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きみはだれかのどうでもいい人 の商品レビュー

3.4

79件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

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  3. 3つ

    32

  4. 2つ

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2020/10/09

県税滞納者への督促・交渉業務に携わる女性たち、4人それぞれの視点からの4編。優秀にがんばる。病欠し配属替え。出産退職後の再雇用。チェックが厳しいお局様。 大変な業務、それぞれの事情、時代、女性。いろいろな立場が読めます。

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2020/08/29

心の葛藤が絶えなかった。目を覆いたくなる気持ちがある一方、冷淡にその場を観察する気持ちも常に付きまとっていた。

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2020/08/21

嫌いだと言われるのと、どうでもいいと思われるのは、どちらの方が傷つくのだろうかと考える。 例えばこの小説によく出てくる、たまたま同じ職場で働いているだけの名前すら与えられなかった女たちの無責任な世間話の中で。 途中で何度も、いやな話だなぁと思ってるくせに何故読み続けているのか分...

嫌いだと言われるのと、どうでもいいと思われるのは、どちらの方が傷つくのだろうかと考える。 例えばこの小説によく出てくる、たまたま同じ職場で働いているだけの名前すら与えられなかった女たちの無責任な世間話の中で。 途中で何度も、いやな話だなぁと思ってるくせに何故読み続けているのか分からなくなった。図書館で数ヶ月も予約待ちして、ようやく借りることができたからなのだろうか。 どんな人にでも、わたしに見せている以外の別の顔を持ち、違う世界で生きているのだ。思わず自分の職場をぐるりと見渡してしまう。 あの人はやることが遅いから、仕事量が少なくていいな。 やることも大してないくせに、テレワークとかってどうせ遊んでるんじゃないの? 言いたいことをズケズケ言えるのって羨ましい。他人からどう思われるかなんて全然気にならないんだろう。 そうやって自分が損をしていると思ったり、誰かに比べたらまだマシだと思い直したり、明日からは二度と苛々しないようにと誓ったり、 こんな最低最悪のわたしと同じようなことを、ここにいる他の人も考えたりするのだろうか。 いやだいやだ。 読むんじゃなかった。 ひとつの出来事も、人の見方や捉え方によって、全く違う意味を持つ。 多面体の物質が、当たる光の角度によってその見え方で形を変えるように。 この世の中のほとんどの人間の存在は、本人以外にとってはどうでもいい存在であると同時に、誰かにとっては大切な人かもしれない。 混み合う駅の改札付近、女性や弱者のみを狙ってわざと体当たりしてくるおじさんも、家に帰れば誰かの夫であり父親なのに違いない。 でも。。。 だからなんなのだ。 みたいな気持ちになった。

Posted byブクログ

2020/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに一気読み。 朝井リョウの「何者」みたいな、ココロをえぐる話。 特に1話目・2話目は思い当たることが多すぎてツライ。 必死に仮面で覆っていても、ポロっと本音(これが相手を一番傷つけられるだろうって言葉を選んだ本音)が出ちゃうときあるねー。 最後の話は・・・私はこんなことしないな、ってことで共感はできなかったな。 ただ、時系列が分かりにくかったり、だれの科白だ?ってなることもありちょとわかりにくいところも。

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2020/07/26

県税務事務所で働く人々の様子を4人の視点から描かれた話です。 誰かの役に立ちたいと公務員になったものの「お客様」と呼ばれる納税者たちからは、罵倒・暴言・感謝のない世界で働き、登場人物のほとんどに優しさは感じられない。しかしそれぞれに根拠や理由があっての仕事で、同じように社会で仕...

県税務事務所で働く人々の様子を4人の視点から描かれた話です。 誰かの役に立ちたいと公務員になったものの「お客様」と呼ばれる納税者たちからは、罵倒・暴言・感謝のない世界で働き、登場人物のほとんどに優しさは感じられない。しかしそれぞれに根拠や理由があっての仕事で、同じように社会で仕事をしているものとしては理解できる。 登場する50代女性は、20代当時は完全なる男社会の中で仕事をしていた。 ある者はうまく利用し、ある者は敢然と戦いやってきたというのは、現代の働く女性に通じる道を作ってくれたのだろうと思いを馳せる。 舞台の事務所がどうにも陰鬱だ。 もっと雑談したりコミュニケーション取るとかして、もっと人間関係円滑にできないものか⁈と思うほどギスギスした職場だなと感じた。公務員だからだろうか、キャラクターがほとんどイヤミで読んでて辛くなってきた。 県税事務所という舞台を垣間見れて面白かったが、話が前後したり、登場人物のイメージ浮かぶ前に苗字のみで登場するので、「これは誰が話しているのか?」とか「これは過去の話なのか?」と戸惑うことが多かった。 またイメージしにくい比喩がいくつかあり、物語に入り込めない箇所もいくつかあった。 きみはだれかのどうでもいい人、というのは「この人も誰かの家族だと思うと優しく接することができる」という応対からの由来。

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2020/06/20

納税課で働く人々。心を病む人。仕事のできない人。ゴシップ好きの人。立場によって同じ世界でも味方が違う。 私たちみたいな弱い人間からお金を奪う仕事だってわかった上で今いる職場を選んだんでしょ。あなたの魂胆なんかお見通しよ。 Forget ,but never forgive. ...

納税課で働く人々。心を病む人。仕事のできない人。ゴシップ好きの人。立場によって同じ世界でも味方が違う。 私たちみたいな弱い人間からお金を奪う仕事だってわかった上で今いる職場を選んだんでしょ。あなたの魂胆なんかお見通しよ。 Forget ,but never forgive. 忘れるが、決して許さない 忘れられた罪は許されない

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2020/06/24

人間っぽくて良い。 どこの職場にもいそうな登場人物達が、それぞれの思いで過ごす日常。 染川が中沢を許していた、という堀の感想は興味深かった。

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2020/06/08

読み始めで感情にざらつきを覚えたものは総じてハズレの本なのだが、このタイトルも多分に漏れずハズレであったため、読むのにすごく苦労した。そして自分がこの手の小説を書くときの注意事項として役に立った。 所謂、likeな表現の多発である。 洋書を意識して日本の作家さんは盛んに情景や感情...

読み始めで感情にざらつきを覚えたものは総じてハズレの本なのだが、このタイトルも多分に漏れずハズレであったため、読むのにすごく苦労した。そして自分がこの手の小説を書くときの注意事項として役に立った。 所謂、likeな表現の多発である。 洋書を意識して日本の作家さんは盛んに情景や感情を豊かな文面で書こうとするあまり「~のような」を多用する。そうじゃない、そうじゃないんだよと毎回思いながら読まねばならずこれがしんどい。負の感情が書きなぐられた小説はそのモチーフだけでも重いのに、「~ような」が羅列するともうお手上げだ。 5人の女の主観でそれぞれの場面を繰り返し書かれているよくあるパターンの構成は面白いが、読みようによっては心障者など所詮職場で使えないと差別してるんじゃないだろうかと思えてしまう。 まぁ、なんというか最近の小説は病んだ内容が多い。読みたくて読もうとは思わないジャンルだ。書店でジャケ買いならぬ表紙借りで、中身に対してまったく前知識なく借りる故の事故だ。世の中も病んでたら作者も病んでるんだろうな。

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2020/06/14

2020.06.07 ふと図書館で見つけて借りてみた本。 私も地方に勤める公務員なのでこういう職場環境わかるわーと全員に共感して読めた。 職場での彼女たちが見せている面はほんの一面で、みんな何かしら背景も事情もあって、働いている。 鈍臭くても優しかったり、キツい人でも繊細な面...

2020.06.07 ふと図書館で見つけて借りてみた本。 私も地方に勤める公務員なのでこういう職場環境わかるわーと全員に共感して読めた。 職場での彼女たちが見せている面はほんの一面で、みんな何かしら背景も事情もあって、働いている。 鈍臭くても優しかったり、キツい人でも繊細な面もあったり、立場も環境も違えばそれが入れ替わったりするわけで。その辺りの描き方がリアルだった。 須藤さんみたいな人必ず職場に1人はいるし、イラつくし真っ先に攻撃対象になるよね。 職場の同僚なんて自分の人生の中では『どうでもいい人』だけど、毎日会うしそう思えない人もたくさんいるわけで。割り切って働くって難しいよなぁ。

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2020/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 染川さんがバナナココアの意味に気が付くところ、もし自分なら涙腺が崩壊する思う。一方でどうでもいい人だったら冷めた目で見るのかなとも思う。  皆んなに優しい世界だったらいいと思うけど、それは自分が優しくして貰いたいからなんだと自覚した。また、誰にでも優しくなんてないことも。  代わりは沢山いる誰にでもできる仕事というけれど、本当に誰でもできるわけでもない。でも、仕事のできる人たちは自分の代わりはいくらでもいると言う。そんな中、田邊さんは娘の親として自分は代えのきかない存在だと言った。  人は代わりのいない存在でなきゃやっていけないんだろうか。自分も自分の代わりはいくらでもいると思うと悲しくなる事はよくある。人間同士の関係なんて相互の需要がなきゃ不必要なもの。代わりが幾らでもいてもそこに居ていいだけで凄いことだと自分は思う。必要とされない人は仕事も恋人も自尊もできない世の中。だからみんな存在の証明をしようとするのかな。  自分はこの話に出てくる人の中では染川さんや須藤さんに近い人なので、とても読んでいて苦しかったし、読みながら助けてって思ってた。別に誰かが救われるわけでも、救うわけでもない物語だけど、救いがないからこそ説得力があるんだろう。救いはないけど冷たさ多めだけど、優しい部分もあって。    凄く共感できるところも、よくわからないところもあって、読みどころが沢山あるから、何回も読み返すんだろうな。 

Posted byブクログ