幼年期の終わり の商品レビュー
なんて深い小説なんだろう。 こんな本が五十年前なんてすでに書き上げられていたなんて! 全然色褪せていない。 というか、我々はまだそこまで行き着いていないのか。 まだ読み込めていない部分が多いけれど、その物語に終始漂い続ける諦念の空気に胸を締め付けられる。 カストラー...
なんて深い小説なんだろう。 こんな本が五十年前なんてすでに書き上げられていたなんて! 全然色褪せていない。 というか、我々はまだそこまで行き着いていないのか。 まだ読み込めていない部分が多いけれど、その物語に終始漂い続ける諦念の空気に胸を締め付けられる。 カストラートみたいな、オーヴァーロード。
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文明が進むことが果たして人間を幸せにするのか。より高度な生命体は人間をどう見るのだろうか。そんなことを考える。
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1956年の著作であるが、書き直された第一章がふくまれている。オーヴァーロードとの接触によって、人類の社会・政治・精神がどのように変化するのかを細かく書いているところがすぐれている。しかし、人類が進化して、オーヴァーロードさえ使役するオーヴァーマインドの一部になるというのは、ちょ...
1956年の著作であるが、書き直された第一章がふくまれている。オーヴァーロードとの接触によって、人類の社会・政治・精神がどのように変化するのかを細かく書いているところがすぐれている。しかし、人類が進化して、オーヴァーロードさえ使役するオーヴァーマインドの一部になるというのは、ちょっと納得できない。もし、オーヴァーマインドなるものがいるとしても、それがどうして人類の進化形態を吸収しようとするのか、意味が不明である。オーヴァーマインドは神のSF的解釋であろうが、「人は天地の心」という中国的な「天道」でもある気がする。黙示文学であろうが、東洋的なものも感じる作品である。
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これが五十年も前に書かれていた話なのかとびっくりした。先見の明ありすぎ。 SFって普段あんまり読まないけど、読むと脳みそ柔らかくなる気がする。
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何か、最高君主たら言ってもう不可触的に断絶された存在かと思いきや割と人間くさいのねとか、気を持たせた挙げ句に衆目の前に現したその姿形の微妙に肩すかしな造形とか、三分の二くらいは割と期待はずれな筋運びだったのだけれど、終盤、人類が急激なメタモルフォーゼを遂げるに至って俄に戦慄が走る...
何か、最高君主たら言ってもう不可触的に断絶された存在かと思いきや割と人間くさいのねとか、気を持たせた挙げ句に衆目の前に現したその姿形の微妙に肩すかしな造形とか、三分の二くらいは割と期待はずれな筋運びだったのだけれど、終盤、人類が急激なメタモルフォーゼを遂げるに至って俄に戦慄が走る。そして迎える有無を言わせぬ衝撃のラスト。理屈抜きで圧倒させる鮮烈なイメージ。いやあ、荒唐無稽と紙一重の壮大なスペクタクルですな。SFファンなら一読必須の一冊。
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早川版も持っているのですが、新翻訳という事で購入しました。断然解り易くなっていて良く意味が飲み込めたら、個人的にどうしても受け入れ難い気色悪い話なのが解りました。物質である個体を捨てて精神体に進化するのは良いのですが、地球自体は地球のものであり他の生き物も同じで、人間の変容の為に...
早川版も持っているのですが、新翻訳という事で購入しました。断然解り易くなっていて良く意味が飲み込めたら、個人的にどうしても受け入れ難い気色悪い話なのが解りました。物質である個体を捨てて精神体に進化するのは良いのですが、地球自体は地球のものであり他の生き物も同じで、人間の変容の為に吸収されるというのはまさに傲慢としか云えない気がします。
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美しい風景、人間とはなにか。すべてが与えられて、新しく見えてくる人間の本質。 自己がなくなって全体に組み込まれる気持ちよさ。なんだかこのネットワークに組み込まれるかんじ、ちょっと想像出来る。まるで死のような・・。そして、「最後の世代」の自己を持った美しい生き様を考えると、果たして...
美しい風景、人間とはなにか。すべてが与えられて、新しく見えてくる人間の本質。 自己がなくなって全体に組み込まれる気持ちよさ。なんだかこのネットワークに組み込まれるかんじ、ちょっと想像出来る。まるで死のような・・。そして、「最後の世代」の自己を持った美しい生き様を考えると、果たして人類は「成長」したのか・・・?と考える私が旧人類だからなのだけど。
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SF史上名作中の名作です。各国のSFオールタイム・ベストで常にベスト10入りをキープし続け、多少なりとも「SF者」を自認する者なら当然読んでいて然るべき古典にして超定番。鴨も10代の頃に、ハヤカワ文庫SF版を読んでむちゃくちゃ感動しました。今回読了したのは、発表から36年後にクラ...
SF史上名作中の名作です。各国のSFオールタイム・ベストで常にベスト10入りをキープし続け、多少なりとも「SF者」を自認する者なら当然読んでいて然るべき古典にして超定番。鴨も10代の頃に、ハヤカワ文庫SF版を読んでむちゃくちゃ感動しました。今回読了したのは、発表から36年後にクラーク本人が世界情勢の変化を反映して第1部を書き直した改訂版です。旧版は米ソ冷戦構造を背景とした物語展開になっているので、今読むと確かにちょっと古臭いんですね。そこを解消したのがこの改訂版、なんですが、正直なところ改訂した第1部はこの作品の本質には何ら影響を与えていないですねヽ( ´ー`)ノ逆に言えば、それだけ時代の流れの影響を受けない骨太な作品である、とも言えます。 ハヤカワの旧版を読んだ10代の頃は、物語のスケールの大きさ、人類進化のヴィジョンの壮大さに「これぞSFだぁ!」な高揚感を味わい、とにかくどきどきしたもんです。が、この歳になって読み返してみると、受ける印象が全く異なることに鴨自身非常に驚きました。この物語のテーマは「人類の進化」です。一般的にそう解説されていますし、鴨もそう思って20年以上SF者を務めてきましたヽ( ´ー`)ノしかし、再読して何よりも強く感じたこと。 ・・・これは、「進化」ではない。 そう、間違いなくこの物語の中で人類は「変化」しているのですが、それが本当に生命として「善い」ことなのかどうかは、この物語の中では一切説明されていないのですね。そもそも、新しく生まれる新人類の産婆役を務めるオーヴァーロードたちですら、その「変化」の意味を完全には理解していません。何を考えているかわからないオーヴァーマインドの指示に従って、与えられた任務を粛々とこなしているに過ぎません。それでも人類の「変化」に対して狂おしい程の嫉妬を覚えずにはいられないオーヴァーロードの哀しみ、そして退路を断たれて緩やかに自滅していく旧人類の苦しみ。新人類が”羽化”する瞬間を目撃できた最後の旧人類・ジャンの突き抜けた諦観。10代の頃に感じた高揚感など、どこにもありません。そこにあるのは、壮絶なまでの虚無感です。そんな読み取り方をするようになったのは、鴨がそれなりに歳を重ねたからでしょうかねヽ( ´ー`)ノ 言葉を変えれば、「進化」という表現が如何に主観に貫かれたものなのか、よくわかる作品でもあります。日本でこの作品をいち早く評価したのが沼正三と三島由紀夫だそうで、10代の頃には何でこの二人なのか全く理解できなかったろうと思うんですが、今は妙によくわかります(笑)深いよ、深過ぎるよSF。次は何を読もうかなぁ(.. )φ
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実は、クラーク読んだことなかったんです。 SFファンとしてはあるまじき・・・(汗) アシモフとか、ハインラインとか、ル・グインとか、 もちろん古典で言えば、ジュール・ヴェルヌとか、H.G.ウェルズとか、 近年注目されたディックとか、 やっと現実社会が追いついてきたギブスンとか、...
実は、クラーク読んだことなかったんです。 SFファンとしてはあるまじき・・・(汗) アシモフとか、ハインラインとか、ル・グインとか、 もちろん古典で言えば、ジュール・ヴェルヌとか、H.G.ウェルズとか、 近年注目されたディックとか、 やっと現実社会が追いついてきたギブスンとか、 巨匠といわれて簡単に思いつく作家のの作品は、 多岐に渡って読んでいたんですが、 なんだか、クラークは、勝手な先入観で、 読み散らかされた作家だと思い込み、 手が出なかったんですね。 日本のSFファンにはなぜか受け入れられない、 マイクル・クライトンのような位置づけでしょうか・・・ (ま、確かにタイムラインはひどかったですが) 本当に、申し訳ありませんでしたorz 『2001年宇宙の旅』もスタンリー・キューブリックの映画だけ見て、 満足していました! オープニングの 「人類はもはや孤独ではない」 からしびれました。 確かに、多少現代の人間が読むと 時代遅れの感じもしてしまいますが、 それはそれ、と置いておいて作品に没頭すれば、 めくるめく冒険が描かれる一方で、 存在としてのヒトについて、 示唆に富んだ名作です。 新訳になり、読みやすくなったと思うので、 ぜひぜひ、未読の方は手にとって見てください♪ P.S. 修士号の学位授与式の際、 指導教官にこの本をプレゼントしたところ、 大変喜ばれておりました。
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SF史上の傑作ということで手にとったが、主題は、世界統一、政治、国家、心理学に関する未来のビジョンを描いている深い作品。 なぜ、地球外生物が地球に現れ、進化、最後を見届けたのかが若干理解しにくかったが、50年ほど前の戦争後に理想の世界を描いた作品は、一読に値する。
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