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きみはだれかのどうでもいい人 の商品レビュー

3.4

79件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    1

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2019/11/11

舞台は税務署だが、どんな職場にでも置き換えが可能だと思う。職場に在籍する人のそれぞれの考え方や周囲の人をどのように見ているか、この作品では職場の4人の目から順繰りに周囲の人や自分のことを描いている面白い作品だ。 終章の最後に登場人物の総括みたいな箇所が数行あり、その箇所を読んだ時...

舞台は税務署だが、どんな職場にでも置き換えが可能だと思う。職場に在籍する人のそれぞれの考え方や周囲の人をどのように見ているか、この作品では職場の4人の目から順繰りに周囲の人や自分のことを描いている面白い作品だ。 終章の最後に登場人物の総括みたいな箇所が数行あり、その箇所を読んだ時自分の読み方まだ浅かったことを実感し、もう一度読み直してみようかなどと思った次第だ。 また、須藤深雪の真の姿は?などと感じたのは私だけだろうか。 その確認のためにも、少し間を置いて再読しようと思う。

Posted byブクログ

2019/11/03

とても良かった。 仕事をしている上で、建前と本音、忖度、空気、距離間。 いろんなことを上手くこなしていく能力は必須。 嫌な事もいいこともあるけど、働かなければ生活できないのだ。 何が自分の守りたいものなのかがはっきりしている人に私はなりたい

Posted byブクログ

2019/10/18

タイトルが気になって購入した一冊。 県税事務所で働く女性達のそれぞれの視点で描かれた一冊。 読み進める度にモヤモヤして心が重たくなっていったんだけど、それでも読むのを止められなかった。 モヤモヤさせられながらも最後には不思議とスッキリさせられた。 社会で生きることの生きづらさをま...

タイトルが気になって購入した一冊。 県税事務所で働く女性達のそれぞれの視点で描かれた一冊。 読み進める度にモヤモヤして心が重たくなっていったんだけど、それでも読むのを止められなかった。 モヤモヤさせられながらも最後には不思議とスッキリさせられた。 社会で生きることの生きづらさをまざまざと見せつけられるけど、どこかで勇気づけられている自分がいた。

Posted byブクログ

2019/10/18

同じ職場で働く4人の視点から書かれる連作短編集。 タイトルに惹かれたが、内容は思った以上に苦しいものであった。 「そんなの、知らねえよ」私もそう言いたくなる場面は度々遭遇する。

Posted byブクログ

2019/10/16

◯職場の人間関係について、それぞれの登場人物が語る形式で話が進んでいく。異なる登場人物の視点に移るごとに、一面で捉えていた人物像が異なって見えてきて、「嫌な奴だなこいつ」と思っていた人物も、それぞれ事情を抱えて生きていたことが見えてくる。 ◯それはまさにタイトルにあるとおりの世...

◯職場の人間関係について、それぞれの登場人物が語る形式で話が進んでいく。異なる登場人物の視点に移るごとに、一面で捉えていた人物像が異なって見えてきて、「嫌な奴だなこいつ」と思っていた人物も、それぞれ事情を抱えて生きていたことが見えてくる。 ◯それはまさにタイトルにあるとおりの世界が展開されているのであるが、読むほどに、この悲しいタイトルが自分たちの日常に肉薄してくるほど共感できる ◯丁寧な心理描写の先に、それぞれの出来事で見れば大したことのないことでも、積み上げていくこと、生きづらいこの社会において、いつでも崩れそうな危うい自己を発見する。 ◯この共感性は大衆小説の重要な部分であると思うし、そこには悲しい現代の普遍性が内在すればこそではないだろうか。 ◯この小説の展開自体には、あまり救いがないように思える。しかし、この個人ごとに視点を移すという構成で生じる共感性にこそ、著者による救いが示されていると思う。 ◯それはこの生きづらい我々の社会における、1つの示唆になるのではないだろうか。

Posted byブクログ

2019/10/11

まずタイトルにやられた ドキッとした なかなかの度胸のあるタイトルである (「きみはだれかの大切な人…」が一般ウケなはず!) ある職場のストーリーを4人の女性視点から描いている 人間のもつ無意識な残酷で辛辣な部分 誰しもが隠したり誤魔化したり気づかないふりをする奥底に潜む本心...

まずタイトルにやられた ドキッとした なかなかの度胸のあるタイトルである (「きみはだれかの大切な人…」が一般ウケなはず!) ある職場のストーリーを4人の女性視点から描いている 人間のもつ無意識な残酷で辛辣な部分 誰しもが隠したり誤魔化したり気づかないふりをする奥底に潜む本心 情けなくて弱くて痛ましい存在 誰もが隠し持っている本心 この4人は私たちの代表選手だ 多かれ少なかれ何か感ずるものが誰しもあるはずだ 人を思いやりましょう…なんて話しではすまない人の奥底の凶暴さを感じた 良かれと思ってした行為が誰かを傷つけ、 正しいという思い込みがその人を歪め、 価値観の押しつけが不調和を生み、 そして… 「だってきみはだれかのどうでもいい人だから」 自分の常識にとらわれ過ぎていないか 人をいつも評価していないか 自分と違う価値観を受け入れているか 一番の恐怖は傷つくことよりも 何の意識もないような錯覚で無意識に誰かを傷つけていることに気付かないことではなかろうか いやもしかしたら正しいと思って行った行動かもしれない そんなことが人の足元をすくうような恐怖を与えることがあるのだ 人はとても残酷で弱くちっぽけな存在である 生きていくだけで結構いっぱいいっぱい 不器用で混乱して破茶滅茶で… だからこそ共存し合っているのだろう そして勝手に許し合って無意識に手を取り合っている 多くを考えさせられ、心に響いた この本と出会ってよかった 作品はテンポ良く、読みやすくまるでミステリー 良くも悪くも矢継ぎ早にたたみかけるように進行する文章 英語のように感じる各センテンスの構成である 個人的にはもう少し「間」とか「空間」的なものがあると読みやすいのだが… 1文ずつの濃度(中身ではなく言葉的な部分)が高く少々疲れる きっと頭の回転の速い方なのだろう もう少し押しと引きのバランスが良いと心地いいのだがと感じたがこれも個性だ どこかでこの人の文章を見たら気づける気がする 鋭い感性と巧みな文章 今後どのように成長されるかとても楽しみな作家さんである

Posted byブクログ

2019/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルに惹かれました。 「君は誰かの大事な人」とかそういうフレーズはよくあるけど、この毒の利いた感じ、このミもフタもない感(笑)、たぶん自分は好きなヤツ、と感じました。 改めて考えてみたら、多くの人にとって「大事な人」よりかは「どうでもいい人」の方がはるかに多いはず。ただどうでもいい人は普段は意識しないからそんなことも考えないでしょう。 そしてここでは「どうでもいい人」は職場の同僚と来たと。なるほどなぁと。 まずはさすが太宰治賞受賞された方だなと文章が丹精な印象です。言葉の選び方、心理の描写の仕方、作品数はそれほど多くなさそうですが手練れ感があります。 それぞれの登場人物の性格が際立っています。 「かわいそうに。あんたの方が死んでおけばよかったのにね。」ある章で登場人物が心の中でつぶやくのですが、ワサビがつんと利くべきところで利いたようなざわっと感と痛快感がありました。 第3章に出てくるような人はざらにいますね。でもそれをこのようにあからさまに描写しきるのは中々すごいことだと感じます。ただ、あの子とか、名前を書かないで過去を振り返る部分の描写がちょっとわかりにくく、こんがらかる箇所が何か所か感じられました。 そして第4章はちょっと哲学的な感じがします。そのせいか、言いたいことはわかるのですがちょっと言い回しや会話が回りくどい感じがしましたね。 でもとても面白かった。違う作品も読んでみたいと思いました。 ブクログさんのプレゼントでいただいた一冊です。 正直、当選しなければ知らないままだった作家さんだったと思います。「ほんとに当たるんだ!」と驚き、そしてこのような作家さんとの出会いをいただいたことに感謝します。

Posted byブクログ

2019/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

太宰治賞作家が描く、言葉にならずにわだかまっていた感情が豊かな表現で繊細に描き尽くされた傑作! タイムライン https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

Posted byブクログ

2019/09/25

県税事務所の徴収部門を舞台にした、お役所内関係ギスギスマウンティング小説。 各話で主役となるのは全員女性(男性は全員「添え物」レベルの扱い)だが、中でも精神障害者の就業お試し的な事業で働く須藤深雪が周囲をイラつかせる。 それ以外の登場人物も全員が暗いものを抱えながら、ストレスを下...

県税事務所の徴収部門を舞台にした、お役所内関係ギスギスマウンティング小説。 各話で主役となるのは全員女性(男性は全員「添え物」レベルの扱い)だが、中でも精神障害者の就業お試し的な事業で働く須藤深雪が周囲をイラつかせる。 それ以外の登場人物も全員が暗いものを抱えながら、ストレスを下流に流しながら日々を過ごしていく様子が書かれるが、全体的に救いがないため読んでいて辛いw 小さい部署で精神疾患が複数いたら増員しなきゃ職場崩壊するぞ(というか崩壊したが)。 それにしても、筆者は役所務めだったのかと思うほど「あるある」という小ネタがあったのが気になった。

Posted byブクログ