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空鳥(ヌエ)の碑 の商品レビュー

3.9

150件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    63

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    0

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2023/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

百鬼夜行シリーズ、17年ぶりの新作。目次から読者を期待で煽るような構成は相変わらず見事。 冠となる妖怪がぬえであることも象徴するように、今作は捉えどころがない、けれど絡み合った事件を「そこには何もない」というところまで解きほぐしていく、というもの。だから、派手な殺人もトリックもなく、ミステリとしては割合に地味で渋め。けれど作品全体として構成の妙は凝らされていて、お互いに関係のなかった事件同士が重なる瞬間が来るたびにぞくぞくさせられる。 そんな巻だったので、必然的に京極堂の講釈が少なかったことは残念。けれど今後もこの調子で、シリーズが刊行されることを心待ちにしたい。 余談ながら、石黒亜矢子による表紙のぬえの絵もまた可愛い。

Posted byブクログ

2023/09/20

さて、この続きは、次回の講釈にて(a la 芥川隆行) ♪イン、ガンダーァラ、ガンダーァラ このシリーズの幕引きには『ゴジラ』の公開が関わると予想してたのに、ここでこの噺なのか… 敦子だけ登場しなかったのは、佳乃とかち合うから、だったのかな。

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2023/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日光を舞台にいつものメンバーがいつものキャラクターでそれぞれに右往左往、大暴れ。とは言っても事件など何も興きてはいなかった。 元々、京極堂シリーズのそこそこのファンでしかなかったけれどこの度の世間の賑わいにまぁ参加してみようといった理由での読書。前回の「邪魅」に到達したのが最近で、こちらは熱冷めやらぬうちの一気読み。登場人物が多いのでメモをとりながらの参戦。達成感! ストーリーや感想はというと読了した今は二の次。周りの方京極堂好きの仲間と話すときにはメモを手にしながら話すしかない。 してやられた感もあるし、まんまと乗せられたという快感すら感じる。 三竦みどころか、四 五竦み? 大笑いして登場する榎木津さんに誑かされた! 現代社会が孕んでいる問題をアチコチに散りばめてあり、尚且つ17年間を経ても全く失速してないことに感激。

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2023/09/19

ノベルズ版にも感想を。 正直感想と評価に迷う。 中盤までのワクワクや満を持しての京極堂登場や、蘊蓄語りの数々はさすがは京極堂シリーズと手放しで喜んだ。 が、現地でリアルタイムで事件がどんどん展開するわけでもなく純粋なミステリとして読めば緊迫感が薄い。鈍器ほどの長編じゃなくても...

ノベルズ版にも感想を。 正直感想と評価に迷う。 中盤までのワクワクや満を持しての京極堂登場や、蘊蓄語りの数々はさすがは京極堂シリーズと手放しで喜んだ。 が、現地でリアルタイムで事件がどんどん展開するわけでもなく純粋なミステリとして読めば緊迫感が薄い。鈍器ほどの長編じゃなくてもという気がする。むしろもう少しすっきりした方がとさえ感じる。 とはいえ、蘊蓄や登場人物同士の会話で示される、陰謀論や原子力や戦争やマスコミについての警句を、現代に特化した我々世代への京極先生からの憑き物落としと捉えれば非常に有効だし、最後の最後で語られるファンサービス的な一幕もたまらないファンがいるだろう。

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2023/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

期待値が高すぎたのだろう。 なんせ百鬼夜行シリーズだし。 久しぶりの京極堂の世界はとても好きだけど、いかんせんストーリー展開に惹かれるところがなかった。 それでもやはり次作を楽しみにしています。

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2023/09/18

長かったのか。 そうでもなかったのか。 時間とは何か。 私は待ったのか。 待ちつつもただ無為に過ごしていた気もする。 それほど待ってはいなかったのか。 だとすれば、何故これほど一気呵成に読了しなければならなかったのか。 待った待ったと思ってはいたけれど、17年も経っていたとは知...

長かったのか。 そうでもなかったのか。 時間とは何か。 私は待ったのか。 待ちつつもただ無為に過ごしていた気もする。 それほど待ってはいなかったのか。 だとすれば、何故これほど一気呵成に読了しなければならなかったのか。 待った待ったと思ってはいたけれど、17年も経っていたとは知らなかった。 京極さんは「来た仕事を順番にやっている」と以前に語っていたので、それだけ次々に仕事が押し寄せていたということだったのだろう。 今回の舞台は日光。 物語は、ある劇作家の「創作ノオト」から始まる。 ひとりの僧となにものか(「鵼」)との不穏な会話だ。 例によって、関口はふわふわと不安そうな顔をしつつも初対面の劇作家に饒舌に語る。息苦しいほどの思弁がだだ漏れする。 行方不明になった薬局長を捜す依頼を受けたのは「ふつうの探偵の仕事」を請け負う探偵助手?益田。相変わらずの軽口で、私が依頼人なら回れ右して帰っちゃうかもしれぬ。 木場の旦那は巻き込まれるようにして自分とは関係ない20年前の"事件化していない事件"を追う羽目になる。 そして書物の鑑定を依頼された中禅寺はいつもの仏頂面で黙々と、かつ能弁に自分の仕事をこなしている。逗留先は榎木津兄が経営するホテルで、なぜか榎木津探偵と関口も一緒に投宿している模様。 消えた薬局長と、死体消失事件、蛇恐怖症のメイドと、住人がまるごといなくなった村と、人の住まない場所にあった謎の診療所と。 螺旋を描きながら中心部へと吸い寄せられる登場人物たち。 しかし、中心などないのかもしれなかった。 そこにあるのはただ「なにもない」もの、または「お化けの幽霊」なのかもしれなかった。 最後にするすると解けていく糸。 そして、冒頭の「創作ノオト」へ。 これから再読する。

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2023/09/18

想定以上に、『百鬼夜行シリーズ』だった。正直言ってこれほどの年月が経てば何かしら変化を感じるのではないかと思っていたが、紛れもなく私の知る百鬼夜行シリーズだ。 今作の「鵼」に仮託した物語の構成、私は好きである。「碑」の方は正直どうでもいいと言ってしまって良い。鵼とは、「化け物の幽...

想定以上に、『百鬼夜行シリーズ』だった。正直言ってこれほどの年月が経てば何かしら変化を感じるのではないかと思っていたが、紛れもなく私の知る百鬼夜行シリーズだ。 今作の「鵼」に仮託した物語の構成、私は好きである。「碑」の方は正直どうでもいいと言ってしまって良い。鵼とは、「化け物の幽霊」とはそういうことか、とストンと入ってきたし、陰摩羅鬼の苦しさ、邪魅の影の薄さとは一線を画す。 そして京極夏彦の読者、具体的に言えば巷説百物語シリーズも読んできた読者は、最後にもう一度「化け物の幽霊とは…そういうことか…!」となるだろう。胸が熱くなった。 お馴染みのキャラクターたちも活き活きとしており、キャラクター小説としての楽しさも相変わらずだ。旧友に久しぶりに会うようで、とても嬉しかった。

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2023/09/17

出だしを読むのに手こずったけど、それ以降は読みやすい気がした。面白いからぐいぐい読めます。 「鵺」ではなく「鵼」の字を選んだのが納得の内容。時代背景と合わせてくるのがうまい。 レギュラー陣は相変わらずです。

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2024/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今作の事件はほぼ20年前に起きたことであり、全体的に緊迫感がない。このシリーズは屁理屈蘊蓄で読者の足場固めをし、異常な結末を力づくで納得させる構造(褒め言葉)だが、それも薄く、読後感は百鬼夜行シリーズ本編というよりもスピンオフシリーズに違い。 過去作の復習的な要素も多く、正直直近2作が微妙で期待もしていなかったのもあり、十数年の絶食後ならこんな薄味の粥でいいのかもしれない。 しかし次作は「やまびこの家」…これまた味の薄そうな。

Posted byブクログ

2023/09/15

非常によかった。 龍典さん。 僕はようやく自分にとっての本当に必要な1冊を見つけたような気がします。

Posted byブクログ