1,800円以上の注文で送料無料

錦繍 の商品レビュー

4

533件のお客様レビュー

  1. 5つ

    172

  2. 4つ

    183

  3. 3つ

    112

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    4

レビューを投稿

2025/05/10

お勧めされて読んでみた。 離婚した2人が再会したことから手紙でのやりとりが始まる。 本来はダメ男の話だし、再婚した奥様も障害のある子供を産んでたりであかるい話ではないけれど、全てが書簡でのやりとりのせいか、言葉遣いも綺麗でなんか好きな本になりました。

Posted byブクログ

2025/04/23

ドライで仕事一筋と思っていたお父さんが、最後に有馬さんの字を読んで「懐かしい」と言ったことで心が揺さぶられた。 モーツァルトでの店主夫妻との触れ合いで、離婚の痛みから立ち直っていく姿も感慨深かった。

Posted byブクログ

2025/03/29

あまりにも好きすぎて初めてレビューを書く。 この本を読むと、今まで自分が関わってきた人たちの顔が浮かぶ。もう二度と会えないけど、幸せになってほしいと思う。 運命に抗おうとするんじゃなく、いいことも悪いことも、すべてが自分の業であるという捉え方に共感した。 究極の恋愛小説であり、な...

あまりにも好きすぎて初めてレビューを書く。 この本を読むと、今まで自分が関わってきた人たちの顔が浮かぶ。もう二度と会えないけど、幸せになってほしいと思う。 運命に抗おうとするんじゃなく、いいことも悪いことも、すべてが自分の業であるという捉え方に共感した。 究極の恋愛小説であり、なにかの節目には必ず読み返すであろう一冊。

Posted byブクログ

2025/03/27

元カノ、元カレ踏ん切りつけれてますか? 終盤主人公が前向きに切り替えた途端色の描写がたくさん入ってきた。

Posted byブクログ

2025/03/25

(2022年9月読了) 手紙のやり取りで進む本。三浦しをん『ののはな通信』、湊かなえ『往復書簡』、夢野久作「瓶詰地獄」等々、書簡体小説が好きなんだと思う。余白を想像できるから。どんな字で書かれているんだろう、どんな状況で、どんな心境で書いたんだろうって。 『錦繍』を理解できる、...

(2022年9月読了) 手紙のやり取りで進む本。三浦しをん『ののはな通信』、湊かなえ『往復書簡』、夢野久作「瓶詰地獄」等々、書簡体小説が好きなんだと思う。余白を想像できるから。どんな字で書かれているんだろう、どんな状況で、どんな心境で書いたんだろうって。 『錦繍』を理解できる、ちゃんと消化できるのは今(※当時19歳でした)じゃないなと読んでみて思った。もしかしたら一生理解できないかもしれないけど、いつかまた読み直したい。 以下、2025年3月追記 1年半前に宮本輝の全集を読んだとき、『錦繍』読者からのお手紙の返信があった。 「お手紙、ありがとうございました。私の小説を御愛読下さっている由、ありがたく感謝申し上げます。 「錦繍」は、昭和五十三年の秋に想を起こし、昭和五十六年の初冬に書き終えることが出来ました。全篇手紙のやりとりだけで構成された作品を書くことは中学生のときにドストエフスキーの「貧しき人々」を読んで以来の夢でしたが、実際に書き始めてると、私の乏しい能力にはとても手に負えぬ代物で、原稿用紙でわずか三百三十枚の作品を完成させるのに三年以上もかかってしまったことになります。  その間、病気のために一年余り療養生活をおくりましたが、かりにそういう事態がなかったとしても、「錦繍」を創りあげるのに、私にはそれだけの年月が必要であったと思います。けれども、このお返事をしたためながら、いや、あるいは自分は病に臥したればこそ、たった三年間で「錦繍」を書けたのかもしれないとも考えてります。しかし〈生と死〉の問題が、私の小説の基調になっているのは、なにも私が結核病棟での生活を強いられたからだけではありません。  それよりずっと以前、小説家を志す以前から〈生と死〉は常に私の中にありました。この人間界では、多くの観念が発見されては消えていき、多くのイデオロギーが構築されてはついえ去っていきました。現在世界を二分するふたつのイデオロギーですら〈生と死〉の命題に対して、何と無力なことでありましょう。  私は二十二歳のときに、父を精神病院で喪いました。父は何も悪いことをしなかった。それどころか、人の世話を焼き、あげくそれらの人たちには裏切られて事業に敗れた。そんな父の最期が、なぜこんなにも悲惨でなくてはならぬのか。その思いがいつしか私の心を、生きるとは何か、死とは何か、という問題に向けさせていったのだと思われます。そんな下地に立って物を書くようになってから、こんどは私自身が結核病棟での生活を体験するはめになりました。  ちょうど入院した日に、生まれつき重度の小児マヒで四十数年間を寝たきりで生きてきた人が結核で亡くなられました。私はその方が息をひきとる二時間ほど前、自分の病室だと錯覚してその人の部屋に入ってしまいました。私とその人とは、しばらく無言で見つめ合っていました。私は生涯、その人の目を忘れることはないでしょう。  私はしあわせになりたいと強く思いました。生きたいと思いました。だがどれだけ幸福に生きたとしても、行手には必ず〈死〉が待ち受けています。しからば〈死〉とはいったい何であるのか。それこそまず先に人間が学んでおかなければならない思想ではないでしょうか。〈生と死〉の問題こそ究極であることを、私は思い知ったのです。究極に到れば、他事は自ずと解決されていくことでしょう。  紙数が尽きました。御質問の、生き物の描き方が残酷過ぎるという御指摘に簡略なお答えを付して擱筆させていただきます。私はその小説にとって必要とあらば、子供に人殺しでも何でもさせてしまいます。」 私は、この最後の「小説にとって必要とあらば、子供に人殺しでも何だもさせてしまいます」が好きで、卒論で扱おうとしたくらい一時期ずっと誦じていた。もっともっと時が経ってから読み直したい。

Posted byブクログ

2025/02/23

人間臭ささがすごい、とてもいい意味で。離婚した二人の手紙のやりとりを体にとった書簡体小説。 昨今の世間的な価値観でいうと、元夫のやっていることはかなりずれているかもしれない。でもそれは重要なポイントではないと思う。離婚した原因となった事件を振り返り、それが現在のお互いの話になり、...

人間臭ささがすごい、とてもいい意味で。離婚した二人の手紙のやりとりを体にとった書簡体小説。 昨今の世間的な価値観でいうと、元夫のやっていることはかなりずれているかもしれない。でもそれは重要なポイントではないと思う。離婚した原因となった事件を振り返り、それが現在のお互いの話になり、未来へと繋がっていくのだという二人の生の物語。 特に感動したポイントは元妻の「今」に対する受け止め方だった。自分に降り掛かった不幸を恨んだり誰かのせいなのだと思っていたが、そうではない、これは私の業でもある。という「今」をちゃんと生きていかなくてはならないのだという場面だった。良い小説だった。

Posted byブクログ

2025/02/22

宮本輝は好きな作家の一人。気がつけば遠ざかっていた。夏の文庫フェアに名を連ねていることは視界の片隅に入ってはいたがようやく手に取った。ああもっと早く読んでいればよかったと思ったし、今読んでちょうどよかったとも思った。かつて夫婦だった二人が別れ、返事を期待せずに出した一通の手紙から...

宮本輝は好きな作家の一人。気がつけば遠ざかっていた。夏の文庫フェアに名を連ねていることは視界の片隅に入ってはいたがようやく手に取った。ああもっと早く読んでいればよかったと思ったし、今読んでちょうどよかったとも思った。かつて夫婦だった二人が別れ、返事を期待せずに出した一通の手紙から始まる往復書簡。バブルがはじけるかはじけないかぐらいの時代。まだ父親の威厳があって、娘といえども父の許しを得て結婚なりなんなりしていたような時代。袖振り合うも他生の縁とはうまくいったもので、どんな形であれ、縁は縁なんだ。

Posted byブクログ

2025/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かつて夫婦であった男女の文通。綺麗な文章でありつつも、それぞれの感情などがしっかりと伝わる内容だった。「生きていることと、死んでいることは同じかもしれない」という言葉。 まさに生きているということは死ぬということで、常に着実に死に向かって生きている。その人生の中で、宇宙や生命の不思議なからくり中で、「みらい」に向かって進むことの覚悟みたいなものをどちらの文通の最後に感じた。おもしろかったです。

Posted byブクログ

2025/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感情がこもり過ぎて、痛かった。 p190「しかし私は、必ず清高いを、たとえ完全でなくとも、出来うる限り普通の人と同じ能力にまで近づけさせ、ちゃんと自分で働ける人間に育ててみせます。お茶汲みしか出来ない人間でもかまいません。何かの製品をダンボール箱に詰めていく作業しか出来ない人間でもかまいません。私は清高を、ひとりの人間として、ちゃんと働いて、たとえわずかのお給金であっても、堂々と貰って来ることが出来る人間にしてみせます。」

Posted byブクログ

2024/12/30

何年も前の事ですが雑誌で宮本輝さんがご自分が不安神経症であるということを話していらっしゃいました。その症状が当時の自分と全く同じで、初めて自分の病名を知りました。 同時に宮本輝という作家も初めて知ったので読んでみようとこの小説を手に取りました。そしたら案の定(?)面白かったのです...

何年も前の事ですが雑誌で宮本輝さんがご自分が不安神経症であるということを話していらっしゃいました。その症状が当時の自分と全く同じで、初めて自分の病名を知りました。 同時に宮本輝という作家も初めて知ったので読んでみようとこの小説を手に取りました。そしたら案の定(?)面白かったのです。雷に打たれたようでした。本を読んでそんなふうに感じたのは初めてでした。大切な一冊です。

Posted byブクログ