ジェンダー・クライム の商品レビュー

天童荒太(著者)

2024/01/21

Amazonの紹介より
誰もが容疑者。誰もが当事者。
性にまつわる犯罪……ジェンダー・クライムは連鎖する。
土手下に転がされていた男性の遺体。
暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。
「目には目を」
なんと男の息子は、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった――。次々現れる容疑者、そして新たな殺人。罪を償うべきは、あなたかもしれない。
天童荒太の原点回帰にして、記念碑的作品!

なんとも序盤から、異様な事件から始まる展開で、かなりシリアスになるのではと思いました。
というのも、天童さんの作品で「孤独の歌声」というのがあるのですが、凄惨なシーンが印象深く、もしかしてこういう路線なのかなと頭の片隅で思っていました。

蓋を開けてみると、そういった犯行シーンはあらすじっぽく書かれていました。それよりも犯行の後のそれぞれの登場人物にクローズアップして、どのような影響を与えているのかが描かれていました。

一つの性犯罪から始まる不幸の連鎖。知れば知るほど、知らない真実が垣間見れて、驚きと共に、犯した罪がいかに重大な影響を及ぼすことなのかを感じました。
当事者同士だけでなく、その関係者にも影響を及ぼし、人生を狂わせる。もしかしたら、自分にもその関係者になるのでは？と思うと、他人事ではないと思いました。

被害者だけでなく、加害者の家族や親戚にも焦点を当てていて、天童さんらしさなのかはわかりませんが、善悪問わず、「人」としてみんなに寄り添って描かれているので、ヒューマンドラマの要素もあって、考えさせられました。

被害者の行く末を読むたびに、どうにかできないものかと心の中でモヤモヤするばかりでした。
最初の衝撃な犯行があった分、その後の展開は更なる衝撃を期待していたのですが、そういった印象はなく、罪によって狂わされていく人物達を深堀りしていたので、ちょっと拍子抜け感はありました。

しかし、それぞれの人物を知ることで、みんな人間であり、色んな感情を持っているんだとしみじみ感慨深く感じてしまいました。

犯人は誰なのか？なぜこのような犯行を？
猟奇的かと思いきや・・何だか切ない気持ちになりました。
今後、性犯罪がない未来を望みたいです。

2024/01/19

読み始めからテンポよく進むストーリー展開がとても読みやすくて面白かった。一つの事件を解決していく中に色んな要素が詰まっついて濃かったです。これ続編とかあったら嬉しいかも

2023/12/15

【『悼む人』『永遠の仔』の著者が贈る、ノンストップ・クライムサスペンス】男の遺体には、ある場所に「目には目を」とメッセージが残されていた。次々現れる容疑者、そして新たな殺人。罰を受けるべきは誰だ？