空鳥(ヌエ)の碑 の商品レビュー
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★★★★★ なんとも鵼な話でつかみところがないというか。そういう意味では、京極さんの思惑通り。このシリーズで唯一未読の『百鬼夜行 陽』と繋がっているようで、これから繋がりを意識して読めるから、未読でかえって良かったかも。それにしても、関口さんは京極堂に対しての「受け」であるとより楽しめそうだけれど、今回は久住さんと組むから「受け受け」みたいになってしまってちょっと物足りない。榎木津の出番も少なめでこちらも「もっと」を期待したいところ。本書が特集記事の『ダ・ヴィンチ10月号』も買ってしまった。使わなかった構想が3つもあるとか、執筆期間は3ヶ月くらいとかすごすぎです。本書を読んでから、この百鬼夜行シリーズの世界が圧倒的で他に頭を切り替えられなくて、図書館で借りていた10冊くらいの多ジャンルの本を読む気が失せてしまって、すべて返却しました。現実世界(私)に対してこんなに影響力を及ぼす本(シリーズ)はめったにありません。
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十七年ぶりの百鬼夜行シリーズ! なのに色褪せない登場人物たち 今回は過去の事件に根差した謎。現在には何も起こってないのに、何か起こっているように感じさせられるのは特高警察の存在のせいかな。徐々に繋がっていく事実の奥に陰謀をひしひしと感じながらも榎さんは「ジャンケンのようなもの」と言う。誰にもわからない形で確信をついてくるけど、いるのといないのとでは大違い。「僕は何のナゾも持っていない」と傍観者に徹して出番が少なかったのがちょっと残念。また榎さんメインが読みたい 同時進行でずっと京極堂は熱心に仕事をしていたけど、最後の最後で結びついてくるとは! 憑き物落としの力も健在でした 一番最初の「ぬえ」の逸話に私も取り憑かれていたような心地。あるはずのないものを見ようとしていた気がする 二十年前の事件及び事故は少し哀しい。本来なら人の命を救うためのプロジェクトだったはず。嘘に嘘を重ねるとどこかで綻びがでて誰かが傷つくのでしょう。戦前と戦後は誰かの都合に悪かっただけで抹消されたものがたくさんあるんだろうな 山の民はとくにとばっちりだ 寒川を救えなかったことも後味が悪いけどもはや亡霊を追いかけているような感触だったから納得もできた。御厨さんは芯が強いから哀しみはあるけど乗り越えていて素敵 残った人達がこれからも幸せであるといい
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何と17年振り! 待たされたという感覚さえなくなって久しい。失くした当時は何処だ、何処だ? と探しまわったが、それから17年が経ったある日、ひょっこり出てきた探し物、と言えばいいか。まあ、そんな感じ。 「あの男たちが帰って来た」みたいに煽られたら、そりゃ期待もしますがな。しかし・・・。 これはないんじゃないの。こんなに内容がない話を延々と読まされて、最後はそれですか。 ぬえだから、そうなるでしょ、としたり顔で宣う作者が目に浮かぶようだ。 作品的には段々とわるくなっていっている、という意見もあるが、頷けますね。これじゃあね。 余談だが、17年、次作が書けなかった理由も「?」な感じ。水木の作品を纏めていたから(5、6年)、推協の理事をしていたから(5年?)、って計算合わないし、これも3ヶ月で書いたっていってたよね? 7年は3ヶ月よりも短いって初めて知りました。その間、他のはバシバシ書いてたじゃねーか、と正直思いますよね。東日本大震災があったから、って何? 放射線扱ってるから? 出すと売れないかもしれないから???? 今は出していいと判断した理由は? 依頼があった順に仕事している、と過去に言ってたと記憶してるが、17年先の分も依頼があってたの? じゃあ、17年前に予告していた、「依頼があった仕事」は何故先延ばしにしたの? ま、そんなところです。内容がこれじゃね。言いたくもなるよ。星二つは榎木津に会えたことに。作品的には無星。
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待ちに待った作品 読み始めは、お馴染みメンバーたちの話が読めることだけでワクワク。 しばらく読み進めてふと思った。 (現代では)誰も死んでない・・・。 いつものおどろおどろしい、ドタバタした感じがない。 なんだかよく分からないけど何かが起こっていて、あれよあれよという間にどんどん人が死んでいく、そういう話ではない。 いつもは中野の京極堂から動かない腰の重い中禅寺が、そもそも最初から日光にいる。 事件だ事件だ!と興奮しているのは益田のみ。 (関口、木場ともに終始落ち着いたトーンである) だからなのか、スピンオフでもある百器徒然袋を読んでいるような気持ちになった。 しかしながら、最後まで読んでなるほどとなる。 だから、夜の鵺ではなく 空の鵼なのか・・・と
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途中まで事件があっちこっちに散らかってて、 いやこれどうなるの?と思ってたけど いつの間にか集まり始めてわーっと収束した。 中盤越えてからは一気読みでした。 久しぶりに(ってか17年ぶり!?)読めて嬉しかったです。
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あまりにも何も起きないので何度も不安になってしまったけど、かといって飽きることもなく読めた。 過去作は悲惨な事件ばかりでそれ相応に陰鬱な気分になったものだけど、悲惨だからこそ受け止められる事ってあるんだなぁと思ったり。今作は何も起きていないはずなのに救われない人がいて、なんだかスッキリしない。それだけに、最後郷嶋が御厨さんにかけた一言がシンプルでグッとくる。郷嶋さん優しいですやん。 ところで緑川さん、中禅寺になにか思うところがあるのかしらと思ったらこちらも何も起きなくてビックリした。とても聡明で好きなキャラなのでまた出て欲しい。
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17年か…。 待望の百鬼夜行シリーズ、 発売日とまではいかなかったが、少し遅れて書店で購入。 鈍器本と謳われているだけあってなかなかの存在感。 しばらく置いとくつもりだったのに、数ページ読んでみたらあれよあれよで2段830頁を読了していた。 やっぱり京極夏彦、すごい。 17年のブランクを全く感じさせない、 それまでの百鬼夜行シリーズを見事に踏襲する構成と情報量。 …マジで情報に溺れる。 ブランクを感じるとすれば、読んでいるわたしサイドの問題で、 陰摩羅鬼の瑕と邪魅の雫あたりの記憶がごっそり落ちており、情報に溺れながらも再読せなにゃ、と思ったりした。 ネタバレは避けたいので物語自体については多く述べないが、ページ数のわりにライトな印象だった。 今までの百鬼夜行シリーズの長編なら当たり前に起こる諸々が起こらないせいなのか? 時間という薄い膜一枚向こうの物語に右往左往するうちに、あれだけ分厚かったページ数がどんどん減っていく。 物語にも、だが、そこここに差し示される蘊蓄、歴史や情報なんかを、ふと今の世界に引き寄せて読者に考えさせる、みたいな余白もまた多くて、 …いやぁ、やっぱり京極夏彦、すごいわ(本日2度目) ただ百鬼夜行シリーズをここから読み始めるのはたぶんキツいと思う。 わたしもイマイチ覚えが悪かった陰摩羅鬼と邪魅を再読してからもう一度読み直そうかな。
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一応読んだ。と言うのも最初の13ページとか、神仏の説明とか、色々なところを半分以下の理解力で読みすすめたから。各章の始まりで知っている人がだんだん出てきて、最後にみんな集まって、あのセリフですよ。楽しかった。これから再読です。理解できるかな。
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続編のタイトルは予告されていた、京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズ。前作『邪魅の雫』以来、実に17年ぶりの続編が届けられた。2008年にシリーズの版元が文藝春秋に移ると発表されていたが、結局本作は講談社ノベルスから刊行となった。 薀蓄要素がほぼない『邪魅の雫』は、シリーズ中でも毛色が異なる作品で、個人的に大いに戸惑った記憶がある。さて、本作の作風はどうか? 薀蓄は少なめだが、『邪魅の雫』ほどではない。読み終えて、従来の作風に比較的近い印象を受けた。 それでもやはり、シリーズとして異質な要素はある。根幹にあるキーワードは、現在でも報道で聞かない日はない。戦中の日本で、そんな有名スポットで、そんな計画が? 正直、フィクションにしても荒唐無稽に過ぎるのは、否めない。 元々バラバラに動いていたお馴染みのメンバー。当然ながら、それぞれが追っている事象の繋がりが、途中はまったく見えない。自分が歳とったせいとはいえ、関係者があまりに多すぎて、読み進めるのに難儀すると同時に、心配になってくる。 関口にしろ木場にしろ、相変わらずの引き寄せ体質を発揮…というか首を突っ込むが、最も働いたのは主要レギュラーではない彼ではないか。榎木津に至っては無理矢理出演させている感すらあるが、最後を締めるのはやはりあの男。 壮大なネタの真相に拍子抜けする面はあるものの、最後の最後にすべての事象が一つに繋がるのは、このシリーズならでは。今回は登場人物が多いだけに、手練れの京極さんとはいえよくぞまとめたものである。しかし、本当の驚きは…。 京極作品のファンなら、何を示唆しているのか気づくだろう。世界は、時間は、連続的に繋がっていた、とだけ書いておく。今回限りの演出なのか気になる。このまま「彼ら」がフェードアウトするのはもったいない気もするが。 17年ぶりなのに作中の時間は進んでいなくて苦笑した。京極さんにそんな意図はないかもしれないが、現実の出来事に触れるなど、過去作品の中でも社会派色が強い作品と言えるだろう。次作予定も載っているが、何年後に読めるのか。
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