動的平衡 の商品レビュー
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今ここにいる物体としての私は、昨年はなかったものである。「私」が「私」であるというのは流れる川の水、例えば揚子江の水のように、違う水の分子から構成されているのにやはり去年も今年も揚子江の水は揚子江の水であるということと同じである。 極端にいうと「動的平衡」とはそういう意味なのだろう。 生命とは動的平衡であるというテーマで書かれた本で、「生命」に対する科学の歴史のエピソードと学説を知ることで、自分が「生命」というものを自分なりに理解する助けになる。 以下のような本書の内容にはとても知的な刺激がある。 ・「懐かしい」というのは、今だから懐かしいのであり、記憶というのは蓄えられている物質が倉庫から引っぱり出されてくるのではなく、思い出しているその時に生成されている。ビビッドな記憶というのは何度も想起しているものにすぎない。ある経路を信号が通過するとある反応が生じるというのが記憶である。何度もそれが起こることで神経細胞の結節が強化される。 ・人間がどの国の言葉を母国語として熟達して行くか、また細い平均台の上で後ろ向きに回転ができるようになって行くかは、環境との相互作用の結果として脳の合目的性が生まれることによる。 ・合成と分解の平衡状態を保つことによってのみ、私達は環境に順応するよう自分の状態を調節することができるのだから、私達は食べ続けなければならない。「持続可能性」とはそういうことであって、強固な岩もだんだんに風化してしまうのに、生命体は自分を生かし続けることができるのはそのおかげである。 ・生命は部品を組み合わせればできるものではない。物質を集めてきてもそれはただのミックスジュースである。それらの部品の間で行われる相互作用の効果が生命の本質であり、その過程は時間の流れを必要とする。 ・デカルト主義者が機械論的に生命現象を説明しようとしたことが、現在の医学や生物学に大きな影響を残してきた。しかし今や生命が維持されるサステイナビリティが「常に動きながら分解と生成をおこなっていること(ちょうど一輪車が動いていることで平衡を維持して立っていられるように)」によるものであるというまったく異なった理解に到達することができた。 読んでいていとても楽しい本である。 クジラと象が会話をするというのは本当だろうか?・・・ さて、私が昔から暖めている「問い」がある。 「エントロピー増大」の法則に従えば、化学反応である生命活動がなぜ、分解と生成を続けながら組織を維持できるのだろうか。一個体がある時間法則に逆らって生き続けることに疑問を抱くが、最終的には死んでしまうのだからそれはほんのちょっとした偶然にすぎないと考えることができる。では種の存続は? あるいは進化をしながら生命が続いて行くのは? そもそも生命が生まれたのは? 人類が複雑な組織や構造を作って、エントロピーを減少させるような動きを取るのは単なる部分的に起こる誤差や偶然なのだろうか? 本書にも多少これに触れる記述があった。 続編も出ているので読むのが楽しみだ。
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新書の「生物と無生物のあいだ」よりも単行本で余裕があるのか、内容が非常にわかりやすく面白かった。 内容的には、戦後位から徐々にわかってきた(分子)生物学のいろいろな知識をまとめている。内容は今までよんだ類書にも書いてあったが、生物学全体像を押さえる意味では、ものすごくわかりやす...
新書の「生物と無生物のあいだ」よりも単行本で余裕があるのか、内容が非常にわかりやすく面白かった。 内容的には、戦後位から徐々にわかってきた(分子)生物学のいろいろな知識をまとめている。内容は今までよんだ類書にも書いてあったが、生物学全体像を押さえる意味では、ものすごくわかりやすい。 生物は、まだまだわからないことが多いことを実感させられた本。
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「生物と無生物のあいだ」より内容は平易。 科学のトピックとともに、それを研究する科学者の風貌が描かれているところに好感がもてる。 「動的平衡」の考え方にはまったく同感だけど、ライアル・ワトソンへの評価は…どうなんだろう。
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めちゃおもろい 細菌とウィルスの違いとかまたその次の新生物とか発見に至る経緯とかあって分かりやすい。そしてそんなまだまだ発見されていないような病原体に対しても対応できる機構を昔から持ってるニンゲンという生き物、ひいてはこの自然の神秘に感動
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生命とは?という大きなテーマに対して色々な例(ダイエットやコラーゲンやウイルスやタンパク質、ES細胞等々)を挙げて分かりやすく解説してくれた。 生命とは動的平衡にあるシステムであることがよくわかった。 もう一度、生物と無生物のあいだ を読み返したくなった。
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雑誌「ソトコト」のコラムを基本に加筆・編集 パーツ・機械論的な人体への見方を否定する。 その文脈でコラーゲン補う食事にも触れている ライアル・ワトソンに対して好意的なのはちょっと意外。 ※百匹の猿、とかで私は敬遠している 37 記憶はどこにあるか? 68 消化は食べたものの情...
雑誌「ソトコト」のコラムを基本に加筆・編集 パーツ・機械論的な人体への見方を否定する。 その文脈でコラーゲン補う食事にも触れている ライアル・ワトソンに対して好意的なのはちょっと意外。 ※百匹の猿、とかで私は敬遠している 37 記憶はどこにあるか? 68 消化は食べたものの情報を解体することに意味がある 76 コラーゲン 87 必須アミノ酸をバランスよく含むのがいい食べ物、卵とか 90 人体は「ペニー・ガム」ではない 108 GI値 130 トマトの果肉は崩れかけが美味しい。くずれないトマトを遺伝子工学で作ったら市場で惨敗 171 死ぬまで脚気菌を探し続けた森鴎外 209 ミトコンドリア細胞共生説、唱えたのはカール・セーガン夫人(当時)。論文15回ボツ
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『生命とは、分子の大循環の流れにできた「淀み」である』 食物を通じて体中のあらゆる分子が日々入れ替わり、物質的には数か月前の自分は今の自分とは全く違うものになっている。 まさに”汝とは「汝の食べたもの」である”。 これは科学的な方法で確かめられた紛れもない事実。 だとすると、...
『生命とは、分子の大循環の流れにできた「淀み」である』 食物を通じて体中のあらゆる分子が日々入れ替わり、物質的には数か月前の自分は今の自分とは全く違うものになっている。 まさに”汝とは「汝の食べたもの」である”。 これは科学的な方法で確かめられた紛れもない事実。 だとすると、『自分』ってなんだろう? 昨日食べたハンバーグであり、一昨日のパスタであり、朝食の食パンなのか? 科学的で単純明快な結論なのに、哲学的な深い疑問を強く問いかけてくる。 学生時代に読んで衝撃を受けた「利己的な遺伝子」と同じ種類のインパクトがあった。結論は真逆と言ってもいいほど違うけど。 物質はエネルギーと等価らしい(アインシュタインのE=mc2)し、情報もエネルギーに変換可能(マクスウェルの悪魔だったかな?)らしいので、筆者の言うとおり生命とはエネルギーの淀みみたいなものかもしれない。 あとおもしろかったのは、”人間は考える管である”ってところ。 英語で第六感は「gut feeling」、「ガッツがある」のガッツも「guts」。 この「gut」って「消化管、腸」っていう意味。腸には脳と同じくらい神経細胞があるらしい。 「腹黒い」とかもいうし、案外お腹で考えてるのかも。 腸って大事だなぁ。
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他著に比べ、やや散文的。生命の本質にまつわる興味深い論考。 ○私たちを規定する生物学的制約から自由になるために、私たちは学ぶのだ(58頁) ○環境にあるすべての分子は、私たち生命体の中を通り抜け、また環境へと戻る大循環の流れの中にあり、どの局面をとっても、そのこには動的平衡を...
他著に比べ、やや散文的。生命の本質にまつわる興味深い論考。 ○私たちを規定する生物学的制約から自由になるために、私たちは学ぶのだ(58頁) ○環境にあるすべての分子は、私たち生命体の中を通り抜け、また環境へと戻る大循環の流れの中にあり、どの局面をとっても、そのこには動的平衡を保ったネットワークが存在していると考えられるからである(234頁)
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エネルギーの出入りがない閉鎖系では化学の第二法則であるエントロピー増大の法則により、あらゆるものが最終的には熱死する。しかし、太陽からのエネルギーを常時受け取っている地球は閉鎖系では無く開放系であり、エネルギーの供給を受け続ける限りエントロピー増大の法則はそのまま当てはまらない。...
エネルギーの出入りがない閉鎖系では化学の第二法則であるエントロピー増大の法則により、あらゆるものが最終的には熱死する。しかし、太陽からのエネルギーを常時受け取っている地球は閉鎖系では無く開放系であり、エネルギーの供給を受け続ける限りエントロピー増大の法則はそのまま当てはまらない。だからこそ生物が発生し、存在出来る。 しかし、問題はその太陽のエネルギーをどう具現化することで生物は存在し続けられるのか。それはエネルギーを吸収しては、循環させ、排出する渦の論理に貫かれている。駒が回転することで1本の軸で安定的に起立出来るように、生物はエネルギーを渦状(螺旋状)に循環させることで、生命装置を安定的に維持出来る。 その仕組みは全体的にも部分的にも非線形であり、であるからこそ全体像を捉えることはもちろん、それを外部から人間知性の手でコントロールする困難さがつきまとう。まさにいまのテクノロジーはこの困難さを改めて実感しつつある時期なのだと思う。
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体や脳に関するさまざまな話が書いてある。 ダイエットには、食事回数を多くすることが有効。 食べ物が安ければ良いと考えるが、食品の質を価格に反映されているかを気をつけるべき・安物はそれだけ何かが悪いと考えた方が良い。味が同じなのであれば、その他で悪い点(安全性)があるはず。 体の分子は数日ですべて入れかわる。 時間が影響するのが生物と無生物の違い。 一年が短く感じられるようになるのは子どもの時より新陳代謝が遅いから、自分の変化(分子レベルの)が昔に比べて遅いから。 時間を操れるようにならない限り、人の体を操ることはできない。
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