Red の商品レビュー
夫と娘と、夫の両親と暮らす塔子。妻であり、母であり、女である。夫と三年セックスがないところにかつての愛人が現れる。ある日、子供が怪我をする。夫は、「そういう時、普通子供からみを、はなさないだろう」という。塔子は、「普通って」と夫に向かって言いかけた言葉を飲み込む。愛人との濃密な性...
夫と娘と、夫の両親と暮らす塔子。妻であり、母であり、女である。夫と三年セックスがないところにかつての愛人が現れる。ある日、子供が怪我をする。夫は、「そういう時、普通子供からみを、はなさないだろう」という。塔子は、「普通って」と夫に向かって言いかけた言葉を飲み込む。愛人との濃密な性描写に圧倒されるが、この作品は「普通」をめぐる物語。エピローグにたどりついて、普通の意味がわかる。
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長々と続いた割にはラストは意外とあっけなくあっさりしていたように感じた。 ドンデン返しの展開を期待していたので残念だった。 みんな自分勝手で共感できるところが少なかったし、エロ漫画を小説にしました!的な展開が多かった。 わたしには合わなかった作品だったが、働きながら育児する女性の視点は面白いと思ったのと、度々出てくる料理の美味しそうで表現の仕方が上手だなぁと思った。
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塔子も鞍田さんも結局結婚に向いてなくて、じゃあ自分はどうだろうって考えさせられた。死ぬまで女として生きること、母親として生きること、どちらを選ぶ?もしかしたら結婚生活って私が想像してる何倍も窮屈で諦めることなのかもしれない。 映画も観たけど、原作のラストの方が好き。
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生きてきた環境の違う人間同士による、どうしようもない価値観の違い。 鞍田さんは終始ずるい男で、真くんはいつも無自覚に人を傷付ける男。 『女』というしがらみの中で生きる塔子の二人の間で揺れ動く心情が細かく書かれていて良かった。 読み手がクラクラする様な熱を帯びた男女の描写も…...
生きてきた環境の違う人間同士による、どうしようもない価値観の違い。 鞍田さんは終始ずるい男で、真くんはいつも無自覚に人を傷付ける男。 『女』というしがらみの中で生きる塔子の二人の間で揺れ動く心情が細かく書かれていて良かった。 読み手がクラクラする様な熱を帯びた男女の描写も…全て描き方が魅力的。 纏まった言葉では表せない何とも言えない感情が次々と溢れてきます。
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うーーーーーん、個人的には好きじゃないかも。。 塔子がチョロすぎてイライラしてしまった。 義母や義父との同居のストレスは、細かな描写からあたかも自分の身に起こっているかのように感じられた。読んでて息詰まるし、誰も救われないってのがまた苦しい。
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濃密な描写に少し驚いた。 子を持ち、夫の両親と同居する30歳の塔子が主人公。 母としても妻としても優しく、義両親にも気を使って、あらゆることに疲れてしまった女性としての鬱屈がすごくよく描写されていた。特に、保育園が見つからなくてやむなく専業主婦でいたところから、再び働きに出るまで...
濃密な描写に少し驚いた。 子を持ち、夫の両親と同居する30歳の塔子が主人公。 母としても妻としても優しく、義両親にも気を使って、あらゆることに疲れてしまった女性としての鬱屈がすごくよく描写されていた。特に、保育園が見つからなくてやむなく専業主婦でいたところから、再び働きに出るまでの心の動きなど、現代の女性が共感しやすいところ。「男女平等」「女性活躍」とは口ばかりの国で、妻・母・義理の娘・会社員、などあらゆる顔を持ちながら、それらの全てを完璧にこなすことを当たり前のように求められることに対する心の叫びが辛い。
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なに一つ不足のない結婚生活を送っているはずの女性が主人公。不倫の世界に足を踏み込んでしまい、そこから段々と、不足がないと思っていた結婚生活にさまざまな不満が募ってくる。物語は女性視点で進んでゆくが、登場する男性たちもそれぞれに個性的。かっこいいだけ、軽薄なだけでない人物設定と展...
なに一つ不足のない結婚生活を送っているはずの女性が主人公。不倫の世界に足を踏み込んでしまい、そこから段々と、不足がないと思っていた結婚生活にさまざまな不満が募ってくる。物語は女性視点で進んでゆくが、登場する男性たちもそれぞれに個性的。かっこいいだけ、軽薄なだけでない人物設定と展開に引きこまれてゆく。
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興味があった島本さんの話題作をようやく読了。 ひとつの夫婦の苦悩を描いた物語。 妻目線で物語は進み夫との関係と家庭問題。性のこと。 過去の恋人の出現により揺れる心。 妻自身も仕事を持つことにより芽生えた自立心。葛藤。 自分的にはこの物語の中心の夫婦に共感する部分は一切なく。 勝手...
興味があった島本さんの話題作をようやく読了。 ひとつの夫婦の苦悩を描いた物語。 妻目線で物語は進み夫との関係と家庭問題。性のこと。 過去の恋人の出現により揺れる心。 妻自身も仕事を持つことにより芽生えた自立心。葛藤。 自分的にはこの物語の中心の夫婦に共感する部分は一切なく。 勝手なもんだなと冷めたかたちで読んでいました。 もっともらしい意識付けをして体を簡単に許すあたりにも嫌悪。 物語的にも終着点がよく分からず。 自分に合わない世界観、作品でした。
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ああ。 悲しいでもなく、寂しいでもなく、なんとも言えない気持ち。 前を向いて生きるために、大事なものに蓋をする気持ち。 * 優しい夫と可愛い娘、同居の姑とも仲がよく、恵まれた環境にいる主人公の塔子。 20代の頃愛人として付き合っていた鞍田さんに偶然再会する。 淡白な夫との関係...
ああ。 悲しいでもなく、寂しいでもなく、なんとも言えない気持ち。 前を向いて生きるために、大事なものに蓋をする気持ち。 * 優しい夫と可愛い娘、同居の姑とも仲がよく、恵まれた環境にいる主人公の塔子。 20代の頃愛人として付き合っていた鞍田さんに偶然再会する。 淡白な夫との関係はもうずいぶんなく、忘れていた情熱。義理の両親と同居する窮屈さ。キャリアを捨ててしまった後悔。 * 好きと、愛してると、結婚して生活を共にしていくことは全部違う。全然違う。 塔子の、一見芯があってしっかりしているように見えて、実は生き方も考え方もあやふやなところ。 鞍田さんの、全てを包み込む包容力があるように見えて、実は自分一人で立つのすら精一杯なところ。 どっちつかずの二人の態度に、読んでいてイライラする人も多いのではと思う。 二人が惹かれてしまうのは分かるけれど、そこには永遠を共にできるだけの強い力はないと思った。 好き、だけで、家庭や子どもを捨てて飛び込んでしまえる相手ではない。 でも、あの時もし鞍田さんが病気になっていなければ、どうなっていたんだろうと思う気持ちもある。 * 夫の真さんは優しいけれど、それはただ平凡な優しさというか、一切踏み込んでこない、自分だけを守るための子どもっぽい優しさだ。 それでも話し合いに応じてくれる気持ちは持っているし、塔子を想う気持ちもある。 割り切って、愛を育んでいくことはできるだろう。 辛いかもしれないけれど。 * でも塔子の、端々にみせる欲張りな物欲しげな感じ、ああなんか分かるなと思って恥ずかしくて顔が熱くなる。 ややこしそうな女だと見透かされて自分から離れようとする小鷹さんに、みっともないと思いながらも縋ってしまう気持ち。 鎌倉の家で、「あなたが、来ると思ってた」と鞍田さんに言ってしまう気持ち。 おとなしい顔して、承認欲求だけは人一倍強い。変なプライド。 いつだって、「誰かに求められている」自分でいたい。 そしてそれを、自分のことを見くびっている夫に見せつけたかった。 気持ちがわかるだけに吐きそう。 * 小鷹さんが良かったな。チャラチャラしていて一見子どもっぽいけれど、とことん不安定でわがままな登場人物たちの中で、唯一大人だなと思った。 一切人に執着しない。永遠の愛なんてない。 だから、ちゃんとその人自身を見ている。自分にとってどうか、ではなくて、その人自身がどうか、を見ることができる。 小鷹さんはずっとそうやって刹那な生き方を続けていくのだろう。一瞬の愛を大切にしながら。 そういう生き方を寂しいと思うし、羨ましいと思う。 あと姑の麻子さんがいい人でよかったねという気持ち。息子や孫を可愛がる気持ちや自分の親族のことを優先する気持ちが出るけれど、基本的に物分かりのよい人で。これ麻子さんがもっと凄まじい人だったら、また違ったお話になるよね、、。
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心理描写がすごいですね! 感じたことの表現が秀逸で、 言葉選びが素晴らしい。 幸せってなんだろう。 自分とパートナーの関係を もう一度見つめ直そうと思いました。
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