21世紀の歴史 の商品レビュー
・歴史にはいくつかの法則がある。 ・アメリカ帝国による世界支配は、2035年よりも前に終焉するだろう。 ・常に三者の権力者が共存してきた。宗教人、軍人、商人。 ・人類は、ノマドと定住民との衝突によって、権力と自由を手に入れてきた ・アジアでは自らの欲望から自由になることを...
・歴史にはいくつかの法則がある。 ・アメリカ帝国による世界支配は、2035年よりも前に終焉するだろう。 ・常に三者の権力者が共存してきた。宗教人、軍人、商人。 ・人類は、ノマドと定住民との衝突によって、権力と自由を手に入れてきた ・アジアでは自らの欲望から自由になることを望む一方で、 西洋では欲望を実現するための自由を手に入れることを望んだのである。 ・クリエイター階級が集まる「中心都市」には、農業を発展させるための 広大な後背地と、製品を輸出するための大きな港が必要。 ・音楽は、未来を予告する。 ・戦争の勝利者になる国とは、常に参戦しなかった国、自国領土で 戦わなかった国である。 ・民主主義は、市場経済無しでは存在できない。 ・歴史の進展の方向性はたった一つ。政治的自由の拡大。 ・日本は、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な 解決手段に頼るようになる。 2025年、日本の経済力は世界5位ですらないかもしれない。 ・将来有望な産業は、保険業と娯楽産業。 不安から守ってほしいという要求と、不安から解放されたいという要求。 ・中心都市は、西に向かって移動し続ける。最後は中東に戻るという道筋。 ・東京は、10番目の中心都市の有力な候補地となるであろうが、1980年代に チャンスをつかみ損ねたように、2030年においても普遍的な価値を創造 する能力に欠如しているであろう。 ・超民主主義の実現に向けて最前線で活動するトランスヒューマン。 彼らは、収益が最終目標ではない調和重視企業で活躍している。 ・知識経済では、上流部門である研究開発の段階と、下流部門である 販売促進段階にしか、大きな利潤は存在しない。
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【21世紀がどのような世界になるのかを予想した一冊】 人類が誕生してから、今日までどのように人が発展してきたのかを分析した上で、21世紀がどのような世界になるのかを描いている一冊。 最後の方には希望の光りが記述されているが、8割は気が参るような、暗い話である。暴力、支配、監視、...
【21世紀がどのような世界になるのかを予想した一冊】 人類が誕生してから、今日までどのように人が発展してきたのかを分析した上で、21世紀がどのような世界になるのかを描いている一冊。 最後の方には希望の光りが記述されているが、8割は気が参るような、暗い話である。暴力、支配、監視、孤独、そんな世界がやってきつつあるのが、21世紀なのである。もちろん、そんな世界ではなくて、もっと平和的に調和的に生きよう!という動きが最後には出てきて、落ち着いていくだろうという考えが示されているが、それは先述のマイナスな世界を通り過ぎた後の話である。 IoT、VR、スマホ、チップの小型化などなどジャック・アタリが想像した世界が来るような兆候は、2016年の今でさえもすでにある。あと数年のうちによりその姿が明確になってくるに違いない。 トランプが圧倒的な指示を集めるのも、移民への危機感を抱いている「Poor White」の人たちの心のなかの叫びが爆発しているからである。ISのようなカルト宗教団体が世界で流行しつつあるのも、現状への不安が大きくなっているからではなかろうか。 グローバル化、テクノロジーの進化が行われていく中で、一人ひとりが悩む機会が多くなったような気がする。同じ民族だから、同じような考え方だから、ということではうまくいかない。バックグラウンドの違う様々な人たちが交じり合った中でどのように生きていく必要があるのだろうか。 ジャック・アタリが「旅をたくさんしているものが行きのこる」と言ったのは、別にパスポートにスタンプがたくさん押してあるからスゴイのではなくて、様々な人たちの考え方、文化、バックグラウンドに触れているからこそ、どこでもやっていけるということではなかろうか。 さぁ、必ず押し寄せるそんな世界に、どのように各人は行動するのだろうか。
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フランスのミッテラン元大統領にも見出された知識人による名著。 過去の人類の歩みを振り返りながら、21世紀の歴史を予想します。 冷戦終結後のアメリカ一国支配の終焉から、次世代の帝国・紛争を経て新たな民主主義(超民主主義)がどのように生まれるかを大胆に予想しています。 氏はその超民...
フランスのミッテラン元大統領にも見出された知識人による名著。 過去の人類の歩みを振り返りながら、21世紀の歴史を予想します。 冷戦終結後のアメリカ一国支配の終焉から、次世代の帝国・紛争を経て新たな民主主義(超民主主義)がどのように生まれるかを大胆に予想しています。 氏はその超民主主義を「21世紀の歴史の原動力となる最後の表現」である自由と定義し、地球レベルで市場と民主主義の間をバランスするものとしています。 国家が提供する公共サービスは市場の安価なサービスに代替され利潤追求することなしに気候・水・大気などの環境や、自由民主主義文化、言語などの共通資本を提供するサービスが既存の市場と競合する世界を描いています。 超民主主義が成立するまでの変遷として、中心都市の移動、すべてをマネーが決着する超帝国の形成、国際テロ組織を含む組織が暴力によってグローバル化を押しとどめようとする超紛争の発生を示唆していますが、その後の現実をみても世界の警察官の役割を降りたいオバマ大統領の発言、IS(自称「イスラム国」)の出現などは本書の描く通りに時代が移り変わっているようにも見えます。 アメリカが内向きになっている中、中国が新大国間関係を打ち出し、その海洋戦略をしたたかに推し進める事に対して、日本としてどう対応していくか。 日米安保条約によってアメリカの核の傘の下に守られていると考えている私たちは、この時代の移り変わりを冷静に見極めて行動する必要があります。
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第一の波:アメリカ一極時代の終焉 第二の波:多国籍 第三の波:超帝国(市場そのものが帝国化、社会保障や警察、軍隊までもが民営化される) 第四の波:超紛争(弱体した国家は貧困層を支えきれず、市場も貧困層を救えない→アナーキーな混沌とした時代へ) 〜別の統治モデル待望論台頭〜 第五の...
第一の波:アメリカ一極時代の終焉 第二の波:多国籍 第三の波:超帝国(市場そのものが帝国化、社会保障や警察、軍隊までもが民営化される) 第四の波:超紛争(弱体した国家は貧困層を支えきれず、市場も貧困層を救えない→アナーキーな混沌とした時代へ) 〜別の統治モデル待望論台頭〜 第五の波:超民主主義(trans human 新しい人間の出現。利他的であることが生きる喜びであること、他のひとが幸せでなければ自分も幸せになれない=合理的な博愛主義者)
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2006年に刊行されたジャック・アタリのこの本は、世界金融危機を予言・的中させたものとして有名で、日本の政治家の多くも恐らく読んでいるだろう。 人類文化の黎明から書き起こし、21世紀終わり頃までを壮大なスケールで描く本書は確かに面白い。アタリはなにしろフランス政治界の重鎮でもあり...
2006年に刊行されたジャック・アタリのこの本は、世界金融危機を予言・的中させたものとして有名で、日本の政治家の多くも恐らく読んでいるだろう。 人類文化の黎明から書き起こし、21世紀終わり頃までを壮大なスケールで描く本書は確かに面白い。アタリはなにしろフランス政治界の重鎮でもあり、世界情勢に通暁していることは言うまでもない。 とはいえ、彼の思想は非常に独特な用語が駆使されている。ドゥルーズでおなじみの「ノマド」はともかくとしても、「中心都市」「クリエイター階級」「超帝国」といった奇妙な概念で世界情勢が読み解かれる。 日本に関する彼の分析も的確である。 「日本は世界でも有数の経済力を維持し続けるが、人口の高齢化に歯止めがかからず、国の相対的価値は低下し続ける。・・・日本が・・・将来的なテクノロジーに関して抜きん出ているとしても、個人の自由を日本の主要な価値観にすることはできないであろう。。 ・・・こうした状況(北朝鮮、韓国、中国との関係)に対し、日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。2025年、日本の経済力は、世界第5位ですらないかもしれない。」(P146) アタリによると、アジアの中ではむしろ韓国が成功モデルとなると評価している。このへん、ネトウヨが読んだら逆上しそうだ(笑)。 かつてから私は「資本主義」と「民主主義」がどのように連関して一体のものとなっているのか疑問に思っていたが、アタリは市場から民主主義が生まれたということから、「市場民主主義」という言葉を使っている。 さらに、アタリの予測によると市場経済(資本主義経済)が勢力を強めていって民主主義は壊滅させられる。そこでとうとう両者の関係が破綻するというのだ。 そして、資源問題、国境問題などをめぐって21世紀のあいだに世界は核戦争に突入する。 このハルマゲドンのような惨状ののちに、アタリは「超民主主義」の到来を期待する。そこでの経済は利他的な経済であって、従来の利己的資本主義とも併用されながら、世界の調和が目指されるだろう、というビジョンだ。 このへんのイメージは、中沢新一氏、内田樹氏の「贈与経済」に似たものと言ってよいのだろうか。 とにかく、資本主義経済の進展、グローバリズムは21世紀に進行していちどカタストロフを迎えなければ済まないだろう、という悲観的な未来をアタリは描いている。 アタリの言うクリエイター階級というのは、単なる資本家ではなく、エリートビジネスマン、一流のプログラマー、芸術家など、とにかくずば抜けた才能をもって世界を渡り歩くノマドである。 私も才能に恵まれ、かつ努力を惜しまなければそんな人になりたかったものだが、実際は土地にしばりつけられた中間層の低住民であり、バーチャルなノマド生活をオタク的に楽しもうとする「下層ノマド」に属するようだ。この層は、どんどん広がる経済格差の荒波に揺さぶられ、みずから荒ぶることになっている。 ここに描かれた未来は、ちょっと突飛なところもあり、SF小説顔負けな面もあるが、テクノロジーの進歩は凄まじいから、あながち飛躍しすぎの予測でもないのかもしれない。半信半疑で受け取るしかないが、一部の「勝者」だけが得をする現在の資本主義はいちど世界戦争による破滅と共に、カタストロフを迎えなければならない、という予見に、私はほぼ同意できる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
超帝国-超紛争-超民主主義という3つの波を予測。 中心都市の移動や市場と国家の鬩ぎあいというコンセプトはブローデルを思わせる。今後の展開として超帝国-超紛争にはリアリティがあるが、最後の福音としての超民主主義のイメージがつかめない。現実のフランス政府の政策にコミットしている著者の立場は「既得権益」をひっぺがそうとする新自由主義者と変わるところがないようにも思うが。
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ノマド 音楽は未来を予告する 11カ国(日本、中国、インド、ロシア、インドネシア、韓国、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ) 都会人の住居は都心から更に離れる。2025年には40kmも離れた地域で生活する。こうしたノマドの物流を組織する新たな商売が生まれ...
ノマド 音楽は未来を予告する 11カ国(日本、中国、インド、ロシア、インドネシア、韓国、オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ) 都会人の住居は都心から更に離れる。2025年には40kmも離れた地域で生活する。こうしたノマドの物流を組織する新たな商売が生まれる。 将来有望な産業、保険業と娯楽産業。 時間…残された唯一、本当に希少なもの 超ノマド…サーカス型企業の所有者、ノマドとしての資産を有する者、金融業や企業の戦略家、保険会社や娯楽産業の経営者、ソフトウェアの設計者、発明家、法律家、金融業者、作家、デザイナー、アーティスト、オブジェノマドを開発する者など マネーによる暴力の後は、武力による暴力がやってくる。もうすでにその兆候は見られる。 未来の主要な兵器とは、おそらくプロパガンダであり、コミュニケーションであり、脅しであろう。 トランスヒューマン…超民主主義の実現に向けて最前線で活躍する人々。収益にとらわれない、収益が最終目標ではない調和重視企業で活躍している。トランスヒューマンとは愛他主義者であり、世界市民である。
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・現在までの市場の秩序は、九つの市場形式をたどってきた。では、この変遷を「中心都市」の推移を順に追って考察するか(ブルージュ、ヴェネチア、アントワープ、ジェノヴァ、アムステルダム、ロンドン、ボストン、ニューヨーク、ロスアンジェルス)、または大量消費財の登場を順に追って考察するか(...
・現在までの市場の秩序は、九つの市場形式をたどってきた。では、この変遷を「中心都市」の推移を順に追って考察するか(ブルージュ、ヴェネチア、アントワープ、ジェノヴァ、アムステルダム、ロンドン、ボストン、ニューヨーク、ロスアンジェルス)、または大量消費財の登場を順に追って考察するか(食品、衣服、書籍、金融、運輸手段、家庭用電気製品、コミュニケーション・娯楽)、商業圏の拡大を可能としたテクノロジーの進展を順に追って考察するか(船の舵、キャラベル船、印刷機、会計、オランダ船、蒸気機関、内燃機関、電動機具、マイクロプロセッサ)、支配的通貨を順に追って考察するか(グロ金貨、ダカット金貨、ギルダー、ジェノヴァ通貨、フローリン、リーヴル・スターリング[ポンド]、ドル)もしくは「中心都市」を代表する芸術家や哲学者を順に追って考察することも可能であろう。
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この本はフランスでベストセラーになり大論争を巻き起こし、 本書の提言に感銘を受けたサルコジ大統領は「アタリ政策委員会」を設置して、21世紀フランスを変革するための政策提言をアタリ氏に依頼されたそうです。 2006年に書かれましたが、 リーマンショック、北朝鮮の核武装など、様々な...
この本はフランスでベストセラーになり大論争を巻き起こし、 本書の提言に感銘を受けたサルコジ大統領は「アタリ政策委員会」を設置して、21世紀フランスを変革するための政策提言をアタリ氏に依頼されたそうです。 2006年に書かれましたが、 リーマンショック、北朝鮮の核武装など、様々なことが本書で既に予見されてます。 約100ページを使って人類誕生から現代までの歴史の流れをふり返っています。 その後は今までの歴史の栄枯盛衰の流れや数値的な統計から21世紀を予測されていて、説得力があり、読み応えありました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
<メモ> (ブッダ、孔子を例に) アジアでは、自らの欲望から自由になることを望む一方で、西洋では、欲望を実現するための自由を手に入れることを望んだのである。言いかえれば、世界を幻想と捉えることを選択するか、世界を行動と幸福を実現する唯一の場であると捉えるかの選択である。すなわち、魂の輪廻転生か、それとも魂の救済かという選択である。 書店に並んでいるビジネス書のタイトル見たら、今の日本は西洋型だとわかる。成長するものだけが生き残る、お金儲けがすべてみたいな。質素につつましく、という考え方は負け組扱いされる風潮がある、気がする。広告に踊らされないことが大事とは思う。 保険と娯楽産業はこの先も発展するとの予測。自分の考え方と逆だったので、もう一回読んでみよう。
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