二十四の瞳 の商品レビュー
戦中を生きたおなご先生と教え子たちの小豆島でのお話。 マッちゃんの百合柄のお弁当箱の話に、胸がぎゅーっときた。
Posted by
言わずと知れた不朽の名作。 実は未読でした。 読む前は「ヒューマニズムを前面に押し出した感動作」だとばかり思っていました。 それは短絡的な見方です。 面白いのです、笑えるのです。 主人公の大石先生は一本松のある本村から、赴任先である岬のある村の分教場に自転車で通っています。 往復...
言わずと知れた不朽の名作。 実は未読でした。 読む前は「ヒューマニズムを前面に押し出した感動作」だとばかり思っていました。 それは短絡的な見方です。 面白いのです、笑えるのです。 主人公の大石先生は一本松のある本村から、赴任先である岬のある村の分教場に自転車で通っています。 往復16キロの道のり。 ある日、嵐を含んだ風が頬をなぶり、大石先生は橋があればいいのにと空想します。 海に七色のそり橋がかかります。 45分も早く着いたものだから、 「さあたいへんです。わたしのすがたを見た村の人たちは、いそいでとけいの針を四十五分ほどすすめるし、子どもたちときたら、見るも気のどくなほどあわてふためいて、たべかけの朝食をのどにつめ、あとはろくにたべずに家をとびだしました」 「わたしが学校につくと、いまおきだしたばかりの男先生はおどろいて井戸ばたにかけつけ、手水をつかいはじめるし、年とったおくさんはおくさんで、ねまきも着かえるまがなく、しちりんをやけにあおぎながら、かた手でえりもとをあわせあわせ、きまりわるそうなていさいわらいをし、そっと目もとや口もとをこすりました。目のわるいおくさんは、朝おきるといつも目やにがたまっているのです……」 吹き出しました。 こういう思わず笑みを漏らしてしまう場面が随所にあるのですね。 物語は前半、主人公の大石先生が初めて受け持った小学校1年生12人との、おかしくも心温まる交流が描かれます。 でも、徐々に戦争と軍国主義が教室の中まで入ってきます。 やがて男子は兵隊にとられ、女子も身をやつします。 大石先生も、夫を戦争で失うなど翻弄されます。 戦後、大石先生の歓迎会に集まった教え子は7人。 12人のうち男子は3人が戦死、1人が失明(歓迎会には参加)、女子は1人が病死、1人は消息も知れない。 陰惨な話にしようと思えばいくらでもできるでしょう。 でも、読んでいて不必要に暗くならないのは、筆者の筆が明るいからです。 それだけに逆に泣けるんですよね。 文章は簡易平明、漢字はかなりひらがなに開かれていて、ちょっと読みにくいほど。 小学生でも読めるでしょう。 好戦的な発言が違和感なく受け入れられるどころか、喝采をもって迎えられる世の中です。 「今は平時ではなく戦時なのだ」と喝破するジャーナリストもいます。 そんな時代だからこそ、心静かに読みたい1冊です。
Posted by
「二十四の瞳」壺井栄 戦争学童文学。湊鼠。 @電子書籍 68 冊目。 先日祖母に、ほとんど聞いたことのない戦争の話を聞きました。 当時20歳で東京大空襲で焼き出され、人の助けと手に付いた職業(床屋)で何とかやってきたこと。 当たり前ですが、今生きている私達は戦争を生き残った人々...
「二十四の瞳」壺井栄 戦争学童文学。湊鼠。 @電子書籍 68 冊目。 先日祖母に、ほとんど聞いたことのない戦争の話を聞きました。 当時20歳で東京大空襲で焼き出され、人の助けと手に付いた職業(床屋)で何とかやってきたこと。 当たり前ですが、今生きている私達は戦争を生き残った人々の子供達なんですね。 それ以上でもそれ以下でもないですが、、戦争の話ってのは、戦争の体験者からしか聞くことは出来ない。 二十四の瞳は瀬戸内の小島の寒村を舞台に、戦前戦後にわたる18年間を、新任教師と教え子たちの人生から描いた作品。 「ひたひたと滲む悲壮感」「戦争の灰色の影」「生き残った先生と女の子達、死んでいった男の子達」 確かに、映画を見るような文学です。 小豆島旅行の合間に電子書籍で読みました。良きかな。(3)
Posted by
書棚の奥に眠っていたのを引っ張り出した。 戦争が庶民の生活にどんな影響を及ぼしていたのかが、庶民の目線で明らかになる。特に、子供に与える影響は大である。内田樹が『疲れすぎて眠れぬ夜のために』で個性について述べていた内容を思い出した。おそらくこのことだ。
Posted by
8月も終りであります。まだまだ暑いですが、確実に夏は終焉を迎へやうとしてゐます。 それにしても、今年はつくつく法師の鳴き声が聞こえない。 先日、若林駅の周辺へ行く用事がありましたが、その時今年初めて鳴き声を聞きました。 一方わたくしの住む豊田市中心部ではまだ鳴き声を確認できません...
8月も終りであります。まだまだ暑いですが、確実に夏は終焉を迎へやうとしてゐます。 それにしても、今年はつくつく法師の鳴き声が聞こえない。 先日、若林駅の周辺へ行く用事がありましたが、その時今年初めて鳴き声を聞きました。 一方わたくしの住む豊田市中心部ではまだ鳴き声を確認できません。去年までは鳴いてゐたのに。なぜだ。 毎年つくつく法師の声とともに、夏の終りを実感するのに、これでは秋を迎へることが出来ないではありませんか。 ところで豊明市に住んでゐる中国人の友人によると、中国ではつくつく法師の鳴き声を「スキヤー、スキヤー」と表現するさうです。本当かね。他の人からの証言求む。 『二十四の瞳』も、夏の終りに相応しい名作と申せませう。いや、わたくしが勝手に思つてゐるのですが。 わたくしの周辺には、本作を敬遠する人が結構ゐます。喰はず嫌ひはいけません。 さういふ人は、何か難しいことを考へてしまふのですね。単純に、物語を味はへばいいのに。その後で、いろいろと言ひたいことは言へばいいのであります。 みなさま、頭でつかちになつては不可ません。自戒を込めて。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-114.html
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
片田舎の分校での、担任教師と十二人の生徒の物語。 読む前は一年間とかの話かと思ってたけど、戦時中、戦後と話の流れが壮大で、担任教師の人生を一緒に体験していった気持ちになった。 けがで休職したり、必ずしも順調ではなかったけれど、生徒たちと心ではつながっている。 でも、生徒も、いろんな道に進んだ人がいて。 じんわりとあたたかい気持ちになる物語でした。
Posted by
先日放送された松下奈緒さんのドラマを見て、読んでみることにしました。 もう少し長いお話なのかと思ってました。
Posted by
かねてより「日本人なら読むべき」と言われてきまして、ついに読了。8月ですし。 学校の先生が、それこそ親代わりになって子供たちを愛さんとする姿に心が洗われます。戦争で傷ついても、生活苦ゆえに身売りをしても、それでも抱きしめてくれる人がいることの幸福です。 それにしても、一部の...
かねてより「日本人なら読むべき」と言われてきまして、ついに読了。8月ですし。 学校の先生が、それこそ親代わりになって子供たちを愛さんとする姿に心が洗われます。戦争で傷ついても、生活苦ゆえに身売りをしても、それでも抱きしめてくれる人がいることの幸福です。 それにしても、一部の左系の先輩方が「反戦文学」として本作をもてはやしていることにはどうも違和感を覚えます。 壺井栄が反戦のメッセージをこのお話に託したのは確かでしょう。しかし、苦悩の最中にあっても素朴さと愛を失わなかった田舎の人々と、先生の親代わりの愛情にこそ学ぶべき点があるのでは。
Posted by
2013/07/02 岬の村に赴任した女教師と12人の同じ学年の子供たちの話 戦前と戦後のことがかかれ、戦時中の事は詳しくかかれていない 先生と子供たちの成長をおって物語がすすむので親しみやすい 文体が丁寧で読みやすい
Posted by
よく耳にするタイトルではあったのですが、読んだことがなかったので読んでみました。 物語は戦前、戦中、戦後にかけての激動の時代に巻き込まれていく一教師と生徒の在り方を描いたもの。当初何の予備知識もない私は単に教師の話かと思ってましたが、もっと深い背景がある本でした。 当然、...
よく耳にするタイトルではあったのですが、読んだことがなかったので読んでみました。 物語は戦前、戦中、戦後にかけての激動の時代に巻き込まれていく一教師と生徒の在り方を描いたもの。当初何の予備知識もない私は単に教師の話かと思ってましたが、もっと深い背景がある本でした。 当然、暗に戦争の批判が根底に流れているのですが、直接的なものではなく、戦争に巻き込まれていくことを描き、それを持って戦争というものを考えさせられます。ただ、描き方が非常にあたたかく、おだやかな感じがします。 確かに名作と思いました。
Posted by