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きみはだれかのどうでもいい人 の商品レビュー

3.4

79件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

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2024/09/02

地方の税務事務所。キャリアを目指す中沢、中沢と同期だが、一時期病んで光が無くなって戻ってきた染川、中沢とは親子ほどの年齢差で適当にうまくやっている田邊、厳しい課長の堀。ある日を境に、同じ部署のお荷物だったアルバイトの須藤さんが来なくなり、心的ショックによって記憶喪失となり、復職も...

地方の税務事務所。キャリアを目指す中沢、中沢と同期だが、一時期病んで光が無くなって戻ってきた染川、中沢とは親子ほどの年齢差で適当にうまくやっている田邊、厳しい課長の堀。ある日を境に、同じ部署のお荷物だったアルバイトの須藤さんが来なくなり、心的ショックによって記憶喪失となり、復職もしなくなった。職員の4人にはそれぞれ思い当たる節があるが…。 4人それぞれの視点で、須藤さんが来なくなるきっかけらしきものを回顧する、同じ時間を再現するタイプのアンソロジー作品。そして、それぞれが胸というか、内臓をぎゅっと掴まれるような辛い話である。 中沢の章では、穀潰しの妹、田邊の章では家を出ていった社会人になった娘、そして堀の章では英会話の同僚など、それぞれのまあ言うたら本編と関係ない部分が生々しく描かれており、表題にもなった田邊の章が一番描きたかったところなんだろうな。それに比べると、染川、堀の章はふわふわした出来になっている。 ガンと殴られる系ではなく、天井がジリジリ下がってくるような焦燥感しか感じない、最近の小説にはあまり見ないタイプの重さが、本作品の魅力と言える。 一方で、2章目から「誰の話なの?」と戸惑うこと請け合い。というのも、一文に主語が2つ有るような文が羅列されるのだが、2章目以降は、「誰が」という部分がなぜかぼかされており、誰がどうしたのか、そもそも今まで出てきた人なのかどうか、男か女かすらわからない状態で話が進む。したがって、章が変わると途端に読むスピードが失われる。 こういう主語を書かずにぼんやりふわっと、しかしザクザクとだれかが特定の誰かに怒りを向けているというのは、2000年代以降のスタイルなのであろうとは思う。ただ、本当に読みにくいです。 内容の重さと生々しさで★4だが、文の読みにくさでマイナス1。致し方ないところであろう。面白いのは面白いよ。 あと、表紙が実写だし、帯は大きく売りたいのはわかるけれども、もうちょいマイルドな表紙にして、読者を騙しても良かったんじゃないかな。実写の表紙は重すぎるわ。

Posted byブクログ

2023/12/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分はどの人に一番感情移入できるか考えながら読んだ。繊細なのも罪になる?振り回される側の話は今まであまり目にしたことはなく、読んでいてハッとした。考えさせられた本。

Posted byブクログ

2023/12/22

きみはだれかのどうでもいい人、というフレーズはたぶん本文の中では一度も出てこなかった気がする。その代わりに、目の前にいる人は誰かの大切な人かもしれない、みたいなフレーズは何回か出てきた。 誰かの大切な人、と思って人と接すれば良いのだろうけれど、だけどそればかり考えてしまうと自分が...

きみはだれかのどうでもいい人、というフレーズはたぶん本文の中では一度も出てこなかった気がする。その代わりに、目の前にいる人は誰かの大切な人かもしれない、みたいなフレーズは何回か出てきた。 誰かの大切な人、と思って人と接すれば良いのだろうけれど、だけどそればかり考えてしまうと自分が辛くなる。あなたはだれかのどうでもいい人、そんなこと知るか、って時にはそう割り切ることも必要なんだろう。 四人それぞれの立場や視点で、心情がリアルに描かれていた。若者と経験者、母と娘、器用な人と不器用な人。それぞれの気持ちもわかるし、痛い所を突かれたような気持ちになった。個人的には第4章が好き。

Posted byブクログ

2023/10/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

県税事務所で働く四人の女性の四つの話 それぞれに仕事のできないアルバイトの須藤さんが絡んでいる。 県税事務所のお仕事の話かと思って読み始めたが、 どれも重い… 最後の堀さんに至っては夢の話がややこしい。 須藤さんのイチゴオーレ、バナナココア、クリームラムネ…わかった時はかわいそうな気がしてきたけど、最後の巾着の中身知った時恐ろしさを感じた。

Posted byブクログ

2023/07/09

県税事務所に勤める女性達の話。4人の女性目線で、同じ事柄でもそれぞれの目から見ると全然違って見えて、人間関係の複雑さと面倒くささを改めて認識した。大体自分以外どうでも良いし環ちゃんのそんなの知らねぇに大共感やし人の振り見て我が振り直せかな。

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2023/04/16

昨今は労働強度が高すぎてみんな自分の役割を全うするだけでいっぱいいっぱいでギスギスしてる。イノセントは敗北する。

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2023/03/09

県税事務所・納税部門での仕事と人間関係について、四人の女性それぞれの立場・目線から見た日常が描かれた作品。同じような出来事でも、年齢や立場によって異なる考え方があり、読んでいて面白味を感じられた。

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2023/02/15

「キキララは二十歳まで」「バナナココアにうってつけの日」「きみはだれかのどうでもいい人」「Forget,but never forgive.」 4話収録の連作短編集。 インパクトがあるのはタイトルだけではなく、本編にも毒が散りばめられていた。 県税事務所に勤める年齢も立場も異...

「キキララは二十歳まで」「バナナココアにうってつけの日」「きみはだれかのどうでもいい人」「Forget,but never forgive.」 4話収録の連作短編集。 インパクトがあるのはタイトルだけではなく、本編にも毒が散りばめられていた。 県税事務所に勤める年齢も立場も異なる女性達。 税金を滞納する客に支払いを促すと言う仕事内容だけでも相当キツイ物があるが、ここでの人間関係といったら…。 家族ですら解り合えない事がある。 職場が同じと言うだけで他人を完全に理解するなんて不可能だ。 人間の持つ感情程、厄介な物はない。

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2023/01/06

県税事務所で滞納者への対応に当たる4人の女性の話。年齢も立場も違う4人。そこへ、「空気の読めない、仕事の要領が悪い」須藤美雪が配属され 関わりあううちに、4人の回りに少しづつ変化が訪れる。 ―あの人は仕事が出来なくてかわいそう。 あんな女にはなりたくない。自分は違う。挫折なんか...

県税事務所で滞納者への対応に当たる4人の女性の話。年齢も立場も違う4人。そこへ、「空気の読めない、仕事の要領が悪い」須藤美雪が配属され 関わりあううちに、4人の回りに少しづつ変化が訪れる。 ―あの人は仕事が出来なくてかわいそう。 あんな女にはなりたくない。自分は違う。挫折なんかするもんか。 ―これはみんながやっていること、みんなが我慢していること、みんなが折り合いをつけていることだから。ひとりだけこれ見よがしに立ち止まることなんて、許されないんだから。 ―だったら、わたしも負けたかった。 ―人には、だれでもその人らしく生きる権利がある。 弱い人間、集団になじめない人間、みんな等しくその人らしく。 でも、それが、「こちらに迷惑をかけなければ」 「目の届かない場所にいてくれるぶんには」という保証付きであるという事実からはだれもが目を逸らしている。 ✎*┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 私がおもっている私。 あの人たちが思う私。 私が思っているあの人。 あの人の心の中。 ここには絶対に隔たりはあるはず。 たった一言で、些細な態度で、気づかないうちに傷つけられたり、誰かを傷つけていたり、 逆に誰かの支えになっていたり。 生きていくうえで 人との関わりは避けられないけれど、穏やかに生きていきたいー。 ✎*┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『悪意があるのもないのも、被害者も加害者も第三者も、だれが敵でだれが味方かも、すべてがごちゃごちゃだった。』 『わたし、生きていて、いいんでしょうか。』 『そんなの、しらねぇよ。』

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2022/11/20

重たかった。 職場の人間関係って複雑だし、それぞれに職場以外のコミュニティがあって、そこでさらに人間関係があって、それは職場でしか接してない私には想像できない。 私の職場はどうなんだろう、と思いながら読み進めた。 仕事の内容も内容で、みんな必死に働いてるんだ、私もがんばらなきゃ、...

重たかった。 職場の人間関係って複雑だし、それぞれに職場以外のコミュニティがあって、そこでさらに人間関係があって、それは職場でしか接してない私には想像できない。 私の職場はどうなんだろう、と思いながら読み進めた。 仕事の内容も内容で、みんな必死に働いてるんだ、私もがんばらなきゃ、と内省した。

Posted byブクログ