錦繍 の商品レビュー
秋に読んでとても好きになった作品。 お互いが幸せになるための人生をそれぞれ歩んでいるが、過去の夫婦生活が特別なものであったのには変わりない。 相手の幸せを願ってはいるけれど、どこか哀しく寂しさを感じる作品でした。 非常に文章が美しく、日本語って素晴らしいなと改めて感じました。
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手紙でのやりとりがとても興味深かかった。ただ、主人公のふたりとも、自己中な感じを受けたのは私だけだろうか。時間を置いて、もう一度読み直してみたい。
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私にとって秋の訪れは「錦繍」を読むことから始まります。今年も、そろそろ…と思っていた矢先、NHKラジオの朗読の時間で「錦繍」が始まりました(全40回)。 “NHKらじるらじる”で、石田ゆり子さんの朗読とともに情景を思い浮かべながら、ページを繰ることに決めました。いつもと違う読...
私にとって秋の訪れは「錦繍」を読むことから始まります。今年も、そろそろ…と思っていた矢先、NHKラジオの朗読の時間で「錦繍」が始まりました(全40回)。 “NHKらじるらじる”で、石田ゆり子さんの朗読とともに情景を思い浮かべながら、ページを繰ることに決めました。いつもと違う読み方で、楽しみたいです。 「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。」 このフレーズで始まる往復書簡。 手紙を何枚も綴る思い、返信が届くまでの長い日々、届いた手紙の封を開ける瞬間のドキドキ、、、 メールやLINEで瞬間にやり取りできる現代とは対照的な時間の流れの中で、手紙が織りなす二人の過去や気持ちが、切ないほどに深く沁みてきます。 「もしもあの時〇〇を選んでいたら…」というような偶然の積み重ねで今があるけれど、それらは決して偶然ではないんだと思えてきます。
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最初にページを開いて読み始めた印象を裏切って、夢中になって一気に読んでしまった。手紙のやりとりだけで進んでいく本で、それがまた時代を感じさせる。 再会したことで手紙のやりとりが始まり、過去を打ち明け、今までわかり得なかった事を知る。現在の自分を語り、これからの別々の人生を歩んでい...
最初にページを開いて読み始めた印象を裏切って、夢中になって一気に読んでしまった。手紙のやりとりだけで進んでいく本で、それがまた時代を感じさせる。 再会したことで手紙のやりとりが始まり、過去を打ち明け、今までわかり得なかった事を知る。現在の自分を語り、これからの別々の人生を歩んでいく。 なにかすごいストーリー展開、とかでもなく淡々としているけど、人間の心の中を繊細に描いていた。
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言葉遣いがきれいで、恋や不倫がたくさん出てきてついつい楽しく読み進めてしまいます。夫婦とはなんだろう、愛とは相手の幸せを願うことなのかしらと考えさせられます。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夫を巻き込んだ心中事件をきっかけに離婚した元夫婦が、10年後に偶然再会したことから始まる手紙のやりとりを通して、人生の孤独と愛の再生を描く作品。 作品全体が往復書簡形式となっており、とてもすらすら読める。 また、手紙の中で登場人物の内面が深く掘り下げられ、読者は二人の心の動きをより細やかに感じ取れるようになっている。 しかし、手紙にしては文章が美しすぎるので、途中から登場人物の心理に感情移入しきれなくなってしまった。 たった14通の手紙だけで、人が再生していく様子を描ききった点は評価できるものの、個人的にはあまり好みではなかった。 ただし、どの登場人物の描き方もとても丁寧で、作品としての完成度が高すぎることは間違いない。人を選ぶ作品だと思う。
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□読んだきっかけ nhkの朝番組の視聴者アンケートで、おすすめする人が一番多かった作品として紹介されていたそうです。かなり前になるけれど、知り合いでこの作品をきっかけに文通を始めた人がいた事も思い出して、気になって読んでみました。 □感想 期待していたせいか、あまり良さが分からず...
□読んだきっかけ nhkの朝番組の視聴者アンケートで、おすすめする人が一番多かった作品として紹介されていたそうです。かなり前になるけれど、知り合いでこの作品をきっかけに文通を始めた人がいた事も思い出して、気になって読んでみました。 □感想 期待していたせいか、あまり良さが分からず。確かに今にはない言葉の丁寧さ等はあるのですが。どうしても手紙をやり取りする2人が、年の割に幼稚に感じてしまいます。今とは環境も物の見方も違うと言うことなんでしょうか。 きっと今とは異なる雰囲気もあり、刺さる人には刺さる作品なのだろうとは思います。
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蔵王温泉のゴンドラリフトで再会を果たし、そこから始まる男女の文通。 文通で書き起こす過去の知られざる物語が生々しく、どれだけ近くにいてもどれだけ愛し合っていても、秘密を抱え合う彼らの生き様が人間臭い。 この物語の良かった点は、過去のあらゆる出来事を「誰かの責任」として押し付けるこ...
蔵王温泉のゴンドラリフトで再会を果たし、そこから始まる男女の文通。 文通で書き起こす過去の知られざる物語が生々しく、どれだけ近くにいてもどれだけ愛し合っていても、秘密を抱え合う彼らの生き様が人間臭い。 この物語の良かった点は、過去のあらゆる出来事を「誰かの責任」として押し付けることなく、そのときどきの「綾」と捉えているところ。あのときデパートの寝具売り場に行ってしまったこと、娘の離婚や再婚を半ば強引に進めたこと、息子の障害を元夫の恨みに転嫁したこと。それぞれの立場でその場面に出くわすと違和感を覚えない判断だと感じるが、彼らなりに悔やむところは悔やみ、文通と会話を通して相手に伝える。喪失したものを埋め合わせるのではなく、喪失を認めることで再生の道を探る。そんな多くの人たちに語る物語だと思った。
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手紙だけで構成される文体、現在ではあまり使われなさそうな丁寧過ぎる敬語でのやり取りなど、時代を感じさせる。 家庭環境に恵まれず地味な暮らしをしてきた令子に薄幸という印象を抱くが、有馬に尽くし捧げる一方ではなく、手綱を握って上手く操っている感じがして、今後の2人に幸多かれ、と応援し...
手紙だけで構成される文体、現在ではあまり使われなさそうな丁寧過ぎる敬語でのやり取りなど、時代を感じさせる。 家庭環境に恵まれず地味な暮らしをしてきた令子に薄幸という印象を抱くが、有馬に尽くし捧げる一方ではなく、手綱を握って上手く操っている感じがして、今後の2人に幸多かれ、と応援したくなる。 それにしても、男はみんな結婚しても浮気するものなんだな…
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「言葉の綾」ということばがある。それ以外にこの作品を現す言語が見当たらないのだ。 これは言葉のあやから始まった言葉の『綾』、想いの『綾』の物語。酷暑が涼の季節に変わり、紅葉が咲き誇る今にぴったりくる。 美しいものはすべからく哀しく、あたたかく心を撫でてゆくのだ。名著中の名著。太鼓...
「言葉の綾」ということばがある。それ以外にこの作品を現す言語が見当たらないのだ。 これは言葉のあやから始まった言葉の『綾』、想いの『綾』の物語。酷暑が涼の季節に変わり、紅葉が咲き誇る今にぴったりくる。 美しいものはすべからく哀しく、あたたかく心を撫でてゆくのだ。名著中の名著。太鼓判を押したい。
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