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いまさら翼といわれても の商品レビュー

4.2

154件のお客様レビュー

  1. 5つ

    54

  2. 4つ

    63

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2022/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 「古典部」シリーズでは一番好きな一冊。というのは、自分はミステリーに疎いし、読み進めながら謎を推理できるほど頭の回る人間でもなく、むしろこのシリーズについては、登場人物たちのどこかほろ苦い青春の描かれ方により関心があるから。本作は彼らの、特に奉太郎を軸とする関係性が微妙に変化する短編が複数、収められている。描かれる謎としては一つ一つが小さなものであっても、高校生活という有限の時間の中を生きる「彼らの物語」を次のステップへと進めるための重要なエピソードがいくつもある。  購入前から特に楽しみにしていたのは、テレビアニメでも最も好きな一話だった「連峰は晴れているか」。謎解きの後、えるが放つ「うまく言えません」のひと言が、小説ではどのように描写されているのかが最大の関心事だった。テレビアニメではあの瞬間、奉太郎に対するえるの評価に一つの決定打が与えられたかのように描かれていたが、小説版では、果たして。  存外に、というかあまりにもあっさりとした描写ではあったが、逆に良かったのかもしれない。あくまで奉太郎視点の、つまり奉太郎の観察眼に基づく描写ならばこれぐらいが限界だろうし、ここに妙な力が入れば不自然になる。  むしろ感動したのは、京都アニメーションの制作陣がこの記述からあれだけの昂奮を呼ぶ表現にたどり着いたという、その読解力と演出の力に対してだった。本当にいい仕事をしてくれたと改めて称賛を送りたい。同時に、その制作にも携わったであろうスタッフも含めて大勢が犠牲となったあの放火殺人事件が、返す返すも忌々しくてたまらない気持ちになる。いつかテレビアニメの続編が制作されたら、自分がどれほど喜ぶか想像さえもつかない。  その他のエピソードも、折木奉太郎という人間がどのようにして形成され、これからどこに行こうとしているのか、一方の千反田えるはどうか。そういうことに思いを巡らせる上では避けて通れない短編の数々で、よくぞこれらを一冊にまとめてくれたものだと思う。まるで季節が過ぎ木々が色合いを変化させるように、この文庫本一冊の中には、彼らが時と共に様相を変貌させ、ただ根幹は変わらずにあり続ける、そういう人格的な成長(あえて成長と呼びたい)の機微が美しく描かれている。

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2022/05/29

古典部のみんなの普段より深い気持ちの部分まで迫っていて面白かった。 今作も見事に安楽椅子探偵が炸裂していた。 続編に期待。

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2022/04/27

古典部シリーズの登場人物達のことをどこか遠く感じていたが、今作で人間らしさが見られて解像度が深まった。

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2022/03/17

良いタイトルでした。 古典部シリーズの登場人物達はどこか理屈っぽいきらいがありますが、そんな彼らの成長 迷い 決断 色々な気持ちが見られる短編集でした。 打ち止めのような終わり方をする話が多いですが、この先に彼らの人生が続いていくのだなと感じられるものでした。 キャラが生きている...

良いタイトルでした。 古典部シリーズの登場人物達はどこか理屈っぽいきらいがありますが、そんな彼らの成長 迷い 決断 色々な気持ちが見られる短編集でした。 打ち止めのような終わり方をする話が多いですが、この先に彼らの人生が続いていくのだなと感じられるものでした。 キャラが生きている、と感じました。

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2023/08/24

短編集。『鏡には映らない』が個人的に今まででトップクラスに面白かった。古典部の成長が少しずつ垣間見えていく様子が、物語の進行を感じさせてくれる。次のお話がいつになるかは分からないけれど、筆者は完結させると断言しておられるので、楽しみに待っていたい。

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2022/03/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古典部それぞれ目線の短編集。 遠まわりする雛で、奉太郎が自分の気持ちにふんわり気付いたからか、読んでるこっちが2人を意識してしまった。笑 本のタイトルにもなっている、最後の話は高校生なみんながどんな道を進んで行くのか知りたい気持ちが湧いた。 伯母さんは跡継ぎとしての千反田ちゃんを信じてくれていたけど、奉太郎がその重りを解いてあげて、真面目で責任感が強いえるちゃんが、えるちゃんとしての選択をしたのが良かった。 結局、合唱祭には行かなかったと解釈した!

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2022/03/05

今まで千反田えるを謎を運ぶ美少女だと思ってが、この本で見方が変わった。千反田えるは、将来が約束されていて豪農である千反田家を継ぐという覚悟を持って生きてきたのに、突然自由を言い渡されてしまった。これをタイトルが全て回収してくれる。 他にも折木奉太郎の省エネ主義の原点が書かれてい...

今まで千反田えるを謎を運ぶ美少女だと思ってが、この本で見方が変わった。千反田えるは、将来が約束されていて豪農である千反田家を継ぐという覚悟を持って生きてきたのに、突然自由を言い渡されてしまった。これをタイトルが全て回収してくれる。 他にも折木奉太郎の省エネ主義の原点が書かれている。自分が都合のいい人間に成り下がらないために長い休暇に入った奉太郎。休日から解放してくれるのは誰だろう?「やらなくていいことならやらない。やらなければならないことは手短に。」という奉太郎のモットーに重みを加えてくれる話だった。

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2022/03/03

古典部員、それぞれが主人公とした短編集。 短編なのに、内容濃いめでガツンとした読み応えが好みでした。 表題作「いまさら翼といわれても」は、なかなか考えさせられるラスト。決めるれた人生から解き放たれるって幸せや解放感だけではすまない、なんて考えも及ばなかった。 決めるれた人生が幸...

古典部員、それぞれが主人公とした短編集。 短編なのに、内容濃いめでガツンとした読み応えが好みでした。 表題作「いまさら翼といわれても」は、なかなか考えさせられるラスト。決めるれた人生から解き放たれるって幸せや解放感だけではすまない、なんて考えも及ばなかった。 決めるれた人生が幸せなのか不幸なのかは他人が決められることではない。

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2022/02/23

古典部シリーズ第6弾。 なかなか込み入った話になってきたなぁ。 「いまさら翼といわれても」 そうだよなぁ。第7弾では答えが出てるのかな?心配な終わり方だった。

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2022/02/12

直木賞受賞のニュース見てふと探した読んでなかった古典部シリーズ。このシリーズとか、同じくらいの世代で読んでたら感じ方全然違ったんだろうなーって言う読後感を毎度覚えてる気がする。

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