犬の力(上) の商品レビュー
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全てが実話。 麻薬を巡る壮絶な謀略と殺戮。 とてつもないスケールの30年の長きに渡る復讐劇。 その展開が圧巻で、私は何度も息をのむ。 米国政府、CIA、麻薬カルテル、マフィア、バチカンの、それぞれの思惑。 次々と暴かれる裏切り。そして、裏切りの裏切り。 信じていた味方は敵だった。 用意周到綿密に練られた作戦のシナリオが、いつしか出たとこ勝負にぶち当たる。 主人公達はもはや全員が一匹狼状態。 麻薬捜査官、殺し屋、マフィア、娼婦、 4人の主人公全員に感情移入をしてしまう程、 誰もが熱く、それぞれの道に命掛けだ。 そして容赦なく展開する想像を絶する地獄絵図におぞけを震う。 麻薬戦争の、マフィアの、男の、世界に引き込まれて、 完全に戻れなくなっている。・・・ちなみに私は女ですが。 一気読み。 といいたいところだけれど、1000ページ以上の長編の ラスト10ページが、どうにも勿体なくて、1ページずつ戻りながら読んだ。 ラスト数ページを数えても、一体誰が生き残るのやら、ハラハラドキドキ。 読後、衝撃を何日も引きずるなんてことは、 多感な時期に読んだ『風と共に去りぬ』以来かもしれませぬ。 興奮冷めやらず、日を追うごとに改めてドン・ウィンズロウの凄さに感嘆。 これは、間違いなく、過去最高のヒットです。 これを読まずして、あなたは死ねるか。。。。 男の世界にどっぷり浸りたい人、お薦めです。 === 『犬の力』とは、旧約聖書の詩篇22章20節『わたしの魂を剣から、わたしの愛を犬の力から、解き放ってください。』から来ている。 22章は、苦難と敵意にさいなまれる民がその窮地からの解放を神に願うくだりだ。 『剣』も『犬の力』も民を苦しめ、いたぶる悪の象徴という意味合いで使われている。 (訳者あとがきより抜粋)
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長い積読から発掘して読み出したものの、『麻薬』・『ゴットファーザーもの』・『銃撃ちまくり』『カタカナ名登場人物多い』…という私の苦手要素の内容から、他の方のレビューにあるように『読み出したら止まらない』の状態に近いものになるまでが長い戦いだった。 だって、似たような名前多いんじゃい! 上の名前でそれまで進めていたのに少し後に下の名前を使ったりしたら誰のことかすぐに分からんわい! あ~っもうっ!…っとばかりに本を投げたりはしてませんが。 3分の1ほど進めてようやっと慣れてきて「誰か分からんけど人物紹介に載っていないからスルーしていいかな」という状態になってきた。ま、そんな私のことはどうでも良いか。 舞台は麻薬の本場(?)アメリカとメキシコと南米あちらこちら。簡略版でいいから地図をつけてくれると親切なのに。自前の地図を用意するのは面倒なのでそこは想像でOK、あればなお楽しめるかも? ベトナム戦争も体験したCIAの元局員、現在麻薬捜査官のアートが主人公…ではなく、アート含めた登場人物それぞれのストーリーが絡み合い、おそらく下巻で一気に収束するのかも。(なんというまとめ方!) メキシコ、もうムチャクチャ。そこらじゅう犯罪人だらけ。警察もマフィアのボスの言いなり。そんなところで品行方正に育つのは難しいわな…という印象。金持ちのボンボンもスナイパーになるわな、うん。(!?) CIAとか政府とか、他国への介入なんて正義が悪を懲らしめるという単純なものでないのね、裏で何やってるか分かんないね~と少しノッてきて…、大ボスの甥っ子アダンさん、上巻の最後で非情にもやってくれました。 下巻ではどうなることやら。
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メキシコを中心とした麻薬戦争の話 タイトルの「犬」は暴力的な力の象徴ということか、これといった説明はない 麻薬取締官のアート・ケラーが一応主人公。アメリカ政府、メキシコ政府、麻薬マフィア、CIAなどの多くの組織が入り混じって、誰が悪いのかちっともわからない。
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昨年読んだ『世紀の空売り』がとってもよかったので、 訳者の東江一紀が訳している本を、ということで 行き着いたのが、この『犬の力』(ドン・ウィンズロウ)です。 見たことも聞いたこともなくて、 30年に渡る壮絶な麻薬戦争を取材した"ドキュメンタリー&quo...
昨年読んだ『世紀の空売り』がとってもよかったので、 訳者の東江一紀が訳している本を、ということで 行き着いたのが、この『犬の力』(ドン・ウィンズロウ)です。 見たことも聞いたこともなくて、 30年に渡る壮絶な麻薬戦争を取材した"ドキュメンタリー" と思って、読み始めたのですが、この本、 海外編ゼロ年代ベスト・ミステリの第2位で 有名なのですね。 ◇元々、私はミステリ好きだったのですが、 最近は、年1~2冊読むのですが、 何か物足りなくてガッカリということばかりでした。 でも、この本は違いました。 圧倒されます。 この凄味は一体、何なんでしょう! 息が詰まり、疲れました。 ◇私が読書に目覚めてから、 ミステリと言われる分野で、 はじめて満足いく1冊でした。 こういうのを読んでしまうと、他がますます物足りなく 感じるのでしょうねー、、 ※暴力的シーンのことを言ってるわけではないです、念のため。 内容的には「爽快」というものとはほど遠いですねー 訳者あとがきの第一声に 「ウィンズロウが怒っている」とある通りです。 「ここに噴出している怒りは、マグマ、 あるいは"怒"石流とでも呼びたくなるような原初の かつ破格の熱エネルギーをたたえている」 とあるように、全編を通じているのは、作者の怒りなのでしょうね。
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読み出したらやめられなくなった。メキシコを舞台にした30年間の麻薬戦争を描く。登場人物ごとにそれぞれの物語が成立し、それが微妙に絡まり合っている。アイルランド人殺し屋カランの1985年のクリスマスの1日を描く章はこれだけでも中編小説にできるような気がする。残酷な描写も多々あるが、...
読み出したらやめられなくなった。メキシコを舞台にした30年間の麻薬戦争を描く。登場人物ごとにそれぞれの物語が成立し、それが微妙に絡まり合っている。アイルランド人殺し屋カランの1985年のクリスマスの1日を描く章はこれだけでも中編小説にできるような気がする。残酷な描写も多々あるが、次の展開が読めず、あきない。超一級の娯楽小説。下巻がたのしみ。
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すげー面白い! アメリカ・メキシコ麻薬戦争・警察VSマフィア・報復と裏切りと絆と執念。 この作家は映画化を意識していつも書いてる気がして、そこは好きではないが、それを補って余りがあるほど、この作品は面白い。 沢山のヒスパニック系の名前と、中米の地名が出てきて、最初はヤバイ!苦...
すげー面白い! アメリカ・メキシコ麻薬戦争・警察VSマフィア・報復と裏切りと絆と執念。 この作家は映画化を意識していつも書いてる気がして、そこは好きではないが、それを補って余りがあるほど、この作品は面白い。 沢山のヒスパニック系の名前と、中米の地名が出てきて、最初はヤバイ!苦手と思ったが、ストーリーと訳が良すぎて、気になりません。ストーリーが長くて、飽きさせないのも良い。 メキシコってやばい国なんですね。 あと中米の地図用意して読むともっと良かったなあ。。
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1112 このミステリーがすごい!1位になった作品。ストーリーも重厚で表現も暴力的。前半で一気に引き込まれました。まさにゴッドファーザーの世界!
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冒頭のシーンが印象的で一気に引き込まれました。 過去のことなのか現在なのか、混乱する部分もあったりしましたが、全体通してはそんなことは気にならず一気読みできます。
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まぁまぁ、面白いかな。でもちょっと読みづらいなぁ。 暴力と報復の繰り返し。こんな世界もあるんだなとちょっと 嫌な気分になった。もちろん小説のおもしろさとは別で。
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メキシコの麻薬戦争を壮絶に描き切ったウィンズロウの力作。いつものウィンズロウ節も無くはないんだけど、それ以上に麻薬戦争の凄惨さやその中で戦う人々の悲壮な人生が強烈な印象として残ります。そんな内容ながらも文章そのものは相変わらずテンポよく、上下巻あわせて一気に読めてしまう作品です。
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