星を掬う の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めは母や美保の言動に、大切な家族を捨てた人なのに、と腹を立てながら読み進めましたが、捨てた側の加害者意識や秘めていた気持ちを知り胸が一杯になりました。 また、美保が過去の苦労や置かれた境遇を全て親のせいにする姿を見て千鶴が自分と重ねる場面では、私自身も今まで苦労を誰かのせいにしてきた経験があったな、と思いました。 記憶を掬えなくなる病気、家族との別れの辛さだけでなく、人が人の影響を受けて生まれ変わる様子を繊細な言葉で綴ったこの本の素晴らしさに心が温まりました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もーーー泣きすぎて頭痛いです。 中盤までは主観でしかみれていないため、登場人物たちの行動や言動に不快感を感じることもありました。しかし物語が進むにつれて、そのひとりひとりの事情や心情を理解する度に、ひとにはひとの不幸があって、それを比較することがいかに愚かか気付かされました。 「自分の人生を、誰かに責任取らせようとしちゃだめだよ」 この言葉が特に刺さりました。私も自分の境遇が悪いのは親のせい、と今まで何度も思い込んでいました。そうするのが1番楽だから。でも、良い意味でも悪い意味でもわたしの人生はわたしだけのもので、どんな道を選ぼうとも自分の責任でしかない。今1度その意味を考えようと思わされた作品でした。 聖子の容態が良くなって、娘2人と旅に行けることを願わずにはいられません。
Posted by
一度は断絶した母と娘たちの、確執と、再生への闘い。今回も、家庭内暴力とか認知症とか、本当に読むのも辛い体験が書かれているのですが、こういう風に救われるべきなんですよ、というメッセージを感じました。
Posted by
初めは苦しくて、読むたびに苦しかった。 社会で生きていくことに辛さを感じている千鶴の苦しみが一気に押し寄せてくるようだった。 少しずつ物語がすすんでもなかなかその苦しさは消えず。 一人一人の感情が、抱えているものがリアルでその分苦しくもなる。 だけど、最後は読んで良かったと...
初めは苦しくて、読むたびに苦しかった。 社会で生きていくことに辛さを感じている千鶴の苦しみが一気に押し寄せてくるようだった。 少しずつ物語がすすんでもなかなかその苦しさは消えず。 一人一人の感情が、抱えているものがリアルでその分苦しくもなる。 だけど、最後は読んで良かったと思える本だから不思議。 自分の価値観を押し付けがちになってしまうけど、相手の心の内はわからない。 大切な人の過去や心に秘めた思いまで大切にしていけたら。そして、我慢するのではなく、支え合って進んでいきたい。 そんな風に思える作品でした。
Posted by
町田そのこさんの、傷を背負った人たちが肩を寄せ合って生きていく物語はいつも時に残酷で、それでいてすごく美しい。綺麗事だけじゃないリアルが描かれていて、読んでいて苦しくもなるんだけど、温かな救いがあって、読後感はすごく穏やかな気持ち。本当に美しい物語だった。久しぶりに本を読んで涙が...
町田そのこさんの、傷を背負った人たちが肩を寄せ合って生きていく物語はいつも時に残酷で、それでいてすごく美しい。綺麗事だけじゃないリアルが描かれていて、読んでいて苦しくもなるんだけど、温かな救いがあって、読後感はすごく穏やかな気持ち。本当に美しい物語だった。久しぶりに本を読んで涙が出た。良くも悪くも「自分の人生は自分のもの」。みんな自由に生きる権利があるし、幸福を与えてくれるよう誰かに求めたり、自分の苦しみの責任を誰かに負わせてはいけない。これからの人生、この作品は何度も読み返すことになると思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
町田そのこさんの書く文章が本当に好きで好きで堪らないです。 表現の仕方がとても素敵で一文一文で心を掴まれてしまう描写が沢山ありました。 実の母と娘、母をママと慕うエマ。記憶喪失になりながらも不意に楽しそうにあの頃の話をする母、なんでもいいから母を知りたいと奮闘する娘。涙腺が緩みに緩みました。 終盤で母は意識が常にここに在らずの状態だったにも関わらず、娘を苦しめてきたアイツから娘を逃すために命をかけて娘たちに「いきなさい」と言う描写で涙腺が崩壊しました。 親も人間で、子供も人間なんだと言う当たり前の事に気付かされ、きちんと家族と向き合おうと思いました。 こんなにも心が動いた、泣いた作品は初めてです。本当に素晴らしい作品に出会ってしまった…。 全人類に人生で一度必ず読んで頂きたい。
Posted by
「自分の人生は自分が支配する、誰にも縛らせない」 自分の人生を強く生きる、何があってもひたすら前へ進むというメッセージが印象的。 家庭環境、家族関係、性暴力等、登場人物の境遇があまりにも辛く、この物語にハッピーエンドは訪れるのか、不安になったが、主人公と母親を取り巻く人たちとの暖...
「自分の人生は自分が支配する、誰にも縛らせない」 自分の人生を強く生きる、何があってもひたすら前へ進むというメッセージが印象的。 家庭環境、家族関係、性暴力等、登場人物の境遇があまりにも辛く、この物語にハッピーエンドは訪れるのか、不安になったが、主人公と母親を取り巻く人たちとの暖かさから少しずつ明るい兆しが見えてくる。 『大丈夫。〇〇はできる子だから』 終盤のこのセリフに涙が溢れた。この表現は、単純ながらも自分自身が全肯定されているような魔法の言葉だなと、、 うまくいかないとき他人のせいにしがちではあるが、ずっと他人に責任を押し付けると、救いようのない人間になってしまう。決して他人事ではないメッセージがいくつも込められていた。
Posted by
登場人物と自分が重なるところがあって、読み進めるのも苦しいところがあったけけれど、最後まで読んでちょっと気持ちが軽くなったように思う。 多分町田さんの、誰にも平等に愛を与えているのではと思える表現力で救われたのではないだろうか。 最後まで読み切れて良かった。
Posted by
中盤までは登場人物たちの振る舞いにモヤモヤしつつ、終盤は心苦しくなる。 正解はなく、自分の人生を生きた結果であり、それが普通に当てはまらなかったのだけど、普通を求めた人と理解し合えるまでの道のりはなかなかに読んでいて辛い。 不思議と読後感は悪くない。
Posted by
小学校1年生の時に母・聖子に捨てられ、元夫のDVから逃れ、ひっそりと暮らす千鶴。 千鶴は、応募したラジオの企画がもとで、母・聖子、聖子を母としたう恵真、家事を完璧にこなす彩子と『さざめきハイツ』で同居することに。 千鶴が母・聖子への想いを持つように、聖子は『一卵性親子』と言わ...
小学校1年生の時に母・聖子に捨てられ、元夫のDVから逃れ、ひっそりと暮らす千鶴。 千鶴は、応募したラジオの企画がもとで、母・聖子、聖子を母としたう恵真、家事を完璧にこなす彩子と『さざめきハイツ』で同居することに。 千鶴が母・聖子への想いを持つように、聖子は『一卵性親子』と言われた母への想いが。 恵真には本当の親を知らないために、理想の母への想いが。 彩子には、別れた夫のところに置いてきた娘・美保に捨てられたという過去が。 『母と子』、それぞれにある思い。 が、聖子が言うように、『私の人生はわたしのもの』だ。 千鶴や美保のように『母に捨てられたから』、私の人生はうまくいかない、ではない。 自分の人生は自分のものだ、自分の責任だと。 千鶴も美保もちゃんと気づいてよかった。 前に進めてよかった。 千鶴が元夫・弥一に『わたしの人生はわたしのものだ!』と言い切ったことにはスカッとした。 また弥一が現れたとしても、千鶴は負けないだろう。
Posted by