みかんとひよどり の商品レビュー
フレンチシェフの潮田は、猟の途中で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。 彼が捕ったイノシシの肉は、潮田の料理人の腕や脳を刺激し、挫折続きだった料理人の道を明るい方向へと照らし出すようだった。 山と共に暮らす大高と都会で暮らす潮田が、不器用ながらも少しずつハンター...
フレンチシェフの潮田は、猟の途中で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。 彼が捕ったイノシシの肉は、潮田の料理人の腕や脳を刺激し、挫折続きだった料理人の道を明るい方向へと照らし出すようだった。 山と共に暮らす大高と都会で暮らす潮田が、不器用ながらも少しずつハンターと料理人として、また友人として影響し合っていく話だ。 ジビエと言っても、料理された野生の肉が並び、また良いお値段である。 物好きな人や野生動物が近しいエリアに住む人が、口にするものだと、なんとなく思っていた。 けれど、人々の暮らしの中で、野生動物と農作物は切っても切れない関係であり、相互に影響を及ぼし合うという点においては、 都会で暮らしていようとなかろうと、そのサイクルに関わっているのだと思った。 常に対比できる要素がごろごろ物語の中には転がっており、意識しないで読んでいても、無意識に楔を打ち込まれているようだ。 物語の解説で坂木司氏が筆を執っているが、最後の最後の砕けた語りがとても面白かった。 私も、「南北越境おせち」なるものを食べてみたい。
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6/21 この著者の作品はどれも、自分が物語の第三者として俯瞰してみれる点がいい。 今回は食べるとは、生きるとはどういうことかを考えさせてくれました。 ジビエに関する初めての知識も興味深い!
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感想 命を直に感じる。食べるという営みはある種の傲慢。続けるために感謝を忘れてはいけない。古来よりの教え。思い出さなくてはいけない。
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犬の描写が鮮明、めっちゃかわいい。 人間と自然のあり方とかは良かったけど終わりが微妙になっちゃった。
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口にいれるものは残さず、感謝して。 ジビエは好んで食したことないけど、 一回だけ牡丹鍋をいただいたことがある。 とっても美味しかった。 感謝しよう。全ての食材に。 お残しがないよう美味しい料理を作らねば。
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ジビエについて考えるきっかけをくれた。 もっと大切に食に向き合う必要があるなと思った。 登場人物や犬のキャラクターが魅力的だった。
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「シェフは名探偵」と同じ作者さんということで、手にとった本。ジビエ料理は食べたことがなく、作中で出てくるお料理や動物の名前を一つ一つ検索しながら読んだ。 野生鳥獣と食卓に並ぶお肉とで何か違うのかすらよく分かっていなかったので、勉強になることがすごく多かった。 農村への野生鳥獣被...
「シェフは名探偵」と同じ作者さんということで、手にとった本。ジビエ料理は食べたことがなく、作中で出てくるお料理や動物の名前を一つ一つ検索しながら読んだ。 野生鳥獣と食卓に並ぶお肉とで何か違うのかすらよく分かっていなかったので、勉強になることがすごく多かった。 農村への野生鳥獣被害を防止するため、野生鳥獣を狩猟しており、野生鳥獣肉(ジビエ)を有効活用するため、ジビエ料理というものが推進されているんだそうな。なるほど、、。 私たち人間の都合で動物たちの命を奪うことは、本当は避けたい。害獣と呼ぶけれど、それは私たち人間主観の、人間都合の考え方。 でも、人間が農業をやっていくためには野生鳥獣を捕獲することは必要不可欠。(野生鳥獣による農作物の被害額は160億円前後!) 捕獲数は近年大幅に増えているが、ジビエとして活用されるのは1割程度らしい。 野生鳥獣たちの命を、無駄に殺して焼いて、そのまま骨にしてしまうのではなく、せめて美味しく食べることでもっと有効活用していけたら。無駄な命にしないことで、少しでも動物たちへの弔いになれば。(そんな簡単な話ではないんだろうけども…) 印象に残った文章は、 「人の都合で働かされ、人が仕掛けた罠で怪我をしたからといって見捨てられる。大高はそんな人間の身勝手をたくさん目にきてして、だから、他人との関わりを避けているのかもしれない。」 「大高を世の中から距離を置いた、世捨て人のように思っていた。だが、ここには大高の世界がある。生き物の命と直接向き合い、山や木々の声を聞く。〜略〜 大高の世界は、ぼくたちの社会とは別の豊かさで満たされている。」 たくさん美味しいごはんが出てくること、ほっこりした展開を期待して読んだが、思った以上に深く、命について、ジビエについて考えさせられた。
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狩猟の意味は何か、食べるとは、命を頂くとは、を考えさせる本であった。 ジビエは私はあまり今まで食べたことも、考えたこともなかった。作中にあった、ずばり鶏、牛、豚の3種だけを食べている。 猪や、鹿、熊など四足歩行の哺乳類を獲る場面を見たら、私はきっと心がひどく動揺するだろう。そこに...
狩猟の意味は何か、食べるとは、命を頂くとは、を考えさせる本であった。 ジビエは私はあまり今まで食べたことも、考えたこともなかった。作中にあった、ずばり鶏、牛、豚の3種だけを食べている。 猪や、鹿、熊など四足歩行の哺乳類を獲る場面を見たら、私はきっと心がひどく動揺するだろう。そこにある命が生々しいから。それはきっと食べ慣れている魚などよりも。 食べる、という行為はそうした命をいただく行為なのだということを改めて認識させてくれた。 そして大高などの登場人物のそれぞれの生き方が読み応えを深めてくれた。 人生は取捨選択の連続。大高のように、人生を複雑にしたくないとあえて選択肢を捨てる生き方、澤本のように、多くの選択肢を持っておく生き方。どれが素晴らしいではなく、どんな生き方が自分が納得して生きられるかが重要だろうと思う。 結果はもちろんああした方がいいなどあるかもしれないが、それでも自分で選んだ道は自分で決めていきたい。 みかんのひよどり、など作中にはとても美味しそうなフレンチ料理が出てくる。
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表紙に惹かれて。料理の描写は美味しそうだし、登場人物(犬も可愛い)がみんな良いキャラでサクサク読めました。 ジビエ料理はお気に入りのお店でたまに食べます。牛豚牛にはない味わいが好きで、作中でオーナーが言っていた「元気になる」というのも何となく分かります。 命を食べるとは、どうい...
表紙に惹かれて。料理の描写は美味しそうだし、登場人物(犬も可愛い)がみんな良いキャラでサクサク読めました。 ジビエ料理はお気に入りのお店でたまに食べます。牛豚牛にはない味わいが好きで、作中でオーナーが言っていた「元気になる」というのも何となく分かります。 命を食べるとは、どういうことなのか。当たり前に食べている目の前の肉について改めて考えさせられました。 最初は人間ドラマが単純に面白かったのですが、中盤からは不穏な雰囲気が漂いはじめ、先が気になって一気読みしてしまいました。ただ真相が分かってからは、えらいアッサリとした終わり方で少し物足りないような…笑 そして、今更ながら知りましたが、この作者はドラマ「シェフは名探偵」の原作者なんですね。なんとなく文章もドラマの雰囲気と似ている気がします。 よく見てたドラマなので驚きました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
命をいただく、ということ。原罪。 0か100か、白か黒かではなく、それより多くを占めるグレーの中のどの部分に身を置くか、どこで折り合いをつけるか。 仕事だろうが人付き合いだろうが。
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