星を掬う の商品レビュー
素晴らしい作品だった。こんなにも暗い話なのに読後感がよすぎる。 登場人物のほとんどが未熟で歪んでいて、起きる不幸がことごとくどん底で読むのが苦しかった。しかし、そんな中祝福された優しい人たちに影響されて主人公や周りの人物たちが少しずつ己と向き合い成長していく姿は感動で胸が震えた。...
素晴らしい作品だった。こんなにも暗い話なのに読後感がよすぎる。 登場人物のほとんどが未熟で歪んでいて、起きる不幸がことごとくどん底で読むのが苦しかった。しかし、そんな中祝福された優しい人たちに影響されて主人公や周りの人物たちが少しずつ己と向き合い成長していく姿は感動で胸が震えた。最初見た時にはこんな親子の関係修復することなんて不可能だろうと思ってたが、根本にはお互いの思いやる気持ちが存在してて、それをうまく伝えることができずに苦しんでいただけだった。やはり、人と人とのつながりは諦めるのも違うのだろうと思う。 辛い境遇とはいえ、自分で自分を不幸にしていく、不幸中毒の主人公にはとてもイライラしてしまったが、最後には母親との絆と周りの人の協力が主人公を成長させて、明日への夢を語り、周りの幸福を願う事ができるようになっていたのがとても嬉しかった。 それにしてもタイトルの星を掬うとがこんな意味だったのだとは、、、もう奥底に沈んでしまった記憶を掬いあげて、もう一度その大事な思い出を、ささやかな幸せを大事に共有する。大好きなあなたのことを知ろうとする、自分も幸せはそんな些細な日常の事だと強く思う。
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もっと、もっと、想像力を働かせて人と関わろう 自分視点ではなく一歩引いた視点から 物事を捉えるように少しでも意識してみよう 町田そのこさんが書く文章がとても好きです 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 わたしは、母の言う記憶の海を想像する。 どこまでも深くて、広大な海。 五十二年分の、母...
もっと、もっと、想像力を働かせて人と関わろう 自分視点ではなく一歩引いた視点から 物事を捉えるように少しでも意識してみよう 町田そのこさんが書く文章がとても好きです 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 わたしは、母の言う記憶の海を想像する。 どこまでも深くて、広大な海。 五十二年分の、母の歴史。 そこに潜れたらいいのに。 母の記憶に沈み、つぶさに見ることが できればいい。そうしたら、母に嫌な 告白を求めて苦しめなくてすむ。 そしてわたしはきっと、どんなものを知った とて、受け入れられるだろう。 わたしがわたしを納得させられるような 記憶を探り、こじつけて、わたしのため だけに意味を持たせるから。 わたしを救える記憶だけを、掬うから。 (P220)
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読むのが、というか、この世界にいるのがしんどくて何度も時間をおきながら、ゆっくり読みました。 昇華したと思っていたものが、蓋をしていただけなんだと気づかされてしまった。 千鶴や美保の様に向き合い思いをぶつけないと、いつまでも傷のままなのかもしれない。 「不幸を親のせいにしてい...
読むのが、というか、この世界にいるのがしんどくて何度も時間をおきながら、ゆっくり読みました。 昇華したと思っていたものが、蓋をしていただけなんだと気づかされてしまった。 千鶴や美保の様に向き合い思いをぶつけないと、いつまでも傷のままなのかもしれない。 「不幸を親のせいにしていいのは、せいぜいが未成年の間だけだ」 「自分の人生を、誰かに責任取らせようとしちゃだめだよ」 町田そのこさん、私も早く誰かに言われたかったです。自分で気づくにしても遅すぎた。 それでも、「わたしの人生は、わたしのものだ」と今なら胸をはって言えるよ。
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痛みを抱えている人に寄り添ったり、その痛みを与えた人を批判したりすることは、心からのものであるかは別として誰にでもできてしまうと思う。 この小説はそうではなく、痛みを抱えている人に寄り添いながらも自分で自分の人生を切り開く責任を示し、痛みを与えた人の背景にそっと寄り添う。 読んで...
痛みを抱えている人に寄り添ったり、その痛みを与えた人を批判したりすることは、心からのものであるかは別として誰にでもできてしまうと思う。 この小説はそうではなく、痛みを抱えている人に寄り添いながらも自分で自分の人生を切り開く責任を示し、痛みを与えた人の背景にそっと寄り添う。 読んでいて苦しい箇所もあるが、最後には希望のようなものが見えてくる、そして、自分や周りの人の人生について考えさせられる作品だった。
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またしても一気読み。町田そのこの文章には引き込まれるものがある。 母娘の物語であるが,解説にあるように,どのように不合理に見える行動にもその人なりの理由がある,というのがひとつのテーマ。仕事柄それを読む癖があるのだが,表面上の言動からは正確なことは把握できないことを痛感した。他者...
またしても一気読み。町田そのこの文章には引き込まれるものがある。 母娘の物語であるが,解説にあるように,どのように不合理に見える行動にもその人なりの理由がある,というのがひとつのテーマ。仕事柄それを読む癖があるのだが,表面上の言動からは正確なことは把握できないことを痛感した。他者とのコミュニケーションは異世界とのコミュニケーションであり,相手の立場に立とうとする想像力には限界がある。 本作では表だってセクシャリティの問題は出てこないが,見え隠れする要素はある。よく出てくるLGBTという設定は,著者のマイノリティへの眼差しのひとつの表れであると理解した。 基本的に小説を読まない自分がなぜここまで引きつけられるのか,その理由はまだ分からないが,読む度にこれは自分には書けないと思い知らされる。
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自分の人生を生きるのは、案外難しい。 親子なら尚更、相手のために犠牲になるのを、愛と勘違いしてしまったりする。 千鶴と母のすれ違いに、終着点はあるのかと心配になったけど、沢山散らばった記憶の中に、二人が大切に思っていたものを掬い取れたのを見て、ほっとした。 辛さを他人に背負わせず...
自分の人生を生きるのは、案外難しい。 親子なら尚更、相手のために犠牲になるのを、愛と勘違いしてしまったりする。 千鶴と母のすれ違いに、終着点はあるのかと心配になったけど、沢山散らばった記憶の中に、二人が大切に思っていたものを掬い取れたのを見て、ほっとした。 辛さを他人に背負わせず、自分で責任を取ることの難しさ、私も痛感してたりするから、もうそっと置いていけばいいんだね、って千鶴に自分を重ねながら読んで少し安心した気持ちになった。
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若年性認知症、星を掬う これ素晴らしい表現力! そう!認知症の方との会話は星を掬う感じ 点と点が線になる感じ! さすが町田その子先生
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自分の痛みにばかり声高で 周りの痛みなんて気にもしないなんて 恥ずかしいと思えよ。 この台詞が 過去の痛みや悲しみや もはや見下しに至る感情を持っていた という私の闇の感情を思い出させた。 千鶴の、母親に捨てられてしまった という、痛みや苦しみを 全てを捨てた母親に当...
自分の痛みにばかり声高で 周りの痛みなんて気にもしないなんて 恥ずかしいと思えよ。 この台詞が 過去の痛みや悲しみや もはや見下しに至る感情を持っていた という私の闇の感情を思い出させた。 千鶴の、母親に捨てられてしまった という、痛みや苦しみを 全てを捨てた母親に当てつけている………… その姿と、過去のいじめや 祖母の左ぎっちょ!という言葉に 傷ついて未だに 何処かで、祖母の声に怯え続けている 私の人生は私のものなのに 一体いつまで 誰かのせい アレのせい これのせい!!!と しているのだろう、と。 自分の人生を、自分で背負う。 私の人生私のもの。を これからも考え続けようと思いました。
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親の育て方、環境によって子供の人生にこんなに影響を与えてしまうのか 縛られてしまうのか、、 「自分の人生は自分で決める。」この言葉が1番心に響いた。 なぜ聖子が子供を手放したのか千鶴にわかってほんとに良かった。 「私の人生は最後まで私のものであり私の意思によって始末をする。」 ...
親の育て方、環境によって子供の人生にこんなに影響を与えてしまうのか 縛られてしまうのか、、 「自分の人生は自分で決める。」この言葉が1番心に響いた。 なぜ聖子が子供を手放したのか千鶴にわかってほんとに良かった。 「私の人生は最後まで私のものであり私の意思によって始末をする。」 自分の人生、責任は自分にあるし 自分で決めたものならしようがない。 考えさせ勇気をくれ背中を押してくれる作品だと思う。 「星を掬う」タイトルの意味も素敵だ。
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記憶の問題って難しいし 本人も周囲の人も辛いし苦しい問題。 そんな絶望していく日々の中で ほんの些細でも希望の光が見えたら どれだけ嬉しくて前向きになれるだろう。 そんな事を考えながら読んだ。 現実にある問題が題材になって 考えるだけで暗くなりそうになるのに 町田そのこ先生...
記憶の問題って難しいし 本人も周囲の人も辛いし苦しい問題。 そんな絶望していく日々の中で ほんの些細でも希望の光が見えたら どれだけ嬉しくて前向きになれるだろう。 そんな事を考えながら読んだ。 現実にある問題が題材になって 考えるだけで暗くなりそうになるのに 町田そのこ先生の物語になると 不思議と暗闇の中に光が差してるみたい。 言葉とか物語のパワーって偉大だなぁ。
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