移動と階級 の商品レビュー
話題の新書。 「移動格差」という言葉を初めて知った。 この新書、ずばりこの概念を生み出しただけで、勝ちだ。 移動にまつわるアンケートを取り、年収別に比較している。 くっきり結果に表れる。 3人に1人が過去1年以内に居住都道府県以外に旅行していない 海外渡航経験は年収によっ...
話題の新書。 「移動格差」という言葉を初めて知った。 この新書、ずばりこの概念を生み出しただけで、勝ちだ。 移動にまつわるアンケートを取り、年収別に比較している。 くっきり結果に表れる。 3人に1人が過去1年以内に居住都道府県以外に旅行していない 海外渡航経験は年収によって2倍の差がある まあ、考えてみれば当たり前のことだ。 移動には費用がかかる。 年収が多い人ほど移動にお金が使える。 64歳、定年間際の私もその問題に直面しつつある。 定年で会社を離れれば、定期代の支給がなくなり、 自腹で移動しなくてはいけなくなるのだ! 思えば、、、 私の移動は幼稚園時代に始まる。 まずは市内の幼稚園までバス通園。 小学校は市内まで電車通学。 引っ越した後は徒歩通学だったが、 小5の秋から受験勉強を始めたため、電車で隣の市の塾に。 さらに6年生では週に1回都内の塾の本校に。 そして中学からは都内、高校は都をまたがった他県へ、、 どんどん日常の行動範囲が広がっていった。 旅行、も、両親が島の生まれだったので、 当時急行、フェリーを乗り継いで一日がかりで親の実家へ。 併せて小旅行も。 小学の林間学校は軽井沢、6年生は日光、 中学からは毎年あちこちへ旅行、、九州、北海道、、 自家用車で大学の卒業旅行その1で九州一周。 初の海外旅行はご多分に漏れず大学の卒業旅行その2で 当時流行していた格安のサイパンへ。 (学生を海外に慣らすための赤字覚悟の旅行会社の戦略だったとか) 会社に入ってからも、 全国の事業所にサポートのために出張に行ったり、 研修と称してアメリカに行ってきたり。 新婚旅行は北海道、家族旅行も娘の合格祝いで沖縄まで足を延ばし、、、 子供が巣立って気楽になってからは旅ランと称して、 47都道府県のフルマラソン制覇を目指を走りだしている。 (子供が小さいうちは関東近県のマラソン中心) この本の移動格差からすれば、十二分に移動させてもらっている。 恵まれているのだ。 ・・・だからこそ、定年後年収が減り、定期もなくなる状況が怖い。 移動格差に飲み込まれるのか。 しかし移動格差は年収だけの問題ではない。 移動にはインフラがいる。 鉄道、道路が整備されていなければ、 いくらお金を持っていても、自動車を持っていても、 列車移動、自動車移動はできない。 地域格差が生じる。 その意味では首都圏にいる自分は恵まれている。 徒歩圏内にJRの駅がある。 あとは運賃をどうするかだけ。 移動体験が新しいアイデアの創出、イノベーションにつながり、 成功になる、という体験談。 そうなると、強者はさらに強者になり、 弱者はさらに弱者になってしまう。 移動格差。教育格差と同じ意味を持つことになる。 さらに移動により消費するエネルギー。自然破壊。 移動にまつわる問題は複雑だ。 まずは自分の身のふりかただな、、 第1章 移動とは何か? 第2章 知られざる「移動格差」の実態 第3章 移動をめぐる「7つの論点」 第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」 「移動」をもっと考えるためのブックリスト
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移動と成功率は比例するとも言われている。 それはなぜか、新しい刺激や世界は学習能力を極限に高める。しかし元々高いスキルを持った人材が、人脈を形成するという必然の結果を生んでいるため、そのように見えている可能性もある。 健康状態や資産、運とかそういった条件も絡んでくるので注意。移...
移動と成功率は比例するとも言われている。 それはなぜか、新しい刺激や世界は学習能力を極限に高める。しかし元々高いスキルを持った人材が、人脈を形成するという必然の結果を生んでいるため、そのように見えている可能性もある。 健康状態や資産、運とかそういった条件も絡んでくるので注意。移動強者だけの狭い世界に入ってはダメ 一度移動するとさらに移動しやすくなる。 僕が実家を出る時も確かにそうだった。
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仮説と結論ということではなく いろんな角度でリサーチしたことをまとめた感じなので 移動する人が金持ちとか偉い人とかそんなイメージが覆されるとかそういった類ではなかった 確かに移動手段を選べるのは収入が高いとか低いとか関係がある 収入だけでなくジェンダーや障害の有無、年齢などにもよ...
仮説と結論ということではなく いろんな角度でリサーチしたことをまとめた感じなので 移動する人が金持ちとか偉い人とかそんなイメージが覆されるとかそういった類ではなかった 確かに移動手段を選べるのは収入が高いとか低いとか関係がある 収入だけでなくジェンダーや障害の有無、年齢などにもよって変わる
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私は自分で移動が自由にできる身だと思っていたが、社会的、環境的、経済的、身体的、ジェンダー的と様々な理由から移動が自由でない身にいる人がたくさんいる。よくよく考えてみたら確かにそうだと思うことが言語化されている。移動できる手段が日本はものすごく網羅されている一方で、実は公平性がな...
私は自分で移動が自由にできる身だと思っていたが、社会的、環境的、経済的、身体的、ジェンダー的と様々な理由から移動が自由でない身にいる人がたくさんいる。よくよく考えてみたら確かにそうだと思うことが言語化されている。移動できる手段が日本はものすごく網羅されている一方で、実は公平性がないということに気付かされる内容だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
結局のところ、「移動力で成功できる」というのは、資源を持つ強者に特有のバイアスであり、再現性は低い。 経済的に恵まれた人々が、環境負荷を顧みず世界中を飛び回る─その裏返しにすぎない。 このあたりは「そりゃそうだよね」と思う部分だが、この本は、男性と女性、余裕のある人とそうでない人、都市と地方、環境との関係といった多様な視点から「移動」を問い直してくれる。 言われてみれば、そんな風に考えたことはなかったと気づかせてくれる一冊。
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現代(2025)の日本において、移動は制限されてはいない。移動とは体験であり、色々な場所を巡るのは良い体験と経験値となるだろう。地方出身の人が上京するにしても、関東出身の人が地方に行くにせよ、その選択には開かれている。手っ取り早いのは旅行が良いだろう。国内旅行も様々である。お金を...
現代(2025)の日本において、移動は制限されてはいない。移動とは体験であり、色々な場所を巡るのは良い体験と経験値となるだろう。地方出身の人が上京するにしても、関東出身の人が地方に行くにせよ、その選択には開かれている。手っ取り早いのは旅行が良いだろう。国内旅行も様々である。お金を掛けずに旅を楽しむことは充分に可能だ、 移動は様々な体験をもたらしてくれる。本著でも示唆されている通り、移動の最大の効果は「移動を通じて人生の選択肢を広げ、自己変化や社会参加を可能にし、個人の人生と社会階層の形成に決定的な影響を与えること」であり、これによって「移動できる人」と「移動できない人」との間に新たな格差・階級が生じる社会問題の根幹を成していることを明らかにしていくことである。 つまり、単なる交通手段の問題でなく、移動の自由を公平に保障し、格差を解消することが社会全体の公正と包摂性に直結すると主張している。 さて、本著で主張される効果を最大限得られる手段としては、自分が済んでいる場所から県外へと離れて済むことが望ましいだろう。一度、知らない土地で住み、仕事をするのは良い体験を得られる。現代において、仕事も技術があれば、住む場所を選ばずとも東京とも地方とも海外とも仕事は容易に出来る。 本著に付け加えるとすれば、どこにでも住みながら全国と仕事が出来る職業スキルを身につけると良いと私は思っている。格差というデメリットもあるが、外へ視線を向け、学び、体験し、出戻りで帰省して仕事をするのも良いだろう。珍しいことではない。制限もされてはいない。現代に関所があるわけでもない。開かれているのだ。目的を持って移動するのであれば、それは私やあなたにとってとても効果的で最大の恩恵を享受することを可能とするだろう。
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移動から社会を捉え直す視点は面白いと思った。しかし、移動という切り口は様々な事象の積み重ねの「結果」でもあり、時に「原因」でもあり、「効果」でもあると思う。つまりめちゃくちゃ複雑。 本書の狙いでもある移動を捉え直すと壮大なテーマを語るには新書形式ではかなり論説が雑にはしょってしま...
移動から社会を捉え直す視点は面白いと思った。しかし、移動という切り口は様々な事象の積み重ねの「結果」でもあり、時に「原因」でもあり、「効果」でもあると思う。つまりめちゃくちゃ複雑。 本書の狙いでもある移動を捉え直すと壮大なテーマを語るには新書形式ではかなり論説が雑にはしょってしまっているように感じた。
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結構自分のこと移動人間だなと思っていたので手に取った。 私が移動するとき、私のせいで、誰かが不動になっている、私が軽々と移動する距離と場所を、移動できない人がいる。 移動社会の設計に、私が組み込まれているだけなのか こないだハンチバックを読んだ時にも思ったようなことを、またかん...
結構自分のこと移動人間だなと思っていたので手に取った。 私が移動するとき、私のせいで、誰かが不動になっている、私が軽々と移動する距離と場所を、移動できない人がいる。 移動社会の設計に、私が組み込まれているだけなのか こないだハンチバックを読んだ時にも思ったようなことを、またかんがえる
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今まで移動について深く考えたことがなかった。 ただ漠然と経済格差によって移動に制限があることは感じるくらいだった。 例えば、旅行だって経済的な余裕によって行ける場所が限られるのは感じていたし、住む場所だってそうだ。 ただ、経済的な理由以外にも様々な理由で移動ができない、又は移動...
今まで移動について深く考えたことがなかった。 ただ漠然と経済格差によって移動に制限があることは感じるくらいだった。 例えば、旅行だって経済的な余裕によって行ける場所が限られるのは感じていたし、住む場所だってそうだ。 ただ、経済的な理由以外にも様々な理由で移動ができない、又は移動をせざるを得ないことがあると知った。 より厳密に言えば、知ったと言うより今までは当たり前に受け入れていた現実を改めて格差として言語化してもらったと言った方が正しい。 移動が良い、悪いではなく、あらゆる角度から多面的に考察されていて興味深かった。 環境的な部分や、性別、心身の健康、障害、そして近年の気候変動など自由な移動を妨げる要因は複雑に絡み合っている。 直近ではコロナ禍のパンデミックも理由の一つになっていたし、最近の熊被害もそうだろう。 そうした移動格差をどのように是正していくか、考えるためのきっかけになる本だった。 個人的には地方の過疎化問題に興味を持った。 やはり町がなくなっていくのは寂しいし、どうしたら地方へ人が移動してくるのか、支援できるのかは気になるトピックである。 最後に移動についてより知りたい人向けにおすすめの本が紹介されている。 気になる本もいくつかあったので読んでみたい。
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移動における階級差を論じた本。 男性よりも女性が、健常者よりも障害者が、高収入者よりも低収入者が、移動において不利益を被っている状況である。 移動は大きな権利であるため、公共によって格差を是正される必要があるものである。「モビリティ・ジャスティス」と言えるような考え方や価値観が浸...
移動における階級差を論じた本。 男性よりも女性が、健常者よりも障害者が、高収入者よりも低収入者が、移動において不利益を被っている状況である。 移動は大きな権利であるため、公共によって格差を是正される必要があるものである。「モビリティ・ジャスティス」と言えるような考え方や価値観が浸透していけば良いのにと思った。
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