1,800円以上の注文で送料無料

生殖記 の商品レビュー

3.9

985件のお客様レビュー

  1. 5つ

    281

  2. 4つ

    336

  3. 3つ

    236

  4. 2つ

    57

  5. 1つ

    14

レビューを投稿

2024/10/18

輪廻転生を繰り返す生殖器が語り手。今回宿主の尚成(ショウセイ、カミングアウトしていないホモセクシャル)の生き方を通じて「人は何のために生きるのか」をライトに語る物語でした。 軽い文体でありながら、多様性を叫ぶ社会に対するアンチテーゼなのか、パンセ哲学の現代解釈なのか、LGBTQ+...

輪廻転生を繰り返す生殖器が語り手。今回宿主の尚成(ショウセイ、カミングアウトしていないホモセクシャル)の生き方を通じて「人は何のために生きるのか」をライトに語る物語でした。 軽い文体でありながら、多様性を叫ぶ社会に対するアンチテーゼなのか、パンセ哲学の現代解釈なのか、LGBTQ+の孤独を語った物語なのか、不思議な読後感でした。 星3つです。

Posted byブクログ

2024/10/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生殖器を媒介として著者が感じてることを永遠に尚成に喋らせている たまに生殖器自身もお気持ち表明する というか主人公が「尚成」だから生殖器が「尚成は」って言うと「小生は」に変換されてもはや一人称じゃないか、と思いながら読了 これ、例えばエッセイとかで著者自身の言葉として並べられてたら途中で読めなくなってたかもしれない生々しすぎて 生殖器が喋るという構成もある意味生々しさはあるんだが 人々の心の中に溜まる嫌な気持ちを巧みに世に送り出してる感じ 要所でハッとさせられる 「なにかをしないこと」は「周りから見たらただそこにいるだけ」 おっしゃる通りです、すみません なんかもうちょっと楽に生きられる気がしてきた これは正欲を読んだときも思ったので今だけ思ってあとで忘れてしまうのでしょう、俺は愚かな人間です 俺の生殖器は俺のことどう思ってんだろうかね

Posted byブクログ

2024/10/17

新刊を買う作家のひとり朝井リョウ。いつもなら買った後しばらく積みっぱなしになりがちだけど、話題なのでネタバレ見てしまう前に。装丁もとてもシンプル。語り手はなんと……という。性というものに切り込んだ作品だと思う。でも、個人的には世間の評価程はまれなかったというのも事実。好きな作家な...

新刊を買う作家のひとり朝井リョウ。いつもなら買った後しばらく積みっぱなしになりがちだけど、話題なのでネタバレ見てしまう前に。装丁もとてもシンプル。語り手はなんと……という。性というものに切り込んだ作品だと思う。でも、個人的には世間の評価程はまれなかったというのも事実。好きな作家なのでいろいろとバイアスはかかっている。

Posted byブクログ

2024/10/24

何度でも読み返したくなる気がする。最初はちょっと動揺したけど、かる〜い語り手と社会への批評的な考えが合わさってすごく好みだった。好き嫌いはハッキリ分かれると思う。

Posted byブクログ

2024/10/17

朝井リョウさんの新作、新作のうちに初めて読めた本でした 結論として、期待していたのに、つまらなかったです いつもは書き出しから結末まで読むと、納得しかない文章を書いてくれるのに、今作は終始疑問符が頭に浮かぶ作品でした 主人公目線からも主人公の生殖器目線からも、全く感情移入で...

朝井リョウさんの新作、新作のうちに初めて読めた本でした 結論として、期待していたのに、つまらなかったです いつもは書き出しから結末まで読むと、納得しかない文章を書いてくれるのに、今作は終始疑問符が頭に浮かぶ作品でした 主人公目線からも主人公の生殖器目線からも、全く感情移入できません 中でも主人公が全てを諦めているような節があるのに、自分の性に対する価値観、その人間の根幹を成す部分を捨てずにいる、言わば希望を持っている事に無自覚な節に違和感しかありませんでした そこに気付いて、新たな価値を待つ、という結末で描かれている未来に向かうというのであれば、読み物として一貫していたのにな、と残念に思います 独りで生きてきた故の、他者目線から自分が評価されてないが故の無自覚、という主人公を、客観的に見ており、生殖も女性として生きた経験もある生殖器側からも主人公に対してこのような意見が述べられないとところに、初めて朝井さんの薄さを感じました ただ、一方で、結婚や出産というコトに対して、確固たる意味が見出せない気持ちがある、という感覚が自分にもあったので、普遍的に思う気持ちの言語化は、相変わらず上手だなと思いました また、私は生殖しない人間には価値がない、という価値観で一貫していましたが、最後まで読む事で、その価値観に『今は』というフレーズが付け加わりました そのような新しい価値観が得られたので、全く面白くなく、文章も読みにくく、主題である生殖に対する価値観も薄い本でしたが、⭐︎2とします

Posted byブクログ

2024/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

19ページ目まで読んで、何も思わなければ読むのをやめてもいいと思う。元々好きな作家さんなので贔屓目はもちろんあるけれど、それくらい衝撃的な語り手だった。 前作『正欲』もそうだったけれど、本来の語に別の意味を持たせたタイトルの作品が多いなと思う。タイトルの『生殖記』ってなんだろ?と思ってたらまさか語り手のことを指しているとは思わなかった。 前作は「特殊性癖」、今回は「性的マイノリティ」と主として描かれる人物像は全く異なるけれど、『マイノリティの存在を認めてあげよう、という思想の裏側にはマジョリティ側の傲慢さが潜んでいる』という根本のメッセージは前作と同じだなと気づいた。多分この作品を読んでマイノリティ側の苦悩をわかった気になるのも、それもまた傲慢なのかなとも思う。 "そもそも、自分は必ず死ぬということを知りながら生きている種は、私の経験上、ヒトだけです。そう考えると、ヒト特有の悩みの原因って、実はそこにある気がするんです。自分は必ず死ぬということと、その死までの大体の期間を把握している。ここです。死の存在とそれまでの大体の期間を把握するということは、死を起点に逆算ができるというととでもあります。このくらいの年齢のときにはこのくらいの自分でありたい、こういう自分であったほうがいい、あらねばならない。こういうふうに、死を知っているがゆえに生まれる理想と現実のギャップに、不安や焦りを感じてしまうんだと思います。だってヒト以外の種についてるとき、そんなことぜーんぜん考えないですもん。皆常に、今、こと。今ここを生き抜けるか。その連なりで精一杯です。" この一節がとても印象に残っている。私自身、自分の存在理由とか、作品中でいう「自分が所属する共同体へ何かしら貢献できる行為」を自分は何ができるだろうか、とか考えてしまうけど、人間突き詰めていけば地球上に生きる生物の一種でしかないし、生きる意味を考えて生きることも勿論大切だけど、だからといって「何もしない」選択肢を否定する権利も誰も持ち合わせていないんだろうなとは思う。 追記 映画化、いや映像化できるもんならやってみてほしい

Posted byブクログ

2024/10/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生殖器が主人公で面白い。 人はなんのために生きてるのか、共同体の拡大のためであるってのが、面白い。 同性愛者の人の辛さもリアルにイメージできて、とても勉強にもなった。 確かに、共同体の拡大のためであるって定義すると、子供を産めない同性愛者は生きづらい。

Posted byブクログ

2024/10/16

面白かった。 一人の人間の人生の普通の日常で、誰もが悩む他者と社会との接点について語っているのだけど、視点の違いでエンタメになっている。最高でした。

Posted byブクログ

2024/10/16

#読書記録 #生殖記 #朝井リョウ ◯◯の目線で語ることで、世間の"なんとな〜くの空気"に対する作者の考えがよく分かる。それだけに #正欲 のときより作品のメッセージがはっきり出ている。(少数派である)主人公の心中も分かりやすく描写されていて、作者の世間に...

#読書記録 #生殖記 #朝井リョウ ◯◯の目線で語ることで、世間の"なんとな〜くの空気"に対する作者の考えがよく分かる。それだけに #正欲 のときより作品のメッセージがはっきり出ている。(少数派である)主人公の心中も分かりやすく描写されていて、作者の世間に対する洞察力の鋭さやその言語化能力に脱帽。わかったつもりでいた自分の甘さに気づかされ、はっとする。 ストーリーは、ほぼ主人公と社会の関わりが中心で、終盤5分の1くらいで動きが出てくる。エンターテイメント的視点では、もう少し早く展開があってもと思ったが、ラストシーンの主人公の姿に、やっぱりこうだよなと妙に納得してしまった。 ちなみにこの作品、映画化は難しいね

Posted byブクログ

2024/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「生殖本能」に語らせる。 その「生殖本能」が、多分朝井さんの感じている、昨今の風潮への違和感を語り尽くす。 「正欲」同様小説のかたちをとった、現代社会論評だと思うけど。 今回はちょっと設定に無理があるように。 次作に期待。 瑣末な話なのかもしれないけれども、同性愛者の「結婚」。 「どうせできない」とか「異性愛者にしか与えられない」とかと、なにか憧れ、権利的に扱われているように感じた。 しかし、あんな国の制度の対象になるならない、なんてどうでもいい話なのではないだろうか。 男性と女性の番いが、社会の中で、子供を作り育てることを主な目的とした、単なる書面上のお話で、無力な子供に安定した基盤を与えるに過ぎないものを、子供を原理的に作ることのできない番いに適応する必要があるのだろうか。そのために社会がなんらかのコストを負担する必要があるのだろうか。 純粋に番い、あるいは複数人が、共に暮らせばいいだけの話ではないのだろうか。 その暮らしをわざわざ妨げに来るものがあれば、それに抵抗するだけでよいのではないか、とは思う。 社会からの施しや干渉など撥ね付け、当事者達がただ好きに暮らす方がカッコいいように感じる。 もの欲しげな姿は醜いのではないか。 そんなふうに感じて、違和感がずっとあって、話が入ってこないのが残念だった。

Posted byブクログ