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動的平衡 の商品レビュー

4.1

227件のお客様レビュー

  1. 5つ

    71

  2. 4つ

    83

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2012/05/03

生命を線形的にとらえる思考とその流れから脱却し、非線形的な思考にシフトしていこうという著者の主張に感銘を受けた。科学的な話をまるで小説のような流れで書き上げた本書は読みやすく、そのため広い読者層を想定して書かれている。また、科学的な視点から科学の枠を超えた示唆を与えている。 『動...

生命を線形的にとらえる思考とその流れから脱却し、非線形的な思考にシフトしていこうという著者の主張に感銘を受けた。科学的な話をまるで小説のような流れで書き上げた本書は読みやすく、そのため広い読者層を想定して書かれている。また、科学的な視点から科学の枠を超えた示唆を与えている。 『動的平衡2』が楽しみだ。

Posted byブクログ

2012/04/30

プロローグで、生命現象とは何かと問い、最終章で生命は分子の淀みであり、動的な平衡状態にあるシステムであると結論付ける。 「汝は汝の食べたもの」であり、私たちの体は食べたものでできている。しかし、他の生物の身体である食物(=タンパク質)をそのまま体内に入れてしまうと、他社の情報が...

プロローグで、生命現象とは何かと問い、最終章で生命は分子の淀みであり、動的な平衡状態にあるシステムであると結論付ける。 「汝は汝の食べたもの」であり、私たちの体は食べたものでできている。しかし、他の生物の身体である食物(=タンパク質)をそのまま体内に入れてしまうと、他社の情報が、私たちの体と衝突、干渉してトラブルが起こるから、情報を一文字単位まで解体する。これが消化の意義だそうだ。こんな話は初めて聞いた。おもしろい。 続けて、タンパク質に限らず、食べたものが保持していた情報は消化管内でいったん完膚なきまでに解体されるから、たとえば「コラーゲン」を摂取するとお肌にいいというのは全く何の根拠もないガセであると喝破する。コラーゲンを形成するアミノ酸はグリシン、プロリン、アラニンといったありきたりなアミノ酸であり、あらゆる食物から補給可能であるから、胃の中で完膚なきまでに消化されてしまうコラーゲンを口から摂取しても、体内でコラーゲンが再生されやすくなるとは全く言えない。そうだろうな。ヒアルロン酸、尿素、グリセリン、グルタミン酸ソーダなどを摂取しても、肌がツルツルになったり頭がよくなったりするのは、気のせいということらしい。 最後に、動的平衡であると当時に、生命現象はサスティナブル(持続可能)でもある、一見不変のように見えて、実は常に動きながら平衡を保ち、かつわずかながら変化し続けている。その軌跡と運動のあり方を、ずっと後になって進化と呼べることに私たちは気づく。

Posted byブクログ

2012/04/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

you are what you ate ランゲルハンス島 脳の不機能性、 直感が導きやすい誤謬を直すために勉強を続ける 進化が導いた人間のバイアス 見えているものへの妄執 見えると信じているものとは何なのか

Posted byブクログ

2012/04/15

この本の面白さは、細部に徹底的にこだわりながらも、「生命とは何か」という巨大な問いかけからの視線を失わないところにあるのだと思う。最終章「生命は分子の『淀み』」は論考でありながら詩的でさえある。

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2012/04/09

とても興味深く読みやすいので一気読みしました。 お馴染み福岡ハカセによる最新の生物・生命論を、一般人にもわかりやすくまとめたコラム本です。本題のごとく「生命」とは動的平衡=絶えず流動しながら均衡を保ち続けるものであると、様々な事例を引きながら興味深く論じています。 より興味深かっ...

とても興味深く読みやすいので一気読みしました。 お馴染み福岡ハカセによる最新の生物・生命論を、一般人にもわかりやすくまとめたコラム本です。本題のごとく「生命」とは動的平衡=絶えず流動しながら均衡を保ち続けるものであると、様々な事例を引きながら興味深く論じています。 より興味深かったのは、記憶は脳がいま作り上げたものである、年齢を重ねるごとに時間や月日が経つのが早く感じるのは逆に体内時計=細胞の新陳代謝が遅くなっていくのに比し物理時間は変わらないから、人間の脳は乱雑なものにもパターンを見出そうとする、コラーゲンなど非・必須アミノ酸は集中的に食してもタンパク質は結局アミノ酸レベルに分解・吸収され別のタンパク質に作りかえられている、体重増加はシグモイド・カーブを描きゆっくり食べる方が太らない、などなどです。 また、病原体との戦いの章はスリリングでとても面白かった。ミトコンドリアは本来の細胞ではなく、別の生命体細胞を取り込んだ結果、共生しているものである(どこかで聞いたかもしれない)という話も興味津々でした。 デカルト?の生命機械論が発展して、ES細胞やら臓器移植が進展しつつある世の中で、筆者は生命の「動的平衡」による揺り返しをとても危惧されています。いわく、生命は分子の「淀み」であり、「身体」は環境が通り過ぎているだけだと。人間の身体は摂取したタンパク質等によって絶えず新しい組織や細胞に置き換わりその中で均衡を保っているんですね。 最後の象の話はとても感動的でした。

Posted byブクログ

2012/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生命ドラマチックが良い番組だったので。 取り上げているテーマに新奇なものはなかったが、文章が丁寧で、番組での落ち着いた解説と重なった。 生命は環境を流れる分子のよどみである。 流れ、変化し続ける生命を機械論的に捉えて、制御することは困難である。 確かにそのとおりであり、バイオサイエンスのみならず科学全体が世界の備える複雑性に直面している。 しかし、それらを制御できないものだとして諦念に達してしまうのはどうだろう。 科学は最後には生命を理解できるし、理解できるとしたらそれを(支配するのは無理としても)制御することは可能なはずだと思う。

Posted byブクログ

2012/03/25

私達の体が動的平衡にある という事が面白かった。 生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けている。 私たちの身体自身も、通り過ぎつつある分子が、一時的に形作...

私達の体が動的平衡にある という事が面白かった。 生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けている。 私たちの身体自身も、通り過ぎつつある分子が、一時的に形作っているにすぎないからである。 私たちは流れの中に回帰して行く存在。 生命は、エントロピー増大の法則に先回りして、自らを壊し、そして再構築するという 動的平衡 の状態を選択した。しかし、長い間、エントロピー増大の法則と追いかけっこをしているうちに少しずつ分子レベルで損傷が蓄積し、やがてエントロピーの増大に追い抜かれてしまう。つまり、秩序が保てないときが必ず来る。それが個体の死である

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2012/03/19

生命とは、生きているということは、何を意味するのか。 何億年も続けてきた生命の営みの神秘。 現代分子生物学のはらむ危うさ。 生命とはこれほどまでに複雑で偉大なものだ。

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2012/03/14

分子生物学の権威である著者が、生命について、わかりやすく興味深く説明している。観点は「動的平衡」、すべての生体はこの状態をイメージすることで説明できるらしい。激しく納得してしまった。そして、あいまいな知識だった細菌とウィルスについても、非常によく理解できた。さらに、これら病原体の...

分子生物学の権威である著者が、生命について、わかりやすく興味深く説明している。観点は「動的平衡」、すべての生体はこの状態をイメージすることで説明できるらしい。激しく納得してしまった。そして、あいまいな知識だった細菌とウィルスについても、非常によく理解できた。さらに、これら病原体の今後の進化とヒトへの侵入を想像し、震えるほど怖くなった。

Posted byブクログ

2012/03/14

食べたものがそのまま人間の体を構築するわけではない。コラーゲン食べてもコラーゲンが体に蓄積されるわけではない。 なんとなくそうだろうな,と思っている生命観を否定する内容。納得できる内容だけれどこれを読んだだけでそちらの意見に傾いてしまうのもまた違うのだろうなと思う。

Posted byブクログ