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生殖記 の商品レビュー

3.9

985件のお客様レビュー

  1. 5つ

    281

  2. 4つ

    336

  3. 3つ

    236

  4. 2つ

    57

  5. 1つ

    14

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2024/10/04
  • ネタバレ

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主人公は尚成という名の35歳ぐらいの独身総務部社員…のチンコに宿る生殖本能! 今まで色んな生命体の生殖本能として転生しており、人間は2回目。 尚成自身はゲイ…というか人を好きになれないタイプ。社会に貢献したり前に進めるのも嫌いで、人からの相談も碌に聞かずに相槌だけ打つ。 後輩がゲイで、同性婚などに向けて活動するnpoを立ち上げると聞いたり、独身寮の同期男女が付き合ったり別れそうになったり、そーいうのを観測しながら進む。

Posted byブクログ

2025/02/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スタートから哲学が全力疾走してて、オチどうするつもりなのって困惑しながら読んだ。しかもそんな風に落とすんだ、すご、って。 序盤は小説というより、少し物語性のある新書を読んでる気分。始まりから物語の大部分は、均衡、維持、拡大、発展、成長、今よりももっと、次などの共同体感覚と相容れない個体として生き延びる“一つの方法“が濃く語られる。ここは正欲の「“明日、死にたくない“とは思ってない」状態を踏襲した展開。次に“しっくり“とは何かについて、生物としての役割と自分としての感覚の捩れから深掘る。その後、生き延びるための“それ以外の方法“を知り、共同体内での生育歴が形成する“時間的に生きる“への答えの相違まで明らかになる。でも、だからといって希望に満ちた選択を目の前に安易に心をすり替えさせはしないのが、今回のテーマでもある“しっくり“に通じていると思った。 そして今回は特に、全体的に物語自体が殆ど動かない。というかむしろ、殆ど動かないことを描いている。一つの現象という静止画を見て、説明を聞かされているような心地。 感想として、価値観が劇的に変わる、みたいな話ではなかった(悪くはない意味で)。生き延びていくために、自殺せず寿命を効率的に消化していくために、体を動かしてくれるような“しっくり“くる独自の幸福論を模索している主人を観察する物語だから、ああ、そうだね、しっくりきたね、ここまで長かったねって。そう思っただけ(いい意味で)。本質を貫いた作品だけど、とても温もりを感じる作品でもある。 にしても、拡大、発展、成長のレールを外れた尚成という個体に宿る拡大、発展、成長の象徴たる生殖本能が語り手なんて、面白いに決まってる。ここまで奇抜な語り手にする理由は、語られる内容がこの語り手でないと成立しないのはもちろんだけど、演出上の都合だからってだけじゃないのが秀逸。だから“生殖記“なのね!って。 それ以外にも、謎に行動原理を揶揄される美容系インフルエンサーとか性器の不一致のくだりも面白かったけど、何より、尚成よかったねって思いながら読み終えた直後、主要参考文献の最後に「なお、本作に関しての責任はすべて著者にあります。」が忘れられない。当たり前なんだろうけど、話がすごかっただけに、なんか笑った。

Posted byブクログ

2024/10/04

2024.10/4 こりゃ今までにない小説だわ。 事前になんのあらすじも公開されてないって聞いたけど、そりゃそうだ。こんなのあらすじ公開できるわけがない!笑 これ、やってのけちゃうのは朝井リョウしかいないだろうなぁ。 労働とは、ヒトとは、生命とは何か。 そんな壮大なことを、〇...

2024.10/4 こりゃ今までにない小説だわ。 事前になんのあらすじも公開されてないって聞いたけど、そりゃそうだ。こんなのあらすじ公開できるわけがない!笑 これ、やってのけちゃうのは朝井リョウしかいないだろうなぁ。 労働とは、ヒトとは、生命とは何か。 そんな壮大なことを、〇〇目線で語られている。 おそらく作者は、哲学やらフェミニズムやら人類学やら多くの資料を読み込んでるんだろう。 ホモソーシャルを、さりげなく説教臭くなく揶揄する感じ、さすがです。 ちょうど資本主義の終焉的な本(サピエンス全史やLESS IS MOREなど)を読み漁っていたからスラスラ読める。が、そういう知識がない人が読んだら、何言ってんだ、ってなるのかな? そっち系の本を全く読んでない人がこの本を読んで、どう感じたのか気になる。 最後まで「ありきたり」な物語にはするまい、という作者の強い意志を感じた。 以下、1番心に残った言葉。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ヒトって見直すとか後退するとか、そういうことがすっごく苦手なんだろうなって思ったんです。一度文明が進んだらもうその前には戻れないっていうか、戻るわけにはいかないっていうか。その繰り返しがこの種の歴史なのかなって。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Posted byブクログ

2024/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感想 圧倒的な二分法。種が生まれた時からそこに壁はある。現代になってその壁は脆くなっている気がする。だけど。そこに確かにある。超えられない。

Posted byブクログ

2024/09/16

生殖記題名からすると生物学的なお話を想像してしまった。読んでいてこれはSFなのかと思い読み進めるとSF映画の「ヒドゥン」「スピーシーズ」人体の乗っ取りのストーリーを思い浮かべてしまいました。奇想天外な不思議な読書体験をあなたもして下さい。

Posted byブクログ