夏への扉 新訳版 の商品レビュー
昔読んだ村山由佳の小説に題名が出てきたのが、妙に気になっていた。『夏への扉』という詩的な響きが印象的で。 主人公は猫に対して「友だち」「相棒」と表現するが、込められているのはそれ以上で、家族か伴侶じゃないかと思う。猫に向ける親愛(そして猫から返ってくる信頼)が溢れていて、猫好きな...
昔読んだ村山由佳の小説に題名が出てきたのが、妙に気になっていた。『夏への扉』という詩的な響きが印象的で。 主人公は猫に対して「友だち」「相棒」と表現するが、込められているのはそれ以上で、家族か伴侶じゃないかと思う。猫に向ける親愛(そして猫から返ってくる信頼)が溢れていて、猫好きなら自分と暮らす、またはかつて一緒に暮らした猫を一度ならず思うはず。献辞に「猫を愛するすべてのひとへ」とあるのも納得。 「夏への扉」とは主人公の愛猫ピートが冬の最中探し求めるドアで、主人公にとっては希望ある未来の比喩。酷い目に遭わされた主人公はそれでもまた人を信じるし、悪どい仕返しで相手をこてんぱんに伸すわけでもない。爽やかで気持ちのよい、綺麗な小説。綺麗すぎて、自分には少し物足りないくらいだった。 それでも最後主人公がピートの信念について言及するくだりは、思い返す度に力が湧いてくる。
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1956年のSFの古典的作品。古い小説は文章が読みにくくて頭に入ってこないことがあるので、(邪道と言われようが)新訳があればそれで読む派。 長期冷凍睡眠とかタイムトラベルとか出てくるけど、よくあるSF小説の雰囲気というより、ヒューマンドラマ的に愛情深さも描かれてて、新感覚ロマン...
1956年のSFの古典的作品。古い小説は文章が読みにくくて頭に入ってこないことがあるので、(邪道と言われようが)新訳があればそれで読む派。 長期冷凍睡眠とかタイムトラベルとか出てくるけど、よくあるSF小説の雰囲気というより、ヒューマンドラマ的に愛情深さも描かれてて、新感覚ロマンチックSFでした。なぜかこの小説は紹介文とか帯とかでもあまりSFであることが書かれてないんだけど、人はSFと知らずに読み始めるとタイムトラベルした時になんだよそれと文句を言いがちなので、これはタイムトラベルもののSFだと知った上で読むべし、です。 舞台は1970年(と2000年)。タイムマシンは過去か未来どちらに行くかランダムという設定。ただし未来に行きたい時は長期冷凍睡眠を使う方法がある。
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タイトルとその描写に始まる序章。散文的な物語かと思いきや、恋人と同僚に裏切られた技術者がタイムトラベルを使って逆転してみせる、SFそのもの。 過去と未来に仕込んだ幾つかの伏線をしっかり回収してみせるところに作者の技量が発揮され、猫の具体的描写に猫への愛情が滲み出ている。
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ロバート・A・ハインラインの傑作。人生にはいくつかの扉(道)があるが自分には「夏への扉」はどこにあるのだろうとふと思った。
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恋人と親友に裏切られ絶望(冬)し、 今を幸福に生きることを諦めた主人公は、 愛猫ピートと暖かい未来(夏)を求める。
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SFは食わず嫌いで読んでなかったが、この作品の帯の一文、僕の猫のピートは冬になると夏への扉を探し始める、に惹かれて読み始めてしまった。 ロボットやタイムトラベルというキーワードももちろんあるが、それ以上に猫や、大切な人への愛情を感じる作品だった。初めてのSFがこの作品で幸運だった...
SFは食わず嫌いで読んでなかったが、この作品の帯の一文、僕の猫のピートは冬になると夏への扉を探し始める、に惹かれて読み始めてしまった。 ロボットやタイムトラベルというキーワードももちろんあるが、それ以上に猫や、大切な人への愛情を感じる作品だった。初めてのSFがこの作品で幸運だったと思う。 あと猫に、nooow!(今!)や、moorre!(もっと!)と言わせるアイデアは秀逸!笑
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新訳でも読んでみた。それほど変わらない印象だった。どちらかと言うと旧訳のほうが好きかも。色々な発明品が出てくるが、1970年当時から変わらないものも結構ある。風邪は、まだある。
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発明家のダンは、共同で会社を作った友人2人に裏切られ、すべてを失ってしまう。しかし、強制的にコールド・スリープに入れられてしまったことによって、過ぎてしまった30年によって、ダンは、そこから猛然と自分の未来を切り開いていく。そんなお話です。 理系の人間としては、ダンが発明にのめ...
発明家のダンは、共同で会社を作った友人2人に裏切られ、すべてを失ってしまう。しかし、強制的にコールド・スリープに入れられてしまったことによって、過ぎてしまった30年によって、ダンは、そこから猛然と自分の未来を切り開いていく。そんなお話です。 理系の人間としては、ダンが発明にのめり込んだり、未来で、また発明するために、技術者として勉強する姿に共感というか、わくわくというか、一緒に頑張っている気持ちになりました。主人公のダンのちょっと理屈っぽくしゃべる語り口が癖になります。 中盤で突然にタイムマシーンが出てくるところはちょっと唐突で、笑ってしまいました。あれ、これファンタジーだっけ?って。 後半はとにかく勢いで駆け抜ける感じで、最期の幸せな結末に突き進んでいきます。夢中になれる小説でした。 幸せのために諦めずに頑張るって、簡単なようですごく難しいことで、それを成し遂げてしまうダンをうらやましく思いました。
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エウレカセブンAO最終話のタイトルで、とても素敵なタイトルだと思いました。 「夏への扉」 元ネタとなる小説があることは知っていたが、ようやく読むことが出来ました。 古典SFとしては非常に人気があるようですし、なかなか楽しく読めたのですが、、これを読むのであれば「星を継ぐもの」と...
エウレカセブンAO最終話のタイトルで、とても素敵なタイトルだと思いました。 「夏への扉」 元ネタとなる小説があることは知っていたが、ようやく読むことが出来ました。 古典SFとしては非常に人気があるようですし、なかなか楽しく読めたのですが、、これを読むのであれば「星を継ぐもの」とか「幼年期の終わり」とかのSFを読んでほしいなぁと思いますが、多分それは同じ古典SFとしても実質はジャンルが違うのでしょう。 ライトに楽しく読める青少年向けのSFといった感じですね。
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2016年7月24日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「冷」。チャンプ本!
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