二十四の瞳 の商品レビュー
主人公の大石先生は今の時代ではあり得ないくらいのビックリするほど無能な先生だけど、 それでも生徒が育っていくのが不思議。 …時代か、環境か、いやはたまた大石先生の能力なのか。
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[この本のことは、『We』182号の「乱読大魔王日記」で書いています] ことし、最初に買った本のひとつが壺井栄の『二十四の瞳』。きっと図書館にはあるのだろうが、まだ正月休みで開いておらず、むしょうに読んでみたくなって買った。 『二十四の瞳』といえば大石先生と12人の子ども...
[この本のことは、『We』182号の「乱読大魔王日記」で書いています] ことし、最初に買った本のひとつが壺井栄の『二十四の瞳』。きっと図書館にはあるのだろうが、まだ正月休みで開いておらず、むしょうに読んでみたくなって買った。 『二十四の瞳』といえば大石先生と12人の子ども、というくらいはコクゴの教科書のすみか文学史の便覧で読んだのか、ずっと前から知っていたが、実際に本を読むのは初めてだ。 映画化されているという知識だけは入っていた私のアタマに浮かぶのは、檀ふみ演じる先生と子どもたち…しかしそれはよくよく思い出してみれば「兎の眼」の映画であった。 そういえば、高峰秀子の対話集『いっぴきの虫』の中に、映画「二十四の瞳」で子役をしたその後の子らとの対話があったと思い出して、そこを読んでみる。映画では大石先生を演じた高峰秀子は大正13年のうまれで、『二十四の瞳』の12人、昭和3年に一年生になったという子らの歳に近い。 物語の冒頭では「普通選挙法というのが生まれ」とあり、ああ戦後の話かと思いそうになるが、時は昭和3年、それまで金持ちの男だけに選挙権があったのが、男なら誰でも選挙権がもてるようになったという頃である。女の選挙権はまだ先の話で、旧民法では女は無能力者と扱われていた時代だ。 物語は、その春に岬の分教場に入学した1年生12人と、分教場の「おんな先生」だった大石先生との、それからの20年ばかりを描く。 赴任したときには師範学校を出たばかり、はたちそこそこだった大石先生は、物語の最後では40代になる。12人の教え子は、大正の終わり頃のうまれで、この世代は男はもっとも戦死率が高い。それはこの岬の村でもはっきりあらわれていて、同じ村に育った同い年の男子5人のうち、3人は戦死し、1人は失明除隊する。 女子7人のゆくすえにも、この時代の女の位置がはっきりあらわれている。貧しさの影は、とりわけ女子の上にあらわだ。貧しさと戦争と、そしてものいえぬ窮屈な空気と、そういうものが書かれている物語でもある。 そんな時代のなかで、おそらくは明治の終わり頃の生まれであろう大石先生は、「自由」や「反戦」の考えをどこで養ったのだろうと思うくらい、「いま」の時代からみても共感のもてる人物で、そこが、この物語の時代は古いものの、古くさく感じないとこかなと思う。 (1/12了)
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大石先生とともに生徒たちの成長を見 守っているようだった。貧乏で特に娯楽 などなく生きていくために日々つつまし く生活している岬の人たち。抗えない時 代に翻弄されながらも笑顔の彼らたちに 胸が痛んだ。
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名作。 戦争を嫌いながらも、戦争に流れていく空気に流されるしかない国民。 刊行当時、この作品を絶賛した人の中には、戦争中に戦争を礼賛した人もいたんだと考えると、なんとも言えない気持ちになる。
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この有名な作品を恥ずかしながら今頃初めて読む。 こういう物語だったのか。いくつかの映像では、どう表現されたのだろう。
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中学生のとき読書感想文を書いた本。今回で読んだのは三度目。毎回感動して涙がでるが、特に親になって初めて読んだ今回は今までで一番感動した。 前半は無邪気な村の子供たちと、これまた若くて希望に燃えた大石先生の様子がほのぼのと描かれている。こどもがとても子供らしく描かれていて、壷井さ...
中学生のとき読書感想文を書いた本。今回で読んだのは三度目。毎回感動して涙がでるが、特に親になって初めて読んだ今回は今までで一番感動した。 前半は無邪気な村の子供たちと、これまた若くて希望に燃えた大石先生の様子がほのぼのと描かれている。こどもがとても子供らしく描かれていて、壷井さんはこどもの気持ちがよくわかる人だなぁと思った。 後半の戦争時代の様子は切ない内容ではあるが、女性らしいやさしい文体で書かれていて決して重くない。そして最後は同窓会での再会と、とても爽やかにまとめている。 一本松での写真は12人と大石先生の絆の象徴のようだった。どんなに時間がたっても、どんなに境遇が変わってもあの時間を共有した仲間なんだなと。 漢字が少ないので子どもでも読みやすいと思う。ときどきでてくる方言が可愛いくて小豆島に行きたくなった。
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今、私たちが抱えている不満や不平が、とても贅沢な悩みである事を気付かせてくれる。 一方、情報化社会で一見豊かになった現代の方が、70年前の社会比べて、人間の本質的にはむしろ貧しいのではないかという気もした。 うまく表現できないが、アナログ的なものに回帰する時代が、今まさに来ている...
今、私たちが抱えている不満や不平が、とても贅沢な悩みである事を気付かせてくれる。 一方、情報化社会で一見豊かになった現代の方が、70年前の社会比べて、人間の本質的にはむしろ貧しいのではないかという気もした。 うまく表現できないが、アナログ的なものに回帰する時代が、今まさに来ているのではないかと思う。 P.S. 教師って大変かもしれないけど、本当に素晴らしい職業だとつくづく思いました。
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新学社文庫にて読了。 昭和27年の作品なのに全く古さがない、読みにくさがない。 一人ひとりの人生、境遇を考えると切なくて仕方がない。
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昔読んでよかったのをもう一度読んでみた。 昭和初期の、とある小さな小さな村のおなご先生と12人の生徒たちのお話。 戦争に入る暗い時代に、村の人々が強く強く生きていく様に感動する。 このような時代が二度とあってはいけないけれど、戦争を経験した人間が立派だというのは本当だと思う。 小...
昔読んでよかったのをもう一度読んでみた。 昭和初期の、とある小さな小さな村のおなご先生と12人の生徒たちのお話。 戦争に入る暗い時代に、村の人々が強く強く生きていく様に感動する。 このような時代が二度とあってはいけないけれど、戦争を経験した人間が立派だというのは本当だと思う。 小さな村で、学校も遠くて、物資も少なくて、不便きわまりない生活だけれども、その時代の人間の温かさと、「生きること」の力強さが羨ましくさえ思えました。
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