いまさら翼といわれても の商品レビュー
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奉太郎の過去の話はやっぱり少し辛い。 表題の話がやっぱり印象的。今まで描かれなかった千反田えるの苦悩が描かれて、苦しむ千反田への寄り添い方がすごく奉太郎らしくて。表題の表現がすとんと落ちてきた。
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古典部シリーズ最新作。表題作を含めた全6編が収録されている。今まで謎に包まれていた(?)奉太郎やえるなどの登場人物の掘り下げが行われて、この時期にこのタイミングで読むべき作品だと感じた。 「箱の中の欠落」は神高生徒会選挙の不正投票にまつわるお話。私の中学では、他の学年は9クラスにも関わらず、私の学年だけ7クラスしか無かったことが思い出された。子供の数も変わるが、学校が「ある」事実は変わらない。当たり前のことに気づいて、謎解きとして昇華した手腕は流石…。 「鏡には映らない」は伊原が語り部。中3の卒業制作で奉太郎の班が手抜きをし顰蹙を買った事件を思い起こし、その真相を探るお話。奉太郎に対してあたりの強かった伊原が、「何か理由があるのではないか」と推理(?)に奔走するのは新鮮で面白かった。卒業制作にこんな悪意ある仕掛けを施すなんて、恐ろしい女子もいたものだな、「熱海に罪はない」もんね。 「連峰は晴れているか」はひと足先にアニメ化されていたような…?ヘリコプターが好きな英語の先生についてだが、本当は…。 「わたしたちの伝説の一冊」。またまた伊原視点のお話。文化祭以降、漫画研究会の権力争いは熾烈を極め、それに巻き込まれていく伊原。他が誰も言わないから、だんまりを決め込んでいるから自分が意見を言っただけなのに、矢面に立たされ責められる。学生時代特有の人間関係の悩みは、引きずれば引きずるほど泥沼化していくので、伊原が漫研を退部したのは「英断」だと思う。時間は有限…。 「長い休日」は奉太郎がホータローたらしめる「やらなくていいことはやらない」の原点となったお話。何でも文句を言わずに頼み事も聞いていた小学生の奉太郎は、同級生にも先生にも、自分が便利に使われていたことに気づき、絶望したのだと思う。 「お互い様だから手助けしようと思っても、相手もお互い様だと思ってくれるとは限らない。感謝して欲しかった訳じゃない。」 それでも古典部の一員として過ごしてきた奉太郎の根底には、この頃の「優しさ」も残っている。お姉さんが言うように、奉太郎の長い休日を終わらせようとしてくれるのは、える達古典部のみんななんだろうなぁ。 最後は表題作の「いまさら翼といわれても」。困っちゃうよな!前までは周囲も家を継ぐのだと言って、自分もそれに納得して決意したのに、「自由に生きなさい」なんて言われても…。真っ暗闇を懐中電灯無しに歩けって言われているようなもの。後ろにも行けないし、だからと言って前にも進めない。そんなえるを古典部員は責めないけれど、「千反田の娘」として見てきたその他周囲の人々がどんな反応をするかはわからない。社会の波は思った以上に大きくて冷たいから…。えると奉太郎は、どんな生き方を選んで3年生を迎えるんだろうか…?続きが気になる…。アニメ化もお願いいたします。
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「箱の中の欠落」 あんまり、トリックも微妙で犯人・動機に関しては明記されない 「鏡には映らない」 奉太郎の過去話。奉太郎っぽさもあり、意外な一面も見れて良い。摩耶花視点なのも新鮮 「私たちの伝説の一冊」 つまらない、ミステリー要素もなくファン向け?
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ほーたろーの省エネ主義なのに、他人をあたりまえに思いやれるところが好きだな。 省エネ主義になった理由とか、その経験から来る他人への気遣いゆえの千反田への行動とかがすごく綺麗に書かれてた。
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漫研のしょうもないいざこざ以外はとても面白かった。実際の学校でもああゆう派閥争いってあるのかな? 井原と折木の関係って、どこかよそよそしい。 この2人の会話は扱いづらそうと、前作やアニメで何となく思っていた。 まさか、こんな過去があったなんて。 後付けかどうかは分からないけど、...
漫研のしょうもないいざこざ以外はとても面白かった。実際の学校でもああゆう派閥争いってあるのかな? 井原と折木の関係って、どこかよそよそしい。 この2人の会話は扱いづらそうと、前作やアニメで何となく思っていた。 まさか、こんな過去があったなんて。 後付けかどうかは分からないけど、とてもスッキリ 最後の話も良かった 多分、歌詞が関係するんだろうなあ。でもたかが歌詞が原因で、あの千反田が約束をぶっちするのは、少しやりすぎかもなあ。 なんて思っていた。 だけど読み終わって今振り返ると、全く無理矢理感はない 「いまさら翼といわれても」 めちゃくちゃ良いタイトルだと思う。 何よりもまず、謎解きの知能レベルが自分とマッチしているのが良い。 大学で言うと、MARCHくらい。
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古典部シリーズ第6弾! あっという間にここまできてしまいました。 ハウダニット?失踪人探し、米澤穂信さんって 正真正銘のミステリオタクだなを感じざるを得ない。 古典部4人の過去とこれからのお話でした。 めちゃくちゃ瑞々しい。若い、中学、高校のお話。 なのに読み応えはめちゃくちゃビ...
古典部シリーズ第6弾! あっという間にここまできてしまいました。 ハウダニット?失踪人探し、米澤穂信さんって 正真正銘のミステリオタクだなを感じざるを得ない。 古典部4人の過去とこれからのお話でした。 めちゃくちゃ瑞々しい。若い、中学、高校のお話。 なのに読み応えはめちゃくちゃビター。 この塩梅が本当心地よくて抜け出せない……! まず摩耶花ちゃんの苦悩と選択。 サッとそばで見守り支えるふくちゃんの図。 そしてずっと気になっていた奉太郎の過去。 なにがあって、いまの奉太郎なのか。 小学生ながらにこれを突きつけられるのは辛いよ… まだランドセル背負う年頃なのによ…。 長い長い休日を経て、出会った千反田えるの救い! そしてえるたその責任と逃れ、、、 表題作はどうしても胸が痛く泣けてしまった ああああぁあぁぁ続きが読みたい。 どうしても読みたい!!!!!! 第7弾、いつまでもいつまでもお待ちしております!!!
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シリーズ6作目にして一番好みなやつがきた。 というか「読み続けたからこそのクリティカルヒット」という気がしないでもない。 いつもの4人のこれまで見せたことの無い顔が見られる短編集だった。 もうそのエピソードを思い出すだけで、胸が痛いやら騒がしいやらで平静を失ってしまいそうになる。...
シリーズ6作目にして一番好みなやつがきた。 というか「読み続けたからこそのクリティカルヒット」という気がしないでもない。 いつもの4人のこれまで見せたことの無い顔が見られる短編集だった。 もうそのエピソードを思い出すだけで、胸が痛いやら騒がしいやらで平静を失ってしまいそうになる。 本一冊にここまで動揺させられるとは。 続編まだですか。
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短編集ですごく読みやすかったです。 この本を読む前に原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を読んでいて、選挙関係のお話の始まりだったのでちょっと読むのが憂鬱でしたが(これは自分が悪い)その後の章からはすらすら読む事ができました。 いまさら翼といわれても。確かにこの話は学生の人に...
短編集ですごく読みやすかったです。 この本を読む前に原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を読んでいて、選挙関係のお話の始まりだったのでちょっと読むのが憂鬱でしたが(これは自分が悪い)その後の章からはすらすら読む事ができました。 いまさら翼といわれても。確かにこの話は学生の人に多く当てはまる現象だなと思いました。自分の人生を振り返ってみると野球を小、中、高と続けていてその後に就職だ、進学だなど、何かやりたい事はないのか?などと聞かれるケースが多々あった。その時は今まで野球しかしてこなかったから、他の選択肢が何も見えなかった。千反田さんとは違う状況かもしれないが、これからも野球を続けていくんだという盲目的な心理に陥っていて、引退した後は「はい、今から君の好きな事、やりたい事、を選んで人生を決めなさい。」といわれても。何をしていいのかさえ分からなかった。 自分の人生のレールを引き過ぎて、特急列車にしかならないよりも、各駅停車でゆっくりと。いろんな路線に可能性を見出して走っていこう。 ってあの頃の自分に言いたい…
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『いまさら翼といわれても』 2023年9月30日読了 古典部シリーズのもっとも新しい作品。 といっても10年ほど続編が出ておらず、ファンは心待ちにしていることだろう。 本作は短編集であり、いくつかの作品が盛り込まれている。 中にはアニメ版に含まれる作品もあり、 どちらが先に完成していたのか気になるところ…。 本作ではあまり語られてこなかった折木奉太郎の過去について、 断片的ではあるが取り上げられた作品があり興味深い。 中学卒業間近に起こったある事件とか、 奉太郎を「省エネ主義」たらしめたある出来事とか。 そんな充実した中身の濃い短編の中でも、 やはり標題にもある「いまさら翼といわれても」が一番心に残った。 高校時代、やりたいことがいっぱいあって、何にでもなれると思っていた。 でも、やりたいこと全部できるほど器用じゃないって自分が一番知っていた。 だからこそ、自分のやりたいことが決まっている同級生が輝いて見えていた、 そんな頃。 決まっているはずだった進路、そうするしかないと思っていた未来。 それが崩れたとき、今更ながら何にでもなれると告げられたとき、 私ならどうするだろうと考えてしまった。 自分に折り合いをつけていたはずなのに、 急に道が開けてしまったならば、混乱し、迷い、恐れるのかもしれない。 そんな過ぎ去ってしまったはずの悩みを、 思い出させてくれる短編でした。
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〈古典部〉シリーズの6作目兼最新作読破しました! 今作は時系列はバラバラだけど、今までの話の補足や登場人物たちの人となりを読み解く上で大切なお話ばかりの短編集でした。 今回は伊原さんしてんの作品が2点ありました。そのうちの一つでは、前作でいつの間にか退部していた漫研を退部するま...
〈古典部〉シリーズの6作目兼最新作読破しました! 今作は時系列はバラバラだけど、今までの話の補足や登場人物たちの人となりを読み解く上で大切なお話ばかりの短編集でした。 今回は伊原さんしてんの作品が2点ありました。そのうちの一つでは、前作でいつの間にか退部していた漫研を退部するまでが描かれており、謎が解けてスッキリしました。もう1つでは、シリーズでは初めて伊原さんが「探偵役」をしていて、いつもとは違うストーリーの進め方や視点が非常に面白かったです。 普段かなりドライに見える折木の小学校時代や中学時代の話では、読んだ後折木への印象が変わりました。 最終章『いまさら翼といわれても』では、あらすじ的にはまたいつもみたいな謎解きかなとも思ってたんですけど、謎解きのあとの千反田さんと折木の絡みが、千反田さんの人生における分岐点的な話且つその後がすごく気になる形で終わっていました。謎解きに埋もれがちではありますが、彼らもまだ高校生。この先の人生について考える機会の多い年頃で、自分の進路について悩んでいた過去を思い出しながら読みました。 最新作が益々気になる形で終わっており、発売が待ちきれません。
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