ザリガニの鳴くところ の商品レビュー
分厚い本でしたが、とても面白かったです。細かな自然描写が多い小説は読むことに疲れるため、あまり好きではなかったのですが、本作はそこに住む生物含め、情景が目に浮かぶほど詳細に描かれていて、逆にそれがなければ主人公の心の描写や世界観をここまで深く描くことはできなかっただろう、と思いま...
分厚い本でしたが、とても面白かったです。細かな自然描写が多い小説は読むことに疲れるため、あまり好きではなかったのですが、本作はそこに住む生物含め、情景が目に浮かぶほど詳細に描かれていて、逆にそれがなければ主人公の心の描写や世界観をここまで深く描くことはできなかっただろう、と思います。少女のときから強く生き抜いてきた彼女の強さと、そしてその静かな生涯にとても感動しました。孤独だけれども、支えてくれる人が少なからずいた彼女はその意味で幸せだったとも思いました。
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そっか、やっぱりそうなんか。だよな、「貝殻のペンダント」が出て来ない時点で、それしか無いかぁ。もしや、テイト?はたまたジャンピン?といろいろ選択肢が狭まり…でもカイヤは人生を全う出来て良かった…のか?
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非常に面白い作品でした。登場人物もそれぞれの個性があり、物語に没入するのに時間は殆ど必要ありませんでした。ミステリーという枠では捉えきれない幅の広い物語で、描写も細かくページを捲る手が止まりませんでした。主人公のカイアを幼いころから優しく見守ってきたジャンピンとその妻であるメイベ...
非常に面白い作品でした。登場人物もそれぞれの個性があり、物語に没入するのに時間は殆ど必要ありませんでした。ミステリーという枠では捉えきれない幅の広い物語で、描写も細かくページを捲る手が止まりませんでした。主人公のカイアを幼いころから優しく見守ってきたジャンピンとその妻であるメイベルそして恋人のテイトのような偏見を持たずに困った人に寄り添えるような人物に自分もありたいと思わせてくれる一冊でした。
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自然や生物が動物学者ならではの視点で表現されていてとても良い!言葉の持つ力、美しさを再確認させられた作品でした。 海外ミステリと思って読み始めたけれど、ミステリは一種の要素で自然学、少女の成長譚、社会派小説などなど色々な側面を持った、一言では言い表せられない素晴らしい小説です。
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海外文学のこの感じ、すごく懐かしい感じがして一気読み! 「彼女たちのはしゃぎ声はカイアの沈黙を際立たせ、仲のいい姿はカイアの孤独を増幅させた。」 この文章で、自分自身の孤独を感じた瞬間が鮮明によみがえってきた。それまでカイアの孤独について事実としてしか捉えられなかったのが、まるで自分ごとのように孤独を感じて、ページを捲りながら心がヒリヒリと痛んだり、チェイスに怒りを覚えたり、優しくしてくれる人たちの暖かさを心から感じたり。 誰かと一緒にいるために自分を手放すっていうのが、忘れられない。人間関係を築く上である程度自分を犠牲にしている部分はあるように感じて、だけどやっぱり本当の孤独では生きていかれないと思うし、なんだか切ない気持ちになった。 解説の、カイアが自然そのもののシンボルであるというのに物凄く納得。 あと、「心臓があばら骨を叩いていた」っていう表現が好きすぎる
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結末は予想外ではない。 納得と共感は容易い。 他の道は危険すぎたのだから。 保安官がコレクションに魅了されてしまうところ、漁師が自分の記憶を疑ってみるところ、チェイスが生物の学名を聞いて呆気にとられるところ。渡る世間に鬼はなし。単に弱者の選択肢はより限定的だというだけ。 60...
結末は予想外ではない。 納得と共感は容易い。 他の道は危険すぎたのだから。 保安官がコレクションに魅了されてしまうところ、漁師が自分の記憶を疑ってみるところ、チェイスが生物の学名を聞いて呆気にとられるところ。渡る世間に鬼はなし。単に弱者の選択肢はより限定的だというだけ。 60年代のノースカロライナは遠く感じるが、見えないところで同様の目に遭う人は現代でもそこかしこに居る。 古本市で見かけて題名が読みたい本リストとして記憶にあったため気まぐれに購入。スマホも忘れてあっという間に読んだ。充実した時間だった。
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めっっちゃいい。厚みのある本で、途中で離脱しかけつつようやく読み終わった。読み終わった瞬間2周目に入りました。アマンダ・ハミルトンの詩はどのあたりから出てきてるんだ! どれだけ寄り添ってくれる人にも本当の姿を全ては見せないカイアの生き方は、湿地に住む生き物そのものだなと思う。 湿地も沼地もこの時代背景も知らないけど、叙情的な描写で想像力が膨らむ。 ちょうど読み終わったらNetflixに映画が上がってた。 こんな奥行きのある長い本を2時間で…どういうふうに映像化されてるのか観るのが楽しみ!
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ミステリーを軸に美しい湿地を生きる1人の女性の成長と自立を描いた素晴らしい作品だった‼︎ 家族全員に置いていかれ、学校にもいかずカイラはどうなってしまうのかと思ったけど、優しい人に読み書きを習い、生物学の知識を深め湿地の生物愛好家として収入を得るという最高の形に落ち着いて良かった。 2人の男性との恋愛を通して自分の孤独と向き合っていく描写も好き。 彼女が本当に村の人気者チェイスを殺したのか?有罪か無罪か?とハラハラした。無罪で嬉しかったけど、でも、カイラがテイトから赤い繊維の帽子をもらったのは最近だよな...殺したのはカイラ?テイト?と思いながら読み進めて、最後に明かされる真実に拍手。目撃証言の不確かさなどとてもバランスが良かった。
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これは名作!! フーダニットのミステリであることはずっと変わらないが、カイアの成長を通して描かれる自然の美と醜。生命の本質的なところを生物学の視点から細かく描写しており引き込まれていく。ザリガニの鳴くところを探して彷徨いたい。 海外作家の作品は、読み始め入ってきにくいと思っている...
これは名作!! フーダニットのミステリであることはずっと変わらないが、カイアの成長を通して描かれる自然の美と醜。生命の本質的なところを生物学の視点から細かく描写しており引き込まれていく。ザリガニの鳴くところを探して彷徨いたい。 海外作家の作品は、読み始め入ってきにくいと思っている人も多いと思うが、ぜひチャレンジして欲しい。 表紙も、絵画的な美しさに溢れていて好み。
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『流れのなかにあっても揺らがないものは、ただ、自然だけなのかもしれなかった。』 読んでいる間、ずっとカイアと一緒に湿地で生活しているような感覚だった。 ラストは「そうかぁ…」と放心状態になってしまった。てっきりテイトかジャンピンがカイアの為に殺人を犯したのかと思ってた… 殺人は確かにいけないことだけれど、カイアにとってはホタルと同じように、生きていく為に必要なことだったのだろうと思う。 カイアは家族に捨てられ、信じては裏切られての繰り返しだったけれど、最後は愛する人と一緒になって幸せだったと思いながら、旅立ってくれていたらと願わずにはいられなかった。
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