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暗渠の宿 の商品レビュー

3.8

95件のお客様レビュー

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2012/05/26

けがれなき酒のへど 救いのない話。ガツガツしているところが、友達に似ていて、入りやすかった。 暗渠の宿 これまた、話が進むに連れて、救いがたくなっていく。すぐにキレてしまう、どうしようもない人間の物語。 どちらも、鬱積したものを心の中でなんとか消化しようとしているうちに歪んで...

けがれなき酒のへど 救いのない話。ガツガツしているところが、友達に似ていて、入りやすかった。 暗渠の宿 これまた、話が進むに連れて、救いがたくなっていく。すぐにキレてしまう、どうしようもない人間の物語。 どちらも、鬱積したものを心の中でなんとか消化しようとしているうちに歪んでしまってる様が面白い。

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2012/05/09

『苦役列車』より面白い。天然の人かと思っていたが、かなり狙って書いてる。特にカタカナ語の使い方が絶妙にいい。「ニューアカデミズム」とか「エレメント」とか、あと「僕はスタイリストなので・・・」っていうのが繰り返し出てきて笑っちゃう。

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2012/03/23

結局一作目の「けがれなきさけのへど」しか読まなかった。人間の下品な部分ばかりが描かれて過ぎている気がして好きにはなれなかった。作者が女性を何だかんだで性の対象としか見ていない気がしてならず、二作目を読む気にはどうしてもなれなかった。

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2012/04/13

先日、新宿ゴールデン街付近でくだをまき大声で女に絡んでいる西村賢太風の男を見かけた。それから数日たって本書を買った。さらに数日たってから読んでみた。やっぱりあの巨漢は西村賢太だったと思う。

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2012/02/13

完全なる私小説だとすれば、彼の言動は理不尽を極めているし、すぐにカッとなって汚い言葉を吐き、プライドも高く、かといって小心者でビクビクしている。他人への思いやりなんて微塵も感じないし、すごく自己中心的。好きだ愛してる大事な存在と思いながら、「女」は自分に従順であればいいと思ってい...

完全なる私小説だとすれば、彼の言動は理不尽を極めているし、すぐにカッとなって汚い言葉を吐き、プライドも高く、かといって小心者でビクビクしている。他人への思いやりなんて微塵も感じないし、すごく自己中心的。好きだ愛してる大事な存在と思いながら、「女」は自分に従順であればいいと思っているし、「女」に対する言動は醜すぎて、なんて低レベルな人間なんだとうと、心底思う。典型的なDV男ってかんじ。でも、不思議で、理不尽な罵倒、低レベルな暴力、低俗な思惑が、なぜか妙に面白く思えてしまう。そう書くと語弊があるけれど・・・、それらが綴られる文体にリズムがあって音楽みたいに読めてしまう、という感覚があった。流れるような罵倒には、フフっと笑えてしまえるところがある・・・。解説は友川カズキで、妙に納得。

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2012/01/20

くだを巻いたように、読点で連結された長文が続くのだけど、聞きなれない言葉づかいがリズミカルに入ってくるのが気持ちよく、この上なく読みやすかった。 その文章が、技巧に裏づけられた確かな筆致であるのに対し、内容は最低であるため、呪われでもしたかのような、不思議な読み心地である。 ...

くだを巻いたように、読点で連結された長文が続くのだけど、聞きなれない言葉づかいがリズミカルに入ってくるのが気持ちよく、この上なく読みやすかった。 その文章が、技巧に裏づけられた確かな筆致であるのに対し、内容は最低であるため、呪われでもしたかのような、不思議な読み心地である。 それはまるで、「清潔感のある汚物」、もしくは、「せっけんの香りのうんこ」を目前にした気分とでもいうか、およそ今までの自分が知ったものではなかった。 男から見た、女の腹立つ部分を、神経質にまくしたてる汚い言葉も大変ステキ。 ぜひ、他の作品も読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2012/01/08

『暗渠』とは…排水用に地下に設けた溝のこと。タイトルに込められているのはそうした薄暗く日の光を浴びることのない日常に沈む、男の生への強い渇望のようなものでしょうか。 全編を通じて展開される力強くて荒々しい描写と、近代文学の名残を感じさせる均整の取れた文章は、他の作家では味わえな...

『暗渠』とは…排水用に地下に設けた溝のこと。タイトルに込められているのはそうした薄暗く日の光を浴びることのない日常に沈む、男の生への強い渇望のようなものでしょうか。 全編を通じて展開される力強くて荒々しい描写と、近代文学の名残を感じさせる均整の取れた文章は、他の作家では味わえないような魅力を感じました。 こうした作風の小説を書く文士の中では、西村賢太は白眉とも言える作家であると思います。 ある一人の男を主人公にした物語二篇を収める本作。『けがれなき酒のへど』の後のストーリーを描いた『暗渠の宿』によって、生きることへの渇望を謳った一つの物語は完結します。 大正期の小説家・藤澤清造に傾倒しながら、恋人を持つことに強い憧憬を抱く主人公。 彼の暴力的で服従を強いるような愛し方と、生活の基盤全てを藤澤清造への畏敬の念へと注いでゆく生き方とが、類い希なる筆致で語られていくのです。 本作を読みすすめていくにつけ、物語の男が抱える強い憎念と迫力とが、活字を通して迫ってくるような感覚をおぼえました。 何という身勝手な男だろうと思いながらも、物語にみるみるうちに引き込まれていく自分がいたのです。 読了後すぐに、この人の他の作品も読んでみたいと思いました。 それほどまでに、西村賢太という作家の描く物語は、強烈なインパクトを以て私の心を奪ったのです。

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2011/12/01

5でもいいんだけど、なんとなくこの作者とは長い付き合いになる気がしているのでここは☆4に決定。 この人の作品には磁力がある。私小説はやっぱりこうじゃなきゃ、と思わせてくれる。生半可なネタの開示ではだめなのだ。徹底的に自己を曝け出し、卑下しつつもナルシシズムも持ち合わせてこそ私小...

5でもいいんだけど、なんとなくこの作者とは長い付き合いになる気がしているのでここは☆4に決定。 この人の作品には磁力がある。私小説はやっぱりこうじゃなきゃ、と思わせてくれる。生半可なネタの開示ではだめなのだ。徹底的に自己を曝け出し、卑下しつつもナルシシズムも持ち合わせてこそ私小説は面白くなる。いやもしかしたら別に作者は正直に自分を描いておらず実は虚構なのかもしれないが、そう感じさせず「これは私小説だ!」と思わせてしまうだけで充分。 暴力的、偏執的、卑小な性格で性欲の強いこの主人公=作者だが、嫌いになれない。身近にいれば辟易とさせられるような人物であるだろうに、とても興味を覚えてしまい、近づいてみたいと思う。最初に読んだ「苦役列車」の若い頃の作者を描いた作品を読んだ後に30代になった作者が描かれているこの作品を読んだのも良かった。なんとも、とてもこの人を良く知っている気分にさせられる(この点は太宰作品に共通)。 作品を魅力的にしている事に古風な言い回しや文体もあると思う。これがなんとも「本格派」の雰囲気を醸し出していて作品に風格を与えていると感じる。気品すら感じる、と言ったら大袈裟か?でもこれがドロドロした内容に品格を与えていて、作品を昇華させていると思う。 この表現あまり好きではないが「突き抜け感」があるとはこういう事か。主人公が大真面目に思っている事や喋っている事で時々噴き出してしまう所も、なんともクセになる。 ついでに言うと、藤澤淸造にもとても興味を覚えて、読む事にした。これは西村の思うツボなんだろうか(笑)。

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2011/09/25

芥川賞を獲った西村賢太さんの二作目です。 受賞作より生な印象で、著者の本音、というか感性がダイレクトに出ている感じがします。 これだけ心根の腐ったキャラクターを見事に立てるのはやはり才能でしょう。 そのダサさ、いじましさ、小心さと浅墓な衝動性。 ああ、いやだいやだと思いながら...

芥川賞を獲った西村賢太さんの二作目です。 受賞作より生な印象で、著者の本音、というか感性がダイレクトに出ている感じがします。 これだけ心根の腐ったキャラクターを見事に立てるのはやはり才能でしょう。 そのダサさ、いじましさ、小心さと浅墓な衝動性。 ああ、いやだいやだと思いながら読んでいると、場面によってはあまりの状況下とあまりの反応についつい笑ってしまいます。 ダメだダメだ、笑ってはいけない、それでは向こうの人と同じになってしまうと思いながらも、またまた続くあまりのバカらしさにあきれると同時に笑いが込み上げてくる。 もう笑うしかない、ということになる。 結局、この腐った主人公の話に読者が最後まで付き合ってしまうのは、誰にでもそういう一面がチラリとでもあるからじゃないかな。 少なくとも私にはある。 とことんしょうがないヤツだなあ、と思いつつ、ああ、こういう感情、分かるなあ、と言い当てられた気になってドキッともする。 あまりに当てられているうちに、自己弁護的な感情が働きだし、この程度の腐りっぷりなら可愛いもの。 ジム・トンプスン的な狂人じゃなくて良かったじゃないか、なんて理由にもならないことを感じはじめる。 私は綺麗な物を愛好する乙女的な感性もある人間なので、読み終えた直後こそ、こんな汚らしい作家の小説なんて二度と読むかと思いつつ、三冊目を買わされてしまう。 この勢いだと全部読むね。  女性にはオススメしません。 嫌いだと思う。 でも男の人はオモシロイと思う人、多いんじゃないかな。

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2011/09/15

イラッとする部分と理解できる部分があってなかなかおもしろく読めました。 短気で暴力的なのはいただけないけど、駄目っぷりは好きです。

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