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神様のケーキを頬ばるまで の商品レビュー

3.7

116件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    50

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    2

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2017/02/04

短編集。絶賛している方が多かったので、読んでみました。薄暗い雰囲気らしいので苦手かもな、と思っていましたが、読んでみたらどんどん物語に引き込まれていきました。最後の「塔は崩れ、食事は止まず」が特に好き。波江さんの言葉がすっと胸に入る。作中に出てくる「深海魚」のように、この作品も好...

短編集。絶賛している方が多かったので、読んでみました。薄暗い雰囲気らしいので苦手かもな、と思っていましたが、読んでみたらどんどん物語に引き込まれていきました。最後の「塔は崩れ、食事は止まず」が特に好き。波江さんの言葉がすっと胸に入る。作中に出てくる「深海魚」のように、この作品も好みが分かれるだろうな、と思いました。

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2016/11/22

彩瀬さんの文章は金平糖のように甘くて、でも細かいトゲが心を刺すようにちゃんと存在感がある。ちょっとしたセリフでほろっと涙がこぼれる。誰もが抱える小さいようで重大な葛藤や問題をロウソクを灯すようにフィーチャーして、最後はその光が心に残る余韻が最高。5つの話の中でも「龍を見送る」が特...

彩瀬さんの文章は金平糖のように甘くて、でも細かいトゲが心を刺すようにちゃんと存在感がある。ちょっとしたセリフでほろっと涙がこぼれる。誰もが抱える小さいようで重大な葛藤や問題をロウソクを灯すようにフィーチャーして、最後はその光が心に残る余韻が最高。5つの話の中でも「龍を見送る」が特に心に響いた。人間の持つエゴやプライドが繊細に描かれているのが彩瀬さんらしくて好きだった。これからもこの人の作品を読んでいきたい、と思えるそんな短編集だった。

Posted byブクログ

2016/11/07

ひとつの雑居ビルを中心に織りなされる短編集。 みんな、一所懸命に生きていて、でも報われなくてつらくって。 それでも、それぞれの最後には、一筋の光が、夜明けのように訪れてくれて、よかった。 誰からも好かれようなんてありえないこと。 それはいいのではなくて、どうでもいいってことで...

ひとつの雑居ビルを中心に織りなされる短編集。 みんな、一所懸命に生きていて、でも報われなくてつらくって。 それでも、それぞれの最後には、一筋の光が、夜明けのように訪れてくれて、よかった。 誰からも好かれようなんてありえないこと。 それはいいのではなくて、どうでもいいってことで、 だから、ものすごく嫌いだっていう評価があったとしたら、それはすごいことなんだと、そういう話は今に始まったことではないけれど、今回はなんとなく実感として 呑み込めた。 きれいごとばかりが書かれていないリアルさで、こういうのは苦手な感じなのだけれど、どの登場人物にもなんとなく希望がもてる終わり方をしてくれたので、まぁ、よかったかな。

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2016/08/13

雑居ビルを舞台にした連作短編集。 決して人生がうまく行ってるとは言えない人達の話だけど、その人達を語る視点は暖かくて丁寧。これは作者である彩瀬まるさんの人間感が反映されていると思う。 「塔は崩れ、食事は止まず」で、ある小さな幸せに到達して未来を見つめるオーノさんを通して、人間の幸...

雑居ビルを舞台にした連作短編集。 決して人生がうまく行ってるとは言えない人達の話だけど、その人達を語る視点は暖かくて丁寧。これは作者である彩瀬まるさんの人間感が反映されていると思う。 「塔は崩れ、食事は止まず」で、ある小さな幸せに到達して未来を見つめるオーノさんを通して、人間の幸せとは何かを再考させられた。 暖かな読後感に浸れる一冊。

Posted byブクログ

2016/06/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

綾瀬まる作品初読。これエエわぁ 1つの雑居ビルと1本の映画を共通背景とした5本の連作短編を収録。そのどれもが凄く心に沁み込んでくる。今の俺の気持ちに添ってくれるストーリーだったり登場人物だったり、なんやろこの読み心地の良さ。 どの作品の主人公も、日々の生活を前向いて過ごしている。ツラいことしんどいことがあっても、自分の中でしっかり折り合いをつけて、解決したり受け流したりその場その場をしのいでいく。でも何か一つしのぐごとに、心の中に何か一つ滓のようなものがこびりつき、次第次第に檻が心に溜まってくる。 5つの物語は、檻がかなり溜まった主人公たちが、やりきれなくなって前向いて生活できなくなったあたりを描く。どの物語にも手を差し伸べてくれる人が出てくる。差し伸べ方は様々。その手を探したり、握りに行こうとする主人公たちの葛藤が実に深くて読みどころなのだ。 差し伸べられた手をありがたく握っているか?邪険に振り払うようなことをしていないか?自分は誰かに手を差し伸べているか?いつでもじゃなくてもいい、前を向いて生活しているか?前を向いた生活に戻ろうという気持は残しているか?… ついつい自分と照らし合わせてしまう。が、良い小説ってのはえてしてそういうもんである、自分と照らし合わせる醍醐味、その中でとゆとりでも勇気でもなんか漠然としたエエモノをもらえる嬉しさ。この本はそういうモノが詰まっていた。

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2016/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

☆泥雪 どうしても現実から逃げてしまう、目を反らしてしまう癖って、いつの間についちゃうのだろう。そうしなくちゃやり過ごせない何かが、過去にあったのかしら。 優しさでも暴力でも、それが自分だけに与えられるものなのだと思うだけで、どこか満たされているようにも見える。 ☆七番目の神様 自分の弱点ばかり目につく…ことはまああるとして、だからってそれにとらわれ過ぎてちゃいけない。みんながほめてくれることを見逃しちゃいけない。もったいないからね。 ☆龍を見送る 遠いから憧れて、光って見える ☆光る背中 その人が好きなのか、その人が持っているものが好きなのか。

Posted byブクログ

2016/05/07

≪神様のケーキを頬ばるまで≫ なんとも言えない,読後感. ミニシアター系の映画を見てきたような. 美しく静々とすすみ,シンプルでありテーマが練りこまれていて,群像劇のようで一人ひとり,一つのひとつの短編に救いがあって…. 後半3つのお話しが特に好きかも.

Posted byブクログ

2016/04/28

彩瀬まるさん初読み。 1つの雑居ビルを共通点にしたお話たちは、どれも灰色がかっていて、でも一筋の光を見つけ出していく主人公たちがいた。 私は「龍を見送る」と「光る背中」が好きだったな。 全ての中でウツミマトコの存在がチラリと見え隠れしながらも、捉え方は千差万別。 実際、話題...

彩瀬まるさん初読み。 1つの雑居ビルを共通点にしたお話たちは、どれも灰色がかっていて、でも一筋の光を見つけ出していく主人公たちがいた。 私は「龍を見送る」と「光る背中」が好きだったな。 全ての中でウツミマトコの存在がチラリと見え隠れしながらも、捉え方は千差万別。 実際、話題作というのはそういうものだろう。 最後、みんながどうなったのか気になったけど、きっとどこかで新しいスタートを切っているであろうことが想像できた。

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2016/04/11

短編集になっていて、とても読みやすかったです。 何でもない日常を描いた、その中で、もうちょっと頑張ってみようかな私。って人たちの話かな。 さらっと読めました。

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2015/12/22

辛かったり悲しかったり苦しかったり。でもそんなことは人生でいつでも日常茶飯事に起こることで。人より頑張ってる、人より辛い、人より悲しい、そんな風に自分で自分を甘やかしてみても現状は変わらない。変わっていくときは自分が動くとき。そんなどこかの自己啓発本で散々書かれてるうんざりしてし...

辛かったり悲しかったり苦しかったり。でもそんなことは人生でいつでも日常茶飯事に起こることで。人より頑張ってる、人より辛い、人より悲しい、そんな風に自分で自分を甘やかしてみても現状は変わらない。変わっていくときは自分が動くとき。そんなどこかの自己啓発本で散々書かれてるうんざりしてしまうような事がこの作品だとすとん、と胸の中に落ちてくる。少しずつのリンクとそれぞれの苦悩や挫折からの次の一歩。誰もの一歩を応援したくなる読後でした。とても、とてもいい作品だと思います。

Posted byブクログ