ザリガニの鳴くところ の商品レビュー
翻訳が素晴らしい 自然の美しさの描写も、ストーリー展開も、孤独から逃れたい気持ちと自分を守りたい気持ちの葛藤の描写もとてもいい
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読み始めから目が離せず、長編小説にも関わらず夢中で読み進めた。 湿地から匂いや暖かさ、触れた感じまで伝わってくる表現が想像を掻き立てる。 カイアが孤独で貧困な生活を送りながらも人が成長と共に感じる感情を同じように感じていく。期待、失望、悲壮、羞恥、信頼、懐疑、安堵、恋と愛。 ...
読み始めから目が離せず、長編小説にも関わらず夢中で読み進めた。 湿地から匂いや暖かさ、触れた感じまで伝わってくる表現が想像を掻き立てる。 カイアが孤独で貧困な生活を送りながらも人が成長と共に感じる感情を同じように感じていく。期待、失望、悲壮、羞恥、信頼、懐疑、安堵、恋と愛。 人との関わりの中で経験したいくつもの感情が、最終的には多くの生物や植物を受け入れている広大な湿地のような考え方へ変化していく。 善悪を考えることなく生きるために交尾相手を食い殺す自然の摂理は人間には理解し難いが、そういうものだと受け入れることも大切であり、そんな自然を受け入れた上で、言葉を持つ人間はその言葉を何のために使うのかを考えさせられる。
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久々の海外作品。まるで自分も湿地帯にいて主人公カイアを遠くから見ているような、不思議なくらい物語に入り込み読み進める事ができたのであっという間に読み終わった。 内容は小さな村で起きた殺人事件の話であったが、著者が動物学者のようで、自然の中で生きる野生動物たちの生態も含め、暗闇、湿地帯で生息する野生動物の息遣いが聞こえてくるような、細かい自然描写と物語の内容が相まって読み応えがあった。 本編のなかで、「ときにグロテスクとさえ思える野生の本能は野生動物だけがもつものではない。その本能はいまだに私たちの遺伝子に組み込まれていて、状況次第では表に出てくる。私たちもかつての人類と同じ顔があって、いつでもその顔になれる。はるか昔、生き残るために必要だった行動を今でもとれる」というセリフがあり、犯人が誰かなんとなくわかった。 あとがきに、「ザリガニの鳴くところとはどこにあるのか、ふと心の奥に耳を澄ませたくなる」と書かれていた。いろんなところに存在するような…読み終わった後いろいろ思いを巡らせ余韻に浸れた不思議な読後感だった。海外作品が思ったより面白く読みやすい事を知れたので、他の海外作品も読んでいきたいと思った。
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職場の同僚におすすめいただき読んだ本。 「湿地の少女」カイアの物語。 湿地といわれる地形にも、生物にも、当時のノースカロライナの文化的背景にも馴染みがなかったので最初は読み進めるのが大変だった。 想像では補えない部分(地帯や生物の名前、料理名とか...)画像検索を駆使しながら...
職場の同僚におすすめいただき読んだ本。 「湿地の少女」カイアの物語。 湿地といわれる地形にも、生物にも、当時のノースカロライナの文化的背景にも馴染みがなかったので最初は読み進めるのが大変だった。 想像では補えない部分(地帯や生物の名前、料理名とか...)画像検索を駆使しながら読み進めていくと、そのうちこの湿地の世界に浸かることができた。 湿地の生物の生態から、人間の行動を読み解こうとするカイアには初めは同情の感情しかなかったけど、もうそれはすぐに尊敬の気持ちに変わった。 ミステリ小説かと思ったけれど、そうとも言い切れない、、、説明しにくいけど、これは湿地で一生を過ごしたカイアの人生の話だった。
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〝湿地の少女“ カイアに対する差別や偏見が強く、ひとりぼっちの生活の描写が読んでいて辛かった。多くの人がカイアに偏見を持つ中、助けてくれる人がいたのは救い。 アリバイがあるにも関わらず「犯人はカイアに違いない」という思い込みからカイアは逮捕され裁判になる。そうやって冤罪が起こるのだと思った。最後のどんでん返しはなんとなく予想できた。少し時間を置いてから読み返したい作品。映画も観るつもり。
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湿地の自然の美しさと主人公の人生が見事に描かれていた。最後まで目が離せないストーリーで、一気に読んでしまった。
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ミステリーだと思って読んだけど、差別偏見の残る1950年代の、未開拓の湿地で一人で生きる少女の物語。当時からしても貧しいあばら家で暮らしてたくましい一方で、自然と生き物の美を感じ知を追い求めながら女性として近くの町の男に声をかけられ揺れ動く、繊細で聡明なカイアの心情と自然の描写が...
ミステリーだと思って読んだけど、差別偏見の残る1950年代の、未開拓の湿地で一人で生きる少女の物語。当時からしても貧しいあばら家で暮らしてたくましい一方で、自然と生き物の美を感じ知を追い求めながら女性として近くの町の男に声をかけられ揺れ動く、繊細で聡明なカイアの心情と自然の描写が印象に残った。 (こういう、時代背景に忠実にリアルにいそうな一人物の人生を描く系の小説(横道世之介とか)ってあまりピンとこないので個人的な評価は高くない)
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舞台が「湿地」なので、ジメジメもするし切ないんだけど、最後まで引き込まれた。 一人の少女の成長を傍で見守っている気分にもなって、彼女の待遇に気が気じゃない。 最後の最後まで楽しめた作品。
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なんか色々と考えさせられる内容だった。 貧困、人種差別、時代もあったのだろうが外国だと日本では考えられないような事もあったのだろう。 湿地帯がいまいちピンとこなくて、想像するのに苦労したが、少女が作っていた色々なモノが成長と独自の勉強で素晴らしい物になっていったのは感慨深い気持ち...
なんか色々と考えさせられる内容だった。 貧困、人種差別、時代もあったのだろうが外国だと日本では考えられないような事もあったのだろう。 湿地帯がいまいちピンとこなくて、想像するのに苦労したが、少女が作っていた色々なモノが成長と独自の勉強で素晴らしい物になっていったのは感慨深い気持ちになった。 酷い親に育てられて、1人苦労しながら生きてきてしかし、最後にえーっ!ってなり、複雑な心境。 なんか暫く余韻が残って、本の事ばかり考えてしまう自分がいたので、魅力的な本なのは間違いないです。
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総合的にはすっきりしました。読むのに4ヶ月くらいかかりました。 前半のカイアの少女時代については読んでるのが辛くなってしまい、何度も読むのを中断しました。特にカイアとの仲が良好になりつつある父親が母親の手紙をきっかけにまた元に戻ってしまうシーンが辛く、親の都合に振り回されるカイアが見ていられませんでした。 後半の裁判については展開が気になり、一気に読むスピードが上がりました。カイアが無罪とされた後も「結局誰が犯人だろう?」という疑問が残っていました。カイアに感情移入していたこともあり、最後は納得しました。 裁判の無罪とその後の幸せな人生は差別の中で1人孤独に生きてきたカイアへのご褒美と思いたいです。
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