いまさら翼といわれても の商品レビュー
奉太郎の中学時代の話を筆頭にどの話も面白かった。京アニ側が2期は無いと公言したらしいけど、アニメ2期をやってくれるかも?という淡い期待を抱きながら新刊を待ちます。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
古典部シリーズを読み終えて、感慨深いものを感じる。元々アニメから出会った作品だが、読み進めるほどに作品の中のキャラクターの気持ちやその変化への理解が深まり、没入できたし思いを馳せることもあった。 さて、本作だが、遠回りする雛と同じように短編集となっていた。 シリーズ全体で奉太郎の気持ちは少しずつ変化していることは感じられたが、特に最後の話「いまさら翼といわれても」では奉太郎がえるのために進んで行動することがはっきりと文章として残っていた。 「きつい思いをした後に誰かが迎えに来てくれるのは嬉しいものだ。だったら行ってやるのは、あながち、やらなくてもいいこととは言えないだろう。」 また、奉太郎が省エネ主義になったきっかけについても書かれていて興味深かった。小学生の時は他人のために動くような人間だったが、不器用だった奉太郎には難しかった。他人にバカだと思われつけ込まれるのは嫌だと感じた。 シリーズを通して奉太郎からはめんどくさい対象に思われていた姉貴だが、その姉貴が奉太郎を楽にさせたのだと感じた。 「あんたはこれから、長い休日に入るのね。そうするといい。休みなさい。大丈夫、あんたが、休んでいるうちに心の底から変わってしまわなければ…」 「きっと誰かが、あんたの休日を終わらせるはずだから。」 また、奉太郎の中学時代を描いた「鏡には映らない」でも、奉太郎はさりげなく人を助けている。 そして、里志もこっそりと協力をする。 マヤカ視点で描いたこのストーリーは、彼女自身の芯の強さや優しさも感じるし、男二人からもそれを感じられた。 遠まわりする雛では、高校1年生を通した変化を描いていたが、 今作はもっと大きな過去からの人格形成を描いていて、物語にどっぷりと入り込めたと思う。 ファンブックに近い「米沢穂脳と古典部」もとても楽しみ
Posted by
古典部シリーズ六作目。 一部摩耶花の語り口で進む作品もあり、改めて古典部メンバーの新しい側面を見る事が出来る作品集だ。 箱の中の欠落 新しい生徒会長を決める選挙において、総生徒数を上回る得票があり、選挙が無効になる事件。 1年生がミスの影響から選管委員長から犯人扱いされ、それが...
古典部シリーズ六作目。 一部摩耶花の語り口で進む作品もあり、改めて古典部メンバーの新しい側面を見る事が出来る作品集だ。 箱の中の欠落 新しい生徒会長を決める選挙において、総生徒数を上回る得票があり、選挙が無効になる事件。 1年生がミスの影響から選管委員長から犯人扱いされ、それが気に食わない里志がホータローに謎解きを依頼する。二人の関係は不思議なものだが、それぞれに信頼関係が見える。謎については目から鱗であり、読みながらトリックを考えていたがそこにいきつかなかった。 鏡には映らない 六作目まで読んでもまだまだ知らない事ばかりだ。今回は摩耶花が主人公になっているが、彼女がなぜホータローに冷たいのかという部分が明かされる。古典部シリーズではパーソナルな部分まで踏み込んだ逸話は少なかったと思うが、今作ではホータローの魅力が存分に明かされる。とても素敵な話だ。 連峰は晴れているか ホータローが中学時代の先生について気になる事が不思議だった。古典部メンバーと同じ判断だ。雷に3度打たれ、ヘリコプターが好きだと言った英語教師の小さな謎だ。 わたしたちの伝説の一冊 今回も摩耶花が主人公。漫研をめぐるトラブル、摩耶花が部活を辞めた理由。ある意味大きな決断ではあったが、これが最善だとも思えてしまう。摩耶花には少なからず才能があり、だけど才能が芽生える期間はとても短い(現実世界にも言える事だ) 長い休日 調子がいい日のホータローの休日。 彼のモットーの所以を知る事ができる。 小学生の頃はそんなこともあろうな。と俯瞰で見てしまった。少なからず似た様な経験がある様な気がする。 いまさら翼と言われても リドルストーリーになっており、読者に結末が委ねられている。次作があれば、おそらく明かされていくのだろう。えるの戸惑いや悲哀が感じられてしまう、寂しくもあり、家族にとっては彼女を大切に思うあまりの、そんな結末だ。 総じてメンバーの側面を補完する、そんな作品集だった。次作では各メンバーの更なる変化が見られそうだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前々作に続く短編集。少しずつ関係が進んだり、深まったり。まさか摩耶花が先輩と組むとは。腹を割って話して、利害関係を考えて。好き嫌いの2択だけではいられないんだな。 「鏡には映らない」が好き。熱海に罪はないからね。 「長い休日」もいい。ホータローの省エネの秘話。そして、休憩を終わらせてくれる存在。何だかんだ言いつつ、自分の変化に気づいているはず。 「いまさら翼といわれても」、続きが気になって仕方ない。いつかホータローが口をつぐんだ、えるには不適の役割を担って、二人で考えてもいいんじゃないかな。
Posted by
古典部シリーズ6作目 「遠回りする雛」以来の短編集 シリーズの中でも特にビターでほろ苦い話が多め。 古典部4人の心の変化や成長を感じると共にこの後どうなっていくのかわたし、気になります! ホータローのモットーの原点となった「長い休日」がマイベスト
Posted by
将来への不安、自分の夢、同級生・部活の部員たちとの確執……。 高校生が抱える悩みは、大人たちと変わらない。 ただ、大人たちとの大きな違いは、大人は経験の差から、ある程度の悩みの解決方法を知っていることだ。 学生たちにはそれがない。 でも、だからこそ、突っ走っていくことができる。 ...
将来への不安、自分の夢、同級生・部活の部員たちとの確執……。 高校生が抱える悩みは、大人たちと変わらない。 ただ、大人たちとの大きな違いは、大人は経験の差から、ある程度の悩みの解決方法を知っていることだ。 学生たちにはそれがない。 でも、だからこそ、突っ走っていくことができる。 それは大人になるにつれて失われていくものであり、だからこそ、悩みを抱えながらも前に進んでいく学生たちが眩しく見える。 本作の登場人物たちも、悩みを抱えながらも、前に突っ走っていく。主人公である折木奉太郎も、側からはそう見えなくても、自分の悩みと向き合いながら前に進んでいっている。 惜しむらくは、千反田えるの、その後だ。 きっと、彼女も、前に進むことができたのだろう。 叶うならば、その姿を見てみたいものである。
Posted by
シリーズを通して登場人物に愛着を持った今だからこそ、これまでで一番好きな短編集だった気がする。摩耶花の漫研での決着や、えるの将来への苦悩を見ることができて嬉しい。彼らの更なる未来が読みたい。米澤先生、どうかお願いします。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
お互い恋愛感情というわけではないのだろうが、奉太郎と千反田の信頼のおける関係が築けてきており、そのままゴールインしてくれないかなと妄想してしまう。特に最後の話の終わり方といい、この2人の関係なんかいいな…と思った。 "長い休日"も、いつかその休日を破る人物が現れるまでね、というような姉の言葉から、現状、古典部、千反田により破られつつあり、前述同様。 "鏡には映らない"では、奉太郎はそんなこじらせキャラなのか!?と思いきや、人情があって可愛い。 漫研を辞めて"夕べには骸に"に続く伝説の1冊を書くことになった伊原のその後がまた気になる。
Posted by
折木の過去、千反田の現在についての話のあまりスッキリしない感じの読後感が癖になります。 子供の頃、若い頃の心の揺らぎのようなものを思い出させてくれました。 あと、携帯電話を当たり前に持つまでいなかった不便さも懐かしかったです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集の面白さはダントツですね。 個人的には奉太郎の省エネ思考の由来がかなり驚きでした。走れメロスの解釈もそうですが、松尾芭蕉タイムトラベラー説は思わず吹き出してしまいました。 続刊待ってます!
Posted by