神様のケーキを頬ばるまで の商品レビュー
短編集5編。 取り壊される寸前のぼろビルに入居しているそれぞれの上手くいかない人達が、明日の向かって一歩踏み出す、その一筋の光明が差し込むその時を、本当にきらりと描いている。マッサージ師もカフェ店長もプロレス大好きOLも二人ユニットの作曲家も梱包アルバイトも、みんな素敵だ。
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図書館で待ちに待ってやっと借りれたが……なぜこんなに注目されてるんだろう。 自分に近い年齢、境遇の話は嫌だ。読みたくない。 自分から遠い話は良い。受け取れる。 嫌いな部類。
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14/07/14 わたし好みの5つの短編でした。 P112- 捨てられるぐらいなら捨ててやる。捨ててやる。途方に暮れろ。捨ててやる。呪うように睨んで、席を立つ。 P220- ウツミマコトも、マッサージ屋のおばさんも、郁子も、私も、もう姿を消した向かいのビルにいた人たちも。こ...
14/07/14 わたし好みの5つの短編でした。 P112- 捨てられるぐらいなら捨ててやる。捨ててやる。途方に暮れろ。捨ててやる。呪うように睨んで、席を立つ。 P220- ウツミマコトも、マッサージ屋のおばさんも、郁子も、私も、もう姿を消した向かいのビルにいた人たちも。こんな風にそれぞれの場所で、明日も明後日も営みを続け、新しいものを作り続けて行くのだろう。食べて、寝て、働いて。忘れられても、忘れても。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集。どれも日常生活のひとコマ。優しい人たちが事の大きい小さいに関わらず、人との関わりの中で苦悩する。 それぞれの短編集をつなぐキーワードもフワリ盛り込まれお洒落。 おそらく作家と歳が離れている為だろうか、私の感性が繊細さを失いつつあるのか、このフワリの優しさが今回は、、、消化不良気味です。
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タイトルに惹かれて手に取った本。 「神様のケーキ」という言葉からは何故か美味しそうなケーキは想像出来なくて、もっと抽象的な安らぎのようなものを思い浮かべた。 毎日オンオフのスイッチを入れては切って、ゴムみたいにブチっと切れそうになりながらなんとか生きている。 そんな人達の心の揺れ...
タイトルに惹かれて手に取った本。 「神様のケーキ」という言葉からは何故か美味しそうなケーキは想像出来なくて、もっと抽象的な安らぎのようなものを思い浮かべた。 毎日オンオフのスイッチを入れては切って、ゴムみたいにブチっと切れそうになりながらなんとか生きている。 そんな人達の心の揺れを自分の身に置き換えながらどうして切れずにいられるのか。どうしてまた笑えるようになるのか。そんなことを考えていた。 毎日毎日正解のない問いを投げかける。 どうすべきだったのか? どうしたいのか? 何を求められているのか? あの言葉の真意は? そして、全ての問に対して「分からない」と繰り返す。 「分からない」と繰り返しながら、でもどうにかしなきゃと手を伸ばす。 その手を握りかえしてくれる手を見つけたり、その手に何かを掴んだと思えた時に感じる喜びがもしかしたら「神様のケーキ」なのではなかろうか。 その瞬間があるから生きていけるように思う。
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紙で指を切った時の、他人には然程の傷には感じられないんだけど、指を切った本人にしてみたらすごく痛む傷、というような状況を掬い取るのがすごくうまい作家さんだと思う。 そして、タイトルの付け方がどれも秀逸な連作小説だった。
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「骨を彩る」よりは良かったが、まだいかにもありそうな物語を語っているという印象がある。音楽をやっている女の子の「龍を見送る」という作品はなかなか良かった。僕自身が、創作や才能というものに向き合った作品に惹かれるのかもしれない。
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この作家、彩瀬まるさん。懐がものすごく深い気がします。 いろんな年代の、それも性別も違う登場人物が あたかも自分のいる隣のビルに本当にいそうに感じる不思議。 なんでこんなに色々なことを知ってらっしゃるのか。 彩瀬さんの人間力、どんどん好きになっていきます。 東京の錦糸町にある...
この作家、彩瀬まるさん。懐がものすごく深い気がします。 いろんな年代の、それも性別も違う登場人物が あたかも自分のいる隣のビルに本当にいそうに感じる不思議。 なんでこんなに色々なことを知ってらっしゃるのか。 彩瀬さんの人間力、どんどん好きになっていきます。 東京の錦糸町にある雑居ビルと、ある人物に関係する人々の連作短編集。 仕事場でのちょっとした知り合いや、もっと関係の深い友達。 その人が見せてくるいつもこちらが見られている面を通り越し 見ているようで見せてもらっていない、 いや見たいとこちらが思っていないから、見られていない面に スポットをいつも当てている気がします。 相手と一緒に時間を共有すれば、 色々なものが変化して、相手との関係性も変化していく。 いい方向でも、悪い方向でも、 変化は毎日続き、接近してみたり、離れてみたり。 時と共に同じ場所に留まれないから少しずつ先に進んでいく。 他の人には鼻で笑われるような変化でも、自分で愛おしく思っていいんだ と思える一冊です。 しおりさんの『ウツボのフィギュア』 天音さんが作った『パンケーキ』 どちらも、ものすごく欲しい~。 絶対的なもの、私も探そうっと。
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錦糸町の6階建てのビルのどこかで関わりのある人たちの連作短編集。どの短編にもモチーフとして『深海魚』という映画が使われているけど、それが重要な意味のある作品とも、くだらない作品とも両方の受け止められ方をしていて、それが登場人物それぞれの揺れ動く心情や、物事の多面的な捉え方を示して...
錦糸町の6階建てのビルのどこかで関わりのある人たちの連作短編集。どの短編にもモチーフとして『深海魚』という映画が使われているけど、それが重要な意味のある作品とも、くだらない作品とも両方の受け止められ方をしていて、それが登場人物それぞれの揺れ動く心情や、物事の多面的な捉え方を示してるようで面白いです。皆、生きるうえで悩みや困難を抱えていても、乗り越えて行けそうな示唆があるので安堵します。
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ある雑居ビルで働く性別も年齢も職業も異なる人々の連作短編。 共通項はビルとウツミマコトっていう映画監督。 登場人物たちはみんな抱えているものがあって、少しネガティブなんだけど、新しい出会いとか別れとかを経験してすごく前向きになる。 そこにウツミマコトが少なからず関わる。 ウツミマ...
ある雑居ビルで働く性別も年齢も職業も異なる人々の連作短編。 共通項はビルとウツミマコトっていう映画監督。 登場人物たちはみんな抱えているものがあって、少しネガティブなんだけど、新しい出会いとか別れとかを経験してすごく前向きになる。 そこにウツミマコトが少なからず関わる。 ウツミマコトの実態はないのに、影響力は少なからずあって、これってリアルだなーと思った。 どの短編も好きで甲乙つけがたいけど、 書き下ろしの『塔は崩れ、食事は止まず』がよかったかな。 地名が自分にとって、馴染みぶかいのも感情移入しやすい一因かも。 彩瀬さん初めて読みましたが、他の作品も気になります。
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