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空鳥(ヌエ)の碑 の商品レビュー

3.9

163件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    65

  3. 3つ

    39

  4. 2つ

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2023/09/23

いつもの面子がそれぞれ厄介な物事を抱えて、それがどこかしら関連していて、一堂が事件のキーになる場所に集まり、陰陽師に憑き物落としされるという、いつもの流れでしたがこれが読みたかったのよと読みながらニヤニヤしていました。 相変わらずゴツいなりして結構繊細な気遣いをする木場、言動が...

いつもの面子がそれぞれ厄介な物事を抱えて、それがどこかしら関連していて、一堂が事件のキーになる場所に集まり、陰陽師に憑き物落としされるという、いつもの流れでしたがこれが読みたかったのよと読みながらニヤニヤしていました。 相変わらずゴツいなりして結構繊細な気遣いをする木場、言動が表面上出鱈目な榎木津を見てほっこりしたり、珍しく関口がよく喋ったり(後で中禅寺に嗜められるまでがセット)、陰謀論を信じる心性やら多様性の在り方といった現代の問題にも切り込みを入れるのも恒例。 事件らしい事件は全て過去の出来事で、現在はそれを追う(人を追う)みたいな地味な展開なのに事件同士が結びつく様や全体像が見えてくると「なるほど、だから鵼なのか」と納得できるのもこのシリーズならではだと思います。 シリーズ初心者には辛いかもですがファンなら間違いないです作品です。

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2023/09/21

それぞれの視点から、それぞれが向き合った真相が形作られ、それが纏められた時、 整合性があるような、何処かちぐはぐ感のあるような事件が浮かび上がる。 作中でも言われている通り、事件の嵌合体のようなストーリーだった。 死者や、既に居ない人物とのコミュニケーションも冒頭にあった鵼の物語...

それぞれの視点から、それぞれが向き合った真相が形作られ、それが纏められた時、 整合性があるような、何処かちぐはぐ感のあるような事件が浮かび上がる。 作中でも言われている通り、事件の嵌合体のようなストーリーだった。 死者や、既に居ない人物とのコミュニケーションも冒頭にあった鵼の物語を思わせる。 妖怪は登場しないけれど、妖怪を見立てた事件と向き合う百鬼夜行シリーズとしては、まさに「鵼」のような事件だった。 あと何よりめちゃくちゃ本が重くて腕が鍛えられました!!!とても良い筋トレになりました!

Posted byブクログ

2024/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょっとさびれた同窓会。 そんな読後感。 二十年来のファンとしてはのっけから薔薇十字探偵団の面々がどんどん登場してくる展開だけでも嬉しい。 個人的には関口と木場修が元気なのが嬉しい。 (あっちゃんのあの字も出てこないのは残念だけれど) あと伊庭さんや長門さんも姿が見られるのもいい。 郷嶋さんがちょっとお茶目になっているのもかわいらしい。 今回新たに登場したキャラクターたちも魅力的。 物語はこうしたキャラクターたちの魅力で進んでいく。 ただ、なあ。 京極堂シリーズの本編(?)の魅力は、何と言っても拝み屋中禅寺秋彦と探偵榎木津礼二郎の二人によるカタルシスにあると思っているのだけれど、本作は圧倒的にそこが弱いんだよなあ。 特に京極堂が拝み屋のスタイルで登場した時の、あの歌舞伎的な「よっ、待ってました!」的な盛り上がりがないのは超絶寂しい。 深い傷を持った人物  ↓ なんとかしようと奮闘する人々  ↓ 結果身内の誰かまで傷ついてしまいそうになる  ↓ 本当は関わりたくないのに関わらざるを得なくなる中禅寺の登場と、全てを分かった上で(たぶん)滅茶苦茶にして何もなかったことにしてしまう榎木津の活躍 という流れが、歌舞伎的な盛り上がりを演出してきたように思うのだけれど、今回あまり誰も傷ついていないんだよなあ。 だから中禅寺の登場もえらくあっさりとしている。 待ってました!感がない。 榎木津も破壊しない。攻撃しない(破壊する対象がない)。 せっかくあの人達の影も見えるのに、ラストが盛り上がりきらない。 だからなにか物足りない。 いやおもしろかったんですけどね。 だからって「このミス」2位は納得いかん気もするけれど…。

Posted byブクログ

2023/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

百鬼夜行シリーズ、17年ぶりの新作。目次から読者を期待で煽るような構成は相変わらず見事。 冠となる妖怪がぬえであることも象徴するように、今作は捉えどころがない、けれど絡み合った事件を「そこには何もない」というところまで解きほぐしていく、というもの。だから、派手な殺人もトリックもなく、ミステリとしては割合に地味で渋め。けれど作品全体として構成の妙は凝らされていて、お互いに関係のなかった事件同士が重なる瞬間が来るたびにぞくぞくさせられる。 そんな巻だったので、必然的に京極堂の講釈が少なかったことは残念。けれど今後もこの調子で、シリーズが刊行されることを心待ちにしたい。 余談ながら、石黒亜矢子による表紙のぬえの絵もまた可愛い。

Posted byブクログ

2023/09/20

さて、この続きは、次回の講釈にて(a la 芥川隆行) ♪イン、ガンダーァラ、ガンダーァラ このシリーズの幕引きには『ゴジラ』の公開が関わると予想してたのに、ここでこの噺なのか… 敦子だけ登場しなかったのは、佳乃とかち合うから、だったのかな。

Posted byブクログ

2023/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日光を舞台にいつものメンバーがいつものキャラクターでそれぞれに右往左往、大暴れ。とは言っても事件など何も興きてはいなかった。 元々、京極堂シリーズのそこそこのファンでしかなかったけれどこの度の世間の賑わいにまぁ参加してみようといった理由での読書。前回の「邪魅」に到達したのが最近で、こちらは熱冷めやらぬうちの一気読み。登場人物が多いのでメモをとりながらの参戦。達成感! ストーリーや感想はというと読了した今は二の次。周りの方京極堂好きの仲間と話すときにはメモを手にしながら話すしかない。 してやられた感もあるし、まんまと乗せられたという快感すら感じる。 三竦みどころか、四 五竦み? 大笑いして登場する榎木津さんに誑かされた! 現代社会が孕んでいる問題をアチコチに散りばめてあり、尚且つ17年間を経ても全く失速してないことに感激。

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2023/09/19

ノベルズ版にも感想を。 正直感想と評価に迷う。 中盤までのワクワクや満を持しての京極堂登場や、蘊蓄語りの数々はさすがは京極堂シリーズと手放しで喜んだ。 が、現地でリアルタイムで事件がどんどん展開するわけでもなく純粋なミステリとして読めば緊迫感が薄い。鈍器ほどの長編じゃなくても...

ノベルズ版にも感想を。 正直感想と評価に迷う。 中盤までのワクワクや満を持しての京極堂登場や、蘊蓄語りの数々はさすがは京極堂シリーズと手放しで喜んだ。 が、現地でリアルタイムで事件がどんどん展開するわけでもなく純粋なミステリとして読めば緊迫感が薄い。鈍器ほどの長編じゃなくてもという気がする。むしろもう少しすっきりした方がとさえ感じる。 とはいえ、蘊蓄や登場人物同士の会話で示される、陰謀論や原子力や戦争やマスコミについての警句を、現代に特化した我々世代への京極先生からの憑き物落としと捉えれば非常に有効だし、最後の最後で語られるファンサービス的な一幕もたまらないファンがいるだろう。

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2023/09/18
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期待値が高すぎたのだろう。 なんせ百鬼夜行シリーズだし。 久しぶりの京極堂の世界はとても好きだけど、いかんせんストーリー展開に惹かれるところがなかった。 それでもやはり次作を楽しみにしています。

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2023/09/18

長かったのか。 そうでもなかったのか。 時間とは何か。 私は待ったのか。 待ちつつもただ無為に過ごしていた気もする。 それほど待ってはいなかったのか。 だとすれば、何故これほど一気呵成に読了しなければならなかったのか。 待った待ったと思ってはいたけれど、17年も経っていたとは知...

長かったのか。 そうでもなかったのか。 時間とは何か。 私は待ったのか。 待ちつつもただ無為に過ごしていた気もする。 それほど待ってはいなかったのか。 だとすれば、何故これほど一気呵成に読了しなければならなかったのか。 待った待ったと思ってはいたけれど、17年も経っていたとは知らなかった。 京極さんは「来た仕事を順番にやっている」と以前に語っていたので、それだけ次々に仕事が押し寄せていたということだったのだろう。 今回の舞台は日光。 物語は、ある劇作家の「創作ノオト」から始まる。 ひとりの僧となにものか(「鵼」)との不穏な会話だ。 例によって、関口はふわふわと不安そうな顔をしつつも初対面の劇作家に饒舌に語る。息苦しいほどの思弁がだだ漏れする。 行方不明になった薬局長を捜す依頼を受けたのは「ふつうの探偵の仕事」を請け負う探偵助手?益田。相変わらずの軽口で、私が依頼人なら回れ右して帰っちゃうかもしれぬ。 木場の旦那は巻き込まれるようにして自分とは関係ない20年前の"事件化していない事件"を追う羽目になる。 そして書物の鑑定を依頼された中禅寺はいつもの仏頂面で黙々と、かつ能弁に自分の仕事をこなしている。逗留先は榎木津兄が経営するホテルで、なぜか榎木津探偵と関口も一緒に投宿している模様。 消えた薬局長と、死体消失事件、蛇恐怖症のメイドと、住人がまるごといなくなった村と、人の住まない場所にあった謎の診療所と。 螺旋を描きながら中心部へと吸い寄せられる登場人物たち。 しかし、中心などないのかもしれなかった。 そこにあるのはただ「なにもない」もの、または「お化けの幽霊」なのかもしれなかった。 最後にするすると解けていく糸。 そして、冒頭の「創作ノオト」へ。 これから再読する。

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2023/09/18

想定以上に、『百鬼夜行シリーズ』だった。正直言ってこれほどの年月が経てば何かしら変化を感じるのではないかと思っていたが、紛れもなく私の知る百鬼夜行シリーズだ。 今作の「鵼」に仮託した物語の構成、私は好きである。「碑」の方は正直どうでもいいと言ってしまって良い。鵼とは、「化け物の幽...

想定以上に、『百鬼夜行シリーズ』だった。正直言ってこれほどの年月が経てば何かしら変化を感じるのではないかと思っていたが、紛れもなく私の知る百鬼夜行シリーズだ。 今作の「鵼」に仮託した物語の構成、私は好きである。「碑」の方は正直どうでもいいと言ってしまって良い。鵼とは、「化け物の幽霊」とはそういうことか、とストンと入ってきたし、陰摩羅鬼の苦しさ、邪魅の影の薄さとは一線を画す。 そして京極夏彦の読者、具体的に言えば巷説百物語シリーズも読んできた読者は、最後にもう一度「化け物の幽霊とは…そういうことか…!」となるだろう。胸が熱くなった。 お馴染みのキャラクターたちも活き活きとしており、キャラクター小説としての楽しさも相変わらずだ。旧友に久しぶりに会うようで、とても嬉しかった。

Posted byブクログ