街とその不確かな壁 の商品レビュー
村上春樹の長編=私の至宝。 ハードボイルドワンダーランドに登場要素が似ているとはいえ、全くの別物でした。 作者の経験値なのか、穏やかな展開で驚いた。 今までならもっと孤独でバイオレンスで、おどろおどろしい展開をみせていたはずだけど、なんだろうな、終始温かさを感じるというか。 子...
村上春樹の長編=私の至宝。 ハードボイルドワンダーランドに登場要素が似ているとはいえ、全くの別物でした。 作者の経験値なのか、穏やかな展開で驚いた。 今までならもっと孤独でバイオレンスで、おどろおどろしい展開をみせていたはずだけど、なんだろうな、終始温かさを感じるというか。 子易さんの存在がそう感じさせたのかな。 今作は今までの作品とは異質だったけれど、変わらぬ重厚感、確かな文体、愛らしい登場人物… 大満足です。 もちろんすべてがスッキリと理解できたわけじゃない(それは絶対にムリ)。 でも、その謎も含めて、3部までしっかりと書いてくださってありがとう!と言わざるを得ない。 やっぱり大好きな作家です。
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すごい 火を前にすると、深く物事を考えられるのは何故… 蝋燭の炎 暖炉のあたたかさ そして長葱はなに? 壁の中の世界はわたしたちの人生からの逃げ場? 心地いい(他人と深く関わらなくていいため)場ではあるが、ずっとそこにとどまっていては生きていけないと思う。 だから いつかイ...
すごい 火を前にすると、深く物事を考えられるのは何故… 蝋燭の炎 暖炉のあたたかさ そして長葱はなに? 壁の中の世界はわたしたちの人生からの逃げ場? 心地いい(他人と深く関わらなくていいため)場ではあるが、ずっとそこにとどまっていては生きていけないと思う。 だから いつかイエロー・サブマリンの少年も出ていかないといけない日が来ると思ったし、現実と向き合って生きていかないといけないと思った。 やはりわたしたちは自分と向き合って他人と向き合って生きていかないといけない 人生つらいこともあるしささやかな幸せ(ブルーベリーマフィンなど)もあります 煙草を吸いながら 火種を見ながら 書いたので、いっぱい書いてしまった。
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読み始めてすぐに「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の壁に囲まれた町が出てきたので、お!これはどうゆうことだ!?とワクワクしながら読み進めました。 めずらしく「あとがき」があって、この小説を書くにあたっての作者の気持ちが書かれていて、なんだか嬉しかった。 村上春樹さんの今までの小説はすべて繋がっていて、 小説を読み終わっても物語はずっと生き続けて変化し続けているんだなと感じた。 村上春樹さん、たくさんの物語を共有してくれてありがとうございます!と伝えたい気持ちです。 村上春樹さんの小説は何度も繰り返し読まずにはいられなくなる中毒性があるけど、この小説もまたすぐにもう一度読みたいと思う とりあえず「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」をまた読まなければ!
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相変わらず、長くて難しい。 何とか読んでみた。 よくわからないところがあったが、自分なりに考えてみた。 「愛する人がいる世界は美しい。ただ、その幸せは同時に不幸の源にもなり、失った時にはその美しい横顔が、どこまでもつきまとう悪霊になってしまう。」について この言葉は愛に関...
相変わらず、長くて難しい。 何とか読んでみた。 よくわからないところがあったが、自分なりに考えてみた。 「愛する人がいる世界は美しい。ただ、その幸せは同時に不幸の源にもなり、失った時にはその美しい横顔が、どこまでもつきまとう悪霊になってしまう。」について この言葉は愛に関する真実を表していると思う。愛する人がいることは、幸せで美しいことですが、同時にその人を失うことができる可能性もあるため、不幸の源になります。そして、愛する人を失ったときには、その思い出や横顔が、自分を苦しめる悪霊のように心に残り、癒えにくい傷が残る。しかし、それでも愛することに価値があるということを私たちは知っています。愛する人を失うことは避けられないことかもしれないが、それでも愛し続けることが、私たちの人生に美しさを与えるのだと思う。
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既視感あるなあと思いながら読み進めていて、あとがきを読んでやっぱりそうだよねとなった。 「きみ」と長い時間を過ごすために街に残ったのに、次に出ていくのにそこまで抵抗がないように見えたのが不思議だったけど、街からはマイナスな感情が締め出されているから、そう思えなかったんだろうか。 最後の最後、ここで終わるの!?とも思った。ポーンと放り出された気分だった。 他にもまだまだ言いたいことがあるけどまとまらない。
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失敗作として長らく封印されていた初期作品「街と、その不確かな壁」を長編にリメイクしたもの。 さらに、「街と、その不確かな壁」は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の「世界の終わり」のパートの母胎となっている。 「世界の終わり…」の続編が出るという噂は昔から囁かれては...
失敗作として長らく封印されていた初期作品「街と、その不確かな壁」を長編にリメイクしたもの。 さらに、「街と、その不確かな壁」は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の「世界の終わり」のパートの母胎となっている。 「世界の終わり…」の続編が出るという噂は昔から囁かれてはいて、僕も待望していた。 なんせ、僕にとっての初村上長編は「世界の終わり…」なのだ。 あの読み終わった後の「とんでもないものを読んでしまった」感が、今でも読書を続けている一つの大きな源だもの。 これは集大成。否が応でも盛り上がる。 村上春樹さんの新刊発売との情報を聞き、速攻でポチる。 2,970円は高い。確かに分厚い本だけど高い。 なぜなら、村上さんはとあるエッセイで 「発売する本はできる限り価格を安くできるよう努力している」と語られていたからだ。 これが物価高騰ということ? それでも買いますよ。 何十年も待ち続けていたんですから。 で、感想。 過剰なまでの比喩表現やハイド・アンド・シーク、 ビートルズ、そして穴(井戸も)、さらには雪かき! などなど、村上春樹さんの小説の重要な要素はしっかり盛り込まれている。 でも、セックスはなかったかな。(主人公はかなり切実に欲しているけれど) 第一部は「世界の終わりと…」+「ノルウェイの森」で、僕が期待する村上ワールド全開の展開。 いつまでも読んでいたい。どんなに長くこの世界が語られても僕は多分飽きない。懐かしさに浸りながら、至福の読書時間を堪能する。 喪失感に覆われつつ、重要な選択をする主人公。 第二部から、混迷の世界に入っていく。 文章は平易だが、自分なりの理解や解釈ができなくなっていく。だけど… ー ねえ、わかった?わたしたちは二人とも、ただの誰かの影に過ぎないのよ。 えっ、そういうことか。 私たちは影を生きている。そして、私たちの本体は別の世界を生きている、ということなのか… そして、物語の中では影だから、噛まれた部分に痛みはあっても傷はなかったのか… そして、第三部… 結末は… さまざまなことが、もやもやしたまま終わる。 読者に委ねられるというより、そのまま終わる。 満足はしない。 ただ、まあ、人生というのは、そういうものなのだ。 読み終えた夜は、なぜかいつもより時間の経過が遅く感じられ、僕は少しお酒を飲み過ぎてしまった。 ♪この世の果てまで/スキータ・デイヴィス(1962)
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新作が出なくとも過去作を追いかけるように読んできたものだが、最近は優秀な作家が数多おりなかなか村上春樹オンリーというわけにはいかなくなった。さて本作を読み始めて出だしは小川洋子を読んでいる気がしたが、さすが途中で性表現が現出し小川洋子ではまず性表現はない。第一部は男がその街に紛れ込むまでであり、第二部は男の影がその街からの脱出に成功しある街の図書館で働き始めイエローサブマリンの少年との出会、第三部はその街での男とイエローサブマリンの少年の出会いと別れ、そして男の現実世界への回帰が予見されて終わっている。しかし登場する女性たちに対しては冷たいなあ。
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少しずつ読み進めました。 わたしにとっては、これまで村上春樹を読んできたことに対するご褒美のような素晴らしい作品だった。 すごく偉そうな言い方だけど、村上春樹はここまで上手い物語が書けるようになったんだなあ。。 読んでいる間本当にずっと楽しかった。 ページ数は膨大だけど、ぜひ...
少しずつ読み進めました。 わたしにとっては、これまで村上春樹を読んできたことに対するご褒美のような素晴らしい作品だった。 すごく偉そうな言い方だけど、村上春樹はここまで上手い物語が書けるようになったんだなあ。。 読んでいる間本当にずっと楽しかった。 ページ数は膨大だけど、ぜひ読んでほしい傑作。 はあ、幸せだ… これから先、こんなにまで心を震わせてくれるモノにいくつ出逢えるんだろう。 村上春樹の作品をこれまでずっと読み続けてきて、本当によかった。
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休日の朝から読み始め、何度もウトウトしてしまった。そのせいもあってか、何が現実で何が現実でないのか…余計に曖昧になって、高い壁に囲まれた影のない人々の街で暮らしたことがあるような気がしている。部屋を暖める暖炉の炎、そこにくべる林檎の木が燃える香りにはとても惹かれるものがあった。「...
休日の朝から読み始め、何度もウトウトしてしまった。そのせいもあってか、何が現実で何が現実でないのか…余計に曖昧になって、高い壁に囲まれた影のない人々の街で暮らしたことがあるような気がしている。部屋を暖める暖炉の炎、そこにくべる林檎の木が燃える香りにはとても惹かれるものがあった。「暗い心はどこか遠いよそにやられて、やがては命を失っていきます」…暗い心(影)のない世界で生きることは幸福だろうか。
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恐らく私の人生で最も世界観に浸れる作品。 ページを惜しむように自宅、職場、大学に持ち運び読了。 どこらから読んでも本の世界に入れて非常に有意義な時間を過ごせました‥ 読者に想像の余地を残してくれるのが嬉しい。 自分の心の裏側について考えてしまった‥
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