十字軍物語(1) の商品レビュー
教科書的な知識しかなかった十字軍が生き生きと活写されています。一気読みしてしまう面白さ♪さすが塩野作品です。「海の都の物語」「ローマ亡き後の地中海世界」にも十字軍は断片的に出てきますが、本作はスケールが違う。武将の顔、兵士の息遣いが感じられる作品です。次作が楽しみ♪
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中世キリスト教視点の十字軍史。イスラム教視点の書籍と併読すると、より面白くなりそう。神の業か、人の業か、恐ろしく感じる場面も多々ある。「神が、それを望んでおられる」先の大戦中の中国、東南アジアにおける日本軍の行動が妙にシンクロして見えるのは気のせいか?
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塩野七生全開。 小説ではないが、伝記とも言い切れない、絶妙な度合い。それがこの人の書くものの魅力であり、この人の趣向が為せる技なのかなとひさびさに読んで再確認。 もちろん中身も充分に読み応えのある作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
淡々と感情を廃したような文体や図、年表、地図、紋章など資料を駆使した作風のため、物語というより学術書を読んでいる気分になった。 当時の国家事情やイスラム教国家が他宗教の信仰を認めていたが、それは対等な共生ではなかったことなど、細かい所まで描かれており、勉強になった。 物語部文もさくさく進んでいく感じで読みやすい。 騎士達のなりふり構わない進撃は、イスラム教徒側との温度差故に時におかしささえ感じてしまった。 虐殺やら、決戦兵器建設やら血生臭いけれど、確かな熱狂が行間から響いてくる感覚に引き込まれた。 中世ヨーロッパ史やその世界観をもとにした物語が好きな人が読んで損はしないと思う。2巻以降は、登場人物が世代交代するので、続きを読むかどうかは迷い中。
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第1巻では第1回十字軍と、その後の十字軍国家の成立までが描かれます。 歴史好きは、教科書で習ったレベルのことしか知らないことがらについて、色々とディティールが気になるものですよね。十字軍について言えば、どういうメンバーが参加して、どういう風に意思決定していたのか? 兵力や食料はど...
第1巻では第1回十字軍と、その後の十字軍国家の成立までが描かれます。 歴史好きは、教科書で習ったレベルのことしか知らないことがらについて、色々とディティールが気になるものですよね。十字軍について言えば、どういうメンバーが参加して、どういう風に意思決定していたのか? 兵力や食料はどうやって調達していたのか? どういう戦闘があったのか、ピンチに陥ったことはあったのか? 征服後の十字軍国家にはキリスト教徒しか住めなかったのか? など……著者はこれらの疑問すべてに応えてくれています。 登場人物は日本人にはなじみの薄い人たちなので、少し紹介してみましょう。 ゴドフロア……信仰心と信義に篤く、同僚・部下からの人望も篤い。軍略にも長けている。日本史上の人に当てはめると上杉謙信。 ボエモンド……戦闘慣れしているノルマン一族の代表。信仰心は薄く、野心が強く、女性にモテた。諸侯というより「ボス」。日本史上の人で言うと、豊臣秀吉。 タンクレディ……無鉄砲で上司の制止を聞かない、猪突猛進の若武者ながら、戦闘センスは随一。日本史上の人で言うと源義経。
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西洋史が苦手な私でも十分楽しめました。おそらく物語としての要素が多いからだと思います。次回作にも期待しています。
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人物関係は複雑で、メモを見ながらでないと分からなくなってしまう。 でも、ストーリーはなかなか面白かった。個性的な人物が大勢登場してきて、楽しめる。
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教会が国家以上の権力を維持するための装置が十字軍だった。納得です。それにしても現場の騎士たちのドタバタ喜劇。迎え撃つ側の足並みのそろわない姿。あきれるようなことばかりですが、とりあえず目的は達成という最初の十字軍の動きがよくわかりました。続きは…今回はだいぶ待たないといけないんで...
教会が国家以上の権力を維持するための装置が十字軍だった。納得です。それにしても現場の騎士たちのドタバタ喜劇。迎え撃つ側の足並みのそろわない姿。あきれるようなことばかりですが、とりあえず目的は達成という最初の十字軍の動きがよくわかりました。続きは…今回はだいぶ待たないといけないんですね。
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ローマ人の物語に比べると落ちますが、それでも十分に面白い。「海の都の物語」とか「ローマ人の物語」は登場人物に共感できるけど、十字軍戦士には何一つ共感できないのが入り込めない原因かな。ニクソンの銅像を立てる人がいないのと同じこと。
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残念な本。 まず視点が不公平すぎる。十字軍サイドからの視点は、非常に好意的で、登場人物は英雄として書かれている。 しかしながらイスラーム側、ビザンツ側は一昔前のアニメの悪役の如くで、好意的な評価は全くない。 ビザンツ帝国のアレクシウス一世を、深慮遠謀のない単に小狡賢い人間...
残念な本。 まず視点が不公平すぎる。十字軍サイドからの視点は、非常に好意的で、登場人物は英雄として書かれている。 しかしながらイスラーム側、ビザンツ側は一昔前のアニメの悪役の如くで、好意的な評価は全くない。 ビザンツ帝国のアレクシウス一世を、深慮遠謀のない単に小狡賢い人間と評しているが、苦笑せざるを得ない。 ヴェネツィアを紹介した某書籍でも、交易に関してオスマン帝国内の商人が無能の極みの様に情報が操作されているが、勿論、史実ではそのような事はない。 自分が贔屓する側の長所のみ書き、短所は隠し、敵対する側はあえて情報を与えない事で非人格化するというのは、「歴史」を題材とする本を書く気がない塩野女史の姿勢を表しているのであろう。 まあ、題名にきちんと表明している訳ではあるが。 確かにこれは、歴史の本ではない。 空想の「物語」である
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