錦繍 の商品レビュー
1年足らずの手紙のやり取りからなる物語。 語られる過去は壮絶だった。 登場人物それぞれに乗り越えてきた過去があり、今があり、未来がある。 年配の男女の話かと思いきや主人公はまだ30代。 それぞれの生きる理由を胸に明るい未来が待っていたらいいなと願わずにはいられない。
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宮本輝の代表作の一つである恋愛抒情小説。元夫婦である男女の文通という形式をとりながら描かれるピュアな風情に包まれている作品。かつての円満な夫婦生活は、夫が元恋人に無理心中を図られるという悲劇的な事件によって幕を閉じてしまった。しかし、数年後に山形の蔵王のロープウェイの中で運命的な...
宮本輝の代表作の一つである恋愛抒情小説。元夫婦である男女の文通という形式をとりながら描かれるピュアな風情に包まれている作品。かつての円満な夫婦生活は、夫が元恋人に無理心中を図られるという悲劇的な事件によって幕を閉じてしまった。しかし、数年後に山形の蔵王のロープウェイの中で運命的な再会を果たし、2人は運命の悪戯を確かめるように文通を始め、それぞれの新しい人生の門出を確認し合っていく。純粋な文学小説の側面を持ちつつ、大人の男女の切ない思い合いを鮮やかに描き出す中短編小説。
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職場の人から宮本輝をおすすめされて読んでみた小説。初めて手をつけてみましたがとても面白い。恋愛小説ですが、お互いの手紙やりとりを通じて物語が描かれています。その手紙のやりとりが情緒たっぷりで素晴らしい。
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夫婦だった男女2人の手紙のやり取りで 哀しい過去から進んでいく物語ですが 逸品。 人の内的な葛藤や昇華、成長を描いたとつとつとした話。この先何回か読み直すたびに、新たに見えてくる物があるだろうなぁ。
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宮本輝さんにはまったのは、大学生の頃。 この本もたしか、20歳過ぎくらいに読んだ。 まずは往復書簡形式の美しい文体が魅力。 そして、過去の出来事から受けた傷を持ちながら生きていく大人の姿。 印象に残っているのは、モーツァルトのレコードをかけてくれる喫茶店。 「木やから、よ...
宮本輝さんにはまったのは、大学生の頃。 この本もたしか、20歳過ぎくらいに読んだ。 まずは往復書簡形式の美しい文体が魅力。 そして、過去の出来事から受けた傷を持ちながら生きていく大人の姿。 印象に残っているのは、モーツァルトのレコードをかけてくれる喫茶店。 「木やから、よう燃えよる」 人生について、色々考えさせられた。
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『錦繍』 著者:宮本輝 / 出版:新潮社 ---------------- 2024年現在で1番没頭して読めた本『錦繍』 昭和60年に発行された本書は、古いながらも 男と女の恋愛観や貞操感をみごとに表現しています。 ざっくりとした内容。離婚した男女が10年振りに 奇跡的に...
『錦繍』 著者:宮本輝 / 出版:新潮社 ---------------- 2024年現在で1番没頭して読めた本『錦繍』 昭和60年に発行された本書は、古いながらも 男と女の恋愛観や貞操感をみごとに表現しています。 ざっくりとした内容。離婚した男女が10年振りに 奇跡的にであい、そこから文通がはじまります。 最初は過去を精算するための内容ですが 後半は、自分らしく生きるために自分の 今の境遇や本音を綴り合い、過去の呪縛と 決別し、未来を生きていくお話。 今も昔も恋愛の本質は変わらない。そして、自分と 向き合う方法も変わらない。それは書くということ。 手紙でもメモでも、殴り書きでもいい。 自分と向き合うことが、相手と向き合うことなんだと 改めて、気づくことができた学びの1冊。
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なんという読み応えのあるお話なのでしょう。読み終わった後の心の充実感が半端ない上に、二人の生きる強さに圧倒される。亜紀と年齢が同じなだけに、経験の深さと人物の醸成のされ方が凄いと思ってしまった。10年以上歳が離れてるように思う。 あの事件の真相は何だったのか、という単純な話じゃ...
なんという読み応えのあるお話なのでしょう。読み終わった後の心の充実感が半端ない上に、二人の生きる強さに圧倒される。亜紀と年齢が同じなだけに、経験の深さと人物の醸成のされ方が凄いと思ってしまった。10年以上歳が離れてるように思う。 あの事件の真相は何だったのか、という単純な話じゃなかった。 あの事件あったけど、その後あなたはどう生きて何を思って来て、今はどうしてるのか。そしてこれからはどう生きるのか。ということを2人が些細なことから壮大な考察を経てに答えを出していった過程が圧倒的だった。モーツァルトのくだりはやばい。シンフォニー聴きたくなるやろ。 あと令子ちゃんの「あんたの奥さんだった人、私好きやわ」の一言に泣いた。なんか、それで亜紀が報われた気がした。 結ばれなかったけど、結ばれてる人っているのね。
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すごく久しぶりに読み返してみた。 最初に読んだのは中高生の頃だったと思う。 大人になって、妻になって、母になって読み返してみると感じ方が変わる。 思い合っていたのに衝撃的な事件をきっかけに離婚した靖明とと亜紀。離婚から10年後に偶然再会する。亜紀から始めた手紙のやり取りによっ...
すごく久しぶりに読み返してみた。 最初に読んだのは中高生の頃だったと思う。 大人になって、妻になって、母になって読み返してみると感じ方が変わる。 思い合っていたのに衝撃的な事件をきっかけに離婚した靖明とと亜紀。離婚から10年後に偶然再会する。亜紀から始めた手紙のやり取りによって離婚の原因となった事件の真相や現在の様子がわかってくる。 亜紀は靖明と離婚した後再婚してるんだけど、その相手にも裏切られてて、、、2回の結婚でどちらの相手にも不倫されるって可哀想だなって思ってたけど、亜紀が(正確には亜紀のお父さんが)そうさせてしまってるんじゃないかと思い始めました。もちろん不倫する方が悪いんだけど、旦那さん達は家で心地良く過ごせたのかな?亜紀はどれくらい心を開いてたんだろう? 亜紀のお父さんは会社社長で、一人娘の亜紀を可愛がり、良かれと思って先回りして守ってきた。結婚相手もお父さんが選んだ人達で、1人目はお父さんの会社の社員、2人目は大学の助教授。どちらの結婚も亜紀の実家で同居。何不自由ない生活でも旦那さんからしたら息が詰まるし、プライドが傷付くかもしれないし、奥さんは世間知らずだしね。同じような境遇の人を選ぶか、お父さんから距離を置かない限り何回結婚しても同じ結果になりそうな気がする。対等じゃない関係って続かないよね。 久々の宮本輝さん。面白かったです。 『夢見通りの人々』『泥の河』辺りも読み返してみようかな?
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最初から最後まで手紙の内容しか書かれてないのに色んな人の想いが錯綜する不思議。 カフェ店主やパパや今カノが良い人なんだわ…
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美しい。 静かに 決して穏やかではない内容の手紙のやり取りが 静かに続いていく。 暗い中に光はあった。 しかしどうも好きになれない男たち。 人の世 人の心は美しいものばかりではないと 分かっている。 でもここまで包み隠さず それも美しい日本語で書かれると 感情の整理が追いつか...
美しい。 静かに 決して穏やかではない内容の手紙のやり取りが 静かに続いていく。 暗い中に光はあった。 しかしどうも好きになれない男たち。 人の世 人の心は美しいものばかりではないと 分かっている。 でもここまで包み隠さず それも美しい日本語で書かれると 感情の整理が追いつかなくなる。 それでも最後まで引き込まれた。 おもしろいおもしろくないじゃなく ぶっ飛んでる本の記憶に仲間入り。
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