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幼年期の終わり の商品レビュー

4.1

194件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2009/11/14

21世紀の後半、人類は火星への進出を現実のものとしようとしていた。 そんな矢先のある日、現れたのは空を覆う巨大な飛行物体の群れ。 やがて人類はカレランと名乗る謎の存在の演説を耳にする、カレランはその演説において圧倒的な存在と知性を示し、抗う術のない人類は彼らの統治下に置かれること...

21世紀の後半、人類は火星への進出を現実のものとしようとしていた。 そんな矢先のある日、現れたのは空を覆う巨大な飛行物体の群れ。 やがて人類はカレランと名乗る謎の存在の演説を耳にする、カレランはその演説において圧倒的な存在と知性を示し、抗う術のない人類は彼らの統治下に置かれることとなっていった。 当然彼らに反発するものもいたが、その公正で公平な施政により世界から争いが消えていくと人類からは広く受け入れられるようになり、彼らはオーバーロードと呼ばれるようになる。 しかし、数年を経ても一向に姿を現そうとしないオーバーロードに人類の不信はつのりだす、そして唯一人オーバーロードの宇宙船への立ち入りを許されていた国連事務総長のストルムグレンが誘拐されるという自体に発展すると、地球総督カレランは人類に一つの約束をする。 ―50年後に人類の前に姿を現す。と― 三部構成の本、第一部でオーバーロードは50年後に姿を見せると言い、第二部ではオーバーロードの存在によってユートピアを実現した人類とオーバーロードの驚くべき姿、そして第三部では・・・ 光文社版は1990年に改められた版を翻訳しているようです。 過去に読んだハヤカワ版との違いは時代設定が異なる点ぐらい。 時代が20世紀から21世紀へと移り、人類が火星へ進出を果たそうとしているという時代背景になってます。まえがきによればその他の部分は変更はないとのこと。 そしてご丁寧に「本文中に示された見解は、著者個人のものではない」との但し書きもついているのにはちょっと笑いました(笑)、その辺の事情はまえがきに書かれています。 第三部のインパクトはやはり大きかったなと思い出させてくれました。翻訳は慣れ親しんだハヤカワ版の方が好みではありますが、文字どうり慣れの問題だと思いますので、これから手を出したい方はこちらが良いと思います。

Posted byブクログ

2009/10/18

地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。 (裏表紙紹介文より) ...

地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。 (裏表紙紹介文より) *** 第1部地球とオーヴァーロードたち 第2部黄金期 第3部最後の世代 という構成になってますが、私は第1部が一番すきだな。 ストルムグレンとカレランのやり取りが良い。 それに現代に一番近いから感情移入しやすいのかも。 私は何かが終わるのって好きじゃないので、第3部は読んでてちょっと悲しくなったりしました。 この作品では“それ”は決してただの終わりじゃないのだけれども。 印象に残った文 p341『人間の心は海に囲まれた島だと考えてみてください。それぞれは隔絶されているように見えますが、実際には、海底の岩盤でつながっています。海の水が消えたら、島は一つも残らない。それまであったものはすべて一つの大陸の一部になるんです。ただし、個としての存在は失われます。』

Posted byブクログ

2009/10/15

もやもやする。 ファウンデーションのガイアもそうだけど、個を捨ててひとつの意識に統合される方向への進化は、納得できないなぁ。つながってしまえば、つながっているのが当たり前に感じられるのかもしれないけど。 あと、映画にするには地味だと思った。 オーヴァーロードの姿が「悪魔」として共...

もやもやする。 ファウンデーションのガイアもそうだけど、個を捨ててひとつの意識に統合される方向への進化は、納得できないなぁ。つながってしまえば、つながっているのが当たり前に感じられるのかもしれないけど。 あと、映画にするには地味だと思った。 オーヴァーロードの姿が「悪魔」として共有されていたのは、過去にも地球に来たことがあるからではなく、未来の記憶だったというのは面白かった。

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2009/10/07

はじめて読んだ『幼年期の終わり』です。(読んだ理由は案の定、00にテロップがあったからなんですが…) はじめの方こそ「カレラン好きだぜカレラン!」と異種間交流にきゅんとしていた(死語)のですが、第三部にはぞっとしたり考えさせられたり、とにかく圧倒されました。 そしてこれを読み終わ...

はじめて読んだ『幼年期の終わり』です。(読んだ理由は案の定、00にテロップがあったからなんですが…) はじめの方こそ「カレラン好きだぜカレラン!」と異種間交流にきゅんとしていた(死語)のですが、第三部にはぞっとしたり考えさせられたり、とにかく圧倒されました。 そしてこれを読み終わったとき、私はもしかするとSF好きなんではなかろうかと自覚を持ったのでありました。もう少しSF読んでから判断します。 間違いなく言えるのは、思春期に読むと人生を変えられていただろうということです。今でさえかなりの影響を受けているので間違いありません。 語彙不足で言葉が陳腐ですが、もっと早く出会いたかった…。

Posted byブクログ

2012/01/09

純粋に面白い。インターネットの存在しないところなんかを除けば、全く古くなってる要素はない。突如地球上空に現れた巨大宇宙船には、悪魔のような容貌をした宇宙人オーヴァーロードが乗っていて、彼らによって地球には平和がもたらされた。しかし、彼らはオーヴァーマインドなる更なる高みの全宇宙を...

純粋に面白い。インターネットの存在しないところなんかを除けば、全く古くなってる要素はない。突如地球上空に現れた巨大宇宙船には、悪魔のような容貌をした宇宙人オーヴァーロードが乗っていて、彼らによって地球には平和がもたらされた。しかし、彼らはオーヴァーマインドなる更なる高みの全宇宙を支配しうる精神的存在の僕であり、地球人たちをオーヴァーマインドへの超進化へ導く助産婦に過ぎなかった。オーヴァーロードたちは物質文明としては最高レベルにまで発展してはいたが、種として行き詰っており、オーヴァーマインドへ立ち向かうことも仲間入りすることもできず、未開文明の超進化をただ見守ることしかできないのだ。読者は地球人ではなく、むしろそのオーヴァーロードたちの背負う哀愁に感情移入することになる。彼らが地球人を見る目は、子の成長を見届ける親の心境そして、編集者やSF作家(未来を描きながら自分自身はその未来に生きられない)の気持ちと重なるからである。少なくとも大衆のB級SFにはこういったテーマは登場しなかったが、ハルヒの情報統合思念体や、雪風の異星人はこれに近いかもしれない。あと、エヴァの補完は明らかに人類のオーヴァーマインド化(超進化)をモチーフにしているなーと思った。個の喪失、共同知性といった部分が非常に似通っている。メモ・悪魔の造形がキリスト教的・科学が他の宗教を排斥した的説明(最後のジャンへの説明?)

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2009/10/04

新訳という事で、久しぶりに読んでみたらすいすい読めて吃驚です。 やはり題名の意味を感じ取れた時が一番興奮します。

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2009/10/07

変われないオーバーロードと変わる人類、それぞれの視点が面白い。 これは人と人にも当てはめれるんじゃないかなー、と思う。 状況は違えどいずれ・・・と思わせるリアルさがある。

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2009/10/07

なんていうか、そう、これはあれだ、 脱力感 だ。 作中、最終的に地球人類がたどりつくだろうところがわかったところでも、そこにあるのはまだ期待と高揚感だった。 しかし終わってみてこれはどうだ! まさしく世界が終ったかのような脱力感しか、もはやここには残っていない。 この作品が発...

なんていうか、そう、これはあれだ、 脱力感 だ。 作中、最終的に地球人類がたどりつくだろうところがわかったところでも、そこにあるのはまだ期待と高揚感だった。 しかし終わってみてこれはどうだ! まさしく世界が終ったかのような脱力感しか、もはやここには残っていない。 この作品が発表されてからかなりの年月が経っている。 この作品以上の高揚感を与えてくれる作品も、この作品以上に絶望的な結末を迎える作品も、世界には山ほど生み出されている。 けれどもこれ以上に静かでごく自然な喪失感を残す作品を、今の私は知らない。 しばらくこの本を読み返すことはないだろう。 けれどもしばらく、数ヶ月か数年か、充分な年月を経たのちには、ふと(しかし無性に気になって)読み返してしまうことがあるかもしれない。

Posted byブクログ

2009/10/04

最初に旧訳版に触れたときは、その日本語の古さから非常に読みづらく、途中で投げ出していましたが、この新訳版で改めて本書に触れてみて、その物語の奥深さに非常に驚きを受けました。 物語は21世紀の初頭、まさに今現在の地球の主要都市の上空に巨大な宇宙船が出現することから始まる。 オーバ...

最初に旧訳版に触れたときは、その日本語の古さから非常に読みづらく、途中で投げ出していましたが、この新訳版で改めて本書に触れてみて、その物語の奥深さに非常に驚きを受けました。 物語は21世紀の初頭、まさに今現在の地球の主要都市の上空に巨大な宇宙船が出現することから始まる。 オーバーロードと呼ばれる宇宙人達はその驚異的なテクノロジーを武器に、これまでの地球人の生活・政治・文化を一変させ、戦争や貧困・飢餓などで滅亡の淵にあった世界を理想郷のように変えていく。 大多数の人々はこの行為を歓迎し、楽園での生活を謳歌し、これまで力を注げなかった労働以外の分野(教育や趣味など)に情熱を注いでいく。しかしその一方で、その真の目的を全く明かそうとしないオーバーロードに対して疑問や不安を持つ人々も確実に存在し、少数派のそれらの人々は自分なりの方法で、彼らの「子供」と化した人類社会へのささやかな「抵抗」を始める。 そして彼らの支配が1世紀にも及ぼうとする頃、ある家族のもとに子供が生まれる。その子供は、オーバーロードが地球に来た真の目的をはらんだ子供だった。同時にそれは人類の大転換期の兆しでもあった。 この小説は、SFというよりは新しい「聖書」を作ろうとしたかのような内容だと感じます。 この広大な宇宙には想像を絶する存在があり、それはこの物語に出現する宇宙人オーバーロードも敬意を抱く存在であり、我々が言うところの「神」のような存在なのだと思います。 そしてその「神」が人類に介入することにより、これまで地球上で何度も何度も当たり前のように続いてきた進化という変貌が人間の上に現れたとき、世界はどのようになってしまうのか・・・。 非常に大胆で荒唐無稽で奇想天外な描き方ではありますが、この作者の見せる未来は決して非現実的ではなく、遥か未来の、仮に人類が存続したとしての、これからの世界のひとつの方向性を指し示している傑作だと思います。 オーバーロードが人類に対して行った最後の演説がその「方向性」や秘められた「子供の未来への可能性」の全てを語りつくしています。このようなSF小説が60年も前に書かれたとは正直信じられない内容です。今読んでも十分に新しいし、非常に刺激的で衝撃的です。

Posted byブクログ

2009/10/07

むちゃくちゃ良く纏まってる! 今や使い古された異星人もののストーリーだけども、この作品が生き残っているのは、ひとえにまとまりと筆致の素晴らしさなんだと思う。 特に風景描写(時にそれが風景ではなかったりするけど)が秀逸すぎるので皆さんこぞりて読みましょう。

Posted byブクログ