俺ではない炎上 双葉文庫

浅倉秋成(著者)

• 販売会社／発売会社: 双葉社
• 発売年月日: 2024/06/12
• JAN: 9784575527582

商品レビュー

2025/03/04

ある日突然、自分のアカウントのTwitter（X）が立ち上がって、殺人が行われる。見れば見るほど犯人は自分であるとしか思えない巧妙な作りで…。

この小説の怖さは、そのSNSが第三者にあっという間に拡散され、知らない他人たちが一斉に自分の個人情報を暴露しはじめ、日本中から凶悪殺人犯として追われることになる。
これは我が身に起こったこととして想像しても恐ろしい…。会社の同僚も『あいつにはあんな裏の顔があったのか』と、誰一人信じてくれない。

真犯人がわかる段になり、結果として大きな仕掛けのトリックに読者は騙されて『え？どういうこと？』とページを戻り、『ほぅ…なるほどね』となるのだ。

とある事件、事故が起こった際に、炎上を狙って関係ないツイートが拡散されることがあるのは、今の世の中ではSNSの功罪であることは、大体の人は知っている。そこには利害関係は無く、無責任なリツイートがあるだけだ。
そのトーンにあわせて、人をネットで叩きまくる輩は何が目的なのかわからない…昔なら噂好きな主婦が井戸端会議で『いやーね』と言っていただけなのに、今はネットを使い、無責任な誹謗中傷を拡散し、人の心を蝕んでいく…そんな危うさのあるSNSがはびこる現代社会に一石を投じるような小説かもしれない。

2025/03/03

なんとゆうか.....たくさんのトリックに
頭を使わされた作品だった。

「私じゃない」「私のせいじゃない」
「〜だから仕方なかった」
なにかのせい、誰かのせいにしてしまうこと、
誰しも経験あると思います。（もちろん私も）

わたしたち人間は視点を変えれば、
良い人にも悪い人にもなる。
見る人によっては、物事はっきり言う人
でも違う人からしたら、きつい人。
どちらも同じ人なのに
視点でぜんぜん違う印象になる。
人の悪い部分ばかりに目を配るのではなくて
良い部分として受け入れられる人間でいたい。

さいきん、わたしの信頼する上司が
「ひとりで会社はなりたたない。
たくさんの人がいて
それぞれが長所と短所持ち合わせていて、
それが重なってひとつの組織になる。
お互いをお互いで補えればいい」と言っていました。
本当にそうだなぁと本書を読んで思いました。

そして浅倉先生の作品の好きなところは、
登場人物全員を悪者にしないところです。
ひとりひとり良いところも悪いところもあって
なんだか愛おしいです。
きっと浅倉先生がとても素敵な心の持ち主なんだろうなって思います。

2025/02/28

一気に読みました、最後の方は引き込まれるようにして読み切らないと他に手がつかないといった感じでした
種明かしされるまで全く気づきませんでした笑
すっかり騙されてました笑
青江さんにはほっとしましたね、思いがけない救世主
最後がバッドエンドじゃなくてよかった
題材としても現実に起こりそうなリアル感があり、他人事ではないと感じる
自分は悪くないと保身に走ってしまうのは無意識に普段からしていると思いドキッとした