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暗渠の宿 の商品レビュー

3.8

95件のお客様レビュー

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    19

  2. 4つ

    38

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2011/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公 西村賢太は最低な人間だ。 途中、遠山金四郎か桃太郎侍が現れて成敗してくれやしないかと割と真剣に思う。 コンプレックスが人の皮を着ているような主人公が、手前勝手な論で世の中の全てを手前より下賤な存在として語り、それが手前の女ならば遠慮なく暴力を振るう。 その理由も喧嘩で女が助けてくれなかったからである。 私小説であり、その生々しい憎々しさからも数頁で読むのを止めるかと思ったが、最後まで読みきったのは頁数が少ないからではない。 面白いと思える程に表現力があるからだ。 今日において、小説に分類される多くはシナリオ的であると頓に思う。 要するに敢えて文章で表現する意味が見いだせないのだが、本作は違う。 私に於いてはその文章を読みたいが為に頁を捲り、終話した。 とは言え、読後感悪く、やはり全くもって人に勧める事はできない異質な作と感じた。

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2011/04/10

西村賢太3冊目なので、内容は予想できた。2編とも女性絡みの話、オレオレ詐欺並にコロッと女にダマされる話と、慣れてくると相変わらず暴力を振るってしまう話。文章のうまさは★★★★★

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2011/04/06

女にまつわる短編が2篇収録されている。西村賢太は女絡みの話が面白いと思う。 『けがれなき酒のへど』はぼこぼこにされる話、『暗渠の宿』はぼこぼこにする話。 我儘暴言傍若無人ぶりは毎度のことだけど、してやられる西村賢太が新鮮。 MVP:えっちゃん

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2011/03/29

この文庫の解説は友川カズキ氏!それだけでも読む価値あり。 暗渠の宿は、ほんとうに見事に人間の弱さを描ききっている。というよりも「男」の弱さ・・・かな? いずれにしても女性向けの作家ではない。でも、才能は凄い!

Posted byブクログ

2011/03/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川賞をとっただけの実力はある。暗い話だが、読者をぐいぐい引き込む文章力がある。昭和の初めから中頃の話かと思いきや、携帯電話は出てくるし、ハリーポッターも出てくる。まさしく現代を扱っている私小説だ。女に異様に関心があり、女の話ばかりが続く。 作品は違うが、まさしく私小説で筋がつながっている。何故か、また別の小説も買ってしまうのだろう。あまり愉快な気持ちにはならないのだが。こういう生き方をしている人もいるのだなあと。

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2011/03/03

 西村氏の小説を読むのはこれで2冊目。個人的には『苦役列車』以上におもしろかったかも。私小説という言葉を見ると思いだすのは、教科書で習った田山花袋の作、『蒲団』。自らの弟子に対する恋(しかも浮気)五頃を綴ることが当時どれほど衝撃的であたか想像するべくもないが、恥ずかしいという感情...

 西村氏の小説を読むのはこれで2冊目。個人的には『苦役列車』以上におもしろかったかも。私小説という言葉を見ると思いだすのは、教科書で習った田山花袋の作、『蒲団』。自らの弟子に対する恋(しかも浮気)五頃を綴ることが当時どれほど衝撃的であたか想像するべくもないが、恥ずかしいという感情と戦いながら書く以上は、どこか隠したり、歪めたりする側面もあるのだろう。西村氏の小説の中でも、まだまだ言えない所があるのだろうか。今以上にやりたい放題なのか、それとも案外ソフトだったりするのだろうか??  小説の中で、彼はとんでもない行動を繰り返すが、嫌悪感すら抱く中それでも読みたくなってしまうのは、どこか読者と繋がるところがあるからではないか。  風俗通いをしている人などいくらでもいるし、顕在化しにくくとも交際する女性への暴力などいくらでもあろう。そんなこと以上に、彼がいわゆる道徳に精神的な意味で縛られているのが印象的。悪態をついたり悪さをしたりしても、すぐにしおらしくなったり、自己嫌悪に陥ったりする点は、どうにも憎めないし、どこかでいい人なんじゃないか、モラルを重んじてる人なんじゃないかと推測している自分に気付く。  所詮、などと言っては失礼にあたるが、彼は変人でもキ○ガイでもなく。一般人の延長上にいてくれるような気がしてならない。だからこそ、彼の見せる横暴な姿が妙に気になってしまうのだと思う。もしかすると自分の中にもこんな行動を衝動的に取りたくなる心が眠っているのではないか・・・と。  的外れなことを書いてしまったかもしれないが、彼が現在に到るまでの足跡についてもっともっと読んでみたいと思った。

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2011/03/02

「けがれなき酒のへど」「暗渠の宿」収録。 「けがれなき~」は構成がかっちりしすぎていてちょっと馴染めなかった。 「暗渠の宿」といい「けがれなき~」と言い、もっと血なまぐさい暴力的展開や人物像を想像していたけれどなんというかかわいらしい主人公ですね。人物もストーリーもかわいらし...

「けがれなき酒のへど」「暗渠の宿」収録。 「けがれなき~」は構成がかっちりしすぎていてちょっと馴染めなかった。 「暗渠の宿」といい「けがれなき~」と言い、もっと血なまぐさい暴力的展開や人物像を想像していたけれどなんというかかわいらしい主人公ですね。人物もストーリーもかわいらしいなと思いました。

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2011/02/26

受賞作の「苦役列車」「どうで死ぬ身の一踊り」に続いてこれで3冊読み終えた。 典型的な私小説らしく、相変わらず主人公の貫多は、貧困、酒、女、暴力・・・ そして藤沢清造に異常なまでの傾倒・・・と内容はよく似通っていて 今思い出そうとしてもこの三作の印象が混ざり合ってしまっている。 こ...

受賞作の「苦役列車」「どうで死ぬ身の一踊り」に続いてこれで3冊読み終えた。 典型的な私小説らしく、相変わらず主人公の貫多は、貧困、酒、女、暴力・・・ そして藤沢清造に異常なまでの傾倒・・・と内容はよく似通っていて 今思い出そうとしてもこの三作の印象が混ざり合ってしまっている。 この人はずっとこのまま書き続けて行くのだろうか? 手元に残る一冊「二度はゆけぬ町の地図」を読み終えたらこの作家のものに休止符をうつことにしよう。 インドは好き嫌いが両極端に分かれる国といわれる。 旅するリピターも一番多いとか。 この西村賢太氏ももしかしたら、両極端に分かれるのかも知れない。

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2011/02/16

芥川賞受賞作家の作品。 私小説としてのリアルさ、生臭さが出てる。 同世代として気になって読んでしまう。

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2011/02/14

西村賢太―。初めて読んだが、現代の「私小説」とはこういうものなのかと衝撃を受けた。明治・大正期、自然主義文学に初めて接した人たちもこんな風にガツンといかれたのだろうか。 何につけ、赤裸々である。『けがれなき酒のへど』では「女が欲しい」。『暗渠の宿』では「女が昔つきあっていた男が憎...

西村賢太―。初めて読んだが、現代の「私小説」とはこういうものなのかと衝撃を受けた。明治・大正期、自然主義文学に初めて接した人たちもこんな風にガツンといかれたのだろうか。 何につけ、赤裸々である。『けがれなき酒のへど』では「女が欲しい」。『暗渠の宿』では「女が昔つきあっていた男が憎い」。腹が虫が納まらなければ、罵詈雑言を浴びせ、暴力も出る。相手が女であろうと、男だろうと構わない。ただ、そこに至るいきさつと、怒りの最中のセリフ、そのあとの悔恨めいた自意識の推移とをウソ偽りなく記録する。独特の文体で、執拗に、うねりながら記録する。この文体にもやられた。 ところで、この西村賢太に崇められる藤澤清造とはどういった人物で、どういう小説を書いたのか。またさらに西村賢太の読書遍歴とは。ここまでガツンといかれると、どうにも気になってしょうがない。

Posted byブクログ