動的平衡 の商品レビュー
とにかくおもしろい!そしてわかりやすい。 食べるということはどういうことか、など人間の体のメカニズムの中でも身近なポイントがわかりやすく書かれている。
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はしがきの「青い薔薇」からして面白い。読み進めることによる知的興奮を期待させるのに十分。 実際、期待に違わず最初から最後まで知的興奮の連続。「動的平衡」は以前に読んだ著者の「生命と無生物のあいだ」にも詳しいが、本書でもこの考えの素晴らしさが示される。特にネズミが3日で体が置き換わ...
はしがきの「青い薔薇」からして面白い。読み進めることによる知的興奮を期待させるのに十分。 実際、期待に違わず最初から最後まで知的興奮の連続。「動的平衡」は以前に読んだ著者の「生命と無生物のあいだ」にも詳しいが、本書でもこの考えの素晴らしさが示される。特にネズミが3日で体が置き換わる話や、象やクジラが低周波音でコミュニケーションしているという話、さらにアンチ・アンチエイジングが、エイジングと共存する賢いあり方とい考え方には引き込まれた。
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生物学者である著者の雑誌連載(ソトコト・シグネチャー)エッセーの単行本。動的平衡とは分子レベルで見た時、生命体の組織は絶え間なく変化しており、合成と分解の連続であるということ。私達の体も例外なくその流れの中にある「澱み」であることを訴えている。 よって、その流れを攪乱したり...
生物学者である著者の雑誌連載(ソトコト・シグネチャー)エッセーの単行本。動的平衡とは分子レベルで見た時、生命体の組織は絶え間なく変化しており、合成と分解の連続であるということ。私達の体も例外なくその流れの中にある「澱み」であることを訴えている。 よって、その流れを攪乱したり逆行させるような試みはしてはならないことを強く主張している。遺伝子組み換えやクローン技術からサプリメントでの栄養摂取、アンチエージングなどに警鐘を鳴らしている。 「生物と無生物のあいだ」同様、著者の温かいまなざしが全編を貫いており、難解な理論をしっかりと噛み砕いて説かれている。
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そういえば自分も生物でした。忘れてました、ごめんなさい。 この作品は、高等な学問を触れることのできる位置まで持ってきた、紛れもない良作です。
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Γ私達は、食べたもので出来ている。」ロハスが好きな分子生物学者は、なかなか染みることを言うなと目からうろこでした。節約と称して食費を削り、粗悪なものを食べて、からだの一部とすることに異義を唱える点は、女優さんやモデルさんが言うより、よほど説得力がありました。文系の人にも読んでほし...
Γ私達は、食べたもので出来ている。」ロハスが好きな分子生物学者は、なかなか染みることを言うなと目からうろこでした。節約と称して食費を削り、粗悪なものを食べて、からだの一部とすることに異義を唱える点は、女優さんやモデルさんが言うより、よほど説得力がありました。文系の人にも読んでほしい。
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生物と無生物の間からの連読。 何か途中ダイエット的なところに言及している部分もあったが、生命果ては人間のあり方というものを、あくまで生物学的観点から記述している。生物と無生物よりは小説要素が少ない感じ。 しかし、読みやすいね。言葉の使い方が理系チックなのか!?
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分子生物学を啓蒙するエッセイ集であるが、第1章(脳にかけられた「バイアス」)、第8章(生命は分子の「淀み」)が哲学的で印象に残った。これら章は専門用語が少ないってのもあるけど。 生命も絶え間ない物質循環の流れにおかれ、いずれはエントロピーの増大という海にたどり着く。その帰結をほ...
分子生物学を啓蒙するエッセイ集であるが、第1章(脳にかけられた「バイアス」)、第8章(生命は分子の「淀み」)が哲学的で印象に残った。これら章は専門用語が少ないってのもあるけど。 生命も絶え間ない物質循環の流れにおかれ、いずれはエントロピーの増大という海にたどり着く。その帰結をほんの少しの間だけ留保するのが生命現象の特徴であり、それが動的平衡状態。村上春樹の言葉(スプートニクの恋人)を借りるなら、エントロピーの増大という約束は「それらは失われるべき静かな場所を持っている」ということ。そして、動的平衡は「細い糸をたぐりよせるようにそれらの合致をひとつひとつ発見していく」ことになるかな。男女の宿命を分子生物学的に解釈できるってことで。興味は尽きない。 研究対象に集中するあまり、とかく視野が狭くなりがちな研究者にあって、世界を俯瞰的にとらえようとする福岡伸一の姿勢が好き。次の言葉に共感をおぼえる。”よく、私たちは、脳のほんのわずかしか使っていないなどと言われるが、実は、それは世界のありようを「ごく直感的にしか見ていない」ということと同義語だ。世界は私たちの気がつかない部分で、依然として驚きと美しさに満ちている” 福岡伸一と星野道夫の対談をみてみたかった。叶わぬことではあるが。
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2012/1/30読了。 生命とは動的な平衡の状態であり、確固たる存在などではない。絶えず物質が入れ替わっており、空間に存在する揺らぎのようなものである。 複数の雑誌の連載等を集めたものなので、新書の著作と比べて、全体を貫くストーリーの弱さが気になってしまった。その分、トピッ...
2012/1/30読了。 生命とは動的な平衡の状態であり、確固たる存在などではない。絶えず物質が入れ替わっており、空間に存在する揺らぎのようなものである。 複数の雑誌の連載等を集めたものなので、新書の著作と比べて、全体を貫くストーリーの弱さが気になってしまった。その分、トピックのバラエティーは豊富になっていて、誰でも一つは興味があるものが見つかるのではないだろうか。新書よりも先に読んでいれば、もっと高い評価になっていたかもしれない。
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生命は分子の淀みである。常に壊され、作り変えられていくシステムの流れが我々なのだ。すごく不思議なかんじだ。you are what you ate.食べたものが分解して身体に取り込まれ、古くなったものが出て行く。遺伝子組み換えだとか、ES細胞だとか、言葉こそ聞いたことあれど、よく...
生命は分子の淀みである。常に壊され、作り変えられていくシステムの流れが我々なのだ。すごく不思議なかんじだ。you are what you ate.食べたものが分解して身体に取り込まれ、古くなったものが出て行く。遺伝子組み換えだとか、ES細胞だとか、言葉こそ聞いたことあれど、よく知らないものが、機械論的な自然観、生命観でない立場の側からよくわかったが、再生医療もまやかしに過ぎないのかもしれないと思うと少し残念ではある。一説によると、ハンバーガーの肉一枚には500頭分の肉が含まれているそうだ。こういうことを知る度に、いいか悪いかは別としてファーストフード店から足は遠のいてしまう。もともとないものを組み込むとその分必ずどこかに負荷がかかるというのも、頷けた。機械であれば一つのパーツが欠ければ支障をきたすが、生命であれば、別のなにかがカバーするというノックアウトマウスの実験結果が神秘的で素敵で、生命は機械では決してないんだと感じた。法的に動物をモノとして扱っているのも、デカルトの機械論的なとこらからきているのかと個人的に思ったりした。桜は散るからこそ美しいというのも動的平衡から生じる美的感性なのだろうか。世界はぼくの知らないところで、依然として驚きと美しさに満ちている。記憶ってなんなんだろう、アンチエイジングって…謎は深まるばかり。この分野の本をもっと読みたい。
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生物学者である著者の本は初めて読みましたが、なるほど、とても面白い。興味深い。 私の場合、働いている業界柄、ちょっと微妙な部分もあるので内容の紹介は控えますが… あ、題名の「動的平衡」とは著者の表現で「生命が宿っている状態」のことです。
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