21世紀の歴史 の商品レビュー
未来の事を知るためには過去の出来事を学ぶ必要がある。この本はヨーロッパ最高の頭脳と呼ばれるジャックアタリ氏の歴史書であり、未来書でもある。私がこの本に出会ったのはハイーパーメディアクリエーター高城剛氏のブログであった。的確に過去を語り、これから起こるであろう様々な未来が書いてある...
未来の事を知るためには過去の出来事を学ぶ必要がある。この本はヨーロッパ最高の頭脳と呼ばれるジャックアタリ氏の歴史書であり、未来書でもある。私がこの本に出会ったのはハイーパーメディアクリエーター高城剛氏のブログであった。的確に過去を語り、これから起こるであろう様々な未来が書いてある。
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人類の誕生から現在までの歴史を概観することによって教訓とすべき歴史的事実を明確にし、これまでの市場経済を支配してきた9つの"中心都市"の興亡を見ることによって、21世紀の世界の歴史を予測している。最初の2章で過去を振り返り、残り3章で、未来に達するかもしれない、超帝国、超紛争、超民主主義という3つの状態について紹介している。 後半3章は著者の予測であり、内容が正しいかどうかはその時にならないと分からない。一方、前半2章は歴史的事実に対する著者の見解を示しており、著者の思考方法が垣間見えるので、今後の世界の変化に対して自分で考察する場合の参考になると思う。 前半のポイントはいっぱいあると思うのだが、自分なりに重要だと思った点をいくつか挙げてみると、(1)人類は本質的にノマド(遊牧民)である、(2)サービスを産業品に置き換えることで経済成長してきた、(3)歴史は繰り返す、になる。 (1)は、自分たちが定住している現状を考えると矛盾しているように思えるが、人類の黎明期においては住みやすい土地を求めてさまよい歩いたこと、優秀な人材は生まれた国に拘わらず"中心都市"に集まること、現在もモバイル製品が売れていることなどを考え合わせると、意外に納得できる。(2)は、人馬による輸送が自動車に、会計事務がシステムに、足で稼ぐ情報がインターネットに、という時代の変遷を思い浮かべれば理解できる。そして、これらの積み重ねが(3)なのだ。これが繰り返されると仮定すると、訪れる未来は次の様になるらしい。 いずれは社会保障や治安維持などの公的サービスも民営化され、市場経済の枠組みに取り込まれる。市場は、アダム・スミスが論じた様に、見えざる手が理想の状態に導いてくれないらしいので、経済格差が生じる。この様なサービスを提供する企業は巨大になり強い力を持つ一方で、税収を減らすことになる国は影響力を低下させる。この状態を超帝国と呼ぶ。そして、軍事的影響力の低下は地方勢力や犯罪集団による紛争を招く。また、影響力の回復を狙って軍備拡張に走り、武力解決を頼みにするようになり、超紛争に至る。だが、著者の理想とする世界では、いずれ利益を求めずに働ける人たちが国際機関を組織し、全ての人類が必要財を手にできる、超民主主義が成立する。 この予測を読んでボクが想起したのは『易経』である。易は、坤から乾まで、爻という横棒が順次、陰陽変化しながら状態を遷移していき、六十四卦を生み出す、というのがボクの理解だ。だから、ある状態から移れる状態は限られており、いきなり変な状態に飛んだりはしない。そして、これを社会と結びつけることにより将来を占う。社会がいきなり変な状態に飛ばないのは、例えばナチスが登場するまでには、第一次世界大戦の戦費負担による経済悪化、閉塞感を打破するためのナショナリズムの高揚、不満を纏め上げる扇動者の出現、の様な段階を踏んでいることから明らかだ。 この様に考えると、先ほどの超帝国・超紛争の流れもいきなりその様な状態になるわけではなく、初めは何か小さなきっかけが、放って置くとドンドンずれが大きくなって、取り返しのつかない状態に至ってしまうことになる。だから、今のうちから世の中の流れを注視し、少しでも違和感を持ったら早期に対応することが重要になってくるのだろう。
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21世紀の後半にいるという視点で地球の歴史を人間目線で描いている本です。単なる予測本とは異なり、きちんと論理に基づいて書かれているのが特徴です。今後の世界に興味がある人、必見です。
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読書会の課題図書なので読んだ本。本書は2006年に出版されているのですが、後に起こったサブプライムローン問題を予見していた、として話題の本です。読後感としては、若干暗いですね。しかし、対応すべき課題として、読んでおく必要はあると思います。いろいろと独特なキーワードが出てきて、すぐ...
読書会の課題図書なので読んだ本。本書は2006年に出版されているのですが、後に起こったサブプライムローン問題を予見していた、として話題の本です。読後感としては、若干暗いですね。しかし、対応すべき課題として、読んでおく必要はあると思います。いろいろと独特なキーワードが出てきて、すぐには正確に把握できていないところもありますが、ゆっくり咀嚼していきたいと思う、そんな一冊です。
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今後、起こりえる事象を予測して、そこから振り返る形で21世紀の姿を述べている。面白い。 正直、眉唾なところも多々あるが、なるほど、想像し得ると思う事項も相当にあった。 特に、今後クリエイターな人種が経済活動の中心となり、一所に落ち着かず自由に放浪する状態(ノマド)が増加するという箇所が印象深く、ちょっと憧れてしまった。読了直後、ニュースで、最近ノマドカフェなるものが都心を中心に増えているということが放送され、本書の直接の影響もあるだろうが、確かに当たっているなあと思った。 後は、アメリカの終焉と次の中心都市の予想など。 アメリカって若い国かと思ってましたが、中心都市としての平均寿命は、もう過ぎているてそうで。 未来部門は正直、時間軸が行ったり来たりするので、分かりずらかったと言わざるをえない。ここがマイナス。 それよりも、本書では長いページを割いて、古代から中世、近代を経て、現代までの歴史をおさらいしてくれるのですが、ここの箇所のできがすばらしかった。ここだけで、一冊本ができるぐらいでは。 哲学、科学、経済学など、重要なトピックを時系列に沿って記されているのですが、分かりやすく、今までうろ思えだったりした事項のピースが繋がり、知らなかった当時の社会情勢が垣間見えたりできました。
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歴史・文化の知識の幅広さに圧倒された。 アタリの世界観を理解したかったけど、まだまだだなぁ。。 多分に自分の知識不足のせいなのだけど、イマイチ消化しきれていない。 パソコン・インターネットといったノマド・オブジェ(テクノロジー)の発展によって市場が国境を越えて拡大し、地域に縛ら...
歴史・文化の知識の幅広さに圧倒された。 アタリの世界観を理解したかったけど、まだまだだなぁ。。 多分に自分の知識不足のせいなのだけど、イマイチ消化しきれていない。 パソコン・インターネットといったノマド・オブジェ(テクノロジー)の発展によって市場が国境を越えて拡大し、地域に縛られた国家機能は意味をなさなくなっていく。その結果、従来の秩序が崩壊して各地で地域紛争が続発。そして混乱のなかから、新しい秩序(超民主主義)が生まれていく。 こんな感じかなぁ。 また日をおいて再読したい。
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フランスのサルコジ現大統領の経済ブレイン、ジャック・アタリ氏の著。 数ヶ月前にとあるコンサルタントの方から紹介された本著をようやく読了。歴史の観点から過去20世紀の人類の歴史を俯瞰し、さらに地政学・政治学・経済学の観点から(未来の人類)から見た21世紀を占います。 時に非常に難解な本著。 ですが、「2025年には日本は世界ベスト5の経済大国ですらないかもしれない」「南北朝鮮の統一という経済コストと地政学リスクを抑えれば、次のアジア最大勢力は(インドでも中国ではなく)韓国が握る」など、非常に前衛的かつロジカルな指摘も含まれており、今後数十年の行く末を考える上で非常に参考になります。
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アタリは学者というより、予言者と言った方が良い。 根拠不明かつ断定的な物言いで警戒が必要だが、耳を傾けざるを得ない興味津々な記述が満載。 「長期的な観点から眺めると、歴史とは、唯一の、頑固で極めて特殊な方向に向かって展開して来たことがわかる。(中略)人類の歴史とは、権利の主体として個人が台頭して来た歴史である。つまり、他者に付与されたのと同じ自由を尊重する限りにおいて、個人には思考する、そして自らの命運を自らが司る権利があり、何事からも自由である状態を目指して来たのである。」 妙に納得してしまう記述や、逆に違和感を抱いてしまう記述が毎ページ毎に登場し、読み終わるのに時間がかかる一冊。 (この点、私にとっては、ドラッカーを読む時に感じる感覚と似ている。)
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ちょいむず。 にわかに信じたくないけどももう既にはじまっている未来に関する予言?予想?を言及。 適当に予想するのではなく、人類史を振り返ってからその法則を元に導く。 それすらも本当なのか信じられない。 そりゃまあ未来に関するものはなんでもそうか。 悪い予言も、良い予言もこれから...
ちょいむず。 にわかに信じたくないけどももう既にはじまっている未来に関する予言?予想?を言及。 適当に予想するのではなく、人類史を振り返ってからその法則を元に導く。 それすらも本当なのか信じられない。 そりゃまあ未来に関するものはなんでもそうか。 悪い予言も、良い予言もこれからの各国、個人次第。最悪の結果だけにはならないようにみんなで考えていかねば。 フランスではこの著者ジャック・アタリ氏を中心とした政策委員会が発足され彼の言うような良い未来の為にフランスの舵が実際に切られている。 日本も後手後手にならないよう、未来を見据えた行動をしてほしい。といったら他人ごとになるので、行動していこう!
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歴史の読み方によっては未来が見えてくる。 歴史的な事実の積み重ねである現代社会をどう見るか? まさに、混迷にある世界経済の行く末はどうなるか? 沢山の概念と沢山のヒントがあります。 ちょっと厚さがあるので、 持ち歩くのが大変でしたが、 その価値は十分ありました。
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