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朝が来る の商品レビュー

4.1

648件のお客様レビュー

  1. 5つ

    204

  2. 4つ

    299

  3. 3つ

    100

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    3

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2025/06/01

中学生で妊娠した女性と、その子どもを特別養子縁組で授かった40代の夫婦の話。 妊娠した女性は意図しなかったこととはいえ、自分の子どもなのに親の意向により育てることはできないのかと葛藤を抱える。 その中で、少しでも「まともな」家庭に養子にいってほしいと願うなかで、該当の夫婦に預ける...

中学生で妊娠した女性と、その子どもを特別養子縁組で授かった40代の夫婦の話。 妊娠した女性は意図しなかったこととはいえ、自分の子どもなのに親の意向により育てることはできないのかと葛藤を抱える。 その中で、少しでも「まともな」家庭に養子にいってほしいと願うなかで、該当の夫婦に預ける際に一度だけ面会することになる。 その場面では中学生という年齢でありながら、自分の子どもを引き渡すという覚悟のもとに、引渡す夫婦に言葉少なながら感謝と託す言葉を伝える。 ※以下、若干のネタバレを含みます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その後は紆余曲折があり、子どもも生きている意味も見失うが、あるきっかけで、子どもを引き渡した家庭で「生みの親」としてしっかりと家族の記憶の中で大切にされていることを知る。 それが生きる意味として彼女の中に唯一の光として刻まれる。

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2025/05/31

佐都子の人柄に惚れる。前半の不妊治療の苦労の末の特別養子縁組。子供にも周りにも堂々と養子だと話せる強さだったり、子供を真っ直ぐ信じて戦える強さに素敵な人だなと思った。その真逆でひかりには残念な気持ちになった。自ら大変な方に進んでるとしか思えなかった。。

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2025/05/29

養子や不妊治療について解像度が上がった。 ひかりの若さ故の苦しみと、主人公夫妻の大人故の苦しみが印象的だった。 他人のことをここまで客観的に考えられる機会もないと思ったのは、作者の心情表現のリアリティ故だと思う。 ひかりの他人のことを理解した気になる思考は重なるところがあるし、物...

養子や不妊治療について解像度が上がった。 ひかりの若さ故の苦しみと、主人公夫妻の大人故の苦しみが印象的だった。 他人のことをここまで客観的に考えられる機会もないと思ったのは、作者の心情表現のリアリティ故だと思う。 ひかりの他人のことを理解した気になる思考は重なるところがあるし、物語の中でたびたび登場する「明け透け」な人たちの存在にも共感できた。やはり、社会の人たちは何も考えてなかったり理性的ではないものだ。感情の側面が大きい。 最後に人生は選択の連続で思うようにならないことが多くあるんだと漠然と思いつつ、現在は何不自由のない自分の生活に感謝を覚えた。

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2025/05/24

片倉ひかりという人物に強く心を引かれました。 それは、片倉ひかりがどこか自分と重なる存在だったからだと思います。 自分ではない誰かの人生が、羨ましくて仕方がない。 どうして自分はこうなんだろうと、苛立ち、拗ねてしまう。 その人の幸せを素直に祝えず、どこかで妬んでしまう。 そんな...

片倉ひかりという人物に強く心を引かれました。 それは、片倉ひかりがどこか自分と重なる存在だったからだと思います。 自分ではない誰かの人生が、羨ましくて仕方がない。 どうして自分はこうなんだろうと、苛立ち、拗ねてしまう。 その人の幸せを素直に祝えず、どこかで妬んでしまう。 そんな感情が、自分の中にも確かに存在する。 そして、「自分だけが知っている痛み」や「自分にしかない小さな経験」にもすがりたくなる気持ちが、わかってしまった。 誰にも理解されない自分に意味を持たせたくて、その痛みさえもアイデンティティのように抱えてしまうことが、私にもあると思います。 けれど、私とひかりには決定的な違いがあるとも感じました。 私は、自分の中にあるその嫉妬心や醜い感情を、「なぜそう思うのか」と冷静に見つめることができる。 「ああ、私はいま、こういう理由でこの人を羨ましく思っているんだな」と、自分を客観的に捉えようとする力が、少しずつだけど備わってきている気がします。 だからこそ、ひかりの人生が、自分と重なるようで重ならない、その微妙な距離感が、読んでいてとても苦しく、居心地の悪さを感じました。 自分の影を見ているようで、目をそらしたくなる。 でも、ちゃんと見つめなければいけない気がして、最後まで読まずにはいられなかった この本から、私は自分の中にある弱さや、隠したいと思っていた感情と向き合わされました。

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2025/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

両親の子供への投影が強すぎて、子供を理解しよう、自分たちの考えとは同じじゃない信じようと言う気持ちの違いがひかりの両親と朝斗の両親での対比があった。子どもは親に理解してもらいたいと思って生きている。それを無碍に扱ってしまうと、大人を信頼することができなくなり、頼ると言うことができなくなってしまう。 第一章では佐都子と朝斗の幼稚園での話が中心となり、子供の言葉を信じる葛藤が描かれており、そんな中、ひかりから連絡が来て金銭の要求が子どもを返してもらうように言われる。この時はひかりの背景を知ることになるとは思っていなかったため、朝斗の両親に感情移入していた。 第二章では不妊治療の経過を追う。両家の母親は心無いことをいったりさまざまな葛藤がありながらも佐都子は妻として振る舞っていた。そんな中養子縁組が決定する。 第三章ではひかりの13〜21歳について。平凡すぎる視野が狭すぎると感じて育った栃木で目新しく誰もやっていないことをやってる優越感を感じながら生活をしている。しかし、両親の子どもへの投影に嫌気がさし、家出をするも、人を頼れず、相談もできずに人生が転がり落ちてしまう。 第四章でひかりと佐都子と朝斗が交わる 読んだ人によってどこに感情移入するかは変わるかもしれないが、この本はひかりが主人公だったんだと思った。

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2025/05/18

最後の数ページでさまざまな思いが溢れ、一行読むたびに涙を拭っていた。あんなに生意気に思っていたひかりのことを、気づくと、頼むから残りの数ページで救ってくれと切に願っていた。 辻村さんはどの作品でも、ひとつの出来事を複数の登場人物の視点から描く方法をよく用いる。そうすることで、一...

最後の数ページでさまざまな思いが溢れ、一行読むたびに涙を拭っていた。あんなに生意気に思っていたひかりのことを、気づくと、頼むから残りの数ページで救ってくれと切に願っていた。 辻村さんはどの作品でも、ひとつの出来事を複数の登場人物の視点から描く方法をよく用いる。そうすることで、一人の視点では見えなかった事実が見えてきたり、出来事の見え方がまるっきり変わったりすることに毎回驚かされる。 日常生活においてはいろんな人の視点で物事を見つめることはできないが、多角的に見ようと努めることはできる。自分の視点だけに拘っていないか、見落としてしまっていることがあるのではないか、と思いをめぐらせることはどんな場面でも重要だ。 以下、それぞれの登場人物に思ったこと✍ 【佐都子と清和】 彼ら夫婦を見て、あまりにも甘く考えていると感じた。30歳で結婚して35歳になって周りに急かされるまで、妊娠・出産について深く考えていないとは。 確かに、結婚や妊娠は2人の問題であり、たとえ実の親であっても周りから口を出されることに対する嫌悪感は少なからずある。当の本人がそれらに関して、心のどこかで「向き合わなければいけない問題だ」と認識していればいるほど、他人からの口出しには反発心や怒りの感情を抱いてしまう。 しかし佐都子たちが甘いのは、結婚前はおろか、結婚してから5年間も「いつか子どもができたらいい」としか話し合っていなかったことだ。しかもその認識を突き詰めると、一方は子どもはいなくてもいいと思っているが、もう一方は本当は子どもがいたらいいという気持ちを持っており、認識にずれがある。 結婚となれば「子どもはほしいか」「ほしいならいつ頃までに何人ほしいか」「自然に授かれなかった場合、不妊治療をするか」等を、卵子・精子の老化や不妊治療の各ステップでかかる費用などの情報をたずさえて、じっくり話し合うべきだ。 こう思うのは最近、不妊治療を取り上げるメディアで見知った部分も大きいが、私自身、佐都子と同じく結婚するまで結婚したら妊娠するものと思っていたタイプで、病院に行って始めて実際はそうではないケースが多いと痛感したためだ。 【ひかり】 ひかりが中学時代に抱いていた、母や周囲への思いには身に覚えがあった。私も子ども時代、「大人は何も分かってない、子どもは何も考えていないと軽んじている」と腹を立てていた。そして自分はそんな大人にはならないようにしようと心に誓っていた。 けれど大人になった今、ひかりを見ていると思う。大人からすると、やはり中学生も十分子どもだ。あの頃の自分も、性交渉や妊娠について詳しく知らなかったし、リスクも知らずに、性経験がある人のほうがかっこいいと思っているフシがあった。 無知であることはある意味無敵で、親や大人に守られて保たれる安全地帯にいることにさえ無自覚だった。 一方で大人側も、大人の都合が見え透いてくるこの年代の子に、都合のよい事実だけを伝えて理解してもらうには限界があることを覚えておきたい。 学生時代の私たちに真正面から性教育をしてくれる大人はいなかったし、真偽は分からない噂レベルの知識ばかりが増えていく危うさがあった。だから近ごろ、大人が恥ずかしがらずに性教育することの重要性が叫ばれているのだろう。 ひかりがきちんとした性教育を受けられる家庭や学校にいたら違う道をたどっていたのかは分からない。しかし若い子は誰でも、ひかりと同じ道を辿ってしまう可能性は十分にある気がした。

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2025/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不妊治療中に読んだ作品。とてもとても心に残った。アサトって名前とっても好きになった。 本当に神様って不公平と思ってしまう事柄の1つに子供が授かるか問題だと思うこのご時世。 努力してもお金があってもいくら環境を整えても手に入らない人がどんだけでもいる半面、望まない妊娠をしてしまう人、どうしても環境を整えられない人達もいる。 特別養子縁組はとても良い制度だと思う。 妊娠、出産はとてもおめでたいことである一方で人生が全く変わる出来事だと思う。中学生の子は妊娠してから人生が狂ってしまった。貧困は負のループを生んでしまうし、これでもかってくらい不幸の連続で心が傷んでいったが、最後に抱きしめてくれる人と出逢えて良かった。朝が来ていくらでもやり直せる、そう思いたい作品だった。どう考えてもひかりに感情移入してしまった。

Posted byブクログ

2025/05/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「養子縁組」における、育ての母の目線・養子を産んだ母のお話。 最初は、私自身の境遇に近いこともあり育ての母である佐都子に共感しました。ただ、読み進めていくと産みの母であるひかりのストーリーが余りにも悲しく、どうにか彼女に救いを…と思います。 子どもを産まずに母になった女性と、 思春期真っ盛りの少女が母になる姿の対比が印象的でした。 ひかりが朝斗の母であることを誰にも気づいてもらえなかったシーン、栗原家のイメージの「広島のお母ちゃん」を守るために嘘をつくひかりの姿はとても苦しく涙が出ました。 ひかりがこの先、どうか信頼できる人のそばで健やかに暮らせる日が来ますように。

Posted byブクログ

2025/05/11

終わりが急すぎて訳が分からなかった。養母がその行動をとった理由をもっと知りたかった。実母のエピソード削ってでも入れて欲しかった。

Posted byブクログ

2025/05/06

一気読みした。辻村深月読みやすい。 佐都子とひかりそれぞれの人生から、自分もあんなふうに苦しむ可能性があったかもしれないしこれからあるのかもしれないと思った。他人事じゃない気がした。 信頼した相手を自分から見放すこと、見放されることが繰り返されるのって、ものすごくつらいよね。 ...

一気読みした。辻村深月読みやすい。 佐都子とひかりそれぞれの人生から、自分もあんなふうに苦しむ可能性があったかもしれないしこれからあるのかもしれないと思った。他人事じゃない気がした。 信頼した相手を自分から見放すこと、見放されることが繰り返されるのって、ものすごくつらいよね。 あとは、やっぱり子どもは大事な存在だよね!教育や福祉にお金をかけてほしいし、自分が子どもと関わる仕事をしてるからこそ今自分に何ができるんだろうと思った。

Posted byブクログ