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生殖記 の商品レビュー

3.9

985件のお客様レビュー

  1. 5つ

    281

  2. 4つ

    336

  3. 3つ

    236

  4. 2つ

    57

  5. 1つ

    14

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2024/10/22

正欲よりも断然こっちの方が面白かった!冒頭は手探りのままどんな話なのか見当もつかなかったが、語り手が何かわかってからなるほど〜となって、そこからは一気読み!あと、語り手がうるさいくらいによく語る語る。でもこんなに言語化してくれて、その内容がどれも「しっくり」入ってくるのが凄い。

Posted byブクログ

2024/10/21

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 77 これって、極端に言っちゃえば、お金があれば種が保存される、みたいなことです。 すごいですよね。だってお金って、実態として存在しないんですよ。 国家とか紙幣とか神様とか人権とか、ヒトが大切にしているものって、自然界にもともと存在しな...

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 77 これって、極端に言っちゃえば、お金があれば種が保存される、みたいなことです。 すごいですよね。だってお金って、実態として存在しないんですよ。 国家とか紙幣とか神様とか人権とか、ヒトが大切にしているものって、自然界にもともと存在しないことばっかりなんですよね。ほんと、稀有〜。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 普段は文庫本派で文庫化されるまで待つのですが、朝井さんの新刊ということで気になって買っちゃいました!
装丁も綺麗だったし! そして読み始めたら続きが気になって、この物語を朝井さんはどう結ぶのかが気になって気になって一気に読んでしまいました。 朝井節、炸裂してました。 朝井さんのエッセイを読んだ方は、すべからく楽しめる作品です笑 壁にブチ当たったり、朝井語録がたくさん登場します笑 冒頭の「ほんと、稀有〜」とかめっちゃ好きです笑 そして内容、テーマは前作『正欲』と共通しています。 性的なマイノリティに焦点を当てた作品です。 ただ『正欲』とは異なり語り口が非常にコミカルで、けど内容は重たいから情緒がぐっちゃぐちゃになりました笑 人間の社会とか、感情とか、そして主人公である尚成の気持ちとか、それらへの解像度の高さにただただ圧倒されます。 あと『正欲』の時もそうだったけど、登場人物の、最後のやり取りは圧巻です、引き込まれます。読まれる方はぜひそちら注目して欲しい! 朝井さん読んだことない人は、まずエッセイ『時をかけるゆとり』から読んでみるのをおすすめします。 エッセイ読まれたことある人はぜひ読んでみて欲しいです!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 印象に残ったところ 232 「否定形の意思表示って、誰にも見えないんですよ」 139 「自分は、挿入する側の人間なんじゃないかって思ってるんだよね、ずっと」 40 そう考えると、ヒト特有の悩みって実はそこにある気がするんです。自分は必ず死ぬということと、その死までの大体の期間を把握している。ここです。 死を知っているがゆえに生まれる理想と現実のギャップに、不安や焦りを感じてしまうんだと思います。 53 神を設定していないヒトの生息地では、共同体が目指すものを阻害する個体は"悪"とみなされるからです。そして、悪とみなされた個体は、その共同体から追放される恐れがあるからです。 60 なるほどそっか腹落ち了解 108 私、よく、こんなふうに思います。本当は尚成以外のヒトも皆、何かしらのごっこ遊びを続けているだけなんじゃないかって。社会人ごっこ、家族ごっこ、人間ごっこ。形を変えて様々に現れる共同体感覚の監視カメラの前を、その都度バレないように駆け抜けているだけなんじゃないかって。って、そのごっこ遊びをさせている立場でこんなこと言うのもおかしいんですけどね。でも、思っちゃうんです。あの時の眉毛と尚成みたいに、全個体せーので降りてみちゃえばって。 ここでもう完了でいいよ、達成でいいよ、もう”次”を無理やり見つけなくていいよって言ったら、この世界中の全個体、あのときの尚成と眉毛みたいに口を半開きにしたまま両腕をだらんと垂らし背中を丸めて首を前に出すんじゃないかなって。 本当は皆、降りたいんじゃないのかな。 人口も経済も何もかも”今よりもっと”を常に続けていかないといずれ立ち行かなくなることの世界の仕組みから。 未来永劫果たし続けられるわけがないと実は誰もがわかっている、この共同体の存続条件から 150 ヒトがよくやる手法です。事実よりも感情優先で、自分にとって都合のいい情報を自分が気持ちよくなるように読み取っちゃうというやつ。 だってトリカヘチャタテは、この属全体をあげてメスが挿入する側なんですからね?別に、挿入が向いている性質の個体に凸の形状の性器がついているわけではないですから。 197 ただあの夜、尚成は自分なりに解釈してしまったんですね。いくらヒト以外の種の生態系と照らし合わせても、ヒトという種の中で様々な例を提示してみても、最終的に問われるのは異性愛個体を主軸に常に拡大、発展、成長を目指し続ける資本主義的共同体にとっての意味や価値や生産性であるということを。自分の求める形の救いは、やはり存在しないということを。

Posted byブクログ

2024/10/21
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はじめ誰目線で書かれているのだろうと思って読み進めていた。 主人公尚成の生殖器目線とは斬新だった。 確かに、尚成の気持ちとかわかっていたので、生殖器と分かったら納得できた。 結構軽い口調で書かれているので、サクッと読める。 尚成はゲイで、小さいころから自分を隠して生きていた。 30歳くらいで人生どうでもよくて、ただ波風立てず仕事もある程度している。 そこに行きつくまでいろいろなことを考えたのだろう。 社会・会社・人は拡大のために活動をしているが、 そこを目的としない生き方もあるというのがよかった。 周りから見たらどう見えるかはわからないが尚成自身が幸せと感じる考え方もあるのだな。 尚成の生き方(社会と反対の目的で生きているが幸せ)当たりの話が、 理解するまでにちょっと時間がかかり何回も読み返した。 (理解せずに読むのは意味がないなと感じた部分だったので)

Posted byブクログ

2025/09/05

共同体の発展に幸せを見出さない主人公は、最終的に何に幸せを見出すのか。 朝井リョウって社会についての解像度とか、人間についての理解度が高くて、それを皮肉るのが上手だなと改めて思った。 共同体の中での幸せを模索してもがいてきた多数派側の身として、大多数の人間について地球規模で客観...

共同体の発展に幸せを見出さない主人公は、最終的に何に幸せを見出すのか。 朝井リョウって社会についての解像度とか、人間についての理解度が高くて、それを皮肉るのが上手だなと改めて思った。 共同体の中での幸せを模索してもがいてきた多数派側の身として、大多数の人間について地球規模で客観的に書かれているのがとても新しい視点だった。 なぜ人間だけが、生き延びる以外のことをこんなにゴチャゴチャ考えるんだろう、と思ったことは何度もあったから、非常に面白く読めた。 ヒトは拡大、発展、成長から降りられない。後退することができない生き物だ、というのを読んで、身の回りの人の人生観を聞いてみたくなった。

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2024/10/22

ほんっっっっとにおもしろかった 落ちているときの、第三者的自分の身体。ほんとによかった。 「ここまで長かったね」って、わたしへのだよね?

Posted byブクログ

2024/10/21
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・なんか、食べれば眠くなるし、生殖の方法もいかにも有性生殖の典型だし、色んな面でしっかり動物のままなのに、「私たちは動物ではなく人間です」みたいにキリッとしてるのが正直ちょっと面白いんですよね。 ・ヒトがとの地球に後付けした社会構造のうえでは、"今以上よくなる"以外に目標の立てようがないから、止まるわけにもいかない。 永達の成長なんて存在し得ないことを誰もがわかっていながら、それでも全力で今よりももっと成長を目指し続けるという姿勢を解くわけにいかない。 もう近い未来どうにもならなくなることは明白なのに、立ち止まれない。 監視し合っているから。 共同体の構成員たちが、拡大、発展、成長を目指す永遠のレースから降りる者がいないかどうか、互いに見張り合っているから。 ・本当は皆、降りたいんじゃないのかな。 人口も経済も何もかも“今よりももっと”を常に続けていかないといずれ立ち行かなくなるこの世界の仕組みから。 ・他人の目を気にするなーヒトの世界でよく聞く言葉ですけど、これって単純に”他人の目”自体がコロッコロ変わるからアテにするなっていう意味だったんですね。てっきり、自分らしく生きるとか個性を大切にとかそういう話かと思ってました。違う違う、他人の目なんてものはぜーんぶ異性愛個体側がゴーサインを出したブームに過ぎないんだから、そのたび翻弄されて擬態していたらキリがないっていうことだったんですね。

Posted byブクログ

2024/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まさかの○○目線の語り口…! こんなのありなのね 文章が軽快で重いテーマなのに読みやすい(オタクの早口みたいな) 『正欲』からそう来るか…って感じだった。 トリカヘチャタテなど、雑学もおもしろかった。 次にしっくり感覚見つけるの大事だな。清々しい気持ちで読了。 主人公に踏み込もうとしたまわりの人たちが、グッと堪えてあえて言わない。そこは令和だなと。 多様性を尊重して踏み込まない。 それがいいのか悪いのか、まぁ本人が良ければいいんだろうな。

Posted byブクログ

2024/10/20

主人公が2人?いるので、同じシーンの中で2つの視点が入り混じってて、少し読みづらいなぁって印象。 話の内容はさすが朝井リョウって感じで いい意味でも悪い意味でも人間らしさや生々しさが表現されていて面白かった。 生物の最終目標はサバイブすること。生きがいとか、生きる意味とか、幸福...

主人公が2人?いるので、同じシーンの中で2つの視点が入り混じってて、少し読みづらいなぁって印象。 話の内容はさすが朝井リョウって感じで いい意味でも悪い意味でも人間らしさや生々しさが表現されていて面白かった。 生物の最終目標はサバイブすること。生きがいとか、生きる意味とか、幸福の意味を考え始めることは人間だからこその贅沢という表現が心に残った。 共同体の拡大、発展、成長への同調圧力ってしんどさ感じるときあるよなーと共感した 社会に擬態しながら生きる主人公へ共感できるシーンも結構あった。 自分自身も社会擬態しているのか、自分の本心からそう思っているのかよくわからなくなることあるなぁ

Posted byブクログ

2024/10/20

浅井リョウらしい作品でとても良かったです。 最初は、読み辛いなと思っていましたが、読み進めていく内に、読み辛さの原因も分かるようになりました。(主人公二人??) 生殖器(性、性欲)という人間が振り回されガチな存在が、人間を俯瞰している状況はなんともシュールです。 個人的には...

浅井リョウらしい作品でとても良かったです。 最初は、読み辛いなと思っていましたが、読み進めていく内に、読み辛さの原因も分かるようになりました。(主人公二人??) 生殖器(性、性欲)という人間が振り回されガチな存在が、人間を俯瞰している状況はなんともシュールです。 個人的には、主人公が対話を進める中で、周囲の目線を気にして生きてきた事に対して、周囲の目など、その時、その状況、人によって変わる何のアテにもならない物じゃん!となる所が印象的でした。 前作の性欲に続き、世間が深く考えている様で、全く考えられていない問題を題材にしている作品でした。

Posted byブクログ

2024/10/20

タイトルそのままの話。 前作もなんだかすごいものを読んでるなーと思ったけど、今回もやられました。 オス、メスとか、幼体、個体に共同体などなど、初っ端から出てきてなんだこりゃと。でも、彼のエッセイのような軽々しい文体にかかれば、サクサク読んでいける。 しかし、よくも重たくなる...

タイトルそのままの話。 前作もなんだかすごいものを読んでるなーと思ったけど、今回もやられました。 オス、メスとか、幼体、個体に共同体などなど、初っ端から出てきてなんだこりゃと。でも、彼のエッセイのような軽々しい文体にかかれば、サクサク読んでいける。 しかし、よくも重たくなるようなネタを砕けて書けるなー。 尚成くんのあの脱力的な人生は、マイノリティからなるものだろうけど、それを書けるのが朝井リョウの凄さなんだろうな。 新たな朝井リョウのエッセイが読みたくなった。

Posted byブクログ