21世紀の歴史 の商品レビュー
2008年に日本語版の初版が売り出され、この書評を書く2023年時点ではすでに15年以上が経過していますが、本書の価値は全く色あせていないし、むしろ価値は増している気がします。本書は未来の人類から見た21世紀の歴史書という位置づけですが、大まかなストーリーは以下の通りです。まずア...
2008年に日本語版の初版が売り出され、この書評を書く2023年時点ではすでに15年以上が経過していますが、本書の価値は全く色あせていないし、むしろ価値は増している気がします。本書は未来の人類から見た21世紀の歴史書という位置づけですが、大まかなストーリーは以下の通りです。まずアメリカ帝国の終焉のはじまり。そして「超帝国」時代(第一波)を引き起こしていきます。「超帝国」とは国家の軸を超えた地球規模の市場原理によるガバナンスです。ここでは、国家は弱体化し多極化世界が登場します(しかしグローバルに個人及び企業は市場原理で結びついている)。そして国家の弱体化が皮肉にも「超紛争」時代(第二波)を引き起こします。ここまでだと極めて悲観的な内容になってしまうのですが、「しかし」と著者はある意味願望的な意味合いを込めて希望を示します。それが、超紛争時代後に到来する「超民主主義」時代(第三波)です。これはグローバル市民の誕生を意味します。 このストーリーの背後で重要な社会キーワードとなるのが、市民の「ノマド化(遊動民化)」です。具体的には、3種類のノマド(超ノマド、バーチャルノマド、下層ノマド)の勃興を予測します。 (1)「超ノマド」とは、企業の所有者、資産家、ソフトウェア開発者、アーティスト、金融事業者など「超帝国」をけん引する存在です。彼らは容易に国境を越えて移動し、税率が低い国や安全・快適な国に住みながらリモートで仕事をします。 (2)「バーチャルノマド」とは超ノマドの下の中層にいて、物理的な移住はしませんが、バーチャル空間上で活発に移動・活動する人々です。今風に言えば、ネットやメタバース上で多くの時間を費やす人々ということになります。 (3)「下層ノマド」とは平たく言えば難民です。自然災害だけでなく、紛争が引き起こす経済・政治難民、固定的な家を持たない人々となります。 細かな点はともかく、大まかなストーリーについては、(書評執筆時点の)2023年時点でもだいぶ当てはまるのではないかと思います。特に人類のノマド化はまさに実現しそうですが、著者はノマドという軸で3層の新たな社会階級を描いている点がとても興味深く感じました。本書で書かれていることが正しいかどうかは脇においても、多くの人が一読すべき本だと思います。 最後に自分の備忘録として、本書でアタリ氏が述べているキーメッセージを記しておきたいと思います。 ●「いかなる時代であろうとも、人類は他のすべての価値観を差し置いて、個人の自由に最大限の価値を見出してきた」 ●「ユダヤ・ギリシャの理想とは、自由こそが究極の目的であり、また道徳規範の遵守ともなり、生存条件でもあることを明確にした」 ●「アジアでは、自らの欲望から自由になることを望む一方で、西洋では、欲望を実現するための自由を手に入れることを望んだのである」 ●「宗教の教義は、たとえどれほど影響力があったとしても、個人の自由の歩みを遅らせることには成功しなかった。実際に、宗教であろうが宗教から独立した権力であろうが、現在までにいかなる権力も、この歩みを持続的に押しとどめることはできなかった」 ●「ヴェネチアを含め、その後のすべての「中心都市」とは過剰と傲慢の産物である」 ●「外国人エリートの受け入れは、成功の条件である」 ●「新たなコミュニケーション技術の確立は、社会を中央集権化すると思われがちだが、時の権力者には、情け容赦のない障害をもたらす」 ●「欠乏こそが人々に新たな富を探し求めさせる。不足とは、野心を生み出すための天の恵みである」 ●「技術を発明したのが誰であるかはさほど重要ではなく、文化的・政治的にこれを活用できる状態にあることが重要である」 ●「戦争の勝利者になる国とは、常に参戦しなかった国、またはいずれにしても自国領土で戦わなかった国である」 ●「多くの革新的な発明とは、公的資金によってまったく異なった研究に従事していた研究者による産物である」 ●「将来有望な産業を二つ挙げると、保険業と娯楽産業である。この二つの産業は、すでに世界経済を支配しており、今後さらに躍進する」
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壮大な世界史。人類の発祥から未来の卓越した洞察。特に技術発展について深い考察。しかし、残念ながら2025年の未来予測については外してしまった。この10年の現実の変わりようが劇的であったことを改めて自覚した。不甲斐ない日本が見透かされている。フランス人の世界観、特に日本がどのように...
壮大な世界史。人類の発祥から未来の卓越した洞察。特に技術発展について深い考察。しかし、残念ながら2025年の未来予測については外してしまった。この10年の現実の変わりようが劇的であったことを改めて自覚した。不甲斐ない日本が見透かされている。フランス人の世界観、特に日本がどのように捉えられているかを知るには勉強になる。
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思ったより、面白くなかったというのが正直なところ。執筆時から10年が経っているから?実証的なデータが示されてないから?後者については、トッドの方が面白いものね。
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4〜12 世紀 商業的・政治的自由が、歴史の原動力となった。 14世紀初頭、資本主義というシステムが形成された。 日本だけでなく、世界でも、外国人エリートの受け入れは、経済的成功の条件である。 レビュー 非常に読みやすい。
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10.6.1 低炭素社会実現に向けた工学の挑戦」セミナー 社会問題 : 「 低炭素社会実現に向けた工学の挑戦」 今、低炭素社会の構築というのが人類が直面している重要課題の一つでもある。東京大学工学部広報室主催の講演会のご紹介を。東大の小宮山前総長の基調講演とともに...
10.6.1 低炭素社会実現に向けた工学の挑戦」セミナー 社会問題 : 「 低炭素社会実現に向けた工学の挑戦」 今、低炭素社会の構築というのが人類が直面している重要課題の一つでもある。東京大学工学部広報室主催の講演会のご紹介を。東大の小宮山前総長の基調講演とともに工学部の同分野のエキスパ ートが様々な「工学の挑戦」についてのセミナーが開かれる。関心がある方は是非ご参加ください。事前登録が不要というのもいいですね♪ タイトルは 「 低炭素社会実現に向けた工学の挑戦」 です。 1.日時 2010年6月1日(火) 18:00〜20:00 2.会場 東京大学教養学部 1323講義室 (アクセス&地図)http://www.c.u-tokyo.ac.jp/access/index.html 3.参加費 無料(事前登録必要なし) 4.プログラム プログラム詳細はこちら < 基調講演 > テーマ 「低炭素社会実現のための戦略とシナリオ」 講師 小宮山 宏(東京大学・前総長、三菱総合研究所・理事長) < 講演 > テーマ1 「太陽・化学エネルギー」 講師 堂免 一成(化学システム工学科・教授) テーマ2 「都市とエネルギー」 講師 花木 啓祐(都市工学科・教授) テーマ3 「原子力エネルギー」 講師 関村 直人(システム創成学科・教授) テーマ4 「熱エネルギー」 講師 鹿園 直毅(生産技術研究所・教授) テーマ5 「電気エネルギー」 講師 谷口 治人(ユビキタスパワーネットワーク寄附講座・特任教授)
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紀元前からの人類の歴史を簡単に解説し、 歴史から学ぶことのできる原理原則と 現代の中心都市の未来について述べている。 最後の方は、サイバーな提言、、、 科学が発達し人間の脳と脳の間のコミュニケーション がはかれることで国家が衰退していく、、、 なんてSFチックなことも書かれてい...
紀元前からの人類の歴史を簡単に解説し、 歴史から学ぶことのできる原理原則と 現代の中心都市の未来について述べている。 最後の方は、サイバーな提言、、、 科学が発達し人間の脳と脳の間のコミュニケーション がはかれることで国家が衰退していく、、、 なんてSFチックなことも書かれているが、、 あとがきから、、え〜! この著者は、サブプライムローンの破綻を予言してたって?! しかも、フランスのサルコジ大統領から特命で 国の専門機関によばれてるなんて〜! 国内でもベストセラーの1冊。 分厚すぎて、さらさら〜読み。^^ 〜以下、◇○本より抜粋、●・コメント〜 ◇13世紀のジェノヴァ(イタリア)の会計簿記 アントワープの印刷技術 ヴェネチュアの商用船団に匹敵する戦略的革新技術であった。 ●こんな昔からあったんだ。。。簿記って。 ◇1825年、イギリスにおいて工業のGDPが、農業のGDPを うわまわった。これは、人類史上初の大転換である。 ●ここから工業化社会が始まるんだ。。 ちょうど、200年ほど前かぁ。 ◇アメリカ終焉のはじまり ○アメリカの対外責務は、1985年 8% が 2006年には、 30%以上 国家の財源を外国に依存している。 ○アメリカ人のサラリーマン世帯の貯蓄率 1980年代 10 % 2007年 0.2 % ○大金持ちの格差:上位 0.01% の所得と平均労働者の所得差 1975年 50倍 2005年 250倍 ●ぐわー、アメリカの格差社会って、ヒドすぎ。 でもこれが、アメリカンドリーム? ◇2025年以降に台頭する11カ国 日本、中国、インド、ロシア、韓国、オーストラリア カナダ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ ◇あとがき NHK「シリーズ 危機の中で未来を考える」でもTV放送された。 ●ジャックアタリをgoogle(YouTube)で検索すると見れるよ^^
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
フランスのジャック・アタリ氏による、歴史からの学びをもとに未来を投影した良書。 9つの中心都市である、ブルージュ、ヴェネチア、アントワープ、ジェノヴァ、アムステルダム、ロンドン、ボストン、ニューヨーク、ロサンジェルスの成立要件と衰退理由のくだりは非常に興味深い。また、アメリカ帝国の終焉を描きながら、日本に対して客観的で冷静な記述がいい。 第一の波(超帝国の出現)、第二の波(超紛争の発生)に対し、第三の波(超民主主義の発生)がどのように作用するか、が将来の世界を大きく作用するという主張は、空想のような気もするが、それぞれを予見させる事象はすでに発生している。こうしたことが起こり得るとして、現代から未来を見通すべきなのだろう。
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これまでの歴史を振り返り、その法則を分析し、未来を予想している。サブプライムローン問題を予言したと言われている。 歴史部分は自分自身、経済学は門外漢だったこともあり、世界初のバブル経済を引き起こしたジョン・ローのことや、16歳で計算機を生み出したブレーズ・パスカルの存在を知ること...
これまでの歴史を振り返り、その法則を分析し、未来を予想している。サブプライムローン問題を予言したと言われている。 歴史部分は自分自身、経済学は門外漢だったこともあり、世界初のバブル経済を引き起こしたジョン・ローのことや、16歳で計算機を生み出したブレーズ・パスカルの存在を知ることができて良かった。また世界の中心都市がどのように変遷していっているか、80年代になぜ東京が中心都市になり損ねたか、フランス人の著者が日本人以上の深い洞察で書いている。 そもそも今の中心都市はカリフォルニアで、米国一GDPが高い州であることを知った。 後半の未来予測については正直、著者の様々な概念が理解できず、よく分かっていない。また改めて勉強しようと思う。とにかくディストピアではあった。
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『超帝国が成立し、すべての紛争の源が一つの戦争となって現われる場合、また、前述の関係者全員が同一の衝突に突入することで互いになんらかの利益を得る場合、超紛争の火蓋は切って落とされる。超紛争は、水、石油、宗教、人口、南北格差、国境紛争などな基づくさまざまな紛争が複雑に絡み合う地域、...
『超帝国が成立し、すべての紛争の源が一つの戦争となって現われる場合、また、前述の関係者全員が同一の衝突に突入することで互いになんらかの利益を得る場合、超紛争の火蓋は切って落とされる。超紛争は、水、石油、宗教、人口、南北格差、国境紛争などな基づくさまざまな紛争が複雑に絡み合う地域、例えば台湾、メキシコ、中東といった地域で勃発する。 また、イスラムの核保有勢力であるイラン・パキスタン連合が、西側諸国に対して明確な攻撃を仕掛けた場合も、超紛争の引き金が引かれる。 いかなる国際機関といえども、超紛争の調停に乗り出すことは不可能である。世界は巨大な戦場と化し、そこでは、国、傭兵集団、テロ集団、海賊、民主主義、独裁者、民族、ノマドなマフィア、宗教団体などが、マネー、信仰、領土、自由など、それぞれの大義をめぐってお互いに激しく衝突する。 これまでに前述した武器はすべて使用される。1960年代以来、人類は核兵器という自殺行為に等しい手段を保有してきたが、その核兵器が使用される。この場合、歴史を綴る者もいなくなってしまう。まぁ、歴史とは、たかが強者の理屈にすぎないものではあるが。 これはまったくあり得ない話ではない。というのは、人類の悲劇とは、人類はなんらかの可能性をもってしまうと、常にそれを行ってしまう点にあるからである。』 それを回避するためにジャック・アタリは〈クリエーター階級〉に代表されるような〈超ノマド〉な特性をもつ〈トランスヒューマン〉が〈調和重視企業〉などで活躍し〈超民主主義〉を実現する必要があると説く。 分厚い本で、彼の言葉の概念を追いながら読まないと理解が困難だけど、非常に大事なことを言っている。 21世紀の歴史を紐解き、人類の悲劇を追いかけ、未来の悲劇を具体的に論拠を示しながら予想し、それを回避する方法論を議論している。 市場民主主義の〈中心都市〉である9都市の変遷を追いかけながら、その中心都市になれなかった日本とフランスにも提言していて面白い。 資本主義の歴史という観点で世界史を観察し、そこから導かれる絶望の未来は、読んでいて本当に悲しくなる。かすかな希望の光は、残念かな、本書が出版された10年前と比べてますます遠ざかっている気がするけれど、なんとかしていかなければならないと思うに至る。
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>至上主義が支配する超帝国・超紛争が起きる ネガティブすぎる。 アセンションが加速してるなかで、これはない。筆者はそう思い込んでいるので、ネガティブな世界を体験することになると思うけど、慈愛で生きてる人はポジティブな未来を体験するはず
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