ツナグ の商品レビュー
ただ一度だけ死者と生きている人を会わせるという能力をもつ、ツナグ。死者に会いたくて、ツナグを探す人々と、ツナグを引き継いだ少年の物語。 死者に会うということは、どういうことなのか。ある女性は、辛い日々を生きぬく力を得るために、ある男性は、自分がしたことを確認するために、ある少女...
ただ一度だけ死者と生きている人を会わせるという能力をもつ、ツナグ。死者に会いたくて、ツナグを探す人々と、ツナグを引き継いだ少年の物語。 死者に会うということは、どういうことなのか。ある女性は、辛い日々を生きぬく力を得るために、ある男性は、自分がしたことを確認するために、ある少女は後悔をなくすために、ある男性は事実を確かめるために。それぞれの死者との関わりと一夜の邂逅を綴った4章とツナグを引き継いだ少年視点の最終章。 生者と会うことで全ての死者が満足して成仏するわけではないように、死者に会った者全てがすっきりするわけじゃない。様々な死者と生者の時に優しく、時に残酷な対面に、亡くなった大切な人たちに思いを馳せた。大切な人たちに失ったことのある人誰にも、どこか、響くところがある話だと思う。
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「永遠のゼロ」以来、久々に小説読んで泣いた。 辻村作品好きで、でもここ最近の作品(文庫化したものだけ)はなんとなくイマイチだなーって思ってたから、これもそこまで期待してなかったんだけど・・・予想に反してすっごいよかった!! 死者に会えたからって、会った人すべてが救われるわけじ...
「永遠のゼロ」以来、久々に小説読んで泣いた。 辻村作品好きで、でもここ最近の作品(文庫化したものだけ)はなんとなくイマイチだなーって思ってたから、これもそこまで期待してなかったんだけど・・・予想に反してすっごいよかった!! 死者に会えたからって、会った人すべてが救われるわけじゃないってとこまで書いてたのがよかったのかも。 全部がハッピーで、全部が泣ける話しだったら、ここまで手放しでよかった!って言えなかった気がするから。 でも、救われなかった、会ったあとでさらに深い悔恨を持ってしまった女子高生は、自ら立ち直ろうとする姿を最終章で書いてくれたから、やっぱり全編ハッピーエンドと呼べるのかな? そのおかげで、読後感のよさはハンパなかったです。 映画見てないけど、キャストだけ見たらどれもハマってたから、結構映画もおもしろくなってるかも? 変に原作いじってないことを祈ります。 ・・・映画館に見に行く予定はありませんが。
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先週末から公開中の映画原作。私にしては珍しく、本より映画を先に見る機会がありました。秋山家という占いを家業とする家に代々伝わる、死者と生きてる者の会合をセットする使者、ツナグの役割。死者に会える機会は一生に一度だけ、会いたい人の名前と亡くなった年月日をもとにツナグが死者を呼び出し...
先週末から公開中の映画原作。私にしては珍しく、本より映画を先に見る機会がありました。秋山家という占いを家業とする家に代々伝わる、死者と生きてる者の会合をセットする使者、ツナグの役割。死者に会える機会は一生に一度だけ、会いたい人の名前と亡くなった年月日をもとにツナグが死者を呼び出して会ってもいいか交渉し、成立すれば一晩だけ会うことができる。死者の方は断ることもできるけれど、自分から誰に会いたいという指名をすることはできず、会える機会はこちらも一回だけ、という設定。良く考えられています。秋山家から他家に嫁いだ後もツナグの役割を担っていたアイ子は幼い頃に両親を亡くした孫、歩美にツナグの役割を引き継ぐことに。お話はツナグが受けた4つの依頼をオムニバス形式で語りつつ、渋谷家の物語を横軸にして進みます。辻村作品ならではの謎かけと、真相の種明かしももちろんあります。種明かしで爽やかな感動があるのですが、そのための設定である謎かけが極端に悲劇的なのはいつも通り。ひねくれ者としてはいつもそのことがのどに引っかかった小骨のような感じで気にかかってしまうのですが、このお話は全体的な構成がとても良く練られて組み上がっているせいか、感動のための極端な悲劇設定も、他の作品ほどには気になりませんでした。映画の方は、名だたる出演者による名演技で安心して楽しめました。映画化にあたってのはしょり方、はしょることによって辻褄を合せなければならなくなったことの調整の仕方も、きちんと考えられていて良く出来ているな、と思いました。
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一気に読んだ。映画もみてみたいと思った。 読む年齢によって何を感じるかが違うあ思う。数十年後にも読んでみたい。
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文庫化を待っていたら、ちょうど映画公開のタイミングだった。電車の中で読み始めて、すぐ後悔した。最初から涙が止まらなかった。 死者と一度だけ会えるなら。ただしそれは厳格なルールがあって、使者(ツナグ)の力を借りなければならない。自分を愛せない、もしくは愛しすぎている人たちが、二度...
文庫化を待っていたら、ちょうど映画公開のタイミングだった。電車の中で読み始めて、すぐ後悔した。最初から涙が止まらなかった。 死者と一度だけ会えるなら。ただしそれは厳格なルールがあって、使者(ツナグ)の力を借りなければならない。自分を愛せない、もしくは愛しすぎている人たちが、二度と会えない人との奇跡の時間を通して、生きている意味を考える。 心からの喜びと、癒えることない悲しみとは、境目があいまいではないだろうか。願いが叶った人がどう感じたのか。はっきりとは描かれていない。胸の奥にふわりと薄い膜がかかったような読後感だった。
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面白いというより、読みやすかった。 流れもすらすらと進むような、複数の物語で構成されているので、わけても読みやすい。 映画になったみたいだけれども、この内容なら映画も作りやすそう。 作者の他の作品同様、女性登場人物の心理描写が他の作品にはないディティールを感じる。
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連作の短編集。 亡くなった人に一度だけ会える、生者と死者を繋ぐ使者のお話。 感動的な話ばっかりではなく、後味が悪いような話もあるところがこの人の作品らしいな、と。 あまり好きなタイプのお話ではなかったけど、それでもさっと読める。 一度だけ会える、と言われたら会いたい人は迷わず...
連作の短編集。 亡くなった人に一度だけ会える、生者と死者を繋ぐ使者のお話。 感動的な話ばっかりではなく、後味が悪いような話もあるところがこの人の作品らしいな、と。 あまり好きなタイプのお話ではなかったけど、それでもさっと読める。 一度だけ会える、と言われたら会いたい人は迷わずこの人、と言えるけど。 会わずに終われた方がきっと幸せなんだろうなと思ったり。
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荒唐無稽な設定だ。 けれどもすべてにおいて描写がしっかりしているので、全然気にならない。 読みながら、私が今までに見送った大切な人々を、改めて強く思い出した。 そういう意味で、この本は死者と私をつないでくれたように思う。 映画も観に行こうかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。 ツナグの仲介のもと再会した生者と死者は、 それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅に何を思うかが描かれた、連作短編集です。 話が話だけに、説明が冗長であったり無理な設定もあると感じましたが、 癖がない文章は読みやすく、面白かったです。 ハッピーエンドで終わる話ばかりではなかったのが心に残り、また面白く感じました。 1人の人物を共通して登場させ、 他に繋がりが殆どないものでも連作集と名乗っているものが多い中、 この連作集は、「この話のこの描写って、あの話のあの部分では?」と思わせるところもあり、 私の好きな形のものであったことも、読んでいて満足いくものでした。
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SFミステリ。死んだ人間に合えるというSFでよくある設定だけれども、単純に泣かせに来るだけではなく、色々なパターンを見せてくれる。 「待ち人の心得」は王道展開で泣けるし、ひとつ前の「親友の心得」では……泣けるし(違う意味で) この本は章ごとに語り手が違っていて、主に依頼人目線...
SFミステリ。死んだ人間に合えるというSFでよくある設定だけれども、単純に泣かせに来るだけではなく、色々なパターンを見せてくれる。 「待ち人の心得」は王道展開で泣けるし、ひとつ前の「親友の心得」では……泣けるし(違う意味で) この本は章ごとに語り手が違っていて、主に依頼人目線で進んでいく。そして最終章で使者の少年の目線から語られるわけだけれど……そこでの裏話というか心理描写もよかった。(映画だとどちらかの視点にまとめられそうだ) そういえば、映画版では最初の「アイドルの心得」が省略されているとのことで、シンプルながらに結構好きなんだけど尺の都合上しょうがないのかなーなんて… レビュー冒頭でSFミステリと言っているけど人によってはジャンルはファンタジーだと言うかもしれないしぼくもそう思う。作者が辻村深月じゃなければ。
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