俺ではない炎上 の商品レビュー
前作『六人の嘘つきな大学生』の時も似たような感想を書いた気がするんだけど、ミステリとしてはほぼ文句なし。伏線の張り方やミスリードがうまく、終盤に明かされるある事実を踏まえたうえで最初から読み返したら、著者の技巧レベルの高さに驚くと思う。 逃亡者となった主人公が追いつめられ、徐々に...
前作『六人の嘘つきな大学生』の時も似たような感想を書いた気がするんだけど、ミステリとしてはほぼ文句なし。伏線の張り方やミスリードがうまく、終盤に明かされるある事実を踏まえたうえで最初から読み返したら、著者の技巧レベルの高さに驚くと思う。 逃亡者となった主人公が追いつめられ、徐々に自身の価値観が崩壊していく様子も面白かったし、社会に対する著者のメッセージもうまく物語内で昇華できている。 ただし、物語のドライブ感を優先しているためかもしれないけど、展開がちょっと強引に思えてしまう部分があるのは減点ポイント。例えば冒頭、SNSを通じて最初の事件が拡散していく場面なんかが顕著なんだけど、数多くのフェイク映像が乱れ飛ぶSNSにおいて、画像や動画だけでほぼ100%のユーザーがこうもあっさり主人公を犯人と決めつけてしまうのは違和感がある。ネット民だったらアカウント乗っ取りを最初に考えそうなものだけど、そこに誰も言及しないのも不自然。 また、間抜けすぎる警察の描写も物語のリアリティを損ねている気がする。
Posted by
自分になりすましたTwitter(X)のアカウントの殺人ツイートが拡散された結果、逃げ続けることになる主人公の話。現実にあってもおかしくないような内容で情報リテラシーの大切さを感じた。展開が早く、続きが気になってサクサク読めた。ただ、真相が期待していたほどではなく、ミスリードが多...
自分になりすましたTwitter(X)のアカウントの殺人ツイートが拡散された結果、逃げ続けることになる主人公の話。現実にあってもおかしくないような内容で情報リテラシーの大切さを感じた。展開が早く、続きが気になってサクサク読めた。ただ、真相が期待していたほどではなく、ミスリードが多め?動機が薄くて、犯人目線での真相があれば、理解できたのかな?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは見事にひっかかったな……面白い、また読み返したくなる小説だった。 同作者の6人の嘘つきな大学生も読んでいたので、人を一元的な見方をしたらダメだというようなメッセージを思い出した。山縣泰介は犯人ではないと読者は分かっている、それでも周りの人に疎まれていたような1面を知るだけで怪しく見えたり、最後に描かれる一面をみてやっぱりいい人だと思ってしまったり……改めて私たちの認識は一元的な情報に流されやすいなと感じた。 この本の大きなテーマは「俺ではない」という他責的というか自分が正しいという考えであったと思う。 読み進めるにつれ主人公だけでなく皆がそれぞれそんな考えを持っているのが分かってゾワゾワした。とともに自分自身もそんなところがありそうだ……思ってドキリとさせられた。 テーマも感じつつ物語としても面白くてよかった!
Posted by
後半で時系列の罠に引っかかって何度も戻ってようやく読了。 後味悪いけど、皆が皆自分を正義だと突き進むのがリアルで、いつ自分が巻き込まれてもおかしくないと思った。 これはオススメです。
Posted by
いやー、面白かった 前作の「六人の嘘つきな大学生」よりも個人的には好みかな。 身に覚えのない罪から逃げる構図は「ゴールデンスランバー」や「正体」に似たところがあるが、それにSNSという現代のツールが加わりスピード感と奥行きが一気に広がったように感じた。 ただ、終盤に進むにつれ...
いやー、面白かった 前作の「六人の嘘つきな大学生」よりも個人的には好みかな。 身に覚えのない罪から逃げる構図は「ゴールデンスランバー」や「正体」に似たところがあるが、それにSNSという現代のツールが加わりスピード感と奥行きが一気に広がったように感じた。 ただ、終盤に進むにつれ理解力の乏しい私の頭は大混乱。 理解するのに何度もページを戻りましたよ…。 「六人の嘘つきな大学生」が映画化されるがこちらもぜひ映画化してほしい
Posted by
あれもこれも、全部ラストの展開でひっくり返された。本当におもしろかった。 現代で誰にでも起こり得る「自分ではない炎上」。自分ごととして読めてよかった
Posted by
はい、盛大に騙されました。 主人公はひたすら災難だったけど、逃亡中に自らを省みて、逃亡が終わった後には思いとどまり同じ過ちを繰り返さなかった。 これからいい未来が待っている気がする。 そして自分がSNSで同じような投稿を見かけたら、証拠もないのにきっと信じてしまうなと。 自身...
はい、盛大に騙されました。 主人公はひたすら災難だったけど、逃亡中に自らを省みて、逃亡が終わった後には思いとどまり同じ過ちを繰り返さなかった。 これからいい未来が待っている気がする。 そして自分がSNSで同じような投稿を見かけたら、証拠もないのにきっと信じてしまうなと。 自身のSNSの使い方を気をつけようと思った。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
浅倉秋成さんの作品ふたつめ。 やはりすごかった!!面白い!!深い!! 登場人物の評価を反転させるような 読者を弄ぶ描き方もこれまで通りすごいが、 読者をミスリードする こんな描写トリックがあったのかと感心した。 読み終わりに、まだハテナが残り 冒頭からもう一度確認のためなぞり読みしたが まんまと騙されていたことに気づく。 なんの罪もない山縣泰介があっという間に 殺人犯に仕立て上げられ、逃走する。 逃げ切れるようにと願いながら、 なんでこんなことになったのか その理由が知りたいとわくわく読み進める。 時間の経過を示すように Twitterが引用されるが どの投稿も無責任で自己顕示的。 登場人物、小学生のえばたんがいう。 「みんな『自分は悪くない』ってことしか 呟いてなかったんだよ」 これは真理をついている。 自分が抱いている自己イメージが 如何にいい加減なものであるか。 自分が下している他者イメージが 如何に身勝手なものであるのか。 山縣泰介を通して学ばせてもらえる。 言い訳をして何もなさない初羽馬を 私たちは笑えない。 幼くして真理に気づいたえばたんも 他責と自己憐憫のためにこうした末路をたどる。 一方、かつては他責していたサクラは 自分の犯した過ちに責任をとるべく行動を起こす。 私たちはどちらの生き方を選ぶのか 問われているように感じる。 ささいな描写ではあるが 最後のスターポートのシーンで 泰介がヒーローのバッジを 投げ捨てるのは象徴的だ。 ヒーローの決め台詞 『私は私の信念を貫く』という 主観重視の生き方からの脱却を 描いているのだと感じた。
Posted by
また、記述に騙されたー!小説だからできるトリック。今回も勢いよく楽しめました。SNSの書き込みは改めて良くないと思ったけど、こうして本を読んで感想を書いて、評価の星を付けて…ってのも同じことのような気がしてきた。
Posted by
大注目作家、”伏線の達人”浅倉秋成さんの作品を読んでみました。 ある日突然、自分に偽装したSNSアカウントが凄惨な写真と共に殺人ツイートしたのをキッカケに、会社•警察•ユーチューバー、そして世間から殺人犯として追い立てられる生活が始まってしまう。 真犯人は一体誰なのか? 偽装アカ...
大注目作家、”伏線の達人”浅倉秋成さんの作品を読んでみました。 ある日突然、自分に偽装したSNSアカウントが凄惨な写真と共に殺人ツイートしたのをキッカケに、会社•警察•ユーチューバー、そして世間から殺人犯として追い立てられる生活が始まってしまう。 真犯人は一体誰なのか? 偽装アカウントとしてどうして自分が選ばれてしまったのか? そして、一体どうなってしまうのか? 今作品も伏線の数が膨大なうえに、とてもテンポがとても良く読みやすかったです。 しっかりどんでん返しもあり、驚かされました。 が、それ以上に感じる部分がありました。 「本気でそんなに周りに好かれてると思ってるの?普段周りにとっている態度や行動を少しは見返してみたら?」 そんな作者のメッセージがひしひしと伝わってきました。 作中の登場人物が放つ、「結局自分は悪くないって言ってるだけなんだ」という言葉が、SNSや社会での他責思考の醜さをすごく表していて、自らの考えや行動を改める必要があるなと、反省しました。
Posted by