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十字軍物語(1) の商品レビュー

4.1

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2013/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

塩野七生の十字軍シリーズ第一幕。 「カノッサの屈辱」から始まるローマ法王vs神聖ローマ皇帝の対立を軸に、第一次十字軍の戦いを描く。 1096年に口火を切った十字軍運動は何故始まったのか? ロレーヌ公ゴドフロア、その弟ボードワン、トゥールーズ伯サン・ジル、ノルマンディー公ロベール、ブロア伯エティエンヌ、フランドル伯ロベール、フランス王弟ユーグ、プーリア公ボエモンドとその甥タンクレディら、十字軍を率いた諸侯たちの活躍と駆け引き。 彼らが目指したものは?信仰?打算? 結果は大成功と言える第一次十字軍によってもたらされたイェルサレム"解放"と十字軍諸国家。 武人だけでなく、イェルサレム解放を声高に叫び続けた聖職者たちや、足手まといにすぎない貧民十字軍、そして十字軍をバックアップしたイタリア商人たちの活動も描かれています。 歴史書ではなく、歴史についてのエッセイといった書物ですねw 日本の歴史の教科書では「カノッサの屈辱」は法王の勝利、皇帝の敗北という印象を受けるけど、実は法王の方が皇帝に追い詰められていた!? トゥールーズ伯はフランス国内最大の諸侯で、フランス王の直轄領より広大な領土を有していたのに、それを捨ててまで中東に領土(トリポリ伯国)を得たかったの? ニン、トン♪

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2012/11/17

十字軍について知っていることは、第1回十字軍が1096年にあったということくらいで、何の目的で誰と戦ったかも知りませんでした。 このシリーズでは「ローマ人の物語」でおなじみの塩野女史が、十字軍について解説をしてくれています。表向きの目標は、聖地エルサレムをイスラム勢力から解放し...

十字軍について知っていることは、第1回十字軍が1096年にあったということくらいで、何の目的で誰と戦ったかも知りませんでした。 このシリーズでは「ローマ人の物語」でおなじみの塩野女史が、十字軍について解説をしてくれています。表向きの目標は、聖地エルサレムをイスラム勢力から解放して、キリスト教徒を守ることのようですが、食糧も財産も持たずに、元兵士や巡礼者がエルサレムを目指したのですから、実際には多くの略奪があったようですね。 合計で10回程度あった十字軍について、シリーズ本を読破することで理解を深めていきたいと思いました。この本の結論は最後のページに書いてあり、それは第一次十字軍が成功した主因(ヨーロッパの諸侯たちは最終目標の前ではイスラム領主とは異なり団結した)でした。 以下は気になったポイントです。 ・カノッサの屈辱で代表される、破門の威力は、破門された者と従来どおりの関係を続ければ、その者も破門され、キリスト教徒の敵とみなされる、という点にある。つまり、破門とは、社会からの全面的な追放を意味した(p13) ・カノッサの屈辱は、法皇がハインリッヒ王に屈辱を与えたが、その後の8年間は、ハインリッヒがグレゴリウス法皇を追い詰めることになる、これは教科書には載っていないこと(p14) ・1095年のクレルモンの公会議で、オリエントへの遠征は決まったが、それ以前に決まっていたのは、1)キリスト教徒同士は「神の休戦」にただちにはいること、2)聖なる戦いに参加するものは、胸部か背中に、赤い布で作った十字のしるしをつける、3)東方への出発は、1096年の聖母マリアの昇天祭の日(8/15)にすること(p22) ・教会の前には物乞いはいても、美術館の前にはいない、これは祈りの場と芸術鑑賞の場の違い(p29) ・皇帝ハインリッヒが雪の中に立ち尽くしてまでも法王に破門の解除を願ったのは、法皇による破門の処置が諸侯たちの離反の理由になりかねなかったから(p33) ・隠者ピエールの十字軍は、7月の終わり(法王の定めたのは8.15)にはコンスタンチノープルに接近していた(p50) ・貧民十字軍は、小アジアに踏み入れた途端に、聖地に近づくこともできず消滅した(p52) ・ビザンチン帝国の領民であるギリシア人に対しては、イスラム教徒は「ローマ人」と呼んでいた、ビザンチン帝国は公式には、ローマ帝国と称し続けていたから(p68) ・可能な限り事実に迫ることができる歴史の記述には条件がある、1)両者ともに利害関係のもたない第三者が書き残したものが存在する、2)正確を期することが習慣・伝統になっている民族の残した記録を参考にできる場合、それに該当するのは、中世のベネチア共和国と、古代ローマ帝国のみ(p74) ・アラブ人、トルコ人は、もともとが遊牧民なので、戦いに向かうときには全財産を持っていく習慣がある、イスラム教徒の軍に勝つことは、一財産を手中にすることになる(p205) ・小アジアを通過することの難しさを知った巡礼たちは、聖地へは海路を選ぶようになる(p249) ・1118年を最後に、十字軍史の第一世代が全員退場した(p284) ・第一次十字軍の主人公(ヨーロッパ各地に領土を持つ諸侯たち)は、最終目標の前には常に団結した、この点が利己的で仲間割れすることでは同じである、イスラム側の領主との違いである、これが第一次十字軍が成功した主因である(p286) 2012年11月17日作成

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2012/10/21

高校のとき、受験科目で世界史を選択した。 そして、大学受験の時に中世の問題が出ていた、と思う。(はっきりしないけど) でも、本当の意味で正直、興味はなかった。 父からこの本を薦められて、なんとなく読み始めた。 読み始めたら、、、やはりこういう「物語」が必要なんだ、と。 十字軍、...

高校のとき、受験科目で世界史を選択した。 そして、大学受験の時に中世の問題が出ていた、と思う。(はっきりしないけど) でも、本当の意味で正直、興味はなかった。 父からこの本を薦められて、なんとなく読み始めた。 読み始めたら、、、やはりこういう「物語」が必要なんだ、と。 十字軍、と聞くと宗教戦争と思いきや、イスラム側は当初そんな風に考えていなかったり、また領土争いがあったり。 知識以上のものを理解することが、知識を獲得することなんだな、と思いました。

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2012/06/24

ただの通史ではなく、そこに生きた人々の心情まで描写する塩野七生さんの作品には歴史への愛情をいつも感じます。 ローマ人の物語 海の都の物語 と並ぶヨーロッパ史3部作ですね。

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2012/06/05

第3巻が揃ったので、やっと読み始めました。第1巻は、1095年十字軍結成から1118年十字軍諸国家を成立させるまでを、主にキリスト教サイドから書かれています。十字軍=キリスト教vsイスラム教なんて単純に思い込んでいた私ですが、約200年以上も、しかも第8十字軍まで結成されているの...

第3巻が揃ったので、やっと読み始めました。第1巻は、1095年十字軍結成から1118年十字軍諸国家を成立させるまでを、主にキリスト教サイドから書かれています。十字軍=キリスト教vsイスラム教なんて単純に思い込んでいた私ですが、約200年以上も、しかも第8十字軍まで結成されているので、そんな単純な戦争ではなく、そうだったのかぁ…と知る事ばかり。私はどちらの宗教にも属していないので、歴史物として楽しめるのかな。塩野七生さんの文章好きです。

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2012/06/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

十字軍の第1次遠征の物語。 キリスト教の地エルサレムを奪還するための正道の遠征だが、現実はキリスト教徒以外の男・女・子供までを惨殺する。 宗教色の強いヨーロッパから苦難の道のりをへてエルサレムを奪還する。 

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2012/05/20

宗教には理屈を越えた絶対的な力がある、のかな。 無神教論者の私にはこの時代を生きた人の行動はとうてい理解し難いが、神の教えに従うというシンプルな構造こそがこれら諸国の動力であり、繁栄させたのではないか。

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2012/05/12

時のローマ法王の呼びかけで、第一次十字軍スタート。 聖地イエルサレムを イスラムの手から奪還すべく始まった。 [神がそれを望んでおられる。]の合言葉の下 貴族が集結。 1098年にアンチオキア陥落。 1101年イエルサレム解放。 第一次十字軍は成功に終わる。 ヨーロッパへ旅行に行...

時のローマ法王の呼びかけで、第一次十字軍スタート。 聖地イエルサレムを イスラムの手から奪還すべく始まった。 [神がそれを望んでおられる。]の合言葉の下 貴族が集結。 1098年にアンチオキア陥落。 1101年イエルサレム解放。 第一次十字軍は成功に終わる。 ヨーロッパへ旅行に行くことが有るが、色んな歴史遺物・絵画を見ても歴史を事前に勉強していないと理解できない。 塩野 七生 著書  ローマ人の物語からはじまって 十字軍の物語 に至る 書物は ヨーロッパ歴史の造詣を深める。 好きな作家のひとりです。

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2012/04/13

1作目は第1次十字軍がシリア、パレスチナにキリスト教国家を打ち立てるまで。 結局、十字軍は巡礼者保護と言いながら、領土獲得の侵略戦争だったようだ。 2作目はイスラムの反攻が描かれるらしく、攻防の連続になりそう。 高校時代に世界史も日本史も習ったけれど、圧倒的に世界史が面白かった...

1作目は第1次十字軍がシリア、パレスチナにキリスト教国家を打ち立てるまで。 結局、十字軍は巡礼者保護と言いながら、領土獲得の侵略戦争だったようだ。 2作目はイスラムの反攻が描かれるらしく、攻防の連続になりそう。 高校時代に世界史も日本史も習ったけれど、圧倒的に世界史が面白かった。それでも十字軍というと語句を習った程度だったように憶えている。 知らないことを知る、知的興奮を相変らず作者は味あわせてくれる。

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2015/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以前から「塩野 七生」の本に興味はあったが、今まで手を出さず・・・というか史学科出身なのに、それは奇跡だろう!と指摘も頂いた。今回縁があってようやく手にとった「塩野 七生」の十字軍物語。 正直お・も・し・ろ・い!!なんですかこの素人にも分かりやすく、かつ読み込ませる文章は。 十字軍って何?というレベルの自分ですら、この状況です。非常に分かりやすく、且つ時々絵(地図やら色々)があるので、非常にイメージつきやすいです。 これは正直2巻も期待できます。

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