だけを心の糧にしてストイックに生きる姿にいつの間にか感情移入していた。 あの償ったはずの過ちが不運・不幸の連鎖を呼んで胸が塞がれるような思いになる。(決して社会的な課題という視点ではない) 同時進行で進む友人のエピソードや後半の元夫の真実など飽きさせない展開の後にクライマックスで我が子との… ラストのもう居場所となった福岡に戻る主人公が間違えた電車乗り場と電話越しに見守る彼の描写に、タイトルの意味が心に響いた。
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産後すぐに離れ離れになった息子にただ会いたい。その思いだけで生きてきたかおりが長い長い時を経てやっと我が子と会う場面では胸がいっぱいになった。読後じわじわといろんな感情が混ざり合い、今読んだこの物語の感想をどう記せばいいのかすごく悩んだ。一晩過ぎたけれどもやはりまだ悩んでいる。何...
産後すぐに離れ離れになった息子にただ会いたい。その思いだけで生きてきたかおりが長い長い時を経てやっと我が子と会う場面では胸がいっぱいになった。読後じわじわといろんな感情が混ざり合い、今読んだこの物語の感想をどう記せばいいのかすごく悩んだ。一晩過ぎたけれどもやはりまだ悩んでいる。何故か?物語が読後から始まっているからなのではないかと気付いたからかもしれない。私が読んだのは、これから始まる物語の長い長いプロローグ。
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半分まではなんとかいらいらしながらも我慢して読んだが、読了は無料だ、主人公のグズグズした言動や 考えの無さには同情さえできない 期待してただけにがっかりである
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