朝が来る の商品レビュー
不妊治療、養子縁組、未成年の妊娠・出産、搾取。見せないようにしても確かに「現実に起こっている」「現実に在る」こと、とフィクションだけれど感じた。 不妊治療の末、養子を迎えた佐都子と、15才で出産したひかり。主に二人の視点で丁寧に感情が描かれている作品。 結婚したら子供を持つの...
不妊治療、養子縁組、未成年の妊娠・出産、搾取。見せないようにしても確かに「現実に起こっている」「現実に在る」こと、とフィクションだけれど感じた。 不妊治療の末、養子を迎えた佐都子と、15才で出産したひかり。主に二人の視点で丁寧に感情が描かれている作品。 結婚したら子供を持つのが当然だと思う親。 妻が不妊治療に行くのは推奨しても、自分が行くのは躊躇する夫。 堕胎した(と思っている)彼女を前に、自分が一番傷付いたと思っている彼氏。 想像力の欠如は人を傷つける。 佐都子もひかりも、血で繋がっている相手より、相手の思いを想像しようとする相手との間の方が、良いエネルギーを生み出す繋がりが生まれるのが皮肉のようで面白い。 友達を傷つけた疑惑をかけられた子供に。 不妊の原因が自分にあると知った夫に。 養子縁組に反対した親に。 そして、養子を産んでくれた実母に。 誰に対しても誠実に対応しようとする佐都子に、この作品の救いを感じた。
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本人にしかわからないどうしようもない気持ちが小説だからこそありのまま読める。 周囲から見えている姿がどんな葛藤や苦しみを通して、そうなったのかとか、どうしてその行動に至ったのか、異なった立場の二人から読み解くことができて読み終わった後二人分の人生がずっしりと胸にきた。 不妊治療や...
本人にしかわからないどうしようもない気持ちが小説だからこそありのまま読める。 周囲から見えている姿がどんな葛藤や苦しみを通して、そうなったのかとか、どうしてその行動に至ったのか、異なった立場の二人から読み解くことができて読み終わった後二人分の人生がずっしりと胸にきた。 不妊治療や養子縁組、そういったテーマを通して、初めて知ることも多かった。 でもその初めての知識よりも心に残ったのは、その苦しみや葛藤の本当のところは本人にしかわからないということだった。一人では生きられないのに、人の気持ちも理解しきれない、本当に人生って難しい。
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特別養子縁組をテーマとした社会派ミステリー。それを子どもを養子として受けた側の栗原佐都子の視点での前半、子どもを養子として出した側の片倉ひかりの視点での後半に大きく分かれる。 読み応えのある小説だった。後半、重苦しい展開が続き、残り少ないページ数でいったいどうなるのかと気をもんだ...
特別養子縁組をテーマとした社会派ミステリー。それを子どもを養子として受けた側の栗原佐都子の視点での前半、子どもを養子として出した側の片倉ひかりの視点での後半に大きく分かれる。 読み応えのある小説だった。後半、重苦しい展開が続き、残り少ないページ数でいったいどうなるのかと気をもんだが、最後は、タイトルどおりの希望の見える感じで終わり、じんと来た。 片倉ひかりの人生は、どうしてこうなったという感が強く、周囲の大人が適切に介入できれば、どこかでなんとかなったのではという思いにかられた。
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不妊治療・特別養子縁組と重たいテーマ。 ん?と思う突っ込みどころはありましたが、最後は感動しました。
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養子の子を軸にした、二人の母親の話。 1章でがっつり物語に引き込まれ、 2章でしっかり泣かされ、3章で堕とされ、4章で…という構成。 ちょっと早いですが25年度一番面白かった本です。笑 個人的には2章が、佐都子さんと近い年齢ということもあり、ずしんときました。 3章は本当に...
養子の子を軸にした、二人の母親の話。 1章でがっつり物語に引き込まれ、 2章でしっかり泣かされ、3章で堕とされ、4章で…という構成。 ちょっと早いですが25年度一番面白かった本です。笑 個人的には2章が、佐都子さんと近い年齢ということもあり、ずしんときました。 3章は本当に読み進めるのが辛かったけど、物語の随所で訪れる泣かせポイントに全部引っかかったと思います笑 また読みたい本です。 以下、好きな文とその感想。 p62「朝斗のことは絶対に忘れない、と、あの子のお母さんは書いています。これから先何をしていても、今、あなたが何歳で、何をしているだろうということを一生考え続けるだろうけど、どうか、幸せになってほしいと」 →子供のために願うことって本当にこれだけだと思います。少し似た経験をしている私にはすごく刺さりました。 p133血のつながりに甘えたからこそ、自分たちは大事なことを言葉で話し合ってこなかった親子だった。 気まずい話題を避けるように、話し合いの電話は、大事な部分に差し掛かると「じゃあね、私はともかく反対だからね。伝えたからね」と一方的に切られてしまう。ーー母もまた、娘にどう話せば良いのか、言葉を知らない親なのだ。 〜中略〜 血のつながった実の親と喧嘩のような話し合いをしながら、家族は、努力して築くものなのだと、思い知る。 →すごく思い当たるところがあります。私の家族も話し合うことなど皆無で、バラバラの状態なので。 大事なことほど、向き合って話すのって辛いと思います。でもそうゆうことを乗り越えて、人と人との関係性って強く築いていけるんだろうなって思います。 「家族は努力して築くもの」忘れたくない言葉です。
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映画をみていたような 満足感、充実感につつまれる。 2人の母親の それぞれ違う愛情の深さに ため息が出る。 母性の強さに 感動するため息。
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するする読めた。映画も観たけどあんまり覚えてないからまた観たいな。優秀な姉、姉と同じ高校に行けず、親から期待もされていないひかりが私と同じ境遇で、すごく気持ちがわかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不思議な読後感。前半は興味深く読み、後半から重たい展開に心が痛んで読み飛ばして。 ラストの僅かな流れの中で、とても心地良い終わり方になりようがないと思い、がっかり。 ところが最後に思い掛けず、希望の灯りが灯されて、心穏やかに読み終えることができました。 ありがとうございます。 この後の家族三人と広島のお母さんが、幸せに暮らすことを願わずにいられません。
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面白かった。 2人の母親の物語。 不妊治療を経て養子として新しい家族を迎えた主人公の物語と、家族から離れ誰にも縋れず暗く深い闇に堕ちていくもう1人の主人公の物語。 「朝が来る」というタイトルが2人の息子を表してるのと、長い長い夜が明けるという意味でもあるのだと思いました。 いい小...
面白かった。 2人の母親の物語。 不妊治療を経て養子として新しい家族を迎えた主人公の物語と、家族から離れ誰にも縋れず暗く深い闇に堕ちていくもう1人の主人公の物語。 「朝が来る」というタイトルが2人の息子を表してるのと、長い長い夜が明けるという意味でもあるのだと思いました。 いい小説でした。河瀬直美さんのあとがきも良かった。
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半日で読み切ってしまった。 不妊治療中なので、何か今後へのヒントを求める気持ちもありつつ図書館で借りた。 結果的に目的の部分で得るものがあったかは微妙なところだけど、話としてとても読みやすく面白かった。登場人物が想像しやすい。
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