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きみはだれかのどうでもいい人 の商品レビュー

3.4

79件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    1

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2021/12/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初 伊藤 朱里 作品。 「そんなの、知らねえよ」衝動的に、あるいは意識的に、口にできたのは、中澤環と田邊律子だけだった。それが踏み絵だったのかもしれない。二人とも、負けるな! 声高に正義を振り翳す。金科玉条のように正論を唱える。ルール厳守の鉄則の元、思考停止を要求する。そして、守れないものは烙印を押される。最悪の場合、…。 未納税金の督促、取り立て。通常の会社員(公務員か)が出来る仕事ではない。勿論、税金を払わない方が悪い(理由はどうあれ。私も許さない)けど、取り立てができるかといわれると、どの程度の人が、この作業を”仕事”として従事できるでしょうか。少なくとも、私には無理だ。民間なら、一発でブラック企業になるのでは? 業者に外部委託する方に賛成。 仕事始めの着物姿。東証のニュース用だけだと思っていたら、以前は、どの会社も官庁もそうだったんですね。そんな服装で仕事?、何しに会社に来るのか来させるのか。今の時代なら、貸衣装代・着付け・髪のセット・タクシー代など、別途請求でも、誰もやらないのでは? ただ、着物の自由判断に伴う、ウィメンズ・リバティの怖さって、どこにでもあるのだなぁって。女の敵は、女。ということか。 何かを続けたければ、たとえどんな形であれ、自分自身が諦めずに成長するしかないもの。あなたがそうしたみたいに、と語る。まず、立ち止って、続ける必要を考えることが大事では。続けることが成長なのか、と。自分が人間として、やれること、やれないこと、やっていけること、無理なこと。今一度考えなければ。叫べなければ、小声でもいいから、「そんなの、知らねえよ」って。 今、「税に関するお知らせ」のはがきが届いた。納税の確認書です。私の街では、納税の仕方が変わるタイミングだからかもしれないけど、本書を読んだタイミングで届いたもので、ドキッとしてしまいました。タイミング良すぎ!まさか、〇税事務所、納付促進初動担当の中澤さんですか?

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2021/12/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たぶん、4人の主人公の中で自分に近いのは環。 いろんな人が、いろんな事情を抱えて生きている。それは決しては忘れてはいけないし、自分の中の正論を押し付けてはいけない。 でも「そんなの知らねえよ」っていう心持ちも持ってないと、自らが潰れてしまうよなぁ。 4つのエピソードの中でいちばん好きなのは、最後の堀主任の話。その前のお話でずっと堅物のアンドロイドのように見えていた彼女も、もがき生きている1人の人間なんだなと垣間見えたのが良かった。

Posted byブクログ

2021/11/29

まさに今の自分の置かれている職場の状況に似ていた。果たして私はどの登場人物の立場に近いだろうか…? 悪気はなくてもどうしても要領が悪い人はいる、何度指導しても覚えてもらえないし、予想外のミスをたくさんする。丁寧に教えてたつもりでも、心を病んで急にいなくなる人もいる。 決してみ...

まさに今の自分の置かれている職場の状況に似ていた。果たして私はどの登場人物の立場に近いだろうか…? 悪気はなくてもどうしても要領が悪い人はいる、何度指導しても覚えてもらえないし、予想外のミスをたくさんする。丁寧に教えてたつもりでも、心を病んで急にいなくなる人もいる。 決してみんなが自分と同じように仕事が出来るとは限らなし、同じように物事を受け取れるわけではない。人の余計な一言で自分がイラッとくることも有れば、私の何気ない一言で気に病む人もいる。 結局のところ人は、自分をひたすら守る事しか出来ないのかもしれない。 そう思ったのが率直な感想だ。

Posted byブクログ

2021/10/18

帯ですごい絶賛されてたけど…日曜日に読んだらすごくブルーになった。 仕事そのものではなく、人間関係で辛いのはしんどい。 今日たまたま見た、ローランドの名言。 宝くじが当たった次の日も、定時に行きたいと思える仕事こそが君の「天職」だ。 なるほどね。一理ある! で、この本の公務...

帯ですごい絶賛されてたけど…日曜日に読んだらすごくブルーになった。 仕事そのものではなく、人間関係で辛いのはしんどい。 今日たまたま見た、ローランドの名言。 宝くじが当たった次の日も、定時に行きたいと思える仕事こそが君の「天職」だ。 なるほどね。一理ある! で、この本の公務員である登場人物は皆、天職ではなさそうだし、それを自覚してて、しんどい。

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2021/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

P.93 だれがより恵まれていてだれがそうじゃないか、それこそだれに決められるのかはわからない。でも少なくとも、決めていいのがあたしじゃないのとはわかる。みんなすごい。あたしなんか、全然恵まれている。 P.244 相手に逃げ道を残さない論調、言葉数で上回ることで優位に立とうとする手法、曖昧を許せない狭量と潔癖。すべて、最近の若い女性ではない私自身にも覚えがあった。 P.261 たとえ見返りを求めていないつもりでも、他者を主体に行動した時点で期待が生じるものなの。

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2021/10/01

読書中も読後もどんよりした重さがつのる。 女性ならではの視点?の気もするので共感は少ないけど、ここまで重さを伝えられるのは力量なんだろうな。

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2021/09/02

「きみはだれかのどうでもいい人」すごく嫌なタイトルだ。 それなのに興味を惹かれて手にしてしまった。 だって、認めたくはないけれど、自分にとって特別な人ってそう多くはなくて、まして職場の人に特別な人なんてほとんどいない。残念だけど、きれいごと無しで言えばそうだろう。それは、自分にと...

「きみはだれかのどうでもいい人」すごく嫌なタイトルだ。 それなのに興味を惹かれて手にしてしまった。 だって、認めたくはないけれど、自分にとって特別な人ってそう多くはなくて、まして職場の人に特別な人なんてほとんどいない。残念だけど、きれいごと無しで言えばそうだろう。それは、自分にとって、だけじゃなく、人から見た自分もそうだ、と言うこと。 でも、それを認めるのは、しんどい。自分がそう言う冷たい人間だと認めるのも、自分が人にとってどうでもいい存在だと認めるのも、しんどい。 けれど、この作品では、4人の女性の視点を変えながら描くことで、それぞれが、それぞれにとって、大切ではない人だと言うことを明らかにしていく。読んでいても、結構しんどい。 そして、この作品がリアリティがあって怖いなと思うのが、そういう、人と人との関係の真実と言う面以外に、女性の働き方の違いによる、お互いへの嫉妬や不理解によるすれ違いと言う面を上手く描いていること。 これは結構あるあるで、正社員から非正規への不満もあるし、非正規から正社員への不満も当然ある。立場も違うし、仕事に対するモチベーションも違う。そういう中で、お互いに理解しあって、助け合って、お互いを尊重しあって、仕事をしていくって難しい。 どの人の不満も分かるし、本人なりに頑張っていることもわかるけど、どの人にも嫌なところもあって。自分自身の反省も込めてだけど、特に、自分と立場や価値観が違う人のことは、理解できないし、出来ないからこそ、自分だけが正しいとか、自分だけが頑張っているとか、自分だけが辛いとか思うのはいけないな、と。 個人的には、田邊さんだけは、ほとんど共感できるところがなく、母親としても、年上の同僚としても、自分の傍にいる存在だったら嫌だな、、、

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2021/07/31

2021.7.31 読了。 まずタイトルの「きみはだれかのどうでもいい人」というのは改めて突きつけられると黒く冷たい失望を感じさせる。 4つの章に分かれていて、それぞれの視点での苦しさが描いている。 タイトルはとても冷淡だけど、人は「自分さえよければそれでいい」と割り切れる...

2021.7.31 読了。 まずタイトルの「きみはだれかのどうでもいい人」というのは改めて突きつけられると黒く冷たい失望を感じさせる。 4つの章に分かれていて、それぞれの視点での苦しさが描いている。 タイトルはとても冷淡だけど、人は「自分さえよければそれでいい」と割り切れるほど単純じゃないし、人間関係に悩みながらも自分を正当化して、正当化している自分を責めながら生きているのだなと思った。 ------------------------------------------------ 第1章:中沢環 高校の合唱部では努力でソロパートを勝ち取り、第一志望の大学に合格。首席で県庁に就職。人間関係にも気を遣うエリート。 心を病んだ同僚や仕事のできないアルバイトは、「さも自分たちは傷ついて当然の被害者です」って顔しているが、やりたくないことも誰かがやらなくちゃいけないし、その分の負担を請け負っている。 弱い=被害者、強い=加害者 というあまりにいかにもな式に当てはめられてしまう。 -そんなの、知らねえよ 第2章:染川裕未 県税事務所の初動担当に配属になって、精神を病み、総務課に異動。 周りから見たら自分は恵まれている立場なのかもしれない。だけど自分だって辛いことをわかってくれる、味方になってくれる人はいないのかと苦しんでいる。 けれど辛いと発信したところで、もっとつらい、が返ってくるだけだ。 それに優しく話を聞いてくれている風でも、それは「すぐに根を上げる弱い人」と思われるだけかもしれない。 人それぞれの辛さは測れないはずなのに。 第3章:田邊陽子 20代の娘のいるアルバイト。 物事を客観的に見てその場に合わせて立ち振る舞う。 過去にあった綺麗な同僚が自殺した出来事ははっきり全容が書かれていないのでわかりにくい。 社会から誰かが誰かを傷つけることをなくすことなんてできない。それなら自分の大切な娘だけは誰かに落とし穴にはまらないように生きてほしいと願っている。 それなのにその想いは伝わらず、娘は見事に落とし穴に突き落とされてしまった。 どんな振る舞いをすれば救い出せたのか。 他の誰かが傷ついているのを見て見ぬふりしたことへの罰なのか。 -だからなに?そんなこと、わたしとなんの関係があるの? 第4章:堀 融通がきかない総務のお局。独身。周囲からは「何を楽しみに生きてるんだか」と悪口を言われる。 この章は抽象的な表現も多く、作者が何を言いたいのか解読出来なかった。 堀さんが「自分さえ悪者になればいい」と須藤美雪へのパワハラを自供したのは、過去の同僚の自殺も関係ありそうだが、急に全てを投げ出したくなったような行動をしたのも、繋がらなかった。 堀さんがこれまでの他人からの視点のような人物ではなく、繊細な人間だというのは描かれているが、もう少しわかりやすく描いてほしかった。 forget,but never forgive. 忘れるが、決して許さない。 ってどういうことだ? 初めに何が起こったのかは忘れ去られるが、許してはいけない、決して責められるべき標的を見失われない。 わかるようで全然わからん。

Posted byブクログ

2021/07/29

心が痛くなる本だった。 会社ってこういうこと多々あるよねーと同感しつつ、かといって自分だったらきっと見て見ぬふりをしてその他大勢になってしまうと思い、気分が落ち込んでしまった。

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2021/07/17

すごかった。ここまで日常の苛立ちや行き場の無い 怒りを文章として表現しているのを読んだのは久しぶり。最近平和な文章ばかり読んでいたので、こういう 本もあるということが、小説の懐の広さだよなぁと 思った。 県税事務所を舞台とした物語が、そこで働く女性達の 主観を変えながら複層的に...

すごかった。ここまで日常の苛立ちや行き場の無い 怒りを文章として表現しているのを読んだのは久しぶり。最近平和な文章ばかり読んでいたので、こういう 本もあるということが、小説の懐の広さだよなぁと 思った。 県税事務所を舞台とした物語が、そこで働く女性達の 主観を変えながら複層的に語られる。 仕事が仕事だけにクレームの内容がどぎつくて、 それだけで気が沈んでくるが、読み進めるとともに わかってくる、敵は内にありの状況。 出る杭は打たれ、無能は蔑まれる。陰口と皮肉の オンパレード。露悪的ではあるが、仕事をしていれば 誰もが感じる嫌な感じを生々しく描いている。 そんな内容なのに何故か次へ次へとページをめくって しまう。なんとも説明のしがたい引力がある。 それはおそらく、出てくる人物は皆、いやみだろうと 不器用だろうと、真剣に生きているから。 だからこそこの削られる日々の終着点はどこに あるのか、それが知りたくて読んでいたようにも思う。 やはりというか、話は特にハッピーエンドでもないし、 バッドエンドという訳でもない。人によって捉え方が 変わる。人生そのもの。 期待も失望もいらない。 ただ誰もがそれぞれの地獄を生きていると思って 生きて行けたなら、もう少し歩いてみようかと 思える気がする。 素晴らしい作品ですが、めっちゃ鬱描写が多いので、 精神が参ってるときには読まない方がいいでしょうね・・・

Posted byブクログ